この記事では、必要なスキルも交え、Webエンジニアのキャリアパスを紹介します。
Webエンジニアに興味があるけど、どのようなキャリアパスを描けばいいのかと悩んでいる人は多いです。
ITエンジニア職の中でも、Webエンジニアはさまざまなキャリアパスを選択することができる職種になります。
この記事ではWebエンジニアのキャリアパスの選び方やWebエンジニアに必要なスキルを紹介します。
- Webエンジニアから技術職にキャリアパスするなら「ITスペシャリスト」や「フルスタックエンジニア」がおすすめ
- Webエンジニアからマネジメント職にキャリアパスするなら「システムエンジニア」や「プロジェクトマネージャ」がおすすめ
【技術職】Webエンジニアのキャリアパス
ここまではキャリアの選び方についてのポイントを解説しました。ここからはWebエンジニアの技術職に関するキャリアパスをご紹介します。
今回ご紹介する技術職関連のキャリアパスは下記の4つです。
1つずつ見ていきましょう
①ITスペシャリスト
ITスペシャリストという職種には、明確な定義はなく、ITに関する専門家の総称です。
たとえば、開発の要素としては下記のようなものがあります。
- ネットワーク
- サーバー
- データベース
- セキュリティ
- システム管理
1つのアプリケーションを開発するためには、このように幅広い分野を考慮する必要があります。
ただし、1人のエンジニアがこれらすべてを対応するのは現実的ではありません。そのため、各分野に精通した専門家がいるのです。こういったある特定の分野について、豊富なスキルや知識を有する専門家をITスペシャリストと呼んでいます。
ちなみに、ITSS(IT人材の職種や能力をIPAが定義したもの)によれば、ITスペシャリストは「ITSSにおける標準レベルの知識を要しており、ある特定の分野について、豊富なスキルや知識を有する専門家であること」と定義されています。
なお、求人ボックス 給料ナビによれば、ITスペシャリストの平均年収は約570万円です。スキル次第では1,000万円も狙えるため、年収的にもかなり魅力的であることがわかります。
求められるスキル
ITスペシャリストに求められるスキルは、各分野に対する極めて専門的な知識です。
IPAが定義しているITスキル標準では、達成度指標として7段階のレベルが定義されています。ITスペシャリストにあたるレベル4では、「自らのスキルを活用することによって、独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル」と定義されています。
つまり、ITスペシャリストは、ある特定の分野において、人の助けを借りることなく自分1人で解決まで導くことができるレベルのスキルが必要といえるでしょう。
将来性
ITスペシャリストの将来性は、基本的に高いといえます。
特に、ITスペシャリストの中でも、セキュリティスペシャリストの将来性は極めて高いと予想することができます。
昨今ではインターネットを中心としたサイバー犯罪が増加しています。それらの影響もあり、セキュリティの重要性について再認識されつつある状況です。こういったトラブルに対応したり未然に防いだりするセキュリティスペシャリストは必要不可欠と言えます。
一方、ネットワーク、サーバーといった分野においては、急激にクラウド化が進んでいます。どちらも重要な要素ではありますが、スペシャリストとして活躍するためには、既存の知識だけではなく常に知識をアップデートしていくことが求められます。
こんな人におすすめ
- 特定の分野についてとことん極めたいと考えている人
- 好きな分野がはっきりとしている人
ITスペシャリストは、それぞれの分野をリードするエンジニアです。そのため、その分野に対する圧倒的な知識や経験が必要となります。
なお、Webエンジニアに関心はあるものの、本当に自分にあう職種なのか不安な人もいますよね。そんな人は「ITキャリア診断」をお試しください。
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②ITアーキテクト
ITアーキテクトは、企業の経営計画を見据えて、ITシステムのあるべき姿を検討し、その実現方法を検討するのが主な仕事です。
ITアーキテクト以外の職種もビジネスパーソンである以上、企業の経営計画を把握しておく必要があります。ですが、ITシステムは最低でも数年、長い場合は十数年程度使用します。
ITアーキテクトは、このような長期的な視点でアーキテクチャを構築することが求められます。
