効果的な研修アンケートの作り方!活用方法や事例・トレンドも紹介
研修アンケートは研修の効果測定と改善に欠かせない材料のひとつです。研修の終了時に受講者からアンケートを取る企業は多いでしょう。
しかし必ずしも有効な回答を得られるとは限らず、分析結果を研修の改善につなげられていない現状もあります。実際に効果的なアンケートの実施方法がわからず、頭を悩ませる研修担当者もいるのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、研修アンケートについて、次の内容で詳しく解説します。
研修アンケートの具体的な内容から、活用による成功事例まで紹介しています。ぜひ効果的な研修アンケートの実施にお役立てください。
研修アンケートの重要性とメリット
はじめに研修アンケートの重要性とメリットについて、次の内容で解説します。
研修の成果を向上させるアンケートとは
研修アンケートを実施することで、受講者の研修プログラムに対する満足度や研修効果を把握できます。また受講者のアンケート結果をもとに、今後の研修プログラムを改善することも可能です。
アンケートの効用は、研修成果を客観的に評価する材料になることと、受講者にふり返りの機会を与えることにもあります。研修で学んだことを実務で活かすための重要なポイントを、受講者に再確認させることもできます。
さらに研修の1ヵ月〜数ヵ月後にフォローアップアンケートを実施すれば、学習内容を実務に活かせているか、成果につながっているかを追跡調査できます。同時に受講者の達成度と実践できた理由・できなかった理由、実践後に研修から得られたとわかった効果についても、把握することが可能です。
フォローアップアンケートの実施により、実務での成果を評価できるため、研修をより実務に活かせる内容へと改善・カスタマイズすることが可能になります。同時にアンケートの実施は、研修への潜在的なニーズを発掘できるチャンスともいえるでしょう。
研修アンケートはともすると受講者に感想を聞くだけになりがちですが、実施するタイミングや内容を改善することで、研修成果の向上が期待できるのです。
アンケートを取るメリット
研修アンケートを取る最大のメリットは、今後のカリキュラムの選定や、適切な研修プログラムの設計に役立つ情報を、受講者の回答から得られることです。
また、経営層や上位管理職に対し研修効果をデータで示せることで、研修の投資効果を明確化できます。投資効果を説明するには効果を数値化する必要がありますが、アンケートのデータを活用することで説得力を高めることが可能です。
受講者に対しても、アンケートに研修の有意義性と有用性を実感させる問いを設定することにより、研修受講の効果を受講者に再認識してもらうことが可能です。
そのほかアンケートの回答からは、受講者の仕事や会社に対する考え方も把握できます。ここから人事担当者や上司がコミュニケーションの糸口を探り、受講者との相互理解を深めることにもつながるでしょう。
アンケートの注意点
アンケート作成時には、明快で理解しやすい質問項目を設定することが大切です。設問が理解しづらいと回答を負担に感じてしまい、真意の回答を得づらくなります。項目数が多すぎても同様です。アンケートの冒頭に回答時間の目安を明記しておくと、回答者の負担感を減らせるでしょう。
研修の率直な感想を問うことが目的のアンケートでは、匿名で、なおかつ回答内容で本人が判明しないことが望ましいです。プライバシーを保証しなければ、回答次第で人事評価に影響が出ると懸念され、本音を書けなくなるためです。ただし学習内容の実践を追跡するフォローアップが目的の場合には、氏名と所属などを明記する必要があるため、目的ごとに使い分けましょう。
研修後のアンケートは結果を集計して終わりではなく、結果を活用するために最適な分析方法の選択や、分析結果を活かす改善策の策定まで行わなければなりません。研修による受講者の行動変容をデータ化・分析し、多元的に研修を改善したことではじめて、研修効果を最大化できたといえるのです。
研修アンケートの設計と実施方法
研修アンケートの重要性を踏まえ、設計と実施の方法について次の内容で解説します。
効果的なアンケート項目の選定方法
アンケートの質問項目は、研修の目的と目標に合わせて設定する必要があります。例えば、知識を習得する研修であれば主に教え方の評価を聞くのに対し、実践が目的の場合には「実践できそうか」「どのように実践するのか」と受講者の今後の行動について聞くなど、必要な要素が異なります。
