フィードバックとは?具体的な実践方法や注意点を徹底解説!
フィードバックってなに?
フィードバックがうまくいかない理由が分からない
効果的なフィードバックをするにはどうすればいいの?
フィードバックとは、他人の行動や成果に対する評価や感想を伝える行為のことを指します。
しかし、単純に相手の行動への評価をするだけでは効果的なフィードバックにはならず、思うような効果が得られないと悩んでいるという方も多いでしょう。
正しいフィードバックを行えば、部下の成長のためになることはもちろん、モチベーションアップにもつながり生産性向上が期待できます。
今回の記事では、フィードバックについての概要から種類、効果的な実践方法を解説していきます。加えて、ありがちな誤解や注意点もご紹介します。フィードバックの基礎から具体的に実践する方法まで理解できるようになりますので、ぜひ参考にしてください。
フィードバックとは?
フィードバックは、相手(フィードバックを受ける方)の生産性向上や、モチベーションアップを図るうえで必要不可欠です。フィードバックの本来の意味と目的を正しく理解し、なぜ重要なのかをしっかりと確認していきましょう。
フィードバックの本来の意味と目的
そもそもフィードバックとは、他人の行動や成果に対する評価や感想を伝える行為のことを指します。
相手の行動や成果に対して、その業務に精通している上司の目線で、良かった点や成果につながった点、改善すべき点などを具体的に伝えます。
そうすることで相手は自分自身の行動の問題点や課題を正しく認識でき、行動改善につながります。
フィードバックを行う目的について上記のような行動改善を促すことはもちろん、相手の業務に対するモチベーションをアップさせ、生産性を向上させることが挙げられます。
定期的なフィードバックを行うことで、相手は自身の仕事を見てもらえていると認識できます。これにより仕事に対するモチベーションがアップして、生産性向上が期待できるでしょう。
なぜフィードバックが重要なのか
フィードバックは相手の自己理解を深め、学習や成長を促すうえで必要不可欠です。
上司がフィードバックを行うことで、自身の行動を客観的に振り返るきっかけになります。業務に精通している上司が適切なアドバイスをすれば、相手が正しく学習し、成長できるようになります。
結果として相手の業務に対する自信につながって生産性向上やパフォーマンス向上が期待できます。
またフィードバックを行えば、個人に対してだけでなく、組織全体のコミュニケーションの改善や、パフォーマンス向上が実現できます。
適切なフィードバックを行うことで、上司と部下の間に信頼関係を築くことができ、スムーズなコミュニケーションを行うことができるようになります。これにより組織全体のパフォーマンス向上につながります。
このようにフィードバックは相手個人の成長や、組織全体のパフォーマンス向上を目指すうえで非常に重要なコミュニケーションの手段です。
フィードバックの具体的な効果と利点
フィードバックの具体的な効果と利点は以下の3点です。
- 相手の行動改善
- モチベーション向上
- 組織の連携力強化
フィードバックを行うことで、相手の行動改善やスキルアップにつながり、結果的にモチベーション向上が期待できるようになります。
また、フィードバックは上司・部下間の信頼関係向上にも役立ち、コミュニケーションがスムーズに行えるようになります。そうすることで、報連相(報告・連絡・相談)が徹底され、連携強化が実現できます。
このように相手個人の成長が期待できることはもちろん、組織全体にも大きなメリットを与えてくれるのがフィードバックです。
フィードバックの種類
フィードバックは大まかに以下3つの種類に分けることができます。
フィードバックの種類 | 概要 |
---|---|
ポジティブフィードバック | 相手の行動を称賛し、その継続を推奨する |
ネガティブフィードバック | 相手の行動の問題点を指摘し、改善を促す |
フィードフォワード | 過去ではなく未来の行動を改善するためのアドバイスを行う |
それぞれのフィードバックについて詳しく確認していきましょう。
ポジティブフィードバックとは
ポジティブフィードバックとは、相手の行動の良い点に着目して、ポジティブな言葉で褒めて評価を行うフィードバックです。
例えば「先月より営業成績が上がったね。この調子でノルマを超えられるように頑張ろう。」など前向きな言葉を用いてフィードバックを行うことで、相手は自分を認めてもらえていると感じ、信頼関係が構築されやすくなります。
そうすることで相手のモチベーション向上や、業務に対する自信の強化につながり、生産性が向上するというメリットがあります。
