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組織マネジメントとは?フレームワークや必要なスキルについて解説

組織マネジメントは、業務の無駄を無くし、従業員が自分の力を十二分に発揮できる環境づくりに必要不可欠です。

この記事では、組織マネジメントの概要や代表的なフレームワークを紹介します。さらに、組織マネジメントを実践するための人材育成方法やノウハウも解説します。

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目次

組織マネジメントのエッセンス

組織マネジメントのエッセンス
組織マネジメントのエッセンス

組織マネジメントは、スムーズな組織運営に欠かせない要素です。ここでは、組織マネジメントの定義やメリット、フレームワークを紹介します。

「組織マネジメント」とは?

組織マネジメントとは、ヒトやモノ、カネ、情報などの経営資源を効果的に活用し、組織の目標を達成するための方法やプロセスです。

組織の強みは、複数の人材が力を合わせ、個人では難しい目的を達成できることです。組織マネジメントは、その強みを最大限に引き出すためのメリットと言えるでしょう。経営の父としても知られるP.F.ドラッカーは、「組織の目的は、人の強みを爆発させ、弱みを無くすこと」と表現しています。

経営層やマネージャー職は、部下の強みを高めるとともに、各部署と効果的に協力して高い成果を出すことが求められます。そのために、組織マネジメントを十分に理解しなければなりません。

特に現代は、組織マネジメントの重要性がより増しています。従来、マネジメントは組織の方針を部下に展開し、自身の経験に基づいて指示を出すといったものでした。

一方、将来の予測が付きにくいVUCA時代の現在、ビジネス状況の変化が激しいため、経験則だけでは業績を向上できません。マネジメント職には、先を見通し、部下とともに一丸となって課題を解決する能力が求められています。

組織マネジメントのメリット

組織マネジメントのメリットには、効率的な業務運営と高い生産性の実現、メンバーのモチベーションと満足度の向上の2点が挙げられます。

まず、組織マネジメントを実施すると、現状の不必要なタスクや課題を洗い出せます。課題を解決し、無駄な業務を減らせば、効率的な業務運営と高い生産性を実現できます。

その結果、組織全体の目標達成や持続的な成長を促進できるでしょう。また、業務にゆとりが出ることで、「部署間の連携が上手くいっていない」など、より深い課題にも取り組むリソースができます。

また、組織マネジメントは、メンバーにとって居心地の良い職場を維持し、従業員のモチベーションと満足度を向上させられます。また、効率的な業務運営によって、業務の負担を各メンバーに適切に分散し、メンバーの能力を最大限に活かせます。そのため、レベルの高い人材の離職率が下がるという効果もあるでしょう。

基本的なフレームワーク

組織マネジメントを円滑にするためには、組織のミッション、ビジョン、価値を明確にするフレームワークが効果的です。ここでは、代表的なフレームワークを紹介します。

たとえば、SWOT分析は、内部環境を「強みと弱み」に、外部環境を「機会」と「脅威」に分けて、会社の方向性を検討するフレームワークです。

SWOT分析によって導かれた会社の方向性を、今度は7Sというフレームワークで分類し、課題を抽出します。7Sとは、コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱したもので、組織をハード面にまつわる3つのS(戦略など)と、ソフト面にまつわる4つのS(人材など)に分類したフレームワークです。各項目の内容は、記事の後半で解説します。

7Sでそれぞれの課題を洗い出した後、経営層、マネージャー層で組織にとってのKSF(重要成功要因)とKPI(重要業績評価指標)を設定します。その後は組織内のメンバーとKSFとKPIを共有し、目標達成のためにPDCAサイクルを回していけば、組織マネジメントを活用した組織運営が可能です。

組織マネジメントの課題とその克服のための能力

組織マネジメントの課題とその克服のための能力
組織マネジメントの課題とその克服のための能力

組織マネジメントの課題は、多くの企業が直面している重要な問題です。たとえば、競争力の低下、効率の悪化、コミュニケーションの不足などが挙げられます。

ここでは、各課題の内容を紹介した後、解決に必要な能力についても触れます。

コミュニケーションとリーダーシップの問題

コミュニケーションとリーダーシップの問題は、どの企業でもよく見られます。特に、部門間や階層間のコミュニケーションに問題が生じやすい傾向があります。部門間のコミュニケーションが不十分な場合、情報共有や連携がうまく行われず、業務の効率性が低下するでしょう。

