大学生の皆さんにとって、就活は大きな関心事のひとつですよね。
特に、技術職であるWebエンジニアを目指す人にとっては、「経験がなくても採用されるのか?」「どのくらい知識が必要なのか?」といった、多くの不安や疑問が浮かぶことも多いのです。
本記事ではWebエンジニアに新卒採用される7つのコツを、2021/22年の採用状況や年収、企業の選び方も交えてご紹介します。
この記事を読めば、Webエンジニアとして新卒採用されるのに大切な要素を抑えることができますよ。
この記事の監修者
株式会社SAMURAI
SAMURAI ENGINEER Blog編集部
日本初の現役エンジニア講師によるマンツーマン専門プログラミングスクールを運営。卒業生は累計28,000名以上。挫折しないプログラミングスクールNo.1にも選ばれています。2013年創業以来の運営で得た知見をもとに、プログラミング学習・スクールの選び方・エンジニアのキャリアについて専門的な立場から解説します。
新卒Webエンジニアの採用状況
現在の日本は、慢性的なIT人材不足の状況にあります。
経済産業省による「IT 人材需給に関する調査」によると、IT人材の需給ギャップは2018年時点で22万人ですが、2025年には最大で58.4万人に達するといわれています。
シミュレーション条件によっては、2030年にギャップが解消する可能性も示唆されていますが、2022年、2023年については、どのシミュレーションであっても需要が供給を上回っています。
このような需要の高まりに対応するために、将来性ある新卒Webエンジニアの採用を積極的に行う企業も多いと予想されます。
2021年、2022年の求人傾向を見てみましょう。
2021年の求人傾向
2021年3月卒業予定の大学生および大学院生を対象とした求人倍率は、1.53倍と前年より低い倍率でした(リクルートワークス研究所調べ)。
コロナ感染拡大による、採用懸隔の縮小の影響を受けたためです。2年連続で減少しているものの、就職氷河期やリーマンショックのころと比べて高い水準を維持しています。
なお、企業規模別に見ると、中小企業の求人倍率の低下が顕著です。これは、特に中小企業に新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けた企業が多かったためと考えられます。
また、大企業よりも中小企業を選ぶ学生が急速に増加していることも、中小企業の求人倍率低下の一因となっています。
2022年の求人傾向
2022年3月卒業予定の大学生および大学院生を対象とした求人倍率は、1.50倍でした(リクルートワークス研究所調べ)。2021年に続いて減少傾向にありますが、減少幅は小さくなっています。
学生側の動向としては、2021年から一転して、中小企業よりも大企業を希望する学生が増加しています。採用側も、大企業が積極採用を目指す傾向にあるのに対し、中小企業は採用予定数の減少が見られました。
新卒Webエンジニアの年収や労働条件
実際に、新卒Webエンジニアを募集している企業の募集要項についてチェックしてみましょう。ここでは、例として3社の求人を紹介します。
株式会社シップ
募集要項
募集職種 | ・Webエンジニア ・プログラマー |
勤務時間 | 9時~18時 |
給与 | 220,000円 (2020年4月実績) |
休日 | 完全週休2日制 (祝日/GW/夏季休暇/年末年始休暇ほか) |
福利厚生 | ・通勤手当 ・成果手当 ・住宅手当 ・子ども手当 ほか |
株式会社シップは、住宅関連サービスを総合的に取り扱っている会社です。
Webエンジニア・プログラマーの仕事内容も、住宅関連サービスに特化したシステム・ソフトの開発となります。Webサイト構築からアプリ開発まで、幅広い業務の担当が可能です。
また、労働条件も「9時から18時勤務」「完全週休2日制・祝日休み」と記載されているため、プライベートを大切にした働き方が期待できますね。
インフォコム株式会社
募集要項
募集職種 | ・システムエンジニア ・Webエンジニア |
勤務時間 | 9時~18時 |
給与 | ・大学卒230,000円 ・大学院卒235,000円 (東京地区都市圏手当40,000円含む) |
休日 | 完全週休2日制 (祝日/GW/夏季休暇/年末年始休暇ほか) |
