非認知能力はビジネスで必須!非認知能力を育てる方法と成功事例を紹介
ビジネスの成功において、非認知能力は欠かせない要素です。非認知能力は、自己管理力、意欲、忍耐力、柔軟性などの特性を含み、個人や組織の成果を大きく左右する力を持っています。
本記事では、非認知能力の重要性について詳しく解説し、さらに非認知能力を育てるための具体的な方法や成功事例を紹介します。
非認知能力とは何か?
非認知能力は個人の性質に関わる、数値化できない能力です。ここでは、非認知能力の定義や、数値化可能な認知能力との違い、重要性について解説します。
非認知能力の重要性
非認知能力とは、知能指数(IQ)のような認知能力以外の、個人の性格や態度に関する能力のことです。たとえば、積極性やリーダーシップの高さなどが挙げられます。非認知能力が高い人は、学業、キャリア、人間関係の場面でより良いパフォーマンスを発揮できることがわかっています。
非認知能力が高い人は、目的意識が明確で、自己コントロール力が高く、ストレスに強い点が特徴です。こうした人は学業面で集中力と持続力があり、長期的な目標達成に向けて努力を惜しみません。就職活動では面接官の目を引きつけ、仕事では上司から信頼される存在になりやすいでしょう。人間関係でも、ストレス耐性が高く、冷静に対人関係を築ける傾向があります。
学業、キャリア、人間関係で活躍するには、非認知能力の向上が欠かせません。
非認知能力と認知能力の違い
能力には、認知能力と非認知能力の2つがあります。
認知能力は、知能指数(IQ)などの「知る力」「計算力」「記憶力」など、数値化して客観的に評価できる能力です。一方、非認知能力は、性格特性や社会的スキルなど、「どのように行動し、感じるか」に関連する能力で、数値では測れません。
認知能力は主に頭の中で処理される「知的な力」であるのに対し、非認知能力は感情や意欲、人間関係といった部分に大きく影響します。非認知能力が高い人は、目的意識が明確で、ストレスへの対処力が高く、対人関係の構築がうまいといった傾向があります。
認知能力と非認知能力はある程度相互に影響し合う部分がありますが、基本的にはそれぞれ異なるスキルセットと考えられています。認知能力が高くても、非認知能力が低いと人生で困難にぶつかることがあります。バランスの取れた能力の伸長が重要です。
職場での重要性
職場では、チームワーク、コミュニケーション、プロジェクト管理などに非認知能力が求められます。非認知能力の高い社員は、キャリア形成が順調で、管理職への昇進が早い傾向にあります。
チームワークには、他者への共感力や協調性が不可欠です。コミュニケーションには、状況判断力と柔軟性が重要です。プロジェクトを成功に導くには、計画力、持続力、ストレス耐性が求められるでしょう。これらはすべて非認知能力の一部です。
リーダーシップやマネジメントにおいても、非認知能力は必要です。部下の力を引き出すには、感情調整力と共感力が大切です。目標達成のためには、判断力と行動力がカギと言えるでしょう。
人間関係との関連性
人間関係を築く上でも、非認知能力が重要な役割を果たします。
たとえば、友人や家族、パートナーとの関係を維持・発展させるには、相手への共感力や礼儀正しさ、我慢強さといった非認知能力が必要です。相手の立場に立って考える共感力は、信頼関係を築く基盤です。
また、コミュニケーションスキルや対人スキルは、非認知能力と深く関連しています。状況理解力が高く、感情表出が適切な人ほど、円滑なコミュニケーションができるのです。
非認知能力の高い人は、人間関係の問題も建設的に解決できます。相手の気持ちを汲み取り、柔軟な対応を心がけることで、信頼を失うことなく乗り越えられるのです。
非認知能力の種類とそれぞれの特性
非認知能力には、さまざまな種類があります。ここでは、代表的な種類とその特性を紹介します。
グリット(持続力)
グリットとは、長期的な目標に対する情熱と持続力のことです。
人生において、目標到達のカギを握るのは知力や能力だけでなく、努力を続ける力です。優秀な人材でも、努力を継続できなければ成功は望めません。逆に、努力を諦めずに持続するグリットの高い人が最終的に勝利をつかみ取るのです。
たとえば、スポーツ選手、起業家、学者など、世界的な成功を収めた人々に共通するのは高い持続力です。また、心理学の研究でも、グリットが目標達成度を高めることがデータで裏付けられています。
成功を手にするには、グリットという「続ける力」を身につけ、長期戦を勝ち抜くことが重要なのです。どのような分野でも、この点は同じと言えるでしょう。