一方で褒めすぎると相手はフィードバックの要点をつかみづらくなり、次のアクションが不明瞭になってしまいます。過度に褒めることは避け、ポイントをしっかりと伝えるようにしましょう。
ネガティブフィードバックとは
ネガティブフィードバックとは、相手の改善すべき行動を指摘して、行動改善を支援するフィードバックです。
ネガティブフィードバックを受けた人は自身の行動の問題点をハッキリと認識できるため、行動改善をすることで成長が期待できます。
しかし言葉の選択を誤ると、相手のモチベーションが低下してしまい生産性が下がってしまう恐れがあります。否定的な言い方をせず、建設的なアドバイスを行うようにしましょう。
フィードフォワードとは
フィードフォワードとは、相手の「過去の行動」にフォーカスするのではなく、「未来の行動」にフォーカスしたフィードバックです。
相手が今後どうなりたいか、どのような目標を達成したいかなどにフォーカスして未来の行動改善を促す、ポジティブかつ新たなフィードバックの形式です。
自身の行動をとがめられるわけではないためネガティブな気分になりづらい一方で、将来どうなりたいかという考えがない社員にとっては、意見が出しづらく、苦痛に感じてしまうケースもあります。
侍の法人サービスがわかるお役立ち資料セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする⇒資料セットを確認する
フィードバックの実践
ここまでご紹介したフィードバックの概要をふまえ、具体的にどのようにしてフィードバックを行うべきかについて、効果的な方法と注意点をご紹介します。
また、フィードバックの受け手側のマインドや方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
効果的なフィードバックのやり方
効果的にフィードバックを行う際は以下3つのポイントに気をつけましょう。
- フィードバックはリアルタイムに行う
- 具体的に内容を伝える
- フィードバックの種類を使い分ける
まずフィードバックの効果を最大限に発揮するには、相手が行動したあとなるべく早いタイミングでフィードバックを行うようにしましょう。
時間が経過してフィードバックをすると、内容を明確に思い出せなかったり、実感がわかなかったりするデメリットがあります。よって相手がフィードバックを必要とするタイミングで、随時フィードバックを行うよう心がけましょう。
次に、フィードバックを行う際は内容を具体的に伝えるようにしましょう。内容が抽象的だと相手が具体的に次の行動をイメージしづらく、フィードバックの効果が薄れてしまいます。
できる限り問題があった行動や、改善行動のイメージができるようにフィードバックを行うことが大切です。
最後に、フィードバックの種類を使い分けることも非常に大切です。フィードバックを受ける相手によって、適切なフィードバック方法は異なります。
例えば、ネガティブフィードバックの効果が薄い相手に対して、ネガティブフィードバックを実施し続けていてもあまり効果が得られません。
ネガティブフィードバックを試してみて、効果が薄そうであればポジティブフィードバックに切り替えるなど、柔軟な対応を心がけましょう。
フィードバックを受け入れ、利用する方法
フィードバックを受け入れる人の心構えと、そのフィードバックを具体的に改善行動に結びつける方法を解説します。
フィードバックを受け入れ、利用する際は以下2つのポイントに気をつけましょう
- 相手の発言を素直に受け止める
- 次回からの行動を明確にイメージする
まず、フィードバックを受けた際は、相手の発言を素直に受け止めましょう。人間は心理的に自分が望まないことを伝えられると、攻撃されていると感じ、拒んでしまう傾向があります。
自分が望まない内容のフィードバックを受けるときは、行動になんらかの問題があるケースです。自分が成長するためにも、フィードバックを受ける際は、いったん相手の発言をまっすぐに受け止めることが大切です。
次に、次回からの行動を明確にイメージすることが大切です。フィードバックは行動改善のために実施されるものですので、次回からの行動がイメージできなければ、フィードバックを受けた意味がないといっても過言ではありません。
フィードバックを受けた内容に不明点があればその場でしっかりと確認し、次回からの行動をイメージして改善行動につなげましょう。
フィードバックの誤解と注意点
次に、フィードバックがうまくいかない場合の理由と、フィードバックを行う際の注意点を解説します。
フィードバックがうまく行かない理由
フィードバックを行ってもうまくいかない場合は、以下4つの理由が考えられます。
- 人格を否定している
- ほかの社員と比較している