福利厚生 | ・退職金(確定拠出年金) ・独身寮 ・従業員持株会 ・住宅取得支援制度 ・無料マッサージルーム ほか |
インフォコム株式会社では、医療・企業・公共機関向けのシステム構築およびパッケージ製品提供を行う「ITサービス」と、一般消費者向けの「ネットビジネス」の2つの業務を行っています。
システムエンジニアはITサービス、Webエンジニアはネットビジネスでの募集です。
全学部全学科からの採用を行っており、文系学部からの採用実績も多いとのことです。「文系出身だけどエンジニアになりたい」という方にとっては、活躍している先輩がいるというのは大きな魅力になります。
退職金や持株会など、充実の福利厚生制度も魅力です。
GMOインターネット株式会社
募集要項
募集職種 | ・インフラエンジニア ・Webアプリケーションエンジニア ・セキュリティエンジニア |
勤務時間 | ・9時~18時 ・10時~19時 ・11時~20時 (実働8時間) |
給与 | 月給298,465円~ (月間30時間相当の時間外労働手当54,465円~を含む 超過分は別途支給) |
休日 | 完全週休2日制 ※祝日・GW・夏季休暇・年末年始休暇ほか(一部シフト勤務あり) |
福利厚生 | ・確定拠出年金 ・福利厚生補助制度(スポーツクラブ/英会話等補助金) ・イベント補助制度 ・給与の一部をビットコインで受け取れる制度 ほか |
インターネット利用に必要な各種サービスを提供している、GMOインターネット株式会社の求人です。
「GMOすごいエンジニア支援制度」という、成長したいエンジニアを後押しする独自の制度を設けています。
「Webエンジニアとして成長を続けたい」という意欲を叶えやすい、魅力的な企業です。福利厚生も、英会話の補助金のようなスキルアップにつながる制度が用意されています。
勤務時間については3パターンの提示があり、シフト勤務の可能性が示唆されています。気になる方は面接時などに確認しておきましょう。
自分に合う企業を選ぶ6つのポイント
新卒Webエンジニアを募集している企業は数多くあります。その中から自分に合う企業を探すためには、採用サイトや企業サイト、社員の口コミサイトなどを十分確認しなければいけません。
新卒時の就職でミスマッチが起こってしまうと、その後のモチベーションを維持するのが困難であったり、キャリアダウン転職をせざるを得なくなったりすることもあります。後悔しないよう、企業選びは慎重に行いましょう。
それでは、企業を選びをする際に重視すべき下記6つのポイントについて解説します。
- 業務内容
- 企業規模
- 働き方
- 職場の雰囲気
- 教育制度
- 労働条件
ポイント1.業務内容
同じWebエンジニアの仕事も、BtoBの仕事なのか、BtoCの仕事なのかによって業務内容は大きく異なります。
また、社内のWebページ構築を行うのか、他社のサイトを担当するのかという違いもあります。
職種だけでなく、具体的な業務内容を確認して、やりたい仕事ができるかどうかを検討してください。
ポイント2.企業規模
Web業界の中にも、
- 歴史ある大企業
- スタートアップの企業
- 中堅の企業
など、さまざまな規模の会社があります。
大企業は安定性があり、将来的に大きな仕事に携われるチャンスもあります。一方、風通しの良いスタートアップの企業なら、新卒未経験でもさまざまななことにチャレンジできる可能性があります。
また、将来性のある成長過程の企業に就職できれば、初期メンバーとしてゆくゆくは大きな活躍ができる場合があります。
企業規模が違えば、働き方も変わってきます。自分がどのような働き方をしたいのか、現在の希望と将来の展望について考えてみましょう。
ポイント3.働き方
新卒Webエンジニアは、クライアント先へ常駐する働き方がメインです。ただ、コロナウィルスの影響でリモートワークが推進された背景もあり、在宅での勤務も増えました。
- 在宅
- 出社
- クライアント先への常駐の有無
など、どういった働き方になるのか、事前に確認しておくと安心です。
ポイント4.職場の雰囲気
職場の雰囲気は、目指す職種にかかわらず必ずチェックしておきたいポイントです。企業のホームページや、社員インタビューを事前に確認しておきましょう。
併せて大切なのが、面接時に面接官の雰囲気や社内の様子を確認することです。新卒採用の場合、面接時に緊張して周りをよく見られないこともあります。