自己認識能力
自己認識能力とは、自分自身の能力を客観的に認識し、ありのままを受け入れる力です。失敗を他者や環境のせいにせず、自己成長につなげていける重要な能力です。また、他者からの自分の見え方も理解しているので、柔軟な対応ができます。
自己認識能力を高めることで、自分の長所や短所を正しく把握できるようになります。すると、長所を伸ばし短所を補えるため、自分の可能性を最大限に引き出せます。
また、失敗から学ぶ力が身につくことで、同じ失敗を繰り返さずに、ステップアップできます。他者の意見も謙虚に受け止められるので、職場の人間関係もスムーズになります。
自己認識能力を高めるには、日記をつける、瞑想する、第三者の意見を聞くなどの習慣が効果的です。自分自身と向き合う時間をつくることで、自己認識能力は確実に高まります。
社会的適性
社会的適性とは、他人の気持ちや考えを理解し、それに適切に反応する能力です。この能力は、ネゴシエーション、コンフリクト解決、リーダーシップなどの場面で重要です。
社会的適正の高い人は、会話の流れを読み取りやすく、相手の立場に立って考えられます。そのため、円滑なコミュニケーションが取れ、信頼関係の構築につながるでしょう。
また、グループワークでのコンフリクトも巧みに回避、調整できるため、チームのまとまりや生産性の向上が期待できます。リーダーとして部下のモチベーションを上げられる点もメリットです。
社会的適性を高めるには、多様な人との交流を通じて経験を積むことが効果的です。
自制心
自制心とは、衝動をコントロールし、計画や目標に従って行動する力です。この能力は、タイムマネジメント、自己制御、ストレス管理などに活かされます。
自制心の高い人は、仕事の課題に集中し続け、気が散ることが少ないでしょう。また、余暇の過ごし方についても適度な節制ができるため、健康的な生活習慣が身につきます。ストレスへの対処も冷静にできるでしょう。
自己調整力の高い人は、仕事だけでなく人生全般において成功しやすいという研究結果もあります。ゴールを意識し、計画的に行動できる人材は企業にとっても重宝されます。
自制心を高めるには、小さな目標から始めることが大切です。たとえば、スマホの利用時間を制限する、朝早く起床する、食事のカロリーを調整するなど、できることから実践していきましょう。
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非認知能力の測定方法
非認知能力は数値で測れない能力ですが、パーソナリティ測定や自己評価、第三者からのフィードバックによって、自身にどのような能力があるかの可視化は可能です。
ここでは、非認知能力の測定方法について解説します。
パーソナリティ測定
非認知能力を測定するには、個人の性格傾向を測るパーソナリティ測定が有効とされています。特に、性格を開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向から評価する「主要5因子性格検査(BigFive)」などが代表的なパーソナリティ測定の尺度です。
パーソナリティ測定を受けるには、心理検査に対応したクリニックを受診するほか、Web上で提供されているテストを利用する方法もあります。Webテストは手軽に受診できますが、あくまでも自己評価で、恣意的な判断が入ってしまうリスクがあるでしょう。専門家の意見も取り入れた測定を希望する場合は、クリニックを受診するのがおすすめです。
自己評価と他者評価の比較
非認知能力を測定する方法として、自己評価と他者評価の比較があります。
自己評価は被験者自身がアンケートなどで回答するため、本音が引き出しやすいメリットがあります。一方で、自分を良く見せようとするバイアスがかかる可能性がデメリットです。
他者評価は、教師や上司、同僚など日頃から被験者を知る第三者が評価者となるため、客観性が高いのが強みです。しかし、観察の範囲や基準に限界があるのが弱みです。
自己評価と他者評価を組み合わせ、相互の弱みを補完することで、非認知能力をより正確に把握できると考えられます。双方の評価結果を比較検証し、多面的に能力を分析することが重要です。
非認知能力を高める方法
非認知能力は後天的に高められる能力です。ここでは、非認知能力のトレーニング方法について解説します。
基本的なトレーニングとスキルアップする方法