また、階層間のコミュニケーションにおいても、上司と部下の間での意思疎通がうまくいかないケースがあります。その結果、指示の誤解やミスが生じ、業務の品質やスピードに影響を及ぼすでしょう。

さらに、適切なリーダーシップが欠如していることも問題です。リーダーが明確なビジョンや目標を示さない場合、部下たちは方向性を見失い、業務に対するモチベーションが低下してしまうでしょう。

また、リーダーの役割が曖昧な場合、部下たちは自分たちがどのような責任や権限を持つのか理解しづらくなります。これにより、意思決定が遅れたり、業務の進行が滞ったりすることがあります。

変革管理と組織の適応性

組織マネジメントでよくある課題に、既存の習慣や文化に対する固執と、変革への抵抗が挙げられます。組織風土によっては、長年の間に定着した仕事の流れや考え方に縛られがちで、新しいアイデアや方法論を取り入れにくいところがあるでしょう。

しかし、市場環境は常に変化を続けており、組織もそれに適応していかなければなりません。経営陣は変革の必要性を理解するとともに、従業員一人ひとりの意識改革も重要になります。

新しい価値観を共有できる文化形成と、リスクを取れる気運づくりが、組織の変革力と適応力を高めるカギとなるでしょう。組織の長所を生かしつつ、市場環境の変化に柔軟に対応できる体制を整える必要があります。

人材マネジメントと組織文化のギャップ

組織マネジメントがうまくいっていない会社では、人材マネジメントにも問題が起こりやすい傾向があります。たとえば、組織のビジョンと採用基準がうまく噛み合わず、優れた人材を採用し辛かったり、既存従業員の離職率が高かったりといった事態が起きがちです。

解決のためには、現状の人材マネジメントと組織文化のギャップを埋めることが重要です。たとえば、組織のビジョンや目標を明確にし、従業員に共有することで、組織全体の方向性を人材マネジメントに反映しやすくなります。その結果、組織文化にフィットした、優れた人材を採用できるでしょう。

さらに、従業員の育成や維持にも力を入れることが必要です。定期的な研修やフィードバックの機会を提供し、従業員の成長を支援すれば、従業員のモチベーションやエンゲージメントが向上します。結果的に、従業員の離職を防止できるでしょう。

組織マネジメントに必要な能力

組織マネジメントに必要な能力は多岐にわたります。ここでは、5つの代表的なスキルを紹介します。

コミュニケーション能力

組織マネジメントにおいて、コミュニケーション能力は、重要な能力の1つです。マネージャー層は部下に指示を出すだけではなく、部下の考えをきちんと把握しましょう。

特に、部下の声をしっかりと聞き入れ、気持ちを理解する姿勢が求められます。部下のことをよく理解すれば、最適な指示出しやキャリア形成のアドバイスが可能です。

リーダーシップとチームビルディング

円滑な組織マネジメントには、メンバー全員に明確なビジョンを提示し、先陣を切るリーダーシップが必要です。

さらに、メンバー間がコミュニケーションを取り、協力し合えるよう、チームビルディングするのも重要です。各メンバーが組織の中で率直に意見を言える状態を確保し、メンバーの士気を高め、自発的な行動を促進する環境を作りましょう。

問題解決と意思決定のスキル

組織マネジメントには会社の課題を明確に把握し、解決策の計画やプロトタイプを比較する能力が重要です。また、明確な行動指針を示し、各メンバーがためらうことなく業務に取り組める環境を作りましょう。

