この記事では、C言語でのアプリ開発に必要な基礎知識を解説します。
こんにちは!インストラクターの井上です。
とりあえず「プログラミングの理解を深めるならC言語やC++を勉強すると良い」という話を聞いた事がある方もおられるでしょう。
実際、プログラミングの能力を伸ばすためにC言語を学ぶのはとても良いアプローチだと思います。C言語と、C言語の拡張言語であるC++はよくプログラミング言語の基礎とも言われています。
ただ、C言語やC++を学習してアプリ開発することは良い面ばかりではありません。C/C++で何ができるのか、何が向いているのかなど、メリット・デメリットをしっかり理解してから学習を進めていかないと大変な遠回りをすることになりかねません。
今回は元Cプログラマの自分が、C言語を学習する前に知っておきたいことを5つに分類してご紹介します。
本記事を読む前に、そもそもC言語とはどんなプログラミング言語なのかをおさらいしておきたい人は次の記事を参考にしてください。
- C言語は処理速度が早く大規模サービスの開発に強い
- C言語はWebアプリやOS開発に重宝されている
- 他言語に比べC言語の習得難易度は高い
1.C言語のアプリはとても高速に動作する
C/C++で開発すると、とても高速に動作する軽快なアプリを作ることができます。つまり、ユーザーにストレスをかけない反応の早いアプリを作成することが可能なのです。
実は、Androidアプリは公式ではJavaを利用しますが、Javaで制作すると動作が遅いということで、C/C++でAndroidアプリを制作する方も一定数いるぐらいなのです。
また、激しい動作や大量のデータを処理するゲームを制作する際に選択肢に上がることもあります。アプリ開発する際には、仕様に最低限の速度が定められることも一般的になっています。速度が速いことは、アプリに求められる重要な要素となっているのです。
しかし、なぜここまで速度が重要視されるのでしょうか?
アプリ開発において速度が重要な理由について解説します。
なぜ速度が重要なのか?
そもそもアプリやシステムといったものは人の生産性を高め、パフォーマンスを上げるために作られます。たとえば、システムを作って業務の効率化を測れば、管理する時間や手間など余分な時間を省くことができるからですね。
速度の遅いと、ユーザーの満足度低下による売上機会の喪失や1時間あたりの仕事量の低下にもつながり、生産性が下がってしまいます。企業であれば、収益の損失になってしまうのです。
「タイムイズマネー」とはよく言われますが、まさにその通りなのです。
生産性を高めるためにアプリやシステムを作るのに、速度が遅くて時間がかかり生産性を低下させてしまうことは本末転倒なのです。速度はプログラミング言語だけに依存するものではないですが、言語自体の速度が速いということはそれだけ有利になります。
速度が必要になるケース
大量のユーザーから頻繁に使われるアプリや、処理速度が必要な重いアプリを作る場合が該当します。
たとえば、ちょっと難しいですが「データベース」や「WEBサーバー」などは常に動いていて、いつでも大量のユーザーからのアクセスに応答できる必要が求められるアプリです。
同時に大量のユーザーからアクセスがあることも多いので、1秒遅いだけでもユーザーに甚大な損害を与える事になりかねないからです。
また、処理速度が求められる多いアプリとしては、「3Dゲーム」が挙げられます。速度が遅くて画面がカクカクすると、そもそも面白くなくゲームとして成立しません。ユーザーの満足度をあげるためにも速度は必須なのです。
2.様々なアプリやシステムが作成可能
OS
C言語は「OS(オペレーティングシステム:WindowsやMacOSXのようなもの)」を作るのにも使用されます。
Apple社のPCであるMacには入っている「MacOS X」やLinuxの根幹の機能である「Linuxカーネル」などもC言語にて作られています。
また、(頑張れば)自分でOSを作成することも可能です。
※OSについてはこちらの記事で解説しています。
C言語で自作OSの作り方を解説している記事をご紹介します。
興味のある方はぜひ挑戦してみてください。
参考:初めてのC言語で『30日でできる!OS自作入門』の通りに初めてのOSを作ってみた
プログラミング言語
普段自分たちが使っているツールはもちろん、様々なプログラミング言語もC言語で作られています。
参考:いつもお世話になっているあのソフトウェアがどの言語で書かれているか調べてみた
つまり、(頑張れば)C言語を使って自分でプログラミング言語を作ることも可能なのです。これがC言語がプログラミング言語の基礎といわれている理由の1つです。
制御用プログラム
ちょっと難しいですが、ネットワーク上で流れてくるデータを制御するルータのように、一般人から見るととてもマニアックな部分もC/C++で制作されています。
また、最近のTVにも様々な制御を行うためにC/C++でプログラミングされたアプリが入っていることもあります。
