RPAとは?導入手順やメリット・注意点について解説!
RPAって何?
RPAのメリット・デメリットは?
RPAの導入手順や事例を知りたい!
RPA(Robotic Process Automation)とは、人間が行っているルーチンワークを自動化できる技術のことです。データ入力やレポート作成などの単純作業を自動化することで、業務効率の向上を図れるメリットがあります。また、近年注目を集めている働き方改革の観点からも、人間が行う作業を軽減できるため、多くの企業が導入しています。
ただし、RPAは比較的新しい技術であるため、デメリットなど全容を理解されていない方も少なくありません。よく分からない技術を導入することに不安を覚えることは普通のことですが、RPAに関して理解を深めれば、業務効率の向上や人的エラーの削減を実現できるかもしれません。
本記事では、RPAの基本情報をはじめ、導入のメリット・デメリット、導入手順について解説していきます。実際の活用事例についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
RPAの基本概念
RPAは、人間の代わりに自動で業務を行ってくれる技術、つまりソフトウェアのことです。
近年では、人的エラーの削減や業務効率の向上を目的に導入する企業が増加傾向にあります。利用者のニーズに合わせてカスタマイズを行うなど、今後はさらに利用価値の高いRPAが登場することが予想されます。
RPAとは何か
RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、人間が行うルーチンワークや繰り返し業務を自動化する技術のことです。RPAでは、普段行っているマウス操作やキーボード入力などの操作手順をソフトウェアロボットに暗記させることによって、業務を自動化することができます。
ロボットは人間と異なり、集中力や体力に限界がないため、RPAの導入は人的エラーの削減や業務効率の向上につながります。これまで人間が行っていた業務を自動化でき、まるで人材を増やしたような効果を得られることから、RPAは「仮想知的労働者」と呼ばれることもあります。
RPAの発展
RPAを日本の企業が導入し始めたのは2016年頃です。この年以降、導入企業は右肩上がりに増加しており、異例のスピードで普及が進行しています。これは単純な業務を自動化することによって、現在日本社会が直面している人手不足問題を解決できるためです。
また、近年ではRPAとAI技術を統合することにより、単純な業務だけでなく、より高度な作業も自動化できるようになりました。今後は、多様な業種・業界に適したRPAのツールが登場することになるでしょう。
RPAの特徴
RPAは、従来のオートメーション技術と異なる性質を持っています。事前に設定するルールや条件に基づいて動作するため、設定次第ではあらゆる作業を自動化させることが可能です。
RPAに任せられる作業を人が行っている企業は、ぜひ導入を検討してみてください。
オートメーション技術の特徴
RPAは、事前に設定されたルールと条件にもとづいてタスクを自動化します。人間のように、独自の考えや知識から業務を行わないため、プロセスの一貫性を保つことが可能です。
また、RPAのオートメーション技術は、時間やコストの削減にもつながります。まず、これまで人間が行ってきた定型的なタスクを自動化できるため、人件費を削減することが可能です。さらに、RPAロボットは24時間働き続けることができるうえ、集中力の低下によるミスなども起こらないため、タスクの処理時間を効果的に短縮できます。
RPAと従来のオートメーションの違い
従来のオートメーションは、特定のソフトウェアに依存していたため、自動化できるタスクが非常に限定的でした。一方、RPAは特定のソフトウェアに依存しておらず、複数のソフトウェアを介したタスクを自動化できます。例えば「請求書の金額が正しく入金されているかを確認し、その記録をEcxelの表にまとめる」というタスクを自動化することも可能です。
また、RPAはプログラミングの知識を有していない方でも管理できるため、より低い技術スキルで導入できます。RPAの導入に伴い、プログラミング人材を育てる必要も、雇う必要もないため、従来のオートメーションよりも短期間でROI(Return On Investment:投資利益率)を達成することができます。