非認知能力を高めるには、具体的なトレーニングプログラムに取り組むことが効果的です。たとえば、リーダーシップトレーニング、サービス提供スキルトレーニング、対人関係構築トレーニングなどが挙げられます。
自己啓発本やeラーニング、セミナー参加などを通じて、非認知能力トレーニングの理論や手法を学ぶことも大切です。スティーブン・R.コヴィー 『7つの習慣』、『ストレングスファインダー2.0』などの書籍がおすすめです。
(出典:『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』、『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 最新版 ストレングス・ファインダー2.0 』)
さらに、日常生活の中で習慣づけることもポイントになります。たとえば、日記をつける、瞑想する、早起きする、計画を立てるなど、小さな努力の積み重ねがスキルアップにつながります。
何よりも、自分の強みと弱みを理解し、小さな目標から始めることが大切です。非認知能力は一朝一夕に高められるものではありません。継続的な取り組みがスキルアップの近道です。
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非認知能力とメンタルヘルス
柔軟性や社会的適性などの非認知能力を高めると、メンタルヘルスの安定にもつながります。ここでは、非認知能力とメンタルヘルスの関係を解説します。
ストレス耐性
非認知能力のうち、特に自己制御力、柔軟性、社会的適性の高さが、ストレス耐性を高めると言われています。
自己制御力が高いと、ストレスがかかる状況でも感情をコントロールし、理性的に行動できます。また、柔軟性があると、環境の変化に対応しやすくなるでしょう。加えて、社会的適性の高さは、周囲とのコミュニケーションを円滑にするので、ストレス緩和に効果的です。
ストレス耐性を高めるには、まずこれらの非認知能力を日頃からトレーニングしましょう。たとえば、瞑想や呼吸法などを取り入れ、感情コントロールを練習するのがおすすめです。
そして、ストレスが高まる状況下でも、計画性を持って行動し、周囲との関係性に注意を払うことも重要です。
回復力
回復力(レジリエンス)とは、困難な状況から立ち直る力のことです。この回復力は、自己制御力や創造性といった非認知能力と深く関係しています。
たとえば、自己制御力が高いと感情をコントロールしやすくなります。また、創造性があると様々な角度から状況を把握できます。このように、非認知能力が高いとストレスへの対処が上手くなり、回復力が身につくでしょう。
回復力を高めるには、まず自己理解を深め、自分の長所を把握することが大切です。その上で、ストレス耐性トレーニングや役割適応力トレーニングなどに取り組むと効果的です。
日頃から瞑想やヨガを行うことで、ストレスへの対処能力も鍛えられます。困難にぶつかった時、諦めずに可能性を模索する姿勢も重要です。
非認知能力で成功したビジネスパーソン・有名人の事例
ここでは、非認知能力によって成功したビジネスパーソンや有名人の事例を紹介します。
株式会社植松電機 植松努氏
株式会社植松電機の代表取締役である植松努氏は、北海道大学と共同で宇宙開発を行う経営者です。世界に3ヵ所だけの無重力実験施設のうち、1ヵ所を保有し、ロケットや人工衛星の制作を行っています。
植松氏は幼い頃に熱中した山登りや紙飛行機作りを通じて、創造性やグリット、問題解決能力を養い、ロケット開発の現場に活かしています。非認知能力は教わるものではなく、自分でさまざまなことにチャレンジする中で自然と培われるものだと窺えるエピソードです。
また、経営者としても、会社のメンバーの仮説検証力を高めるため、ヒントは与えても具体的な方法はできるだけ指示しないよう意識しているそうです。
(出典:MeLab「【第1回】あの人の子ども時代の習い事を知りたい!そこで伸びた「〇〇の力」とは? ー植松電機代表取締役 植松努さんに聞いた!ー」)
任天堂「Wii」元企画開発者 玉樹真一郎氏
玉樹真一郎氏は、全世界で1億台を売り上げた「Wii」の企画担当として、初期のコンセプトワークから、ハードウェア・ソフトウエア・ネットワークサービスの企画・開発すべてに携わった「Wiiのエバンジェリスト(伝道師)」と呼ばれています。
玉樹氏が「Wii」の企画開発をする上で役立ったのは、幼い頃に習っていた「習字」だと述べています。習字を通して、集中力や予想力、美的感覚を養い、ゲームのUXデザインに活かしました。同時に、記憶力を育て、自身の記憶のストックを活用して、プレイヤーの予想を裏切るような想像力も身に付けたといいます。