参考:C++ での TV アプリケーション (ビデオ コントロール)
C言語で作られたアプリは普段目にすることがなく目立ちませんが、家電にも使われていて、非常に身近に存在するプログラミング言語なのです。
WEBアプリ
C言語/C++でWEBアプリを作るというイメージはあまりないかもしれませんが、実際には一定数存在しています。
もちろんRubyやPHPを使ったほうがアプリを作るスピードは格段に早いのですが、大規模だったり、速度をどうしても担保しなければいけないサービスにはC言語が一部で採用されることもあります。
また、WEB業界ではWebAssemblyというWEBブラウジングを高速化する方法にC/C++を利用することにも注目が集まっています。
参考:【最新】WebAssemblyが熱い
3.命令が細かくて難しい
仮にプログラミング初心者の人がC/C++に挑戦したとして、実際に使いこなせるようになる人は数パーセントでしょう。
と思われてしまうでしょう。
しかし、これは正しい学習方法がわからずに途中で挫折をしてしまう人がほとんどだからです。
確かに、C言語は比較的シンプルで修得しやすいですが、C++はプログラミング自体を趣味にできている人か、相当気概のある人でないと修得が難しいことは事実です。
Ruby、PHPを修得する難易度が「10」だとすると、C言語は「20」、C++は「30」といった具合でしょう。
具体的に難しいポイントのひとつは、C/C++では「メモリ」や「CPU」など、コンピュータのハードウェアを直接制御する部分です。メモリの制御をあやまると、すぐにアプリが停止したり、最悪PCが停止して再起動しないといけないこともあります。
また、細かな制御ができてしまう分、アプリを制作するための最良の設計をする為には、幅広い知識が必要となります。
ただ、逆にいうとC言語やC++を学ぶことで、他のプログラミング言語では到底学ぶことができないことも学べるのです。C/C++を修得しているかたは、最新技術への対応も早くエラーやトラブルの解決もすごく速いです。
プログラミングの達人は口を揃えてC言語をおすすめしています。
4.プログラミングやコンピュータの理解が進む
命令が細かくて難しいと書きましたが、その分「コンピュータがどのように動いているのか」「アプリとはどうやって実行されているのか」ということを詳しく理解できるようになります。
また、ネットワークを介するアプリに触れる機会があれば、ネットワークを構成する仕組みや、サーバの仕組みなど細かな仕様を学習することもできます。
つまりC/C++でアプリを作るにはかなり学習時間と労力がかかりますが、ITを築いている土台を理解できるようになるわけです。
今後10年は使える基礎力が身につき、世界の最前線で働くことも不可能ではなくなるのです。
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5.修得するまでかなり時間がかかる
ここまで紹介してきたとおり、C言語/C++を使いこなす為にはその言語仕様を理解するだけでなく、周辺知識・コンピュータそのものへの理解も深めなければなりません。
普段からコンピュータを使いこなせているとはいえないレベルの人が、プログラミングに興味があるからと言ってC言語だけ学んでも、できることにはすごく限られてしまいます。
一般的にプログラミング初心者がC++まで使いこなすには、周辺知識の理解を含めれば1000時間程度では難しいと言われています。
ただ、「ITを徹底的に活用する基盤を付けたい!」「技術力のあるエンジニアになりたい!」という人は、是非じっくり時間をかけてでも学ぶ価値が十二分にあります。
「もう古いから」「他の言語使ってるし、わざわざC言語なんて使う必要がないよ」と思う方が多いのが現実です。
しかし、プログラミングの技能をあげたり基礎力を身につけたいのであれば、C/C++にとってかわるプログラミング言語は他にないといっても過言ではないでしょう。
まとめ
C言語のアプリ開発前に知っておきたいこととして、5項目を紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
少し脅かすようなことを書いていますが、ここまで読んで逆に燃えてきた人は是非一度学習してみるべきです。ぜひC言語の知識を習得して、今後の開発の土台を構築して頂けましたら幸いです。
また、C言語の学習に必要な情報を一つにまとめた記事を作りました。これを読めば、効率よくC言語を学ぶことが出来ますよ。
この記事の監修者
株式会社SAMURAI
独学でプログラミング学習を始めるも挫折。プログラミングスクール「SAMURAI ENGINEER」を受講し、Web制作を学ぶ。副業でWeb制作を行いつつ、「初心者がプログラミングで挫折しないためのコンテンツ制作」をモットーにWebライターとして侍エンジニアブログ編集部に従事。