RPAの活用事例
ここからは、実際にRPAを活用している事例をご紹介します。
- その1. 金融機関での活用事例
金融機関Aは、「住宅ローン申し込み手続き処理業務の円滑化を図る」ためにRPAを導入。
以前は、利用者が記入した申込書の内容を従業員が審査システムに入力するという繰り返し作業を行っていました。しかし、審査システムへの入力ミスや、利用者の記入ミスによる手戻りが多く発生し、円滑に処理業務を行うことができない問題点があったのです。
そこで金融機関Aは、利用者の申込書類をPDF化し、PDFの文字情報を審査システムに入力してくれるRPAを導入しました。
その結果、これまで一時間かかっていたシステム処理業務を10分に短縮でき、同じ人数の従業員で2倍のローン処理を行うことが可能になりました。
- その2. 一般企業における活用事例
企業Aは、「ミスが許されない定型タスクにおける担当者の業務負担や精神的負担を削減する」ためにRPAを導入。
Aさんは、従業員の給料を計算する経理を担当しています。残業時間などから給料を算出する簡単なタスクにも思えますが、絶対にミスは許されないため、一般的な業務よりも時間がかかってしまいます。
また、「絶対にミスをしてはいけない」という精神的負担から、一般的な従業員よりも疲労感が高いという問題点がありました。
そこで企業Aは、給料を計算する業務をRPAによって自動化しました。その結果、Aさんによるミスや精神的負担はなくなり、給料計算に掛かっていた約120時間の業務を削減することに成功しました。
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RPAの導入とツール
RPAの導入を検討している段階では、自社の課題やなりたい像を明確にすることが重要です。そのプロセスにおいて、RPAの導入が有効だと判断した際に、ツールの選定に踏み切るようにしましょう。
本章では、RPA導入の手順や代表的なツールについて解説していきます。
RPAの導入手順
RPAの導入は、一般的に以下の手順で進めていきます。
- 手順1. 導入目的の明確化
RPAを導入する際は、まず「導入目的を明確化」する必要があります。RPAを導入してどのような課題を解決したいのか、またどのような未来を実現したいのかを明確にしましょう。
- 手順2. RPA適用範囲の選定
次は、現状の業務プロセスを洗い出し、実際にRPAを導入するタスク範囲を選定していきます。営業や人事、経理など、企業内の各部署ごとに自動化できるタスク範囲を洗い出していくようにしましょう。また、この際に自動化する利点だけでなく、自動化による懸念点などを挙げておくことが重要です。
- 手順3. RPAツールの選定
次は、RPAツールの選定です。RPAを導入する方のなかには、RPAツールの選定を一番最初に行う方がいます。しかし、ツールの選定を先にしてしまうと、購入したツールが適用範囲の自動化に対応していなかったという失敗につながってしまいます。そのため、導入目的の明確化、RPA適用範囲の選定という手順を踏んだうえで、RPAツールを選定するようにしましょう。
代表的なRPAツールと特性
ここからは、代表的なRPAツール2つとその特性について解説していきます。
- その1. WinActor
WinActorは、NTTグループが開発した国産のRPAツールです。Windows上のすべての作業で利用することができ、複数システム間の情報連携や受発注情報のシステムへの登録などを自動化できます。国産ということもあり、技術サポートはすべて日本語で行われます。初めてRPAを導入する方でも安心のRPAツールとなっており、7,000社以上の導入実績があります。
- その2. UiPath
UiPathは、ルーマニアで創業されたUiPath社によって開発された、世界的に有名なRPAツールです。日本国内においても、金融機関や自治体などを中心に導入されており、非常に高い技術と信頼性を誇っています。
UiPathの特徴は、何といってもカスタマイズ性です。GoogleやMicrosoftが提供しているAIサービスと連携することができ、自社業務に最適なRPAプロセスを作成できます。また、特定の条件を満たすことで無料で利用できる「Community Edition ライセンス」が存在しており、利用ハードルが低いことも人気の秘訣です。
RPAの導入コストとROIの考慮点