- フィードバックが遅い
- ほかの社員がいる状況でフィードバックをしている
まずフィードバックをする際に相手の人格まで否定してしまうと、フィードバックを受ける人はストレスを感じて仕事のモチベーションが下がってしまううえ、パワハラにもつながりかねません。
次に、ほかの社員と比較したフィードバックを行うと、相手に受け入れられない可能性が高いです。例えば入社1年目の社員に対して入社10年目の社員と比較したフィードバックを行っても、不足しているスキルが多く理解が得られないでしょう。
また、フィードバックを伝えるのが遅ければ、状況が変わったり相手の記憶があいまいになり、相手がフィードバックの内容を理解しきれないといったケースも出てくるでしょう。
ほかの社員がいる状況でフィードバックを行うと、相手が恥を感じてしまい、失敗しないようにとどんどん消極的になって生産性が下がってしまいます。
フィードバックがうまくいかない場合は、これらの理由が考えられます。
フィードバックを行う際の注意点
先述のフィードバックがうまくいかない理由を踏まえて、フィードバックを行う場合は以下4つのポイントに注意しましょう。
- フィードバックをする内容は相手の行動のみに絞る
- 相手の能力に合わせたフィードバックを心がける
- 可能な限りリアルタイムにフィードバックを行う
- 1対1の状況でフィードバックをする
まず、フィードバックを行う際に人格まで言及してしまうと相手のモチベーションが下がってしまうため、フィードバックをする内容は相手の業務中の行動のみに絞りましょう。
次に、相手の能力に対して階段を2段・3段飛ばしたフィードバックを行っても、相手が理解できず効果が半減してしまいます。相手の能力に合わせて達成可能なレベルのフィードバックを行うことを心がけましょう。
また、フィードバックを伝えるのが遅くなると内容を忘れてしまうこともありますので、なるべくタイムリーに内容を伝えることがベストです。
フィードバックを行う際に同僚がいると相手が委縮してしまう可能性がありますので、必ず1対1の状況を用意して、内容を個別に伝えるようにしましょう。
これらのポイントに気をつけることで、フィードバックの成功率は格段に上昇します。
侍の法人サービスがわかるお役立ち資料セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする⇒資料セットを確認する
フィードバックの成功事例
続いて、フィードバックシステムを導入して成功した以下3つの企業と、その具体例をご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
株式会社フィードフォース
株式会社フィードフォースでは2週間に1度、マネージャーとメンバーの1on1ミーティングを行い、リアルタイムにフィードバックを実施しています。
同社では従来半期ごとの人事評価を行っていましたが、それだと仕事の行動からフィードバックまでの期間が大きく空いてしまい、フィードバックの鮮度が落ちるという課題がありました。また、「困ったことはいつでも相談するように」と伝える事は容易ですが、そう伝えるだけだと相談事を貯めこんでしまう人も多くいます。
そこでマネージャーとメンバーの1on1ミーティングを2週間に1度行い、メンバーの行動に対してリアルタイムにフィードバックを実施しました。
これによりメンバーの行動改善がリアルタイムに行われ、成長速度を加速させることに成功しました。
(出典:株式会社フィードフォース)
株式会社ディー・エヌ・エー
株式会社ディー・エヌ・エーでは、360度フィードバックを導入しています。
360度フィードバックとは、上司と部下のみで行う通常のフィードバックとは違い、同僚や部下などほかの社員からもフィードバックを受ける制度です。これは一般的に言う360度評価に似たものといえます。
同社では約130名のマネージャーを強化することが目標でした。そこで上司からだけでなく、部下や同僚から見た上司へのフィードバックが実施される360フィードバックを導入しました。
これによりマネージャーは多方面からのフィードバックを受けることができ、さまざまな気づきを得られました。
また、一般的に360度評価は「無記名」で実施されますが、同社ではあえて「記名式」で実施されています。これによりフィードバックを行った人同士でコミュニケーションがしやすくなり、具体的な行動改善につながりました。
(出典:株式会社ディー・エヌ・エー)
アドビ 株式会社
アドビ 株式会社では、Check-In制度というリアルタイムフィードバックシステムを導入しています。Check-In制度とはマネージャーと部下の面談回数を増やし、リアルタイムかつ継続的にフィードバックを行う制度です。