しかし、面接は企業側からチェックされるだけでなく、学生側からも企業をチェックできる絶好の機会です。どのような職場なのか、さりげなく雰囲気を見ておきましょう。
ポイント5.教育制度
Webエンジニアとして長く活躍し続けるためには、就職した後のスキルアップが欠かせません。自分が企業に貢献するだけでなく、企業に所属することで成長していけるかも考える必要があります。
研修制度が充実しているかどうか、キャリア支援制度が整っているかどうかといった観点からも、企業情報をチェックしましょう。
ポイント6.労働条件
労働条件とは、給料、労働時間や休日などです。
多くの学生は、労働条件について確認してから応募に進みますよね。いくら希望に合った仕事でも、労働条件が悪いと長続きしません。
働きに対して、十分な評価や見返りを得られる企業かどうか確認しましょう。
新卒でWebエンジニアに採用されるためにやっておきたい7つのこと
新卒でWebエンジニアとして採用されるためにやっておきたいことは、次の7つです。
- 1.プログラミングを勉強する
- 2.ポートフォリオを作成する
- 3.インターンシップに参加する
- 4.資格を取得する
- 5.就活イベントに参加する
- 6.企業研究をする
- 7.模擬面接をする
ただし、「7つ全部をやっておかなければ採用されない」ということではありません。自分でもできそうなこと、向いていると感じたことなどからチャレンジしてみましょう。
1.プログラミングを勉強する
Webエンジニアを目指すのであれば、HTMLとCSSは必須の基礎知識です。
そのほか、
- JavaScript
- Ruby
- Java
- PHP
といった言語も、Webエンジニアの仕事に役立てられます。
なお、これらのプログラミング言語の知識は、「一定のスキルを持っていることのアピール」として利用できます。
しかし新卒採用の場合は、「自分から勉強する意欲を持っている」という観点からのアピールにも有効です。将来性ややる気を伝えるために活用しましょう。
2.ポートフォリオを作成する
ポートフォリオとは、自分のこれまでの実績をまとめた資料のことです。これまでの勉強の過程で作成したWebページ・Webサービスがあれば、ポートフォリオとして活用しましょう。
Webエンジニアのポートフォリオは、
- 独自の視点があるか
- 実際にユーザーに使ってもらってフィードバックを元に改善しているか
- 作成過程や使用した技術について説明できるか
といった点に着目されますよ。
3.インターンシップに参加する
未経験の新卒Webエンジニアを採用する際、企業はミスマッチを懸念します。「思っていた仕事じゃなかった」というのは、学生にとっても企業にとっても不幸なことです。
このようなミスマッチを防ぐ方法のひとつに、インターンシップへの参加があります。
Web制作の現場を肌で感じられるだけでなく、先輩Webエンジニアの話を身近に聞けるのはインターンシップならでは。機会あれば、ぜひ参加してみると良いですよ。
4.資格を取得する
Webエンジニアに関連した資格を取得するのもおすすめです。
資格取得には、
- 関連する知識を網羅的に学べる
- 選考の際にやる気をアピールしやすい
- 自信につながる
という3つのメリットがありますからね。
ちなみに、新卒でWebエンジニアを目指すなら、下記うちいずれかの資格取得がおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- Webクリエイター能力認定試験
- 応用情報技術者試験
- HTML5プロフェッショナル認定試験
- Rails技術者認定試験
- PHP技術者認定試験
- Oracle認定Javaプログラマ
- Oracleマスター
5.就活イベントに参加する
各種の就活イベントに参加することで、効率よく就活を進められます。業界の情報を仕入れたり、横のつながりを持つことなどにも役立ちます。
企業側からのオファーがもらえる「逆求人イベント」や、エンジニアを採用したい企業との面談や社員の話を聞ける「新卒エンジニア向け合同LT会」といったイベントが多数開催されています。
イベントにも積極的に参加してみましょう。
6.企業研究をする