RPAの導入には、ツールのライセンス費用をはじめ、インフラ構築やメンテンナンスの費用、RPAのトレーニング・開発費用などがかかります。しかし、RPA導入によるコスト削減や人的エラーの削減、業務効率の向上により、中長期的にROI(投資利益率)を実現できる可能性は高いです。
ただし、導入したRPAツールが思うように動作せず、RPA導入の利点を実現できなかった場合は、ROIの数値が悪化してしまい、経営状況にまで影響を及ぼす可能性があります。
RPAのメリットとデメリット
ビジネスモデルと合致したRPAを導入することができれば、業務効率化やコスト削減を実現することが可能です。ただし、デメリットとなる面があることも事実です。RPAのメリット・デメリットについて理解を深め、導入を検討していきましょう。
業務効率の向上
RPAの導入は業務効率の向上につながります。RPAを導入することによって、データ入力やレポート作成などの繰り返しタスクを自動化することができます。これまでタスクに要していたリソースを軽減でき、効率的な業務を実現できます。
また、RPAのロボットは人間と異なり、24時間365日稼働することが可能です。人間よりも業務量を増加できるうえ、従業員には高付加価値のタスクに集中させることができます。
人的エラーの削減
RPAは、人的エラーの削減にも効果的です。事前に設定されたルールや条件にもとづいてタスクを実行します。独自の考えによってタスクの進行方法を変更することがなく、一貫性を維持した状態でタスクを進めていくため、ミスの発生率を低減させることが可能です。
また、人間とは異なり24時間365日一定の状態でタスクを行うことができます。人間のように疲労やモチベーションの問題を抱えることがないため、クオリティの維持が容易です。正確性が求められる繰り返しタスクにおいて、RPAの導入は非常に効果的だといえます。
RPAによる課題や懸念点
RPAは、繰り返しタスクを正確に素早く行える有効な技術ではあるものの、過度な自動化は従業員の職を奪ってしまう可能性があります。一部の従業員は、これまで行ってきたタスクをRPAに奪われ、モチベーションが低下してしまうことも考えられます。
また、RPAはコンピュータの処理速度でタスクを進めていくため、ソフトウェアに不具合が起きた場合、業務に対して多大な影響を与える可能性があります。RPAロボットに対して適切なトレーニングを行い、継続的に監視・管理していかなければいけません。
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RPA導入の注意事項
RPAは、普段の業務に改革を起こす技術といっても過言ではありません。しかし、便利すぎる技術ゆえ、従業員やビジネスモデルに悪影響を及ぼす可能性があります。
RPAを導入する際は、以下で解説する注意事項を意識しておくことが重要です。
チーム内でのコミュニケーションの確立
RPAを導入する際は、チーム内でのコミュニケーションを確立することが大切です。RPAを導入する目的をはじめ、RPAが行う業務範囲など、さまざまな情報を共有するようにしましょう。
また、RPAは比較的新しい技術であるため、少なからず従業員から疑問や不満が出る可能性があります。RPAの導入によって、タスク内容が変更になる従業員もいるので、疑問や不満に関しては適宜解消していくことが必要です。
継続的な改善とアップデート
RPAは、導入して終わりではありません。定期的にRPAプロセスを見直し、状況に応じてアップデートを行う必要があります。初期設定したまま放置していると、ビジネスプロセスが過度に固定化され、柔軟性を失ってしまう可能性があります。
また、新しい業務ニーズが発生した場合は、その都度対応策を検討することが重要です。新しい業務ニーズに対応できるRPAプロセスを確立することで、さらに業務を効率化できます。
「RPA」に関するよくある質問(FAQ)
- RPAとは簡単に説明すると何ですか?
-
RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、人間が行う反復的な業務をソフトウェアロボットが自動で実行する技術のことです。反復的な業務をRPAロボットに学習させることで、業務の効率化や人的エラーの削減を図ることができます。
- 日本国内においてRPAはどのように利用されていますか?
