アカハラが企業や組織に与える影響と対策方法について解説【法人向け】
アカハラって何?
アカハラによって企業や組織はどんな影響を受けるの?
アカハラの予防方法や改善策はあるの?
アカデミック・ハラスメント(通称:アカハラ)とは、優位的な立場や権力を利用し、相手に精神的および身体的なダメージを与えることです。近年話題となっている「パワハラ」や「セクハラ」もアカハラの一形態であり、社会問題として注目を集めています。
アカハラには明確な基準がないことから、被害者・加害者の判別が困難であり、予防や対策が難しい状況にあります。しかし、予防・対策を実施しなければ、企業や組織に多大なるリスク・ダメージを与えることになります。
アカハラに関する正しい予防・対策を実施するためにも、本記事を通してアカハラに関する基礎知識や対策方法を学んでいきましょう。
この記事を読むことで以下のことがわかります。
- アカハラの定義と典型的な行為
- アカハラが企業や組織に与える影響
- アカハラの予防・対策方法
アカハラ対策の成功事例についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
アカハラとは
アカハラとは、パワハラやセクハラなどの行為の総称であり、相手に対して身体的または精神的なダメージを与えることを言います。アカハラが企業内で発生すると、被害者の仕事パフォーマンス低下を引き起こすだけでなく、組織全体にも悪影響を及ぼすことになるため注意が必要です。
本章では、アカハラについて以下の内容を解説していきます。
アカハラの定義とは
アカハラ(アカデミック・ハラスメント)とは、優位な立場や権力を利用した精神的または身体的な嫌がらせや暴力のことです。主に大学や研究所などの現場で使用される言葉ですが、職場や組織内で行われる嫌がらせや暴力のことも「アカハラ」と呼びます。
アカハラには、言動や行動による侮辱や脅迫、噂の拡散、差別的な発言や行動などが含まれます。
アカハラは、被害者となる人の評価を下げたい場合やストレスを発散したい場合に行われるケースが多いです。被害者に心理的な苦痛や身体的なダメージを与えることを目的に、継続的に行われるケースもあります。
(出典サイト:アカデミック・ハラスメントとは?これもアカハラになる35の例 – 社会人の教科書 )
アカハラが企業や組織与える影響
アカハラは、企業や組織に多大なる影響を及ぼす可能性が高いです。
企業や組織内でアカハラが発生した場合、当然被害者はストレスや不安を抱え、モチベーションや仕事でのパフォーマンスが低下することになるでしょう。また、アカハラの現場を目の当たりにした社員やメンバーも、優位な立場にある上司に対して不信感を覚えることになり、組織の雰囲気やチームの連携が悪化する可能性があります。
アカハラの被害者は離職や休職に追い込まれることになり、結果として組織の生産性や評判に悪影響を及ぼすことになります。
アカハラの典型的な行為
アカハラの典型的な行為は以下の通りです。
- 侮辱や脅迫
- 噂や中傷の拡散
- 人種や性別に基づく差別的な発言や行動
- 冷やかしやからかい
- 無視や排除
- 肉体的な暴力
このようなアカハラの典型的な行為は、被害者に対して直接的または間接的に傷害を与え、その人の尊厳や心理的な健康に危害を及ぼすことがあります。
ハラスメントの種類
ハラスメントにはいくつかの種類があります。それぞれの特徴や具体例について理解し、企業・組織内で適切な対策を実施するようにしましょう。
本章では、ハラスメントの種類について以下の内容を解説していきます。
アカデミックハラスメント(アカハラ) | 学術的な環境において、個人や集団に対して嫌がらせなどの威圧的な行為を行うこと。 |
パワーハラスメント(パワハラ) | 権力的な立場を利用して行われる嫌がらせやいじめ。一般的には上司から部下に行われる |
セクシャルハラスメント(セクハラ) | 性的な言動や行動を通じて、相手を不快にさせる行為。 |
マイクロアグレッション | 無意識の偏見や思い込みによって差別や軽蔑を示す行為。 |
アカデミックハラスメントの特徴
アカデミックハラスメント(アカハラ)とは、学術的な環境において、個人や集団に対して嫌がらせなどの威圧的な行為を行うことを意味します。アカハラは、一般的に大学や研究所などの学術的環境で行われるハラスメントです。しかし、企業や職場など、一般社会でも同様のハラスメントが行われています。
アカハラは一般社会においては、「ワークプレイスハラスメント」と呼ばれていますが、本質的な特徴は同じです。
アカハラの特徴としては、以下のようなものがあります。
- 非建設的な行動
- 権力の乱用
- 性的、年齢に基づく差別
- 不平等な取り扱い
