伝わりやすい研修資料の作り方は?具体的な手順を丁寧に解説
研修の際に使うスライドやテキストは、受講者の理解を助けるコンテンツです。伝わりやすい研修資料を作成することで、研修の学習効果をアップできます。
この記事では、研修資料の作り方や、目的別の研修資料作成事例を紹介します。
研修資料の作り方
研修資料は、研修中はもちろん、研修後も復習のために参照されることが多い教材です。研修の学習効果を高めるためには、研修資料のクオリティ向上が欠かせません。
ここでは、研修資料作成の基本について解説します。
研修の重要性
研修は、組織の成果を高めるために欠かせないものです。従業員のスキルを向上させることで、組織全体の生産性が向上します。また、従業員の満足度やモチベーションも高まるため、人材の職場定着度も上がるでしょう。
さらに、高齢化が進み人手が不足している現代では、新しい人材の採用が難しいため、既存従業員向けの研修の重要性がますます高まっています。研修は開催コストがかかるため、研修資料の作成をしっかり実施して学習効果を上げましょう。
研修資料の目的と重要性
研修資料は、受講者が理解しやすいように視覚情報を活用して、口頭での説明が難しい部分を補足するために作られます。数値的なデータや業務の流れなどをグラフや図で表現することで、受講者が複雑な内容も理解しやすくなります。
また、研修資料には、研修後に受講者が復習するための教材としての役割もあります。そのため、資料だけを読んでも研修内容が把握できるよう、ある程度作り込む必要があります。研修資料作成は、受講者が理解しやすいように実施することが重要です。
研修資料の構成要素
研修資料を作成する際には、導入、本文、まとめの3つの構成要素が必要です。導入では、研修の目的を明確にし、受講者が学ぶべきポイントを理解しやすくしておきましょう。本文では、講義内容を説明し、手を動かすような演習問題を取り入れることをおすすめします。まとめでは、講義内容で最も重要な点をピックアップして再掲します。
後から復習しやすいよう、目次や参考文献リストも必要に応じて付けましょう。
研修資料作成ガイドラインの必要性
研修資料を作成する前に、デザインを統一するガイドラインをあらかじめ決めておきましょう。たとえば、各ページのレイアウトやフォントサイズ、使用するフォント、色などが対象です。また、記載揺れが発生しやすい用語の表記方法もまとめておくのがおすすめです(「PC」はOK、「パソコン」はNGなど)。
ガイドラインを決めておくことで、研修資料の作成プロセスが効率化できます。また、資料作成を複数人で分担する場合も、同じデザインで資料を統一可能です。資料作成業務の属人化を防ぎ、業務標準化にもつながるでしょう。
受講者側もデザインが統一された資料のほうが内容が頭に入りやすくなるというメリットがあります。
研修資料のデザイン
研修資料のデザインは、資料の読みやすさを決める重要な要素です。フォントを統一し、使用する色は3、4色程度に留めることが望ましいです。
たとえば、背景色、文字色、強調箇所の色などをあらかじめ白、黒、赤などと決めておきましょう。使用するフォントや色は、ガイドラインとしてまとめ、資料作成の担当者同士で共有するのがおすすめです。
また、1ページ当たりに余白を多めに取り、受講者がメモを取れるようにするのも有効です。文字を詰めると内容が複雑に見え、読者の抵抗感が強まる傾向もあるため、なるべくゆとりあるレイアウトを心がけましょう。
研修資料の作成プロセス
研修資料の作成プロセスは、研修の目的やテーマが決まった段階から始まります。まず、資料の構成を決めます。資料に盛り込むべき情報をテキストで書き出し、各見出しにまとめていきましょう。
コンテンツ全体で、PREP法(結論、理由、具体例、結論という順番で情報を提示する方法)を意識すると、受講者に伝わりやすくなります。資料作成に使用するツールやガイドラインもこの段階で決めておきましょう。
構成が決まったら、情報収集を行い、内容を作成します。なるべく余計な情報は省き、必要な情報だけを取り入れるようにしましょう。内容が完成したら、図や画像の挿入、文字の装飾を行います。完成前に作成担当者とは別の人が内容をレビューし、正誤が無いか確認します。また、第三者の視点から見て伝わりやすい表現になっているかもチェックしましょう。
研修資料の企画と設計
伝わりやすい研修資料を作成するには、資料の企画、設計段階で適切に内容を整理する必要があります。ここでは、研修資料作成のポイントを解説します。
情報収集と整理の方法
研修資料作成に当たって、まずは研修の目標や受講者のニーズに合わせて情報を収集することが重要です。客観的な情報を提示することで、受講者が納得しやすくなります。そのため、情報源としてWikipediaや個人のブログ記事、SNS上のコメントなどはなるべく避け、信頼できる機関が発表した記事や書籍を活用するとよいでしょう。
収集した情報は改めて整理し、資料作成に必要なものに厳選することも重要です。また、研修で社内用語を用いる際は、その語義も明示しておくといいでしょう。こうした情報収集と整理の方法を取り入れることで、効果的な研修を実施できます。
コンテンツ作成と編集のポイント
コンテンツ作成と編集は、研修の目標や内容に基づいて行いましょう。