Check-In制度導入までの同社では、複雑な評価用紙やアンケートを用いて人事評価・フィードバックを行っていました。年間2,000人のマネージャーが合計で80,000時間かけて評価をしており、評価にかかわる工数が問題となっていました。
そこで評価用紙やアンケートを廃止し、マネージャーとチームメンバーのコミュニケーションに注力するCheck-In制度を導入しました。
Check-In制度は最低でも3ヶ月に1度以上実施され、リアルタイムにフィードバックが行われています。マネージャーがメンバーに何を期待しているかを明確に伝え、フィードバックを与えることで、メンバーがリアルタイムに成長する機会が与えられるようになりました。
これにより社員の自主退職の割合が3割減少し、エンゲージメントを高めることに成功しています。
(出典:アドビ株式会社)
フィードバックの将来と展望
ここからは、フィードバックの将来と展望について解説します。
フィードバックの未来と可能性
フィードバックには現在、行動してからフィードバックをするまで時間が長く、十分な効果が得られていないという問題点があります。
そのため、フィードバックは将来、フィードバックの効果や従業員のエンゲージメントを高めるために、公平かつリアルタイムなフィードバックが求められるようになります。
現状は半年ごとや1年ごとなど決まったタイミングでフィードバックを行っていますが、1ヶ月ごとや数週間ごとなど、フィードバックを実施される頻度が短くなると考えられます。
またテクノロジーの進歩により、フィードバックされたデータが常時収集され、その多くが自動化されることが予測されます。
これにより大量のデータをもとに評価やフィードバックが実施できるようになるため、1対1のみの評価より主観性が排除され、より公平かつ正確で有益なフィードバックが提供されるようになると考えられます。
侍の法人サービスがわかるお役立ち資料セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする⇒資料セットを確認する
「フィードバック」に関するよくある質問(FAQ)
最後に、フィードバックに関するよくある質問(FAQ)をご紹介します。
- フィードバックを送信する際の基本的なステップは何ですか?
-
フィードバックを送信する際の基本的なステップは以下の通りです。
- STEP1:観察
- STEP2:考える
- STEP3:準備
- STEP4:伝える
まずは相手の具体的な行動や結果を観察し、その結果からどのようなフィードバックを行うことが適切かを考えます。
そして事前に分かりやすいフィードバックを具体的に準備して、対話的な形でフィードバックを伝えましょう。この際、受け手側がストレスを感じてしまわないよう、言葉選びに気をつける必要があります。
- フィードバックの別の表現方法は何ですか?
-
フィードバックの別の表現方法は、以下のようなものが挙げられます。
- 意見
- 改善
- 振り返り
- 調整
- 反すう
- 批評
- 評価
- 報告
それぞれの表現によって受け手側の感じ方が変わりますので、状況によって適切な言葉を選びましょう。
- フィードバックの効果的な使い方は何ですか?
-
フィードバックを効果的に使うには、以下のポイントを意識しましょう。
- 可能な限り早いタイミングで実施する
- 具体性を意識する
- フィードバックの使い分けのバランスを保つ
- 相手の意見も聞く
フィードバックを効果的に使うには、可能な限りリアルタイムに、かつ具体的な行動に基づく内容で実施することをおすすめします。
またポジティブフィードバックやネガティブフィードバックを使い分けたり、上司から相手へ一方向でなく、相手からの意見もしっかりとヒアリングするダイアログ形式で行うようにしましょう。
- フィードバックを部下や新入社員へ行う際の注意点は何ですか?
-
フィードバックは客観的な行動に基づいて行われるべきものですので、感情をコントロールして建設的に部下の行動改善を促しましょう。伝える内容は抽象的ではなく具体的な内容であることが必要不可欠です。
また、フィードバックを素直に受け入れてもらうためには、上司と部下の間の信頼関係が大切となります。日常的にコミュニケーションを行い、信頼関係を築くことを怠らないよう心がけましょう。
まとめ
今回の記事ではフィードバックに関する基礎知識や効果的な実践方法、注意点などについて、事例を踏まえご紹介しました。
フィードバックをすることは相手の成長や組織全体のパフォーマンス向上に対して非常に大きな効果があります。
フィードバックを適切に行い、組織全体の活性化を目指していきましょう。