そのため、3~5年の中期経営計画、5~10年の長期経営計画を正しく理解しておく必要があります。
なお、求人ボックス 給料ナビによれば、ITアーキテクトの平均年収は約717万円ということです。求められるスキルも高いですが、そのリターンもかなり高額であるといえます。
求められるスキル
ITアーキテクトは、ITシステム全体の在り方を決定する必要があります。これを実現するためには、インフラ面までを含めたシステム全体に関する知識やスキルはもちろん、対象のアプリケーション開発に関するスキルが求められます。
また、1つのITシステムを開発するためには、さまざまな人々が関与しています。クライアントはもちろんですが、開発側であっても、インフラ部門、アプリケーション部門、営業部門といった具合です。ITシステムをあるべき姿に導くためには、こういったステークホルダーと交渉・調整するスキルも必要です。
将来性
ITアーキテクトの将来性は、かなり高いです。
近年のITシステムは、さまざまな要素が複雑に絡み合ってつくられています。クラウド、AI、IoTといった最先端技術などは、その一例です。
一方でビジネス状況を見ると、ビジネス全体の流れは加速し続けています。開発面では難易度が高い開発が増えながら、ビジネス面ではよりスピーディーさを求められるという、二律背反ともいえるようなプロジェクトが増えているのです。
開発側とビジネス側といったそれぞれの課題を解決するためには、ITアーキテクトの仕事である「ITシステムをどうつくるか」にかかっているといえるでしょう。
こんな人におすすめ
- ゼロからモノを生み出すのが好きな人
- システムのあるべき姿にこだわりを持っている人
ITアーキテクトは、ITシステムのあるべき姿や骨組みを考え、生み出していく仕事です。自身がゼロから生み出したシステムが無事に稼働したとき時、あるいはビジネス的な価値を生み出したとき、大きなやりがいを感じることでしょう。
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③テックリード
テックリードは主に下記3つの業務をこなす職種です。
- 開発チームの技術的なリーディング
- ITシステムの品質管理
- 開発チームとクライアント・他部署をつなぐ
テックリードは、海外ではメジャーな職種ですが、近年日本でも開発チームに配置する企業が増加しています。
テックリードについてもっと知りたい人は、次の記事でシステム部責任者とテックリードの対談を紹介していますのでぜひ参考にしてください。
求められるスキル
テックリードは、前述したとおり開発チームの技術リーダーです。そのため、幅広く高い技術力が求められます。また、クライアントや他部署と円滑にものごとをすすめるコミュニケーションスキルも必要です。
特に、クライアントや自社の他部署とやりとりする際は、専門用語などが分からない方も多くいます。そのような、技術に精通していない方に対して分かりやすく説明して、プロジェクトを推進することもテックリードに必要なスキルです。
将来性
テックリードの将来性は高いです。
日本ではまだまだテックリードの絶対数が少ないです。一方でテックリードの需要があがりはじめているため、将来性は十分にあるといえるでしょう。
現在、日本は深刻なエンジニア不足の状態が続いています。この問題はすぐに解消できるものではないため、エンジニアになって間もないジュニア層に活躍が求められます。このようなジュニア層のエンジニアに、能力以上のパフォーマンスを発揮してもらうためには、テックリードの存在が必要不可欠なのです。
こんな人におすすめ
- 物事を他人に教えるのが好きな人
- 自分のスキルをチームに還元することにやりがいを感じる人
テックリードは、自身が身につけた高水準のスキルを、他の人にアウトプットする仕事ともいえます。開発チームのメンバー、技術に疎いビジネス部門のメンバー、ITシステムを導入するクライアントなど、さまざまなシーンで「教える」必要があります。
④フルスタックエンジニア
フルスタックエンジニアとは、一連のシステム開発の工程をすべて手掛けられるエンジニアです。
一般的にシステム開発では、Webアプリケーション側のフロントエンドであればフロントエンドエンジニアが、サーバー側であればサーバーサイドエンジニアが開発を担当します。他にも、ネットワークやサーバーなどのインフラの構築はインフラエンジニアが主たる担当者です。
このようにシステム開発は、工程別や専門分野で専門エンジニアが分業することが一般的な開発スタイルです。
