2020年から小学校でプログラミング教育が必修化!
それに合わせてプログラミングについて色々調べている中で、こんな疑問が湧いてきませんか?
海外ではどんなプログラミング教育が行われているんだろう?
日本と海外でプログラミング教育はどう違うんだろう?
日本のプログラミング教育は、外国に比べて遅れているって本当?
小学校で必修化されるぐらいなので、なんとなくプログラミング教育は大事なんだろうなと思う一方で、初めての試みですし、色々と不安や疑問な点も出てくるものですよね。
そこでこの記事では、
- 日本のプログラミング教育の現場
- 外国(海外)のプログラミング教育の実例
主に上記2点について分かりやすく解説していきます。
日本のプログラミング教育の現状
外国(海外)の事例を知る前に、まずは日本のプログラミング教育の現状を知っておきましょう。
小学校のプログラミング教育の目的
まずは小学校でプログラミング教育が必修化される狙い(目的)ですが、大まかに以下のとおりです。
- 知識及び技能を育成すること
- 思考力、判断力、表現力等を育成すること(プログラミング的思考)
- 学びに向かう力、人間性等を育成すること
- 各教科等での学びをより確実なものとすること
この中でも特に重要視されているのが「プログラミング的思考の育成」です。
理由としては、プログラミング的思考を身につけることで、複雑な問題を小さな問題に分割して解きやすくする「問題解決力」も養うことができるため、とされています。
なお、より詳しい内容は以下の記事も合わせてお読みください。
日本のプログラミング教育の課題・デメリット
とはいえ、課題やデメリットもあります。
代表的な課題は下記の2点です。
- 教師にプログラミングの知識・スキルがない
- パソコンやタブレットなどのインフラが整っていない
また、従来の科目の学習時間が減ることや、集中力の欠如などが懸念されています。
より詳しい内容については以下2つの記事にまとめていますので、こちらも軽く目を通しておいてください。
外国(海外)のプログラミング教育事情まとめ
では、ここからが本題です。外国(海外)では、どのようなプログラミング教育が実施されているのでしょうか?
代表的な国の例をいくつかご紹介します。
イギリスのプログラミング教育
イギリスでは、コンピュタープログラムを書くような実用的な取り組みを積極的に行う「Computing教育」がなされています。(2014年~)
元々イギリスではコンピューターを「考える、文章を書く」などの道具として扱うICT教育がなされてきましたが、そのやり方ではコンピューターの面白さ・創造性に触れられず、興味をもつ機会が失われるという課題があがりました。
そのため、現在は上記の「Computing教育」が行われており、その結果、「問題解決力」「協働的な姿勢」「算数力」「読み書き能力」においてプラスの効果が得られたとのことです。
また「あきらめずしんぼう強く取り組む姿勢」も身につくようになったとの報告もあるそうです。
※より詳しく知りたい方は以下のニュースをご覧ください。
⇨ 英国の実例から小学校低学年のプログラミング教育の可能性を探るイベント(Impress Watch)
エストニアのプログラミング教育
エストニアはICTの先進国で、あのSkypeが生まれた国としても有名です。プログラミング教育の取組は2012年から始まっていますが、実は必修科目ではなく、各学校の判断に委ねられています。
しかし、実際はほとんどの学校でプログラミング教育が取り入れられ、中にはパソコンでプログラムを組み、レゴで組み立てたロボットを動かすという「ロボット開発の授業」が必修科目の小学校もあります。
こうした取組の結果、「IT教育自体が進むだけでなく、問題解決能力や論理的思考力、そして科学的な思考力も備わっていった」とのことです。
※より詳しく知りたい方は以下のニュースをご覧ください。
⇨ プログラミング教育は子どもに何をもたらすのか?(ダイヤモンド・オンライン)
フィンランドのプログラミング教育
フィンランドでは、2016年からプログラミング教育が小学校の必修科目となっています。
こちらはイギリスと異なり、がっつりとプログラミングを学ぶ方式ではなく、算数や図工の授業の一部に導入されており、規則的な数列やパーツ分けなどをゆっくりと時間をかけて学ぶスタイルを取っています。
ちなみにフィンランドはプログラミング教室も人気で、様々な企業・団体が親子で習える子ども向けのプログラミング・ワークショップを開催しているとのことです。
※より詳しく知りたい方は以下のニュースをご覧ください。
⇨ フィンランドのプログラミング教室ってどんなところ? 2016年から小学校の必修科目に(ハフポスト)
イスラエルのプログラミング教育
イスラエルは国民1人当たりのエンジニア数が世界一と言われる程のICT大国で、1990年から、プログラミングをはじめとするICT教育を実施しています。
イスラエルでは高校卒業後、男女ともに兵役があり、高いICT分野の知識・スキルが必要とされます。
そのため、そこから逆算して高校では全員にプログラミングを90時間(週1~2時間程度)、中学生ではセキュリティやアプリ開発を、小学校ではプログラミング・デバックなどを学習させるようになっています。