まずは全体の構成を決めて、資料に盛り込む情報を整理します。見出しと大まかな内容が決まったら、テキストを作成しましょう。重要なポイントを明確に伝えるためには、簡潔で明快な表現を使うことが大切です。
加えて、目的に応じた具体的な例や事例を資料に盛り込むと、受講者の理解が深まります。イラストやグラフなど、視覚的な要素を活用しましょう。
コンテンツ作成が完了したら見直しを行い、適宜構成や記載内容を修正してブラッシュアップするのも重要です。第三者にレビューしてもらうと、さらに資料の質を向上できるでしょう。
フォーマットと配布形式の選択
研修資料のフォーマットを選ぶ際には、受講者のニーズや環境を考慮する必要があります。印刷した状態で配布するのか、社内ドライブやメールで共有するのかなど、最適な配布形式を選択しましょう。
デジタルの場合は、アニメーションなどを活用して受講者の興味を引きつけることも可能ですが、やり過ぎるとかえって見づらくなるので多用しないのが望ましいです。
また、社内ドライブで共有する場合、研修前に受講者に公開し、研修後も閲覧可能な状態にしましょう。研修前後も資料を参照できる状態にすることで、受講者が予習、復習を必要に応じて実施しやすくなるためです。
研修資料のブラッシュアップ
研修資料のブラッシュアップは、受講者からのフィードバックや評価結果を活用して行うことが重要です。特に受講者が理解しづらかった点は改善する必要があります。
また、最新の情報に合わせて研修資料を更新することも重要です。社内の業務フロー変更や、使用ツールのアップデートが起きた際は、研修資料の内容を改訂しましょう。
研修資料の改善は定期的に実施し、研修の学習効果を高める必要があります。研修資料のブラッシュアップを行うことで、受講者がより理解しやすい研修資料を提供できるようになります。
研修資料の効果的な伝達手法
研修資料を効果的に伝達するためには、まず明確な目標とメッセージを設定し、参加者に伝えることが重要です。次に、視覚的な要素や具体的な例を活用して理解を促進することが重要です。また、受講者の積極的な参加を促すために、ディスカッションや演習課題を組み込みましょう。
資料を説明する際は、ゆっくりと明快に話すようにすると、受講者に内容が伝わりやすいです。受講者が質問する時間を適宜取るのも有効でしょう。
最後に、フィードバックと評価を通じて研修の効果を測定し、必要に応じて改善しましょう。
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研修資料の効果測定と改善
研修資料は、受講者の学習理解度を左右する重要な要素です。そのため、実施後は受講生からのフィードバックを参照し、より分かりやすい資料となるよう改善を続けることで研修自体の効果を向上できます。
ここでは、研修の効果測定や、資料の改善方法を解説します。
研修効果測定の基準と方法
研修効果の測定を行うためには、まず研修実施前に、研修の目標に合わせた評価基準を設定する必要があります。評価基準の例としては、受講生のスキルレベル向上や、実務で成果物作成スピードが何%上がったか、などが挙げられます。
数値で測定できる定量的な基準と、数値以外で表現できる定性的な基準(受講者の感想など)の両方を設けておきましょう。
次に、評価基準に合わせ、テストやアンケートといった効果の測定方法を決めます。テストでは定量的な、アンケートでは定性的な評価ができます。
研修実施後、決めた方法に従って研修効果を測定しましょう。得られた結果を分析することで、研修の効果を客観的に把握し、今後の研修プログラムを改善できます。
参加者のフィードバックの収集と分析
参加者のフィードバックの収集と分析は、研修前に受講者の意見や感想を収集するために必要な作業です。アンケートや理解度テストなどを用いて、参加者のフィードバックを収集しましょう。収集したフィードバックを分析することで、研修の良い点や改善点を特定できます。
また、アンケートの質問内容に、「資料のどこが分かりにくかったか」などの設問を用意することで、より具体的な指摘を収集できます。なるべく具体性が高いフィードバックを多く集めると、改善策を立てやすくなるでしょう。
効果的な改善策の実施と評価
研修の改善策を実施する際には、フィードバックや評価結果を参考にしたアクションプランを立てましょう。改善策を実施した後は、再度評価を行い、再度アクションプランを決めます。
このように、研修の実施、効果測定、改善策実施のプロセスを続けていくことで、継続的に研修の質を向上できます。研修実施で得たノウハウを蓄積、活用すると、社内人材全体のレベル向上につながるでしょう。
特に研修資料の場合は、改善後に第三者にレビューしてもらうことも有効です。受講者の上司や、以前同じ研修を受けた従業員など、さまざまな視点からのフィードバックを収集しましょう。
継続的な研修資料のアップデート
研修資料は、最新の情報に合わせて定期的にアップデートする必要があります。特にIT技術の場合は、仕様変更が頻繁に起こるため、こまめな改訂が求められます。既存の資料を流用する場合でも、研修実施前に内容が古くなっていないか必ずチェックしましょう。
また、場合に応じて新しいツールやテクノロジーを活用して研修の効果を向上させる取り組みも必要です。たとえば、既存資料をeラーニングコンテンツ化し、全従業員が必要に応じて見直せるようにするのも有効です。従業員が学習しやすい環境を整えると、自発的にスキルアップを目指すように促進できます。
