Rubyは他の言語と比べて将来性があるのか気になる
あなたは「Rubyに将来性がない」という噂を聞いたことがあるのではないでしょうか?
これからRubyを学んでみたいけど、将来性があるのか不安なあなたのために、今回「Rubyに将来性があるのか」について機能・需要状況・人気・年収の4つの視点で調査しました。
あなたがRubyを選ぶべきなのか、この記事で明確にすることができますので、ぜひ参考にして言語選定に活かしていきましょう。
Rubyの将来性が疑問視される3つの理由
- 処理速度の遅さや高い柔軟性による保守の難しさ
- 他の言語で置き換え可能な機能が多い
- データサイエンスの分野で採用されていない
それぞれ詳しく解説していきます。
処理速度の遅さや高い柔軟性による保守の難しさ
- 書いたプログラムをすぐに実行できる
- 柔軟性の高い文法である
書いたプログラムをすぐに実行できる
Rubyは、インタプリタ方式のプログラミング言語です。
インタプリタ方式とは、プログラムの実行時に少しずつコンピューターが実行できる形式に変換・実行する方式のこと。プログラムを書いたらすぐ実行できるため、気軽に動作確認やデバックが可能です。
その反面、事前に変換処理が完了するコンパイル方式のJavaなどのプログラミング言語に比べると、処理速度が遅くなってしまいます。
柔軟性の高い文法である
Rubyは柔軟性の高い文法のため、文法を厳守したプログラムを書く必要がないという長所があります。しかしその長所が原因で、システムを保守する現場では以下のような困ったことが起きてしまいます。
- 文法に従わないプログラムでも実行できてしまう
- プログラムを書く人によって書き方が異なるため、他人が書いたコードが読みにくい
他の言語で置き換え可能な機能が多い
Rubyは、他言語と比べて突出して優れている機能がない点も、将来性が疑問視される理由に挙げられています。
RubyはWebアプリやデータサイエンスなど、さまざまな分野の開発機能を提供しています。
RubyはWebアプリの開発で採用される機会が多いですが、JavaやPHPの方が求人数が多いです。また、何より保守運用の面では、やっぱりPHPだな……。といった意見もあります。
Webアプリ以外の開発機能も他言語に代替可能なので、そういった面で考えても「将来性がない」と考えられるようですね。
データサイエンスの分野で採用されていない
近年、AIや機械学習などのデータサイエンスが注目され、需要も増えています。
Rubyでもデータサイエンス向けの機能を提供しています。しかし、データサイエンス向けのライブラリや機能でPythonやRに勝てず、Rubyはほとんど採用されていません。
今後RubyでPythonとRに勝るライブラリや機能が開発されない限り、データサイエンスの分野でのRubyの需要は見込めないでしょう。
Rubyに将来性はあるの?4つの視点で検証
「Rubyに将来性はあるのか」を下記の4つの視点で検証しました。
- 機能性:Rubyというプログラミング言語自体の機能性はどうか?
- 需要状況:国内のRubyの求人は増加しているのか?
- 人気:Rubyはどれぐらい人気があるのか?
- Rubyエンジニアの年収:Rubyエンジニアの年収は増加しているのか?
それぞれ説明していきます。
Rubyの機能性
では、Rubyの将来性を機能性という視点で検証してみましょう。
結論から言うと、どの機能も平均点は取れている機能が多いため、オールマイティーに使える言語と判断できました。
野球選手の能力値に置き換えて説明します。
松井秀樹のパワーのような「Java」とイチローの足のような「Python」を採用するために、2つの言語を導入するのは、コストも労力もかかるでしょう。それよりも、コストも労力もかからない走攻守がオールCくらいの選手「Ruby」を導入する方が、企業としては回るケースもよくあります。
Rubyは素早くサービスを開発したいスタートアップや、ベンチャー企業で使われることが多いです。モダンできちっとした開発ができて、それなりに生産性もあるRubyは機能性という面ではまだまだ現役だと判断できますね。
Rubyの需要状況
次に、Rubyの需要状況がどれくらいあるのかを他言語と比較することで需要の大小が分かってくるので、調べてみました。
国内の需要状況を確かめる上で参考にしたのは、人材業界の情報発信を行うサイト「HRog」が行った調査。調査では、2020年のdodaなど主要な11の転職サイトから求人数を集計しています。
調査結果からWeb開発でよく利用されるサーバーサイド言語に厳選して比較すると、以下の結果になりました。
Web開発に強い言語と比較すると、Rubyの求人数は少なく、その求人の多くは東京都内の求人です。しかし、IT業界自体の規模が拡大しているため、Rubyの求人数自体は2019年に比べ、712件増加しています。
今後もIT業界の規模の拡大が見込まれるため、Rubyの求人数は東京を中心に少しずつ増えていくと考えられるでしょう。
Rubyの人気
ここでは、Rubyの人気について国内外の人気言語ランキングをもとに検証してみましょう。
まずは、世界でのRubyの人気を見ていきます。世界で支持されている言語ランキングを発表しているTIOBE Indexでは、Rubyは2020年に11位を獲得しています。
日本で生まれたRubyですが、2016年にTIOBE IndexでRuby史上最高位の8位を獲得しました。その後も20位以内をキープしており、世界的に安定した人気がある言語といえるでしょう。
Rubyエンジニアの年収
最後にRubyエンジニアの年収は他の言語と比較して、どれくらいの金額なのかを調べてみました。
Rubyエンジニアの年収は、転職サービス「doda」などを運営するパーソルキャリア株式会社の社会人コミュニティ「TECH Street」が行った調査を参考にしました。
2020年1~9月までに転職サービス「doda」へ会員登録を行った20代の平均年収を比較してみます。Web開発でよく利用されるサーバーサイド言語に厳選して比較すると、以下の結果になりました。
- Ruby:397万円
- PHP:361万円
- Java:380万円
- Python:403万円
Web開発に強い言語と比較すると、Rubyの年俸平均額は高い部類に入ることがわかります。そのため、しばらくRubyエンジニアの年収は高い水準で安定すると考えられます。
Rubyは他の初心者向け言語と比べて将来性はあるの?