また、計画通り業務を進められないメンバーを助け、共に課題解決を考えるのも大切です。

変革マネジメント能力

組織の変革を促進するためのマネジメント能力も必要です。変革に対する抵抗や障壁を乗り越えるために、メンバーや経営陣とのコミュニケーション能力が求められるでしょう。

組織のビジョンや目標を明確にし、メンバーとの共有を図ることで、変革の成功につなげられます。また、変化に対する抵抗や不安を理解し、適切な対策を講じることも重要です。

戦略的思考とビジョンの構築

変化が激しいビジネス環境に適応するために、未来を予測する戦略的思考も重要です。過去のトレンドやデータを分析し、市場の変化や競合他社の動向も把握しましょう。

また、企業戦略に基づいてビジョンを構築する能力も必要です。ビジョンとは、将来の理想的な姿を示すものです。ビジョンを明確にして組織のメンバーに共有すると、チームの一体感や協力意識を高められます。

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組織マネジメントの「組織の7S」

組織マネジメントの「組織の7S」
組織マネジメントの「組織の7S」

組織の7つのSとは、コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが提案したフレームワークです。7Sは、組織の各要素をハードウェア側の3つのSとソフトウエア側の4つのSに分類する点が特徴的です。ここでは、各項目について説明します。

1. 戦略 (Strategy)

戦略は、組織のビジネスの方向性と経営戦略を指します。経営リソースの配分方法を含め、競争力を維持し向上させる手段です。

ビジネスの成果を最大化するために、組織は戦略を策定し、実行する必要があります。戦略は、組織の目標やビジョンに基づいて立案され、経営資源の効果的な活用を図ります。

さらに、競争環境の変化に対応し、市場の需要やトレンドを把握しながら、戦略を柔軟に調整することも重要です。

2. 構造 (Structure)

構造とは、組織の動きに関わる要素であり、組織の階層のあり方や指揮命令系統を指します。組織が進むための重要な基盤であり、生産性を高める仕組みであるか、権限が明確かどうかなどが重視されます。

3. システム (Systems)

システムは、会計システム、人事評価システム、報酬制度などの仕組みを指します。これらのシステムは、効率的な業務運営に不可欠です。正確なデータの管理や適切な評価基準の設定により、会社全体のパフォーマンスを向上させられます。

システムの導入や改善は、組織の成長にとって重要な要素です。適切なシステムを選択し、適切に運用すれば、業務プロセスの効率化や意思決定の迅速化が可能でしょう。

4. 共有価値 (Shared Values)

共有価値とは、企業や組織が持つ組織文化やコアバリューのことを指します。組織文化は、その企業や組織の特徴や個性を表すものです。また、コアバリューとは、組織の中心となる価値観や信念です。

組織文化とコアバリューは、社員の行動や意識を統一し、組織全体の成果につなげるために必要です。各従業員が組織のコアバリューに基づいて行動することで、従業員同士の連携や協力が促進され、組織の競争力を高められます。

5. スキル (Skills)

「組織の7S」でのスキルは、個人ではなく組織全体のスキルを指します。たとえば、マーケティング力、正確な技術力、販売力などが挙げられます。組織としてのスキルが高ければ、競合他社との差別化が図れるでしょう。

組織全体のスキルを向上させるためには、個々のメンバーが自身のスキルを磨くだけでなく、チームとしての連携やコミュニケーションも重要です。

6. スタイル (Style)

スタイルは組織の雰囲気や空気、考え方であり、業務の進め方を指すこともあります。組織マネジメントを導入するには、対象組織のスタイルを正しく把握し、メンバーの抵抗感が少ない方法を探る必要があります。

7. スタッフ (Staff)

スタッフは、組織の抱える従業員を指します。また、人材採用や育成計画を含むこともあります。従業員の定着率や、個々の生産性を高めるために重要です。

組織マネジメントの実践方法

組織マネジメントの実践方法
組織マネジメントの実践方法

組織マネジメントを実践するには、マネージャー層のスキル育成が重要です。ここでは、組織マネジメントのスキルを伸ばす方法を紹介します。

組織で効果的なマネジメント能力の育成

組織内で効果的にマネジメント能力を育成するには、研修実施が効果的です。社内外の講座への参加を奨励したり、実践的なスキルを身につけられるプログラムを用意することで、マネジメントに必要な知識と技能が向上していきます。