ちなみにオンラインのプログラミング学習ゲームとして有名な「CodeMonkey」は、イスラエルで開発されたもので、実に小学校の75%で導入されているとのことです。
※より詳しく知りたい方は以下のニュースをご覧ください。
⇨ 日本は周回遅れ…イスラエルに学ぶプログラミング教育(FNN.jpプライムオンライン)
韓国のプログラミング教育
韓国でのプログラミング教育の開始は早く、2007年から行われています。
さらに2011年からはイギリスと同様の「Computing教育」が実施されていて、小学校では情報のモラルや倫理意識を、中学校ではプログラミングを通した問題解決や簡単なアルゴリズムの開発を勉強します。
そして高校では、より専門的な内容りになり、アルゴリズムやプログラムの設計、プログラマー等の職業に必要な技術などについても学びます。
ちなみに、韓国では小学校のデジタル化も非常に進んでおり、政府が「デジタル教科書」「スマート教室」「スマートラーニング」の導入を推進した結果、現在では韓国の小中学校のほとんどがスマート教室を持っているとのことです。
※より詳しく知りたい方は以下のニュースをご覧ください。
⇨ 日本より先駆的な取り組みを続ける、韓国の「教育の情報化」(EdTechZine)
⇨ ICTでイノベーションを育む IoT時代に向けた韓国のスマート教育(WirelessWireNews)
中国のプログラミング教育
中国では、2017年に一部の小中学校にプログラミングの授業が加わり、2018年には高校でプログラミング教育が必修となっています。
これに伴い、プログラミングに関するエデュテック企業が次々に誕生していて、すでに150以上の企業があるとのこと。プログラミング教育を行う目的も日本とは大きく異なり、中国ではAIを扱える人材の養成を目的としています。
そのため、学校は企業などの外部機関に依頼し、専門家にプログラミング教育を行ってもらうのが一般的であり、その結果が上記のようなエデュテック企業の登場に繋がっているようです。
※より詳しく知りたい方は以下のニュースをご覧ください。
⇨ 中国エデュテック企業、学校の教育現場に続々と技術を導入(ZDNet)
⇨ 深センで広がる「STEM教育」–現地で躍進する教育ロボットMakeblockを取材(CNET Japan)
日本と外国(海外)のプログラミング教育の違いまとめ
ここまで紹介してきた外国(海外)と日本のプログラミングの違いを簡単にまとめると、以下の表のようになります。
国名 | 開始年 | 概要 |
---|---|---|
日本 | 2020年 (小学校) 2021年 (中学校) | プログラミング的思考の育成のため、特に科目を新たに設けることはしない |
イギリス | 2014年 | Computing教育 ※コンピュタープログラムを書くような実用的な取り組み |
エストニア | 2012年 | 必修科目ではないがほとんどの学校でプログラミング教育が取り入れられ、ロボット開発の授業などが行われている |
フィンランド | 2016年 | 小学校の必修科目で、算数や図工の授業の一部に導入されている |
イスラエル | 1990年 | 高校:プログラミング90時間必須、中学:セキュリティやアプリ開発、小学校:プログラミング・デバック |
韓国 | 2007年 | 2011年からは、イギリス同様のComputing教育が実施されている |
中国 | 2017年 (小中学校) 2018年 (高校) | AIを扱える人材の養成を目的とし、企業など外部機関の専門家が教えている |
ご覧のように、日本はプログラミング教育において後進国といえ、今後の環境の整備が期待されます。
プログラミング教育が始まる前に!今からできる2つの対策
では最後に、プログラミング教育が始まる前にできる対策を2つご紹介します。
ビジュアルプログラミングソフトで予習
ビジュアルプログラミングは、プログラミング言語を使わずにブロックなどを組み合わせて簡単なゲームを作ることができるソフトのことです。
Scratchが有名で、子どもや初心者でも直感的に操作でき、遊び感覚でプログラミングが学べ、入門用として最適です。
親子一緒に楽しむこともでき、ほとんどのソフトが無料で遊ぶことができます。
プログラミングスクールで無料カウンセリングしてみる
もうひとつは実際にプログラミングを「体験」してみることです。
自分で体験すること以上にプログラミングを学ぶ手段はありませんので、プログラミングスクールで現役のエンジニアから実際にプログラミングを学んでみてはいかがでしょうか。
子ども向けのプログラミングスクールも様々で、実際にパソコンでコーディングを行う本格的なものから、レゴやロボットの作成を通してプログラミングを学ぶものもあります。
お子さんの適正に合わせ、まずはスクールの無料体験に行ってみてはいかがでしょうか。
おすすめの子ども向けプログラミングスクールは以下の記事にまとめていますので、この中から選んでみましょう。
まとめ
以上のように、外国(海外)に比べて、日本ではまだまだプログラミング教育は発展途上です。
環境の整備は急務ですが、私たち親が子どものためにできることはあります。ビジュアルプログラミングやプログラミングスクールを活用しつつ、子ども達が楽しんでプログラミングを学べるようサポートしていきたいですね。