レバテックキャリアの「プログラミング言語別新規求人案件割合」から直近3年の求人案件割合の推移を比較してみます。
RubyとPHPの将来性の比較
RubyとPHPの直近3年の新規求人案件割合の推移はこちら。
直近3年のデータを見ると、PHPは2017年度の17%をピークに緩やかに求人案件割合が減少しています。一方、Rubyは求人案件割合を7%前後で維持しています。
PHPを採用する国内企業が多いため、すぐに需要がなくなることはないでしょう。ですが、今後も求人案件割合の減少傾向が続く場合、需要と共有のバランスが崩れ、PHPエンジニアの市場価値が下がる可能性が考えられます。
そのため、求人案件割合の推移の観点では、安定的な求人案件割合を維持するRubyの方が将来性のある言語といえるのではないでしょうか。
PHPの将来性についてもっと知りたい方は、こちらの記事も参照してみてください。
RubyとPythonの将来性の比較
次に、RubyとPythonの直近3年の新規求人案件割合の推移を確認してみました。
2019年度下半期からAI・機械学習の市場が縮小傾向にあるため、Pythonの求人案件数が維持されるかは、不透明です。しかし、依然としてAIの注目度は高いため、Pythonは将来性が高いと考えられます。
一方、RubyはWeb開発に強く、安定的な求人案件割合を維持しています。そして、Web開発は今後も継続的に高い需要が見込める状況のため、Rubyも将来性が高いでしょう。
RubyとPythonでは活躍する開発分野が異なるため、単純に比較することは難しいですが、RubyとPythonはともに将来性が高いと考えられます。
Rubyに将来性がある2つの理由
Rubyに将来性の検証や、初心者向け他言語と比較をしてきましたが、以下の2つの理由からRubyに将来性があると断定しました。
- 実績が高く今後もサービス開発で使われるから
- Rubyは覚えておいて損はない言語だから
それぞれの理由を説明していきます。
実績が高く今後もサービス開発で使われるから
まず、RubyはWeb開発での実績が高いです。そして、素早くサービスを開発したい企業がサービス思考系エンジニアを集めるために、今後もRubyを継続的に採用する傾向があります。
エンジニアには2種類のエンジニアがいます。
- 技術志向系エンジニア
- サービス志向系エンジニア
技術志向系エンジニアというのは、ゴリゴリと最先端技術を駆使するエンジニアのことで、技術追求型の企業には非常に好まれるエンジニアです。
逆にサービス志向系エンジニアというのは、技術よりもサービスの提供を重視するエンジニアのことです。サービスの価値や提供スピードを高めることに関心が強い、スタートアップ企業やベンチャー企業に好まれます。
RubyやRubyのフレームワークであるRuby on Railsは、サービス思考系エンジニアが使う言語に分類されています。そのため、今後もRubyエンジニアにはスタートアップ企業やベンチャー企業からのニーズがあると考えられ、Rubyは将来性があると判断しました。
Rubyは覚えておいて損はない言語だから
Rubyを覚えるメリットは、以下のとおりたくさんあります。
- 柔軟なプログラミングが可能なため、初心者でも覚えやすい
- インタプリタ方式のプログラミング言語のため、プログラムの実行やデバックが手軽にできる
- 少ないコード量でシステムが構築できる
- 業務システムからECサイトまで幅広いWebシステムの需要がある
- 若手人材の習得率が高く、若手人材を採用しやすい理由から、Rubyを採用する企業が増えている
またプログラミング言語の習得は、1つの言語を習得すると他の言語も習得しやすくなります。そのため、初心者でも覚えやすいRubyは学んでおいて損がない言語だと言えるでしょう。
Rubyの学習を始める前に
そう考えているあなた、少しお待ってください。
プログラミング学習は挫折率が9割だと言われているほど、挫折する方が非常に多いです。その挫折の主な理由は、「最初の半年間のスタートダッシュがうまくいかなかったこと」。
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まとめ
今回は、Rubyの将来性について解説しました。
結論としては、Rubyは将来性があります。理由として以下の2つの理由を解説しました。
- 実績が高く、今後もサービス開発で使われるから
- Rubyは覚えておいて損はない言語だから
あくまで今回は、データをもとに編集部で「Rubyは将来性があるのか」を断定しました。さまざまな視点からみれば、やはりRubyは将来性がない言語だと考える方ももちろんいるでしょう。
そのため、まとめだけを見て疑問に思う方は再度最初から読み直していただき、ご自分で判断をしてみてください。