アンケートの質問は、具体的で答えやすく設定されていること、伝わりやすい文章で書かれていることが重要です。文意がわからなければ受講者が回答に戸惑い、担当者も本当に知りたい内容を把握できないためです。
質問項目はオープンエンド型と選択肢型を組み合わせると効果的です。オープンエンド型だけでは回答への心理的負担が大きく、逆に選択肢型だけでも改善に有効な意見を多く引き出せません。一般的には、回答しやすい選択肢型の最後に「気づいたことをお書きください」と自由回答欄を設ける方法や、選択肢型の項目に対し「なぜそう思うのか」と理由を問う方法が多く採用されています。
アンケート用紙に直接記入してもらう場合には、オープンエンド型の自由記入欄を広く取るほど、具体的な本音の回答を得やすくなりますので、参考にしてください。
アンケートの実施手法と最適なタイミング
研修後のアンケートを取る方法にはアンケート用紙への記入とオンラインツールとがあり、オンラインの方が作成・配布・回収の手間と時間を省ける傾向にあります。
研修終了直後にアンケート用紙を配布すると、その場で回収できる半面、回答者への時間的拘束となり負担に感じてしまうかもしれません。
オンラインアンケートツールを利用する場合は、研修終了時にアンケートの回答フォームのQRコードを表示し、後日回答するなどの方法を取ります。この場合は回答するタイミングが自由なかわりに、回答を忘れないようリマインドが必要です。研修直後のアンケートは研修の記憶が鮮明なうちに記入するほうがよいため、回答期限を短く設定しましょう。
アンケートを実施する適切なタイミングは、研修終了直後と一定期間経過後が効果的です。研修の1ヵ月〜数ヵ月後にフォローアップアンケートを実施することで、受講者の習得知識を定着させ、実務での実践を再度意識させることができます。
プライバシー保護と回答率向上のための工夫
アンケートを実施する際には、回答者のプライバシーの保護に留意する必要があります。アンケートの記入を匿名にすることで、人事評価に響くと懸念せずにすむため、率直な回答を得られます。オンラインアンケートの場合には、個人の登録情報と紐づけしながら無記名で回答させる方法もあるため、必要に応じて検討するとよいでしょう。
アンケートへの回答意欲と回答率を上げるためには、事前にアンケートの目的と意義を回答者に明示することが有効です。今後の研修を改善するために必要なデータとなることを伝えると同時に、回答を忘れないためのリマインダーやフォローアップの方法を用意しましょう。オンラインアンケートツールであれば、リマインダー機能がある場合も多いです。
リマインダーを自動化する場合は、アンケートの招待メールから48時間後に送信するのが効果的です。招待メールで回答しなかった人は48時間を過ぎると反応しない確率が高く、リマインダーをしつこく送信しても効果が見込めません。
このほかオンラインアンケートの回収率を上げる方法としては、空欄では提出できない、回答しないと研修が出席扱いにならないなどの設定をすることも有効です。
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アンケート結果の分析と活用方法
アンケートを集計した後の結果分析と活用方法について、次の内容で解説します。
アンケート結果のデータ化と分析方法
アンケートの回収後には、集計結果を適切な形式でデータ化することで、分析のための基盤を整える作業が必要です。
研修の改善に必要なデータ分析のプロセスは、まず回答を集計したのちデータの分布を把握することと、前回との比較を行うことから始めます。次に、分析されたデータの傾向を見るために、特定の基準でカテゴリーに分ける作業を行います。
データを分析する際には、全体像から把握する方法と、年齢や性別などの特性を把握する(クロス集計)とがあり、目的に応じて使い分けることが重要です。データを可視化する際には、Excelなどを用いてグラフ化すると傾向を掴みやすく、改善点を見つけやすくなります。
データの分析は工数の多い作業です。担当者の負担になるようであれば、アンケートツールや分析ツールを活用し、作業の効率化と精度向上を図ることをおすすめします。
報告書の作成とフィードバックの方法
アンケート結果の分析を終えたら、分析データをグラフなどでわかりやすくまとめた報告書を作成します。
