Raspberry Piってどんな機能があるの?
Raspberry Piでなにを作れるかわからない
近年IoT関連の話題が増えてきたことから、Raspberry Piに興味を持っている方も多いです。
とはいえRaspberry Piを買っても「なにができるか良くわからない」という人も少なくないはず。
本記事では、Raspberry Piの基礎知識・Raspberry Piを使ってできること・主要3機種の違いについてわかりやすく解説していきます。ぜひ最後まで読んで、Raspberry Piへの理解を深めてみましょう。
本記事の解説内容に関する補足事項
本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。
また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に、提供コースは「教育訓練給付制度の指定講座」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。
記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。
Raspberry Piの基礎知識
まずは、Raspberry Piの基礎的な概要と機能について詳しくみてみましょう。
Raspberry Piの特徴の1つとして「パソコンとして動かせる」という点が挙げられます。通常のパソコンと比べるとスペックは低くなりますが、Webのブラウジングやプログラミングするには十分の性能でサーバーとしても利用できます。
Linux系のOSを動かせるため、用途に合わせてLinuxに関連するカスタマイズ版OS(ディストリビューション)も使えます。例としてはUbuntuやCentOS・Raspberry Pi OS(旧Raspbian)などです。
Raspberry Pi本体には通常のパソコンにあるCPU・メモリーやディスプレイ端子・USB端子などのほか、
- 入出力用拡張ボードコネクターのGPIO
- 無線LAN
- Bluetooth
といった通信やインタフェース機能も搭載されており、これらを活用することで多種多様な電子工作が可能です。
温湿度センサーと赤外線センサーをGPIOに繋げれば、自動でエアコンを制御するスマートホームとしても使えます。またカメラを接続して人感センサーをGPIOと繋げれば、監視カメラに早変わりします。
Raspberry Piの大きな特徴は、Linux系のOSが動くパソコンのような存在ながらGPIOを使って電子工作もできるため、IoT開発の可能性を大きく広げている点です。
Raspberry Piについてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
Raspberry Piにできること5つ
ここからは、Raspberry Piで実現できることをみていきましょう。
今回紹介するのは下記の5つです。
- 音楽プレイヤー
- モバイルルーター
- カメラ
- オリジナルサーバー
- オリジナルPC
まだ作りたいものが決まっていない方は、ぜひ参考にしてみてください。
音楽プレイヤー
1つ目は「音楽プレイヤー」の作成です。
作り方はRaspberry Piに音楽ソフトをインストールする方法や、音楽プレイヤーを構築する組み立てキットを使う方法などいくつか存在します。組み立てキットを使えば、初心者でも簡単に組み立てられるのが魅力です。
「初めてRaspberry Piを買ったけど何を作れば良いかわからない」という人におすすめです。
モバイルルーター
2つ目は「モバイルルーター」の作成です。
USBデータ通信端末・格安SIMとRaspberry Piを組み合わせることで、低価格なモバイルルーターを作ることができます。
格安SIMは500円~1,000円、Raspberry Piは5,000円程度で入手できるので「1万円以下で実用的なものを作りたい」という方には非常におすすめです。
ただしSIMフリーの端末が無ければ格安SIMを利用できない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
カメラ
3つ目は「カメラ」の作成です。
カメラといっても、監視カメラやデジカメなどさまざまな種類のカメラを作ることができます。お子さんやペットがいる場合は、見守り用の定点カメラとして活用してみてはいかがでしょうか。
オリジナルサーバー
4つ目は「オリジナルサーバー」です。
Raspberry Piは一般的なPCと比べると消費電力がとても少ないため、24時間365日電源を入れっぱなしでも電気料金を抑えることができます。
ラズベリーパイ財団の公式ウェブサイトは、クラスタ化(クラスタリング)したRaspberry Piで構築したWebサーバー上で公開されています。
クラスタ化(クラスタリング)とは、複数のコンピュータを連結し1台であるかのように振る舞わせる技術です。1つのRaspberry Piだと性能が足りないため、複数のRaspberry Piを束ねることで性能を強化しています。
個人用のWebサイトをネット上に公開したり、音楽ファイルをダウンロードして自分用の音楽アプリのように使ったりする程度であれば1台で十分可能です。
Raspberry Piの工作と合わせて、個人サイトの公開をしたい方にはおすすめです。
オリジナルPC
5つ目は「オリジナルPC」の作成です。