ただし、各企業の状況によって最適な組織マネジメントの方法は異なるため、パッケージ型の研修では効果が薄いというケースもあるでしょう。その場合は、企業ごとの課題に応じてオーダーメイド型カリキュラムを実施する侍エンジニアBizがおすすめです。

また、コンスタントなフィードバック文化を取り入れることもマネジメント力を伸ばす一助になります。上長からのフィードバックをもとに自己分析と成長が図れるでしょう。

メンタリングやコーチングの仕組みも効果的です。経験豊富な従業員が若手を指導したり、課題解決のために協力する関係です。このように育成体制の整備は、教える側にも学びがあるため、組織のマネジメント力全体の向上につながるでしょう。

効果的なコミュニケーションの実践方法

組織マネジメントを円滑に行うには、従業員同士のコミュニケーション促進が欠かせません。

チームビルディングの一環として、共同作業や目標設定などを通じた協働の推進も効果的です。互いの長所を生かし合うためには、1on1ミーティングなどを定期的に設けてコミュニケーションを取るのも効果的でしょう。

さらに、コミュニケーションの仕組みとしてSlackなどのツールを活用したり、部署を超えた情報共有の場を設けたりするのも一考です。

開放的な雰囲気のもと、建設的なフィードバックを行う文化づくりも重要でしょう。コミュニケーションを高めるこうしたアプローチが、組織マネジメントの成功のカギです。

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「組織マネジメント」に関するよくある質問(FAQ)

よくある質問
よくある質問

ここでは、組織マネジメントに関するよくある質問と回答を紹介します。

組織マネジメントとは、簡単に説明すると何ですか?

組織マネジメントは、組織内の人、プロセス、技術資源を効果的に管理し、目標達成のための戦略とアクションを計画・実行していく体制づくりです。具体的には、所属する人材の能力を最大限発揮できるようスキルアップと配置換えを行い、業務プロセスの最適化を図るマネジメントなどが含まれます。

組織マネジメントの実際の事例や成功事例はありますか?

組織マネジメントで業績を回復した例として、パナソニック株式会社が挙げられます。同社は、2度にわたって組織体制を変更しています。

従来は事業部制でしたが、1990年代に、各事業部間での機能重複による無駄を削減するため、機能別組織に移行して業績を向上させました。一方、2000年代には新興国の低価格製品とのシェア争いなどで再度業績が悪化し、2022年から再び事業部制に近い組織体制に戻っています。

同社では、ビジネス環境の変化に合わせて柔軟に組織の形を変え、業績アップを図っています。(出典:パナソニック株式会社「楠見新社長に聞く パナソニックが新たに「事業会社制」で挑むこと」

組織マネジメントを学ぶにはどのような基礎知識が必要ですか?

組織マネジメントを学ぶには、マネジメント理論の基本、組織行動や組織文化に関する知識、戦略的思考や意思決定のフレームワークの知識が必要です。これらの知識をつけ、組織の本質と働き方を理解すれば、実践的なスキル習得にも役立つでしょう。

組織マネジメントにおける人材育成の方法やポイントは?

組織マネジメント力を備えた人材を育成するには、スキルアップのための研修やセミナーの提供、フィードバックと評価のシステムの実装、メンタリングやコーチングの導入などが効果的です。

組織マネジメントを効果的に実践するためのコツや注意点は?

組織マネジメントを効果的に実践するためのコツは、明確な組織目標の設定とその目標についての共有を図ることです。また、マネジメント層とメンバー間のコミュニケーションの質と頻度を高めることが重要です。加えて、組織の変化や外部環境の変化に柔軟に対応できる適応性を確保できるよう留意しましょう。

組織マネジメント力を習得した人材を育てて業績アップ

ビジネス環境が大きく変化するVUCA時代を生き残るには、組織マネジメントを円滑に進められる人材が必要不可欠です。組織マネジメントにはさまざまな能力が求められるため、自社の状況に合わせて適切な研修やチームビルディングを実践していきましょう。

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