報告書を作成したら、レポートやプレゼンテーションの場で、集計・分析結果を研修関係者へ報告し、改善策を策定しましょう。
アンケートの集計・分析結果と報告会での話し合いを踏まえ、受講者へのフィードバックと、再度実践への意識づけを行います。同時に、担当者は実践への具体的なアクションプランを本人とともに策定し、分析結果から得たヒントをもとにアドバイスを行うことで、研修改善へ向けての下地を作ります。
受講者のアクションプラン策定には、受講者の上司による協力とアドバイスも必要です。周囲の協力体制を得るためにも、アンケートの分析結果を可視化しておくことが重要です。
フィードバックの活用による研修効果の最大化
アンケートの回答と分析結果から従業員の意見やニーズを把握し、研修改善へのフィードバックを行います。
フィードバックの過程では、受講者と実践をサポートする上司の意見を聞きながら、研修の理解度と成果を確認しましょう。理解度はアンケートで確認し、研修の成果は、受講者が学習内容を実践できているかどうかをヒアリングなどで確認します。理解度と成果を把握したら、受講者に目標達成への意識づけもしくは目標再設定を促すことが大切です。
受講者が実践で得た成果もしくは実践できなかった理由をもとに、研修プログラムやトレーニングの改善を繰り返すことで、継続的な研修成果の向上が可能です。
研修アンケートツールの選び方と活用
ここから研修アンケートの作成・分析を効率化できるツールについて、次の内容で解説します。
中小・中堅企業に適した研修アンケートツール
研修アンケートに関わる実務をツールで効率化したい企業は多いでしょう。
しかし中小・中堅企業の場合には多くの予算を割けないケースや、ITツールに詳しい従業員が少ないケースも考えられます。そこで機能がシンプルで使いやすく、比較的コスト効率の高いアンケートツールを紹介します。
特徴・機能 | 料金 | |
---|---|---|
Google Forms | ・Googleアカウントのみで作成可能 ・スプレッドシートと連動してグラフを作成可能 ・条件分岐が可能 ・スプレッドシートのエクスポート・インポート | 初期費用・月額料金無料 |
SurveMonkey | ・豊富なテンプレートと質問項目 ・多彩な分析機能 ・条件分岐が可能 ・レポート作成可能 ・エクスポート・インポート(CSV)可能 | 4,600円/月~無料版あり |
Questant | ・シンプルな設計 ・すべてのデバイスからアンケートを作成可能 ・一斉メール配信可 ・属性絞り込み可 ・レポート作成可 | 50,000円/年無料プランあり |
GoogleFormsは、Googleが提供する無料でアンケート作成・分析を行えるツールです。Googleスプレッドシートと連携してデータ分析を行うこともでき、複数人が共同でアンケートを作成することも可能です。GoogleFormsは誰でも使えるもっとも手軽なアンケートツールといえるでしょう。
SurveyMonkeyは、短時間で簡単にアンケートを作成できるツールです。アンケートのテンプレートが豊富にあることが特徴で、多彩な分析機能でアンケート結果のトレンドを把握できる点も魅力です。セキュリティ面も優れているため、安心して導入できます。
Questantは、マクロミル社が提供するアンケートツールです。設計がシンプルで使いやすく、誰でも簡単にアンケートを作れる点が特徴です。マルチデバイス対応でスマートフォンからもアンケートの作成・回答ができること、グラフやデザインのカスタマイズができることも魅力です。
大企業に最適な研修アンケートツール
ここからは大企業向けに、複数部門の研修ニーズに対応できる、スケーラビリティのあるツールを紹介します。
特徴・機能 | 料金 | |
---|---|---|
Wevox | ・リアルタイムの集計分析 ・AIによる改善サイクル ・多数の言語に対応 ・テンプレート機能あり ・質問項目カスタマイズ ・可自社作成可 | 300円/月~無料トライアルあり |
カオナビ | ・充実のテンプレート ・直感的な操作が可能 ・人材情報と紐づけした分析 ・回答進捗一覧あり ・Slackとの連携通知あり | ※登録人数による |
EX Intelligence|HR | ・直感的に把握可能な分析ダッシュボード ・多様なオフィスクラウドサービスと連携可能 ・質問項目カスタマイズ可 | 要問い合わせ |