Raspberry PiはLinuxが動くコンピュータなので、普段使いのPCとしてカスタマイズする人も少なくありません。
初期のRaspberry Piはマシンスペックが低かったのですが、Raspberry Pi 3やRaspberry Pi 4であればPCとして十分な性能を持っています。OSとしてUbuntuを導入すれば、Office系やグラフィック系のソフトも利用可能です。
Pi-TopというRaspberry Piのノートパソコン化キットもあります。また、タブレット端末のように使えるCutiePiという商品も発売されています
Raspberry Piの3機種を比較
Raspberry Piを大きく分けると、3つのシリーズ(種類)に区別できます。
- Model Aシリーズ
- Model Bシリーズ
- Zeroシリーズ
今回は「Model Bシリーズ」「Zeroシリーズ」の中から3機種ピックアップして比較しました。
Raspberry Pi Zero WH | Raspberry Pi 3 Model B+ | Raspberry Pi 4 Model B | |
CPU | 1コア1GHz | 4コア1.4GHz | 4コア1.5GHz |
メモリー | 512MB | 1GB | 1GB/2GB/4GB/8GB |
有線LAN | なし | 300 Mbps | 1Gbps |
無線LAN | 2.4GHz | 2.4GHz/5GHz | 2.4GHz/5GHz |
消費電流 | 400mA | 約1.5A | 1.7A |
重量(本体) | 約11g | 約50g | 約47g |
引用元:Raspberry Pi – Wikipedia
Raspberry Pi Zero WH(UD-RPZWH) 仕様 | Raspberry Pi(ラズベリーパイ)
Raspberry Pi 3 Model B+(UD-RP3BP) 仕様 | Raspberry Pi(ラズベリーパイ)
Raspberry Pi 4 Model B(UD-RP4Bシリーズ) 仕様 | Raspberry Pi(ラズベリーパイ)
この3機種で比較すると、2021年5月時点で最新版となる「Raspberry Pi 4」が一番高スペック・高機能です。簡易的な機能しか使わない場合や、消費電力を削減したいときは他のモデルも選択肢に入ります。
これを踏まえたうえで、それぞれのRaspberry Piの特徴を掘り下げて解説します。
Raspberry Pi Zero WH
Raspberry Pi Zero WHは2018年1月に発売されたモデルで、Raspberry Pi Zeroシリーズの1つです。
Raspberry Pi Zeroには
- Zero
- Zero W
- Zero WH
が存在します。この3つの中ではRaspberry Pi Zero WHが最も扱いやすく、拡張性も高い機種となっています。
Raspberry Pi Zeroシリーズは、低価格・省電力・コンパクトなサイズ感が特徴のモデルです。
このようなメリットの反面、他のRaspberry Piと比較するとスペックは低めです。大きさや消費電力を重視しない方や、スペック重視の方にはあまり向かないでしょう。
Raspberry Pi 3 Model B+
Raspberry Pi 3 Model B+は2018年3月に発売されたモデルで、Raspberry Pi 3シリーズの1つです。
無線LANとBluetoothを搭載しており、Raspberry Pi Zeroシリーズと比べてハイスペックです。
対してRaspberry Pi 4 Model Bと比較するとスペックが劣る分消費電力が少ないため、3機種の中では中間の性能といいえます。
Raspberry Pi 4 Model B
Raspberry Pi 4 Model Bは、2019年11月に発売されたモデルです。全Raspberry Piの中で最も優れた性能を持ち、搭載メモリーを1GB・2GB・4GB・8GBから選べるのが特長。
Raspberry Pi 4 Model B自体最新のモデルですが、発売当時は1GB・2GB・4GBで展開していました。Raspberry Pi 4 8GBは、2020年5月に発売された機種です。(2021年5月時点)
Raspberry Pi 3と比べると処理が高速化しており、電源コネクターがUSB micro-BからUSB Type-Cへ変更になりました。
価格を気にせず、「とにかくスペックの高い機種が欲しい」という方におすすめです。
まとめ
今回はRaspberry Piの基礎知識やRaspberry Piを使ってできること、主要3機種の違いについて解説しました。
ぜひこの機会に、Raspberry Piを使った電子工作を始めてみてはいかがでしょうか。
この記事のおさらい
パソコンとして動かせるのが大きな特徴です。Webのブラウジングやプログラミング・サーバーとしての利用ができます。また電子工作に活用することで、さまざまな機器を作成できます。
さまざまありますが、今回は一例として「音楽プレイヤー」「モバイルルーター」「カメラ」「オリジナルサーバー」「オリジナルPC」を紹介しました。
機種により、価格・消費電力・性能面に違いがあります。今回は「Raspberry Pi Zero WH」「Raspberry Pi 3 Model B+」「Raspberry Pi 4 Model B」を比較しましたが、一番高性能な機種が欲しい方には「Raspberry Pi 4 Model B」がおすすめです。