マンダラチャートを活用する5つの欠点!見落としがちなポイントまで解説
マンダラチャートを使っても、部下やチームが期待通りの成果を得られなかった経験はありませんか?
それは、マンダラチャートの特性や欠点を理解せずに、活用していた可能性があります。本記事ではマンダラチャートの欠点と、それらを改善するための方法を解説しています。
記事の内容を実践することで、部下やチームの問題解決能力のほか、目標設定スキルの向上も可能です。マンダラチャートを、より効率的に活用したい方は、ぜひ読んでみてください。
マンダラチャートとは
マンダラチャートは、1979年に松村寧雄氏によって生み出された思考ツールです。本項目では、マンダラチャートを以下の2項目の観点から紹介しています。
詳しく解説していきます。
マンダラチャートの活用法
マンダラチャートは目標の洗い出しや、新しいアイデアの発想をサポートするツールです。マンダラチャートの主な効果として以下の4つが挙げられます。
- 思考と情報を整理しやすくなる
- 新たなアイデアを発見しやすくなる
- 思考や発想をより深く掘り下げられるようになる
- 視点を変えて物事をとらえられるようになる
人の記憶や考えは紙に書くなどして可視化しないと、意識し続けることが困難です。
マンダラチャートは専用の表に目標やアイデアを書き出すことで可視化し、常に確認できる構造になっています。これにより、アイデアを効果的に管理し、発展させることが可能です。
マンダラチャートの作成方法
マンダラチャートには「A型チャート」と、A型チャートよりも範囲を広げた「B型チャート」の2種類があります。
種類 | 項目数 | 用途 |
---|---|---|
A型チャート | 3×3 =全9マス | ・マンダラチャートの基本型。 ・ちょっとした考えをまとめるのに最適。 |
B型チャート | 9マス×9エリア =全81マス | ・マンダラチャートの発展型。 ・A型よりもさらに深く掘り下げられる。 |
A型・B型で異なるのはマスの数のみであり、機能面での違いはありません。
具体的な作成手順に関しては、次の記事で解説しています。初心者でも簡単にマンダラチャートを作成できるテンプレートも用意していますので、本記事とあわせてご活用ください。
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マンダラチャートの5つの欠点
課題解決や目標設定に効果を発揮するマンダラチャートには、5つの構造的な欠点があります。
それぞれ解説していきます。
1.行動計画が細かくなりすぎる
マンダラチャートは、目標達成のためのアイデア整理に役立つツールですが、行動計画が細かくなりがちです。行動計画を細かくし過ぎると、目標達成が困難になるというデメリットが発生しやすくなります。
ダイエットを例に考えてみましょう。
ダイエットプランA | ・適度な運動を取り入れる。 ・摂取カロリーはざっくりと把握するに留める。 |
---|---|
ダイエットプランB | ・運動時間を分単位で設定する。 ・食事内容を1キロカロリー単位で記録する。 |
プランAは目標内容が現実的で続けやすい内容です。しかし、プランBは非現実的であるため、継続率は下がる可能性が高いといえます。
マンダラチャートを使用する際は、行動計画を細かくし過ぎず、実現可能な目標のみを設定しましょう。
2.PDCAを回す上で柔軟性に欠ける
マンダラチャートとPDCAは、それぞれの役割と目的が異なるツールです。そのため、マンダラチャート上でPDCAを回すことは非効率的に見えるかもしれません。
しかし、それぞれの強みを活かすことで相乗効果を生み出すことが可能です。次の例を見てみましょう。
- マンダラチャート:目標「英語のテストで80点を取る」
- P(計画):毎日1時間英語を勉強する。
- D(実践):1ヶ月間計画を実行する。
- C(確認):テストの点数を確認する。
- A(改善):結果を分析し、必要に応じて計画を改善する。
上記のように、マンダラチャートとPDCAを組み合わせることで、効率的な目標設定が可能です。
3.期限や数値などの目標設定が難しい
マンダラチャートは、アイデア整理に適したツールですが、具体的な数値目標などを設定するには不向きです。もし記入した場合、次のデメリットが発生する可能性があります。
- 内容が複雑化し、全体像が把握しづらくなる。
- 目標の達成を優先し、自由なアイデアが生まれづらくなる。
- 数値目標を達成できず、モチベーションが低下しやすくなる。
具体的な数値目標や内容を設定したい場合は、SMART目標やOKRなど、別のフレームワークの使用も検討しましょう。
4.ゴールが的確でないと全ての目標が逸れてしまう
マンダラチャートは、表の中心に核となるテーマを配置してから周囲の項目を埋めていきます。しかし、最初に設定するテーマを間違えると、表全体の内容も誤ったものになってしまう危険性があります。
テーマ設定を間違えないためには、マンダラチャートの作成に慣れた人間にアドバイスを求めることが効果的です。目標達成のためにすべきことは、最初のゴール設定にあることを覚えておきましょう。