フルスタックエンジニアは、どの工程や分野でも対応することができます。そのため専門性が高く、経験値やスキルのあるエンジニアがフルスタックエンジニアとして活躍することが多いです。
フルスタックエンジニアについてもっと詳しく知りたい人は、次の記事でフルスタックエンジニアの仕事内容や市場価値などを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
求められるスキル
フルスタックエンジニアには、最低限次の業務ができるスキルが求められます。
- 要件定義
- 基本設計
- 開発
- テスト
- 保守・運用
フルスタックエンジニアは、開発工程のすべてを1人で対応する必要があります。一般的に開発は要件定義からはじまり、設計、製造、テスト、運用・保守といった流れで進みますが、これらすべての工程に対応できるスキルが求められます。
また、アプリケーションだけではなく、サーバー、ネットワーク、データベースなどといったインフラ面についても、あらゆる分野の専門的なスキルが必要となります。さらにはセキュリティなどの非機能要件に該当する部分についても、しっかりと対応できることが求められます。
将来性
フルスタックエンジニアの将来性は高いといえます。
企業にとって、IT化あるいはDX化は喫緊の課題となっています。
企業が競争力を維持するために、そしてさらに成長していくためには、迅速にITシステムを構築していく必要があるのです。
DX化の一環としてWebアプリケーションを開発する場合、大企業や資金に余裕のある会社であれば、フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアといった2種類のエンジニアを採用して、分業制で進めるのが良いでしょう。
ただし、中小企業やスタートアップ企業の場合は、資金的に余裕がないケースも多く、複数名のエンジニアを雇えないことがあります。その一方で、大企業や競合他社に対抗するためには、より速いスピードを求められます。
これを解決する1つの解が、フルスタックエンジニアです。フルスタックエンジニアであれば、1人で広範囲の業務を担当することが可能です。また、コミュニケーションロスなどもないため、生産性の向上も期待できます。
現在、日本でも働き方が少しずつ変わりはじめており、政府も副業や兼業を推進しています。超高齢化時代を迎え、人生100年といわれる時代になってきました。
この長い人生を生き抜くためには、1つの会社にしがみつくだけではなく、自らの経験を活かして起業するケースが増えてくることでしょう。そうなれば、フルスタックエンジニアが活躍できるフィールドはまずます広がるはずです。
これを実現するためには、1人でさまざまなことを対応できるフルスタックエンジニアの存在が必要不可欠なのです。
こんな人におすすめ
- さまざまな分野に興味がある人
- 多くのスキルを幅広く身につけたい人
フルスタックエンジニアになるためには、多くの学習や経験が必要です。そのため、簡単になれるものではありません。ただし、フルスタックエンジニアを求める企業は増加しているため、努力した分以上のリターンを期待することができるでしょう。
フルスタックエンジニアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
【マネジメント職】Webエンジニアのキャリアパス
Webエンジニアのキャリアパスは、技術系だけではありません。マネジメント系も1つの選択肢として考えておきましょう。ここではマネジメント系の職種として、下記の2つをご紹介します。
①システムエンジニア
システムエンジニアも他のIT関連の職種と同様に、明確な定義はありません。一般的には、SIer業界において要件定義や基本設計といった上流工程を担当するエンジニアを指すケースが多いです。
ただし、企業やプロジェクトによっては、開発チームや外部ベンダー企業のマネジメント業務を兼任することも少なくありません。また、経験が豊かなシステムエンジニアは、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーの補佐としての役割を担うこともあります。
傾向としては、比較的小さめのプロジェクトにおいて、システムエンジニアがマネジメント業務を担当することが多いです。
なお、求人ボックス 給料ナビによれば、システムエンジニアの平均年収は約513万円ということです。
求められるスキル