Wevoxは、従業員のエンゲージメント向上に特化したシステムです。スピーディーなアンケート配信ができ、回答もマルチデバイス対応で1回あたり約3分で済む手軽さが魅力です。AIによるデータ解析機能で組織の課題を明確化し、効果的な改善策が提案される点にも特徴があります。多言語に対応しているため、多国籍企業にもおすすめです。
カオナビは業界シェアNo.1の人材管理プラットフォームで、従業員満足度調査に定評があります。アンケート機能は直感的に操作ができ、テンプレートも豊富です。人材情報と紐づけした分析ができる点は、人材管理システムならではでしょう。多様なオフィスクラウドサービスと連携できる点も魅力です。
EX Intelligence|HRは、従業員のエンゲージメント向上のための組織診断サーベイです。アンケート機能は扱いやすい分析ダッシュボードや、質問項目のカスタマイズが可能な点に特徴があります。そのほか従業員それぞれにフォーカスした分析も可能です。連携可能なオフィスクラウドサービスが多いことも、導入のポイントとなりそうです。
ツールの効果的な活用法と便利な機能
アンケートツールには、煩雑な集計・分析作業の負担を軽減するさまざまな機能があります。
多くのツールでは、回収と同時にアンケートの回答率がわかるため、回収後の作業負担軽減と時間短縮ができます。さらに回答傾向をモニタリングできる機能があるため、データ分析も容易になります。
アンケートツールでは、アンケートのデータをグラフ作成機能で可視化することや、クロス分析で属性別に複数の視点からデータを把握することも簡単です。
従来は別々に収納していたデータを、ダッシュボードですべて一元管理できることも、アンケートツールの導入が有用であるポイントといえます。
従来のアンケート用紙を配布し、回収する方法では、作成・配布・回収・分析・報告書作成など多くの工程が生じていました。ツールを活用することにより、アンケートの実施から分析・レポート作成までの作業を簡便化できるため、研修担当者は改善案の策定に集中できるでしょう。
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中小・中堅企業における研修アンケートの具体的な活用方法
中小・中堅企業では従業員1人1人の果たす役割が大きいため、研修による人材育成が大手以上に重要ではないでしょうか。
ここからは中小・中堅企業における研修アンケートの具体的な活用方法について、次の内容で解説します。
経営者や管理職によるアンケート結果の活用法
管理職や経営者サイドが研修アンケートの分析結果を活用する方法はいくつかあります。
まず、アンケートの作成時に内容を精査し、実施の目的を明示することで、アンケート結果をもとに問題点を改善する意思と誠意を見せることができます。
管理職サイドでは、アンケートの分析結果から従業員のニーズを知ることができるため、コミュニケーションの改善に役立てることができます。またアンケート結果から、今後の研修プログラムの見直しと改善も可能です。
経営者も、アンケートの回答から仕事や自社の方針に対する従業員の本音を知ることができます。さらにアンケートのデータを適切に分析することで、従業員の現状を多角的に把握できるため、仕事のやりがいと愛社精神を高める改善案を策定することも可能です。
アンケートの分析結果は、上層部が共有することで自社の方向性を検討する材料となり、経営戦略に反映することも可能になります。
人事担当者や研修担当者によるアンケートの活用法
人事・研修担当者は、アンケート結果をもとに研修プログラムの改善を行います。
アンケートの回答からわかることは、受講者の理解度や、講師の説明のわかりやすさ、研修を実務に活かせそうか、研修を他者にすすめたいかどうかなどです。アンケートで明らかになった従業員のニーズから、実施してほしい研修の内容や改善してほしい点を把握すれば、次回の改善に役立てられます。
アンケートの配布時に実施の目的を明示すると、受講者へ有効な回答を促す効果があります。アンケートの質問項目には、あらかじめ改善に結びつく項目を設置しておくと、改善策を策定しやすくなるでしょう。研修の改善に力を入れる企業であるとわかれば、従業員のモチベーションも上がります。