-
日本国内において、RPAは金融、製造業、サービス業など幅広い業種で導入されています。その中でも、人手不足や業務効率の課題解決を目的としているケースがほとんどです。近年の働き方改革の動きに連動して、RPAの普及は著しいスピードで進んでいます。
- ビジネスにおけるRPAの役割や利点は何ですか?
-
RPAの最大の利点は、業務効率の向上とコスト削減です。RPAを導入することにより、これまで人間が行っていた反復的なタスクをコンピュータの処理速度で行えるようになるため、業務効率が向上します。また、RPAが一部のタスクを担当することによって、人件費を削減できるメリットもあります。
- RPAを導入しても意味がないと言われているのはなぜですか?
-
本記事で解説したように、RPAにはさまざまな利点があります。しかし、不適切な業務への導入や、RPAプロセスの最適化が不十分であった場合は、効果が薄くなってしまう可能性があります。柔軟性や創造性を必要とするタスクは人間が行うなど、RPAが行うタスクの範囲を最適化することが重要です。
- RPAに関する資格はありますか?
-
RPAに関する国家資格は、現在のところありません。しかし、各RPAツールの販売会社が提供している民間資格があります。
WinActor
WinActorはNTTグループが作り上げた国産のRPAツールです。
NTTグループは、「WinActor」に関する技術習得レベルを図るために、RPA技術者検定を実施しています。RPA技術者検定には2つの種類があり、難易度が低い順にご紹介していきます。
- その1. アソシエイト技術者検定
WinActorの基礎知識が身についているかを確認するための試験です。年末年始を除き、毎日試験が実施されているので、自信が付いたタイミングで試験を受けることができます。
- その2. エキスパート技術者検定
WinActorを活用した応用力が求められる試験です。アソシエイト技術者検定よりも、高度な知識を求められます。アソシエイト技術者検定とは異なり、試験日は年に4回しかありません。試験日を目標にして、計画的に勉強していく必要があります。
出典:WinActor
UiPath
UiPathは、ルーマニア創業のUiPath社によって提供されている、世界的に有名なRPAツールです。
UiPath社は、RPAのキャリア向上を目的に3つの資格試験を提供しています。ただし、UiPath社公式ホームページにおいて、2024年以降に資格名及び試験内容が変更されるとの発表が出されているので、随時情報を確認することをおすすめします。現状の資格名、及び試験内容は以下の通りです。
- その1. UiPath RPAアソシエイト資格試験(UiRPA)
UiRPAは、「UiPath」の基礎的な知識と、自動化のスキルを認定する資格です。試験を受けるためには、UiPath指定の学習コンテンツを修了しているか、UiPath製品を半年ほど使用している必要があります。
- その2. UiPath RPAデベロッパー上級資格試験(UiARD)
UiARDは、「UiPath」の専門的な知識と、複雑な業務自動化の構築スキルを認定する資格です。主な受講者はRPAエンジニアやソリューションアーキテクトで、RPAソリューション開発に半年以上携わっている経験が望ましいとされています。
- その3. UiPathビジネスアナリスト プロフェッショナル資格試験
UiPathビジネスアナリスト プロフェッショナル資格試験は、UiPath製品による自動化の設計と実装、要件の収集、プロセス発見、プロセス分析の知識とスキルなど、プロセス自動化の全般にわたる総合的な知識を認定する試験です。試験を受けるためには、ビジネスアナリストとして2年以上の経験があり、UiPath製品を使用した5つ以上のプロセス自動化の実績を持っている必要があります。
出典:UiPath
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まとめ
RPAは、企業における業務効率の向上や人的エラーの削減、コスト削減を手助けしてくれる技術です。最適に導入できれば、大幅な効果に期待することができます。
この記事で解説しているRPAの導入手順は以下の通りです。
- 手順1. 導入目的の明確化
- 手順2. RPA適用範囲の選定
- 手順3. RPAツールの選定
RPAを導入する際は、利点だけでなくデメリットや注意点に関しても理解を深めておく必要があります。RPAに関するメリット・デメリットを理解したうえで、導入を検討するようにしましょう。