システムエンジニアに求められるスキルは下記のとおりです。
- システム開発に関するスキル
- コミュニケーションスキル
- マネジメントスキル
まず、システムエンジニアは、設計やプログラミングなどといったシステム開発に関する幅広い知識が必要です。また、前述したとおり、プロジェクトのマネジメントを担当することがあるため、進捗管理やチームメンバーのケアなどといったマネジメントスキルも求められます。
そのほか、開発チームのメンバーとのやりとりはもちろん、クライアントなどの対応するケースも少なくありません。そういったシーンにおいては、高いコミュニケーションスキルが必要になります。
将来性
システムエンジニアの将来性は、働いている企業やプロジェクト次第に左右されます。
SIer業界に属するシステムエンジニアは、ほとんど開発業務を行わず下請け企業のマネジメントのみを行うケースも少なくありません。このような「自分で作ることができない」システムエンジニアの将来性は、あまり高くないと言わざるを得ません。
その反面、マネジメントも行いつつ、しっかりと自分でも開発を担当しているシステムエンジニアもいます。そのようなシステムエンジニアは、今後もIT業界で活躍し続けることができるはずです。
こんな人におすすめ
- 開発もマネジメントも行いたい人
- 将来はマネジメントに関する仕事を行いたいと考えている人
システムエンジニアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
②プロジェクトマネージャ
プロジェクトマネージャは、開発プロジェクトのマネジメントを行う職種です。
エンジニアに関する職種の中でも、上級に分類される職種であり、システム開発全般に対する知識をベースとして、システム開発の企画や進捗管理などを行います。
また、マネジメントだけではなく、技術面についてもチームを牽引することが求められることもあるため、Webエンジニアで培った経験を活かすことができます。
そのほか、プロジェクトマネージャは営業に同行したり、クライアントと折衝したりなど、対外的な仕事が多いのも特徴です。
なお、求人ボックス 給料ナビによれば、プロジェクトマネージャの平均年収は約618万円ということです。一般的にマネジメント系の職種は年収も高い傾向にあります。プロジェクトマネージャも管理系の職種ということで、年収も高めであることが分かります。
求められるスキル
プロジェクトマネージャに求められるスキルは下記のとおりです。
- マネジメントに関するスキル
- 開発に関する幅広いスキル
- コミュニケーションスキル
プロジェクトマネージャは、マネジメントが主な業務となります。そのため、マネジメントに関するスキルは必要不可欠です。
また、プロジェクトでさまざまな課題が発生した場合は、プロジェクトの責任者として決断することが求められ、開発に関する幅広いスキルが求められます。そのほか、対外的な仕事も多くこなすため、高いコミュニケーションスキルも必要とします。
将来性
プロジェクトマネージャの将来性は高いです。
プロジェクトマネージャは、エンジニアに関する職種の中でも上級職に位置付けられることは前述したとおりです。
現在では、さまざまな業界・分野でIT化が進んでおり、これに伴いたくさんのプロジェクトが存在しています。しかしこれらを管理するプロジェクトマネージャは、すぐに育成できるものではないため、枯渇した状態が続いており、優秀なプロジェクトマネージャが求められています。
こんな人におすすめ
- 面倒見がよい人
- メンバーのさまざまな変化に気付くことができる人
プロジェクトマネージャの仕事自体は、前述したようにプロジェクトの管理です。ただし、実際の開発現場では、チームメンバーが快適に仕事を進めることができる環境を整えるという仕事も行います。
管理というと、進捗・納期管理というイメージがあると思いますが、実際はそれよりも、メンバーがいかに生産性を高め、よりストレスなく働けるかのほうが重視されます。
なお、Webエンジニアへの就職・転職を見据え、独学でスキル習得できるか不安な人は「侍エンジニア」をお試しください。
侍エンジニアでは、現役エンジニアから指導を受けつつ、就業活動のサポートが受けられます。
「累計受講者数4万5,000名以上」「転職成功率99%」を誇る侍エンジニアなら、未経験からでも挫折なくWebエンジニアへの就業が実現できますよ。
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【別職種】Webエンジニアのキャリアパス