アカハラの具体的な例としては、以下のようなものがあります。
- 従業員同士や上司からいじめや侮辱的な発言を受ける
- 上司や人事担当者からの嫌がらせで正当な評価を受けられない
- 特定の人種や性別に対して差別的な態度を示す
パワーハラスメントの特徴
パワーハラスメントは、権力関係が絡んだアカハラの一形態です。上司や管理職など、優位性のある立場の人が部下に対して行うことが一般的で、みなさんもそのイメージが強いかと思います。しかし、同僚間や部下から上司へ行われるケースもあり、その行為もパワーハラスメントに含まれます。
パワーハラスメントの特徴としては、以下のようなものがあります。
- 威圧的な態度や命令の与え方
- 不適切な評価や報復の脅迫
- 仕事や責任の過度な負担
- 人格攻撃や侮辱的な発言
パワーハラスメントの具体的な例としては、以下のようなものがあります。
- 上司が部下に対して無理に残業を強いる
- 言うことを聞かなければ評価や成績を悪くすると脅迫する
- 部下が上司を侮辱し、精神的に追いつめる
セクシャルハラスメントの特徴
セクシャルハラスメントとは、性的な言動や行動を通じて、相手を不快にさせる行為を指します。セクシャルハラスメントは、性別に関係なく発生する可能性があり、個人の受け取り方次第でセクシャルハラスメントと認定されるケースもあるため注意が必要です。
セクシャルハラスメントの特徴としては、以下のようなものがあります。
- 不適切な言葉やジョークの使用
- 非言語的な性的な嫌がらせ
- 性的関係の要求や断った場合の報復
- 性的な画像やメッセージの送信
セクシャルハラスメントの具体的な例としては、以下のようなものがあります。
- 部下や同僚に対してセクシャルな言葉を使用する
- 上司が部下に対して不適切な身体的接触をする
- セクシャルな写真を職場内で共有する
マイクロアグレッションの特徴
マイクロアグレッションとは、無意識の偏見や思い込みによって人種や性別、性別指向、宗教などの特定のグループに対して差別や軽蔑を示す行為です。自覚なき差別とも呼ばれており、差別的な発言を行う本人に悪意がないことが特徴的です。
マイクロアグレッションの特徴としては、以下のようなものがあります。
- 無意識に差別的な発言や言動を行う
- サブリミナルなステレオタイプの強調
- 一般化された仮定や偏見
- 不平等な態度や待遇の示唆
マイクロアグレッションの具体的な例としては、以下のようなものがあります。
- 人種や民族に関する冗談を言う
- 特定の宗教の信仰を軽蔑的に扱う
- 性的指向に関する偏見を持つ発言をする
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アカハラの影響とリスク
アカハラが発生すると、被害者本人だけでなく組織全体にも影響があります。特にチームリーダー的なポジションの者がアカハラの加害者となった場合、企業や組織の生産性やモチベーションは著しく低下することになります。
本章では、アカハラの影響とリスクについて以下の内容を解説していきます。
アカハラが従業員や組織に与える影響
アカハラは、被害者に対してストレスや不安を与えるため、モチベーションや仕事パフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。アカハラを受けると精神的な疾患を患ってしまうケースもあり、休職や離職に陥ってしまうことも珍しくありません。
また、アカハラは被害者本人にだけではなく、組織全体の雰囲気や効率にも悪影響を及ぼします。特にアカハラの加害者がチームリーダー的な存在の人物の場合は、ほかのメンバーも自分がアカハラの被害にあうのではないかと不安になってしまいます。
不安を抱えたまま業務に取り組むことになるため、被害者と同様にモチベーションや仕事パフォーマンスの低下を引き起こす可能性があります。
アカハラリスクが高い職場の特徴
アカハラは、職場の環境や雰囲気が原因となって引き起こされるものです。
特に残業が多い、ノルマのハードルが高いなど、ストレスを抱えやすい職場では、ストレスの発散方法としてアカハラが起こる可能性が高いです。また、昇任・昇給などの競争が激しく、組織内に複数の派閥があるなど、組織文化やリーダーシップに問題がある場合も、アカハラリスクは高いといえます。
場合によっては、コミュニケーションの欠如が原因となって、アカハラが発生するケースもあります。
アカハラの予防と対策
アカハラの発生を防ぐためには、適切な予防と対策を行う必要があります。場合によっては、外部の機関が提供する研修やトレーニングを活用することも効果的です。
本章では、アカハラの予防と対策について以下の内容を解説していきます。