(出典:MeLab「【第2回】あの人の子ども時代の習い事を知りたい!そこで伸びた「〇〇の力」とは? ー任天堂「Wii」元企画開発者 玉樹真一郎さんに聞いた! ー」)
イチロー選手
野球界で大きな功績を残したイチロー選手は、努力を継続するグリットを養い、メジャーリーガーとして活躍しました。
イチロー選手は、3歳の時に初めてバットとボールに触れて以降、野球に夢中になり、毎日ボールが見えなくなるまで父親と練習をしていたといいます。特に、年間360日野球の練習に費やしたと綴った小学校時代の作文も非常に有名です。
イチロー選手は、自分の強みを把握し、さらに努力を習慣化するという非認知能力を幼い頃から培って成功したと言えるでしょう。
(出典:みらいい「非認知能力は子どもの将来に役立つ力!家庭でできる育み方もご紹介!」、Concept Core「イチロー小学校6年生の時の作文「夢」」)
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「非認知能力」に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、非認知能力についてのよくある質問と回答をまとめて紹介します。
- 非認知能力とは簡単に言うと何ですか?
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非認知能力とは、知能指数や学業成績などの「認知能力」以外の、人の行動や性格に関する個人の特性のことです。
非認知能力には自己制御力やコミュニケーション能力、協調性、回復力などが含まれます。これらは知的能力とは異なる人間の重要な力であり、成功するためには認知能力と非認知能力のバランスが大切です。
- 非認知能力は先天性なのですか?
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非認知能力には先天的な部分もありますが、後天的に育むこともできます。
ある程度は生まれつきの性格や才能の影響がありますが、家庭環境や教育によって大きく左右されます。たとえば、根気強さや協調性は子育てや教育方針によって養われます。
近年の研究では、非認知能力は一生涯にわたって成長可能とされています。適切な訓練や経験を通じて、自分の弱点を改善し、強みをさらに伸ばせるでしょう。
- 非認知能力が低いとどうなりますか?
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非認知能力が低いと、学業、仕事、人間関係の多くの場面でデメリットが生じます。
たとえば、自己制御力が乏しいと計画的に勉強や仕事ができないでしょう。コミュニケーション能力が低いと、人間関係が苦手になりがちです。
低い非認知能力を改善するためには、リーダーシップトレーニングやコーチングが有効です。
- 非認知能力が高い人にはどのような特徴がありますか?
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高い非認知能力を持つ人の特徴は、自制心が強く衝動を抑えられること、ストレスへの耐性が高いこと、人とうまくコミュニケーションできることなどがあります。
このような非認知能力の高さから、長期的な目標達成能力が高まります。また対人スキルに優れるため、リーダーシップを発揮しやすくなるでしょう。自己理解が深まることで、自分の強みを発揮しやすくなるなど、仕事でも生活でも成功しやすくなります。
- 非認知能力には他にどのような言い方がありますか?
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経済学や教育学では「非認知能力」と言うことが多いですが、心理学では「社会情動的コンピテンス」、教育現場では「生きる力」と呼ぶこともあります。
ビジネスの文脈では「ソフトスキル」「社会人基礎力」などの言葉が使われることが多く、知的能力以外のコミュニケーション力や協調性などを示す言葉として定着しています。
非認知能力を養い、ビジネスで成功を手に入れよう
非認知能力は、リーダーシップやグリットなど、さまざまな能力を包括した概念ですが、いずれもビジネスの場で求められる能力です。自己分析やトレーニングを通じて非認知能力を養い、ビジネス面での成功を手に入れましょう。