5.埋めることが目的になってしまう
マンダラチャートの81マスを全て埋めるためには、多くのアイデアが必要です。そのため、空欄を埋めようとして、現実的には達成困難な目標を設定してしまうことがあります。
現実的な目標を設定するコツは、次の3つです。
- 解決すべきテーマを意識すること
- 現実的に達成できる目標を設定すること
- 空欄を埋められない場合は無理に埋めようとしないこと
空欄を埋めるために目標を設定してしまうと、課題が解決できずに、計画が頓挫する可能性も出てきます。
目標の内容に応じて、シンプルなA型チャートの使用も検討しましょう。
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マンダラチャートを使って成果に繋げるためのポイント
マンダラチャートを活用して成果に繋げるためには、5つのポイントを意識しましょう。
ひとつひとつ解説していきます。
1.行動を振り返るタイミングを決める
ひとつ目のポイントは「行動を振り返るタイミングを決めること」です。目標を達成するためには、PDCAサイクルを回すことが大切です。
しかし、マンダラチャートは具体的な数値目標を含めることが難しいという欠点があります。そのため、行動を振り返るタイミングを決めて、目標が計画通りに進行しているかを定期的に確認しなければいけません。
たとえば「1か月で5キロやせる」という目標を設定したとします。
- 毎週体重を量り、成果に応じて計画を修正する。
- 1か月後に1回だけ量る。
上記の場合、毎週体重を量る方が、目標達成率は高くなるでしょう。
掲げた目標と進捗を定期的に確認することで、マンダラチャートをより有効活用していきましょう。
2.定期的にマンダラチャートを更新する
作成したマンダラチャートは定期的に更新することで、最新の情報に基づいて行動できるようになります。
状況や目標は常に変化するものです。仮に、マンダラチャートを定期的に更新しない場合、3つのデメリットが発生します。
- 時間経過や進捗度合いによって、達成できない目標が出てくる。
- 目標が変わらないことで、モチベーションが低下しやすくなる。
- 記載している情報が古いと、新しいアイデアが生まれにくくなる。
目標達成の可能性を高めるためにも、マンダラチャートは常に最新の状態を保つように心がけましょう。
3.並行してガントチャートも活用する
ガントチャートは、プロジェクトのスケジュールとタスクを管理できる、棒グラフ状の管理ツールです。マンダラチャートと併用することで、互いの特性を補完する効果が期待できます。
両者の特徴を比較した表を見てみましょう。
項目 | ガントチャート | マンダラチャート |
---|---|---|
役割 | ・スケジュールとタスクの管理 ・進捗の可視化 | ・アイデア発想と整理 ・課題の洗い出し |
利点 | ・進捗を把握しやすい ・タスク漏れを防ぎやすい | ・課題やリスクを洗い出しやすい ・アイデアを整理しやすい |
欠点 | ・全体把握が難しい ・アイデア発想には不向き | ・細かな進捗管理が難しい ・数値などの詳細設定には不向き |
両者の特徴を踏まえた活用方法は次の通りです。
- マンダラチャートで全体像を把握し、アイデアを整理する。
- ガントチャートに具体的なスケジュールとタスクを落とし込む。
- 定期的に両者を見直し、プロジェクトの方向性と進捗を調整する。
ガントチャートとマンダラチャートを併用することで、計画的かつ柔軟なプロジェクト管理が可能になります。両者の特性を活かし、効果的なプロジェクト推進を目指しましょう。
4.具体的な目標をゴールに設定する
マンダラチャートのゴールを設定する際は、具体的な目標を設定しましょう。抽象的な目標を設定してしまうと、目標達成の道筋が曖昧になったり、モチベーションを保つことが難しくなったりします。
つまり、「テストで良い点を取る」よりも「テストで80点を取る」といった具体的な目標の設定が、成功への近道になるのです。
マンダラチャートを活用して成果を出すためにも、必ず具体的な目標をゴールに設定しましょう。
5.空欄があってもできることから手を付ける
マンダラチャートで計画を立てた際、空欄を埋められなかったとしても、まずは立てた計画を進めることを優先しましょう。
なぜなら、マンダラチャートの空欄をすべて埋める必要はないためです。
たとえばダイエットを目標とする場合、「運動する」という項目の下に水泳やジョギングといった具体的な行動を追加できます。しかし、水泳やジョギングを毎日行うことは困難でしょう。
空欄が埋められなかったとしても、あとで書き足すなどして問題ありません。まずはできることから手を付けていきましょう。
マンダラチャートの活用に成功した事例3選
本項目では、実際にマンダラチャートを活用して成功した事例を3つ紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
「大谷翔平選手」の活用事例