目的別の研修資料の作り方
ここでは、研修の目的ごとに、効果的な研修資料の作成方法を解説します。
リーダーシップ開発を目的とした研修資料作成手法
リーダーシップ研修は、組織戦略をスピーディーに実践し、他メンバーを育成する人材を育成する研修です。リーダーシップ研修では、幅広いコミュニケーションスキルや、部下の指導方法、目標管理力などを学ぶため、グループワークが中心となります。
研修資料作成においては、まず、リーダーとしての目標を明確に示すことが重要です。自社の経営戦略とも結びつけることで、受講者が自分事として捉えやすくなるでしょう。また、各グループワークで養う力についても明示し、受講者全体で目的意識を共有できるようにすると研修効果がアップします。
また、リーダーに求められるスキルは多岐にわたるので、スキル一覧を作って提示すると、受講者が学ぶべきスキルを自覚しやすくなります。
チームビルディングと協力関係の強化を目的とした研修資料作成手法
チームビルディング研修は、チームの連携や協力関係を強化し、成果を上げられるようにする研修です。この研修では、チームビルディング理論を知る座学と、グループワークを併用します。
研修資料作成に当たっては、まずチームビルディング研修の目的を示し、受講者全体で共有することが重要です。座学パートでは、チームビルディング理論を図示したものを提示し、理解しやすくするといいでしょう。
また、グループワークパートでも、資料にチーム分けや実施方法を明示し、円滑に進められるようにしましょう。円滑に研修を進行できると、受講者の満足度も上がり、参加意欲が高まります。
コミュニケーションスキルの向上を目的とした研修資料作成手法
コミュニケーションスキルは、ビジネスパーソンにとって重要なスキルです。研修では、コミュニケーションのコツやマナーを座学で学び、グループワークを行うことが一般的です。
また、グループワークのほか、個人で「コミュニケーションに必要な心構え」などを書き出し、ディスカッションで内容を共有することで受講者同士の関係構築を図ることができます。個人ワークを実施する場合は、資料に書き込めるよう余白を作り、印刷して配布するのがおすすめです。
さらに、まとめとして「今回の研修で学んだこと」も受講者自身で記載させるようにすると、研修内容を自分で言語化できます。言語化によって受講者の理解が深まり、学習内容の定着が期待できるでしょう。
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よくある質問(FAQ)
ここでは、研修資料の作成に関するよくある質問と回答をまとめました。
- 研修資料をPowerPointで作成する際のヒントやテクニックはありますか?
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PowerPointを使って研修資料を作成する際には、シンプルで見やすいレイアウトを選ぶことが重要です。テキストは簡潔にし、箇条書きでポイントを強調しましょう。
また、スライドマスター機能を活用すると、統一されたデザインの資料を効率的に作成できます。
- Wordを使用して研修資料を作成する際のポイントは何ですか?
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Wordを活用するポイントは、見出しや段落スタイルを適切に活用し、レイアウトを整えて読みやすくすることです。また、図や表を使って情報を視覚化し、理解しやすくすることも重要です。WordはA4資料に印刷しやすいというメリットもあります。
- WordやPowerPoint以外のツールを使って研修資料を作成する方法はありますか?
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Googleドキュメント、Googleスライドなどのクラウドベースのドキュメント作成ツールを使って研修資料を作成できます。
特に、Googleのドキュメント作成ツールは、作成後、そのままGoogle Driveで共有しやすいというメリットがあります。共同編集もできるため、複数人で資料作成を分担する場合にも便利です。
- オンライン環境で研修資料を配布する場合、どのような方法がありますか?
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オンライン環境で研修資料を配布する場合、下記の方法が挙げられます。自社の状況に合わせて適切な方法を選びましょう。
- オンラインストレージサービス(Google ドライブ、Dropboxなど)、オンラインコンテンツ共有プラットフォーム(SharePoint、Confluenceなど)を使用して研修資料を共有し、受講者にアクセス権を与える
- 電子メールに資料を添付する
- オンライン学習プラットフォームに公開する
伝わりやすい研修資料を作成して、学習効果をアップしよう
研修資料は、受講生の学習理解度を左右する重要な要素のひとつです。要素を絞り、簡潔で分かりやすい表現の資料を用意し、受講者の内容理解を促進しましょう。
また、研修後に復習しやすいよう、オンライン共有していつでも見られるようにしておくといった工夫も有効です。