Webエンジニアのキャリアパスは、技術系やマネジメント系だけに留まりません。ここでは、そのほかにWebエンジニアからのキャリアパスとして考えられるものをご紹介いたします。具体的には下記の2つです。
こちらの職種について、1つずつ解説いたします。
①Webディレクター
Webディレクターは、WebサイトやWebアプリケーションを開発する際のプロジェクト管理、スケジュール管理などを担当します。
仕事内容はプロジェクトマネージャと似ていますが、WebディレクターはWebサイトやWebアプリケーションの開発管理に特化した職種です。
また、Webサイトのコンテンツをどういったものにするか企画したり、クライアントへ提案するといった仕事を担当することもあります。
なお、求人ボックス 給料ナビによれば、Webディレクターの平均年収は約500万円ということです。
求められるスキル
Webディレクターに求められるスキルは下記のとおりです。
- マネジメントスキル
- コミュニケーションスキル
Webディレクターは、マネジメントが主な業務なのでプログラミングスキルよりも、進捗管理や品質管理といったマネジメントスキルが必要です。
また、開発チームはもちろん、社内外の関係者とのやりとり、クライアントと企画の打ち合わせなどのシーンではコミュニケーションスキルが求められます。
将来性
Webディレクターの将来性は高いといえます。
昨今では、さまざまなものがWebサイトやWebアプリケーションで実現されています。すでにWebサイトやWebアプリケーションは、社会的に重要なインフラになりつつあるのです。
具体的な事例として、電子商取引を見てみましょう。
下のグラフは経済産業省から発表された、令和元年の日本国内における電子商取引市場規模です。こちらをご覧いただくと、2010年には約7兆8,000億円だった電子商取引の市場規模は、2019年におよそ20兆円にまで拡大していることがわかります。わずか10年間で約2.5倍もの成長を遂げているのです。
これまでは実店舗で発生していた取引が、急速にWebアプリケーションを中心としたデジタル空間へ移行していることを表す好例といえます。
電子商取引という1つの分野だけでも、ECサイトなどのようなWebアプリケーションに対する需要が急激に高まりを見せていますが、ほかの分野まであわせると需要はさらに高いものとなります。
そのWebサイトやWebアプリケーションは、Webディレクターが指揮をとって開発を進める必要があります。このような理由から、Webディレクターは今後も引き続き求められる存在であるといえます。
こんな人におすすめ
- 面倒見がよい人
- Web関連の技術が好きな人
プロジェクトに関するさまざまな課題、メンバーに対するケアなど、細やかな気配りができる人は、Webディレクターに向いているといえるでしょう。
もちろん、Web制作に関わる職種ですので、Web関連技術への興味関心が強い人にも向いています。
②Webコンサルタント
Webコンサルタントは、主にWebに特化したコンサルティングを行います。
昨今、WebサイトやWebアプリケーションは、ビジネスを成功させるために必要不可欠な要素になっています。ただし、多くの企業はWebを活用しきれていないのも事実です。
Webコンサルタントは、企業のWebサイト、Webアプリケーションに関する課題を分析し、改善に向けた提案するのが主な仕事です。
Webエンジニアとして培った知識に加え下記で挙げるWebマーケティングや課題解決など、複数の知識やスキルも求められるため、専門性も総合力も求められる職業と言えるでしょう。
求められるスキル
Webコンサルタントに求められるスキルは下記のとおりです。
- 課題分析・解決のスキル
- Webマーケティングに関するスキル
一般的に、コンサルタントという仕事は、クライアントの業務に潜む課題を発見、分析し、解決策を検討します。これには、コンサルティング関連の専門的なスキルを必要とします。
また、WebサイトやWebアプリケーションを改善するためには、SEOなどといったWebマーケティングのスキルも求められます。
将来性
Webコンサルタントの将来性は高いといえます。
なぜなら、企業の最重要課題であるWebサイトやWebアプリケーションの活用には、Webコンサルタントの存在が欠かせないからです。ここを疎かにする企業は近い将来に淘汰されてもおかしくありません。