企業研究も、職種にかかわらず行っておくべき就活対策です。企業のホームページや公式ブログ、社長のインタビュー記事などをチェックしておきましょう。
「自社の仕事内容や理念をよくわかった上で応募してくれた」とわかれば、採用に有利に働く可能性があります。反対に、社風などに合わないことを言ってしまうと、ミスマッチと判断されてしまう場合があるのです。
なお、SNS運用を行っている企業であれば、フォローをおすすめします。どのような投稿をしているのか見ておくと、社内の雰囲気や社風を理解しやすくなるためです。
7.模擬面接をする
模擬面接も、企業研究と同様に、一般的な就活対策のひとつです。
「面接で緊張してうまくアピールができなかった」というのは、よくある失敗談です。大学のキャリア支援センターで模擬面接を受けたり、模擬面接の受け答えを録画して確認したりして、対策を練っておきましょう。
ただし、模擬面接でうまく話すことだけを意識すると、決まった質問にしか答えられなくなる可能性もあります。どんな質問にも柔軟に答えられるように、自分の中の軸を作っておくことが大切です。
採用面接で見られる3つのポイント
新卒Webエンジニアの採用面接で何を重視するのかは、それぞれの企業によって異なります。しかし、次の3点は多くの企業でチェックされるポイントなので、意識しておきましょう。
- Webエンジニアの志望動機
- 将来性
- 基本的なコミュニケーション力
それぞれ詳しく解説していきますね。
1.志望動機
「なぜWebエンジニアになろうと思ったのか」は、書類選考でも面接でも確認されるポイントです。書類と面接で答えが変わってしまわないように、どのように説明をするのか考えておく必要があります。
同時に、Webエンジニアの仕事の中でも、特に「その会社」を選んだ理由についても話せるようにしておきましょう。
2.将来性
技術職のWebエンジニアも、新卒採用であればポテンシャルが重視されます。そのため、採用時点でのスキルはそれほど問われない場合が多い反面、将来性については十分に確認されます。
前述の
- ポートフォリオ
- 資格取得
- 独学
- インターン
などを通して、意欲を採用担当者に伝えましょう。
3.基本的なコミュニケーション力
Webエンジニアにも、社会人としての基本的なコミュニケーション力が必須です。面接官の言葉をきちんと受け止めて、自分の言葉でやりとりをしましょう。
同時に相手の目を見て、落ち着いたテンポと声の大きさで、わかりやすく話せるかどうかといった点もチェックされます。模擬面接で、自分の話し方を確認しておきましょう。
新卒でWebエンジニアに就職した体験談
実際に、新卒からWebエンジニアに就職を果たした先輩はたくさんいます。その中から、SAMURAI ENGINEERでの受講を経てエンジニアへ就職した方の体験談を紹介します。
文系から新卒でエンジニアに就職
現在エンジニアとして働く北尾さんは、文系学部に在籍していた大学4年生のときにエンジニアへの就職を思い立ち、10月に勉強をスタートしました。
周りが就活を終えていく中、10月~1月にかけて侍エンジニアで知識を身に付けて、1月~2月にかけて就職活動を行ったということです。実際にWebアプリも制作し、就活に役立てることができました。
北尾さんの詳しい体験談は、下記をご覧ください。
まとめ
この記事では、Webエンジニアに新卒採用される7つのコツを、2021/22年の採用状況や年収・企業の選び方も交えて紹介しました。
新卒未経験でも、Webエンジニアとして就職をすることは十分可能です。ただし、憧れだけでWebエンジニアを目指すのはミスマッチの危険です。
学生のうちから、実際にWebサイトを作ったり、Webエンジニアの先輩と交流する機会を持ったりして、どのような仕事なのかイメージを掴むようにしてください。
新卒での就職活動は通常、一生に一度しか行う機会がありません。後悔のない就職ができるように、しっかり準備をしておきましょう。
この記事のおさらい
Webエンジニアには、未経験新卒からでもなれます。一般的な就活対策に加えて、面接でアピールしやすい資格取得やポートフォリオの作成などを行っておきましょう。
新卒でWebエンジニアを目指す場合は、企業とのミスマッチに注意する必要があります。企業規模や業務内容、労働条件などと合わせて、社風や社員のインタビューなども事前に確認しておきましょう。