一般に体系的な人材育成を実施している企業は離職率が低い傾向です。中小・中堅企業では大企業以上に離職を防がなければなりません。研修アンケートを通じて従業員の本音を把握することと、研修を改善し実務で成果を上げられるようになることで、従業員のやりがいを底上げできるといえます。
アンケートで明らかになった研修効果を上層部に提示し、研修による人材育成の有効性を証明することも、人事・研修担当者の重要な役割です。
成功事例とベストプラクティス
研修アンケートが企業の人材育成に貢献していることをイメージできるよう、研修アンケートを活用した成功事例とベストプラクティスについて次の内容で紹介します。
従業員エンゲージメント向上したA社の成功事例
A社では、研修アンケートを活用し、従業員エンゲージメントを測定しています。
同社では研修のアンケート結果をもとに研修プログラムの改善を繰り返すことで、従業員のモチベーションを向上させることに成功。結果的に、従業員のパフォーマンスを改善し業績を上げることに成功しています。
リーダーシップ開発の効果測定に成功したB社の事例
B社では、リーダーシップ開発プログラムの評価を目的としてアンケートを実施。アンケート結果を分析することで、リーダーシップスキルの向上に貢献する要素を特定することができました。
アンケートで得られた修正点を組織へフィードバックすることで、継続的なリーダーシップ開発に反映し、組織改革に成功しています。
研修ニーズの把握をカスタマイズしたC社の事例
C社では、従業員の研修ニーズを把握するためにアンケートを導入。アンケート結果をもとに研修プログラムをカスタマイズし、従業員のニーズに合わせたトレーニングを提供しています。
同社では研修満足度の向上にともない実務成果が増加し、アンケートの実施が従業員の能力開発に貢献していることが裏付けられました。
今回紹介した3件の成功事例は、研修アンケートを活用することで組織の成果や従業員の満足度・エンゲージメントを向上させた実例です。研修アンケートは組織のニーズや目的に合わせて活用することで、効果的な研修プログラムの実現に貢献します。
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研修アンケートの可能性
最後に研修アンケートの持つ可能性について、次の内容で解説します。
最新トレンド
近年の研修アンケートのトレンドとして、ツールの活用で配布・回収・集計・分析を自動化する企業が増えていることが挙げられます。
アンケートツールのAIや機械学習の機能により、業務の自動化が可能になりました。研修アンケートに関わる雑務が減ったこと、集計結果の可視化ができることで、担当者は研修の改善策の策定に注力できます。
オンラインアンケートツールであれば、研修中にリアルタイムで受講者の意見を聞き、フィードバックを得ることも可能です。研修後のアンケートでは回答を忘れられてしまうこともありますが、研修中なら確実に回答を得られ、改善に有効なデータの積み上げが可能になります。
さらにアンケートツールの分析機能を活用することで、従来よりも科学的な結果分析が可能になり、研修を定量評価しやすくなりました。データをもとに研修の改善点を探ることができると同時に、研修企画の根拠に説得力を持たせることが可能になっています。
技術の進化による研修アンケートへの影響
最新技術の進化が研修アンケートに及ぼす影響を、具体的に解説します。
近年はオンラインアンケートツールが普及し、特別な技能がなくても簡単にアンケートの作成ができるようになりました。
アンケートツールのモバイルアプリも普及しつつあり、研修受講者が端末を選ばずにアンケートに回答できるほか、アンケートの作成もスマートフォンやタブレットで行えるようになっています。
さらにツールによってはAIを搭載し、ビッグデータを活用することもできます。これによりアンケート結果の多角的な分析が可能になり、データに裏付けられた研修の改善策を策定することが可能になりました。
アンケートツールの高度な分析機能を活用すれば、研修を従業員の状況や自社の経営方針に合わせてパーソナライズすることも可能です。
アンケートツールには、市場調査用に開発されたものや人事・人材管理用に開発されたものなど、さまざまな種類があります。多くは難しい技術がなくても使える仕様のため、ITに強くない人事担当者や経営者でもすぐに使いこなせるでしょう。
よくある質問(FAQ)
- 研修アンケートの作り方について具体的なガイドラインはありますか?