下のグラフは株式会社ZUUと株式会社日本M&Aセンターの合弁会社であるZUUM-A社が行った「会社経営における課題」に関するアンケート結果の一部です。
こちらの結果によれば、会社経営の課題として「デジタル化・DX」が全体の2位となっており、多くの経営者が課題を感じていることが分かります。ただ、その必要性は十分に理解しているものの、デジタル化やDXに対応できる人材が社内にいないため、具体的なアクションを取ることができないままとなっている様子がうかがえます。
このようなデジタル化やDXを推進するためには、豊富な実績や経験を有するWebコンサルタントが必要となるのです。
こんな人におすすめ
- 困った人を助けることが好きな人
- 誰かの役に立つことに喜びを感じる人
Webコンサルタントはクライアントの課題を見つけ、ITを活用して解決策を提案するのが仕事です。クライアントの経営に直結する仕事でもあるため、仕事の難易度も高く、ハードな局面も多い仕事です。ただし、課題を解決まで導いた時の達成感は何物にも代えがたいものがあります。
そのため、少々ハードなことがあっても「困った人を助けたい」あるいは「誰かの役に立ちたい」という思いが強いタイプの人には、おすすめしたい職種です。
【フリーランス】Webエンジニアのキャリアパス
Webエンジニアとしてスキルを高めておけば、フリーランスエンジニアとなることも可能です。
フリーランスとして独立する場合、仕事や案件は自分自身で決めることができます。そのため、興味がある技術に関する仕事ができたり、収入がアップするメリットがあります。
一方で、案件獲得や事務作業を自力で行う必要があったり、案件を獲得できなければ収入が不安定になったりといったデメリットもあります。
求められるスキル
フリーランスのWebエンジニアには、下記のスキルが必要となります。
- 1人でWeb開発ができるスキル
- 営業スキル
企業に属するエンジニアは、先輩エンジニアや同僚に質問することができます。ただし、フリーランスWebエンジニアは、基本的に1人で仕事を進めていく必要があります。そのため、1人で問題なくWebサイトやWebアプリケーションを開発できるスキルを持っていることが望ましいです。
また、フリーランスWebエンジニアは、案件獲得、報酬の調整などの営業スキルも求められます。
将来性
フリーランスWebエンジニアの将来性は高いといえます。
現在、IT業界は空前の売り手市場であるため、多くの企業は採用で苦戦しています。ただし、だからといって採用する人材のレベルを落とすと、教育投資が無駄になるリスクがあります。
また、ポテンシャルが低い人材を採用しても、将来的に企業に対して貢献できない可能性が高くなります。その一方で、仕事は次から次へと発生していくため、企業はこれらに対応する人材をそろえる必要があります。
このようなケースにおいて、高いスキルをもち、即戦力として活躍できるフリーランスWebエンジニアを活用するケースが増えているのです。
株式会社Brocanteの調査によれば、ITフリーランスのエージェント市場規模は今後1,000億円以上に拡大するということです。フリーランスエンジニアと企業をつなぐエージェントの市場が拡大しているということは、実際にフリーランスエンジニアと契約する企業が増加していることを表しています。すでにフリーランスエンジニアの活用は当たり前の状態になりはじめているのです。
今後もフリーランスWebエンジニアとして豊富な実績とスキルがあれば、どの企業からも引く手あまたであることは明らかです。
こんな人におすすめ
- 自由な働き方を実現したい人
- 企業の制約に縛られたくない人
企業で働くエンジニアは、個々のエンジニアの考えより、企業にとって有益であるかを優先させなければいけないシーンが多くあります。そういった場面にストレスを感じる方はフリーランスとして独立するのがおすすめです。
Webエンジニアが理想のキャリアパスを歩むために必要な考え方
Webエンジニアが理想のキャリアパスを歩むためには、短期的な技術習得だけではなく、長期的なキャリアビジョンを持つことが重要です。
キャリアパスを明確にすることで、自分の学ぶべき知識や得るべき経験などの方向性がみえてきます。
ここではWebエンジニアが理想のキャリアパスを歩むために必要な考え方を4つ紹介します。
ステップ1 キャリアのゴールを設定する
1つ目はキャリアのゴールを設定することです。
キャリアのゴールが明確であれば、ゴールに向けた具体的な計画を立てることができます。
ゴール設定時のコツと注意点を紹介します。