大谷選手は高校時代に「8球団からドラフト1位指名を受ける」という目標を立てました。その目標を達成するために、8つの要素をマンダラチャート上に設定します。
- 体づくり
- コントロール
- キレ
- メンタル
- スピード160km/h
- 人間性
- 運
- 変化球
その後、設定した8項目に対して具体的な72個のアクションを設定。ドラフト1位指名という目標達成に必要なプロセスを明確化しました。
プロセスを明確化し、行動したことで、大谷選手はドラフト1位で日本ハムに入団します。
大谷選手の活用事例は、マンダラチャートが目標達成に有効な手段であることを示す好例といえるでしょう。
参考資料:厚生労働省
「株式会社喜多村」の活用事例
「株式会社喜多村」では、社内の問題収集を目的に、マンダラチャートを活用しています。
同社の活用事例は次の通りです。
- 中央のマスに自社で取り扱っている製品名を記入する。
- 製品名の周囲8マスに業務名を記入する。
- 「粉砕・分級・投入・回収・充填・保管・検査・測定・その他」の8業務。
- それぞれの業務名を中心に、業務ごとの問題を記入する。
たとえば「粉砕」の項目には、業務で使用する機材の不調を記載します。周囲のマスには「原因は何か?」というメモを残すことで、「粉砕に使う機材の不調」という課題を現場で共有しているのです。
「課題の可視化」という、マンダラチャートの特長をうまく活用した事例といえます。
参考資料:株式会社喜多村「喜多さんの進化抄録集」
「社会福祉法人ブレル会 白菊保育園」の活用事例
長崎県にある「社会福祉法人ブレル会の白菊保育園」では、福祉サービスの理念や基本方針の浸透を目的にマンダラチャートを導入します。
その結果、同園では次の変化が起こりました。
- 職員が前向きになった。
- 各員がリーダーシップを発揮するようになり、保育の質が向上した。
- 自由参加の勉強会に、ほぼすべての職員が自発的に参加するようになった。
同園の活用事例は、職員一人ひとりが理念を理解し、実践へと繋げるための効果的な取り組み方を教えてくれます。
実際に、長崎県の福祉サービス評価において「特に評価の高い点」と報告されています。このことからも、マンダラチャートが課題解決に対し、有効に働いたといえるでしょう。
本項目で紹介した以外にも、マンダラチャートを活用してビジネスで成功を納めた企業があります。
参考資料:長崎県福祉サ-ビス第三者評価結果報告
また、次の記事では、各社の活用事例を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
→[blogcard url=”https://www.sejuku.net/biz/column/hr/8971/#index_id3″][/blogcard]
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「目標達成」に関するよくある質問
この項目では効率的に目標達成する際に、よくある質問をまとめています。
- マンダラチャートを活用するメリットは何ですか?
-
マンダラチャートを活用するメリットは、目標達成に必要な要素や行動を書き出すことで、思考を整理したり、新しいアイデアを発見したりできることです。
マンダラチャートは最小9マス、最大81マスからなるフレームワークの1種であり、活用することで以下のメリットがあります。
- 目標設定に必要な要素を可視化できる
- タスクの進捗を可視化できる
- 導入のハードルが低い
個人・企業など、あらゆる場面で活用できるツールですので、ぜひ活用してみてください。
- 目標達成の進捗を効率的に管理できるアプリはありますか?
-
次の2種類がおすすめです。
Grid ToDo Lite 目標達成シート – App Store
マンダラチャート 公式アプリ (MandalaChart) – Google Play のアプリ
アプリ上で目標の進捗管理を行うメリットは、課題の解決策や、新しいアイデアを思いついた瞬間に入力できることです。
パソコンを立ち上げたり、メモ帳を探す間に書くべきことを忘れてしまった、という経験がある方は、利用してみてください。
- 目標達成シートの成功に必要な要素は何ですか?
-
目標達成シートをうまく使うためには、進捗追跡のために、目標を具体的な数値で設定することが重要です。
SMARTの法則に従い目標を設定すると、進捗の把握・追跡が容易になります。
成功のためには、シートの運用を開始しても定期的に振り返りを行い、目標の見直しと再設定を行いましょう。
まとめ
マンダラチャートは、目標達成や問題解決に役立つ思考ツールです。
新しいアイデアの発見や発想が深掘りされ、思考や情報を整理しやすくなるでしょう。一方でマンダラチャートのみでは、詳細な実行計画や具体的な目標設定が難しいのが欠点です。
PDCAやSMART目標設定など、他のツールと併用することで、より実践的で効果的な問題解決が可能となります。
マンダラチャートの特性を理解し、活用しながら、課題解決やアイデア発想を確実に進めていきましょう。