アカハラを予防するための組織の構築方法
組織は、明確なアカハラ防止ポリシーの策定、適切なコミュニケーションチャネルの提供、トレーニングや教育の実施などを通じてアカハラを予防するための環境を整える必要があります。
まずは、組織内でアカハラに関する情報共有を行い、どのような言動・行動がアカハラに該当するか周知しなければいけません。また、アカハラが起こった場合に備えて相談窓口を設置することや、組織内でアカハラが起こっていないか定期的に調査を行うことも重要です。
アカハラ対策のためのトレーニングや研修
アカハラの対策を組織内部で行うことはもちろん大切ですが、外部の機関を活用することも効果的です。
例えば、侍エンジニアBizで行える「ITプロジェクトマネジメント研修」。組織内の雰囲気やモチベーションを向上させるために必要不可欠なチームリーダーを育成できます。チームリーダーを育成することにより、働きやすい環境づくりやコミュニケーションの促進を迅速に行うことができ、アカハラを予防することができます。
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アカハラへの対応と改善策
アカハラが発生した場合、企業や組織には適切な対応が求められます。対応や被害者のサポートが遅れてしまうと、組織として取り返しのつかない事態に発展する可能性があるため注意が必要です。
本章では、アカハラへの対応と改善策について以下の内容を解説していきます。
アカハラへの適切な対応方法
組織内でアカハラが発生した場合、まずは被害者の報告を真剣に受け止め、適切な調査や対応を行う必要があります。
被害者からの報告が事実であった場合は、被害者の安全とプライバシーの保護、加害者への適切な処罰の実施が重要です。また、今後アカハラが発生しないように、組織内および外部の機関を活用してアカハラの再発防止に努める必要があります。
被害者支援とサポートの重要性
アカハラが発生した場合は、被害者に対して適切なサポートを提供し、心理的なケアやアドバイスを行うことが重要です。
被害者へのサポートを怠ってしまうと、被害者の職場復帰までの期間が長引いてしまったり、離職の原因につながる可能性があります。また、被害者支援やサポートが不十分であるという噂が広がり、新規採用に悪影響を及ぼすことになります。
アカハラが発生した場合に、安心して相談できる環境を整えることが大切です。
改善を促すアクションプラン
アカハラが発生した場合、組織はアカハラの再発を防ぐためにアクションプランを策定する必要があります。
アクションプランとは、目標達成のための具体的な行動を区別し、リストアップしたものです。
例えば、
- アカハラが発生していないか定期的に調査する
- アカハラの被害者が気軽に相談できる窓口を設置する
- アカハラを予防するための研修やトレーニングを導入する
などです。
このように、アカハラの予防に向けてより具体的な取り組みを行う必要があります。
アカハラ対策の成功事例
これからアカハラの対策を検討している企業は、成功事例を参考にすることで効率的に対策を実施できます。自社に適した対策・予防を実施するようにしてください。
本章では、アカハラ対策の成功事例について以下の内容を解説していきます。
アカハラ対策を成功させた企業の事例
一部の企業では、アカハラ対策の取り組みによって、職場環境の改善やアカハラ予防に成功しています。これらの成功事例から、自社に最適な対策を学び実践していくことが重要です。
- 企業A「徹底した啓発と教育プログラムの実施」
組織内のメンバーに対して、アカハラの認識と予防方法についてのトレーニングを実施したうえで、被害者が匿名で相談できる窓口を設置。また、アカハラが発生していないか定期的に調査を行い、迅速な対応に努めました。
アカハラの発生率が大幅に減少し、職場の雰囲気と生産性が向上しました。
- 企業B「組織文化の変革に注力」
アカハラを容認しない明確なポリシーを策定し、トップダウンの指導と従業員の研修への参加を通じて、徹底的に浸透させました。また、アカハラ予防のために人間性を重視した採用プロセスの構築やパフォーマンス評価の見直しを実施しました。
それらに力を注いだことによって、職場環境が改善され、組織メンバーの満足度向上と信頼関係の構築に成功し、生産性の向上が実現しました。
- 企業C「サポート体制を充実」
被害者が気軽に相談できる窓口を設置し、専門のカウンセラーを配置しました。また、組織メンバーに対して心理的なケアやストレス管理のプログラムを提供しました。
被害者へのサポート体制の強化が、アカハラの発生率を低下させました。
アカハラ対策のためのベストプラクティス