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アンケートを研修の改善に役立てるためには、アンケートの目的や研修の特性に応じて、適切な質問項目を選定することが重要です。
例えば知識の習得が目的の研修であれば、講師の教え方に対する評価や時間が十分だったかを聞き、実践が目的の研修であれば、実務で実践できるかどうかとその理由を聞く必要があります。
アンケートの回答率を上げるためには、質問項目が理解しやすく明確であることも大切です。記述式だけでなく選択肢の質問をバランスよく設置することも、回答率を高めるポイントです。回答者に過度な負担を与えないよう、ボリュームを抑えながら必要なことを聞く簡潔なアンケートを作成しましょう。
- 研修アンケートでよく使用される5段階評価について、具体的な意味や使い方を教えてください。
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研修アンケートの5段階評価は、受講者の満足度や研修の効果を測るために多く採用されている手法です。「はい」と「いいえ」だけでは答えにくい質問に対し、ポジティブな意見とネガティブな意見を段階で分類するために行われる「リッカート尺度」といいます。
1が最低評価の「まったく当てはまらない」「まったくそう思わない」、2が「どちらかといえばそう思わない」、3が中庸の「どちらともいえない」、4が「やや当てはまる」「どちらかといえばそう思う」5が最高評価の「当てはまる」「そう思う」で設定されることが一般的です。
記述式では回答者の負担になる、記載内容から回答者を特定される恐れがあるなどの理由から、文章で記述しなくても精度の高い回答を得られる5段階評価が多く採用されるようになりました。
アンケートを効果的に実施するためには、事前に評価の基準や、問われている内容と理由を回答者に明示することが大切です。
- 研修後のアンケートに使えるテンプレートやサンプルはありますか?
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一般的な研修アンケートのテンプレートやサンプルは、インターネット検索やアンケートツールの提供元などから入手が可能です。
さまざまなテンプレートを見れば、質問の文章や全体のボリューム、選択肢型質問とオープンエンド型質問のバランスなどを参考にできるでしょう。
実際にはテンプレートをそのまま利用するよりも、自社の研修の特性と目的に合わせて項目と内容をカスタマイズする場合が多いです。自社の実施目的に合わせた内容にする方が、研修の改善を行う際に、より有効に回答データを利活用できるためです。
- 研修アンケートの内容にはどのような項目を含めるべきですか?
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研修アンケートに含めるべき内容は、次のとおりです。
まず、研修の内容に対する評価、自身の理解度、講師・トレーナーへの評価について、5段階評価の選択肢で聞きます。実践が目的の研修であれば、研修前の課題は何か、研修を通して変化があったか、研修後実践できそうかを聞くことも重要です。
研修プログラムや会場施設に対する改善点と意見についても、オープンエンド型の質問で聞くとよいです。さらに今後実施してほしい研修など、従業員の研修ニーズや要望を把握するための質問項目も設置しましょう。
研修から一定期間経過後にフォローアップアンケートを実施し、研修の効果や実践への応用度を測ることも、研修の改善のために重要なポイントです。
侍の法人サービスがわかるお役立ち資料セット(会社概要・支援実績・サービスの特徴)をダウンロードする⇒資料セットを確認する
まとめ
研修アンケートには、さまざまな活用法と効用があることがわかりました。
研修アンケートを適切に分析し活用することで、研修ニーズの把握とカスタマイズおよび従業員のエンゲージメント向上、リーダーシップ開発を実現できます。
研修効果を最大化し業績向上へとつなげるためには、適切な研修アンケートの内容や実施のタイミング、結果の分析手法に留意しなければなりません。こうしたアンケートの実施と結果分析には、多くの作業工程と時間が必要です。
しかし近年はオンラインで手軽にアンケートを実施できるようになり、アンケートツールの種類も多くなりました。アンケートツールを活用すれば工数を削減しながら、短時間で改善に効果的な結果分析をすることも可能です。
自社のリソースで可能な方法を採用し、研修の改善と業績向上につながる研修アンケートを実施しましょう。