上述した成功事例から、アカハラ対策の共通点やベストプラクティス(効率の良い方法)を把握し、自社に適用することでより効果的な対策を実施することができます。
アカハラ対策のベストプラクティスとしては、以下のようなものがあります。
- ポリシーの策定
アカハラを容認しない明確なポリシーを策定し、組織内に浸透させることが重要です。ポリシーはより具体的に策定し、アカハラが発生した場合に迅速に対応できるように準備しておきましょう。
- 啓発と教育プログラム
アカハラ対策のために、組織メンバーに対してアカハラに関する基礎知識と予防方法についての教育プログラムを提供します。研修やトレーニングを通じて、組織メンバーがアカハラに関して理解を深め、予防するスキルを身につけることが大切です
- 報告システムの整備
被害者の安全やプライバシーを保護するために、匿名でアカハラ報告ができるシステムを導入し、気軽に相談できる環境を構築します。報告を受けた場合は、迅速かつ適正に対応するようにしましょう。
- リーダーシップの役割
組織のリーダーはアカハラを許容せず、働きやすい職場環境作りに寄与する役割があります。リーダーシップを育成するためのトレーニングや研修の導入がポイントです。
- サポート体制の充実
被害者支援のためのサポート体制を整備します。相談窓口やカウンセリングサービスの提供、ストレス管理プログラムの実施など、被害者が必要なサポートを受けられる環境を作ります。
- 啓発と改善の継続
アカハラ対策は継続的な取り組みが必要です。定期的な啓発活動やトレーニング、評価と改善のサイクルを確立し、組織全体でアカハラへの意識を高め続けることが大切です。
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アカハラ撲滅へ向けた今後の企業の取り組み
企業は今後、アカハラ撲滅に向けてより強力な対策を講じる必要があります。
というのも、昨今ではSNSなどのコミュニケーションツールを使用したアカハラが多い傾向にあります。アカハラを行ったという証拠が残りやすい反面、企業や組織が介入することが難しい現場でアカハラが発生しているため、予防や対策が難しい状況にあります。
このようなアカハラを予防するためにも、組織文化の変革やリーダーシップの重要性などの認識を向上させることが重要になります。また、法的な規制や倫理的なガイドラインを整備することも大事な要素です。
よくある質問(FAQ)
- アカハラとパワーハラスメントの違いは何ですか?
-
アカハラとパワーハラスメントは、異なる概念です。
アカハラは一般的な職場や組織で行われる嫌がらせや暴力のことを指し、パワーハラスメントは権力関係が絡んだ嫌がらせの一形態です。アカハラは広い範囲で発生する一方で、パワーハラスメントは優位性のある立場の者から弱い立場の者に対して行われる嫌がらせです。
- アカハラが企業内でも起こるのはなぜですか?
-
アカハラが企業内でも起こる理由は、以下の通りです。
- 競争の激化やストレスの増加
- 不適切なリーダーシップ
- 組織文化の問題
- 無意識な偏見や差別
- コミュニケーションの欠如
- アカハラの処分事例を教えてください。
-
アカハラの処分事例は、アカハラの具体的な状況や企業の方針によって異なります。
処分事例としては、
- 鳥取大学の教員が女子生徒に対するセクハラで停職6ヵ月- 京都大学の教授が暴言・セクハラで懲戒処分
- 東京大学の教授がコロナ感染した学生に対する暴言で懲戒処分
などがあります。
- アカハラの具体的な例を教えてください。
-
アカハラは、一般的に大学や研究所などの学術的な環境で行われるハラスメントの一形態です。
具体的な例としては、以下のようなものがあります。
- 研究の妨害
- アイデアや業績の盗用
- 学術的な評価や出版への妨害
- 研究グループやセミナーでの排除
これらの行為は、研究者の能力やキャリアに悪影響を及ぼすことがあります。
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まとめ
アカハラは企業や組織に多大な影響を与える重要な問題です。正しい対策を実施しなければ、組織のメンバーは不安を抱えたまま業務を実施することになり、モチベーションや定着率の低下を招きます。
この記事で紹介している「アカハラ対策のためのベストプラクティス」を再度ご紹介します。
- ポリシーの策定
- 啓発と教育プログラム
- 報告システムの整備
- リーダーシップの役割
- サポート体制の充実
- 啓発と改善の継続
アカハラの発生を予防するためには、アカハラに関する知識や予防方法を組織内で周知することが大切です。また、外部機関を活用した研修やトレーニングを取り入れ、アカハラが発生しにくい組織つくりに注力していきましょう。