- 「成功する」や「成長する」といった曖昧な目標ではなく、「5年以内にシニアエンジニアになる」など、具体的で測定可能な目標を設定します
- 「年収1,000万を目指す」などの長期的な目標だけでなく、「3年以内に年収750万をめざす」などの短期的な目標も設定します
- IT技術の進歩や市場の需要と供給の変化によって定期的に目標を見直し、柔軟に対応しましょう
ステップ2 自己分析をして自分の強みを把握する
2つ目は自己分析をして自分の強みを把握することです。
自分の強みを把握すると、どの分野で自分が力を発揮できるかが分かります。
自己分析の結果、Pythonなどのプログラミングスキルに自信があれば、スキルを活かしてフロントエンジニアかバックエンドエンジニアなどのキャリアを築くことも可能です。
自己分析を行う際のコツと注意点を紹介します。
- まず自分が持っているスキルを書き出して、初級や中級などのレベルを評価します。これにより自身の強みや弱みを把握できます
- 評価を受ける機会があれば、客観的な視点を取り入れましょう
- 定期的な自己分析を行い、スキル評価を行いましょう
ステップ3 ゴールにたどり着くまでに必要なスキル・経験をまとめる
3つ目はゴールにたどり着くまでに必要なスキル・経験をまとめることです。
例えば、バックエンドエンジニアを目指したいと考えている人は、データベースの知識や実務経験が必要です。
スキルや経験をまとめる際のコツや注意点を紹介します。
- 目標とするゴールに必要なスキルや経験を調べて、自分に足りないものを把握します
- 習得したスキルを実際のプロジェクト等で活用し、実践的な経験を積みます
- 再度、ゴールに必要なスキルや経験から自分に足りないものを確認し、実務経験を積みましょう
ステップ4 転職市場での評価を確認する
4つ目は転職市場での自分の評価を確認することです。
自分のスキルや経験の市場価値を把握することで、転職やスキルアップの戦略を立てられます。
転職市場での評価を確認する際のコツや注意点を紹介します。
- 自分の目標とする年収や企業の求人情報を定期的に確認し、求められるスキルや経験を把握します
- プロのキャリアコンサルタントに相談し、自分の市場価値を客観的に評価してもらいます
- 自分のスキルで得られる報酬を確認し、基準を持ちましょう。
Webエンジニアがキャリアパスを実現する4つのポイント
Webエンジニアのキャリアパスはたくさんあるため、自分に合った選択をすることが重要です。最適な選択をすれば、モチベーションも高まりますし、それに伴って収入も増えていくことでしょう。
ここからは、理想のキャリアパスを実現するためのポイントとして下記の4点をご紹介いたします。
1つずつご説明します。
必要なスキルを習得しておく
キャリアパスを実現するためには、それぞれのキャリアパスに必要となるスキルをしっかりと習得しておく必要があります。
今回ご紹介した職種は、いずれもWebエンジニアよりも高度なスキルや経験が必要です。スキルの習得には時間がかかるため、少しずつスキルや経験を積み増しておくことが大事です。
まだキャリアパスを決めかねている場合は、プログラミングスキルやマネジメントスキル、ネットワークやセキュリティなど、できるだけ幅広いスキルを身につけておいた方が、将来の選択肢は広がります。
一方、スキルが低いままでは、希望したキャリパスを実現できなくなってしまうリスクもあります。
プライベートな時間に学習をしたり、最新の技術動向を常にキャッチアップするなどして、日々のスキルアップを心がけましょう。
ポートフォリオを作成・更新する
エンジニアとしての実績を示すためには、ポートフォリオを用意する必要があります。優れたポートフォリオは企業側にスキルや実績をアピールすることができます。
Webエンジニアであれば、オリジナルのWebサイトやWebアプリケーションなどをいくつか開発して、ポートフォリオとして提出するようにしましょう。その際、
- どこにこだわったか
- 苦労したポイントと解決方法
などを、自分の言葉で話せるようにしておくと良いです。
ポートフォリオの重要性と作成のポイントは次の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
履歴書や面接の対策をしておく
履歴書や面接の対策も万全に行いましょう。
転職活動を行うためには必ず履歴書を書き、面接を受ける必要があります。その際、企業に対して、下記のポイントを中心に自分の魅力とやる気をアピールしましょう。
- 志望動機
- 開発実績
- 得意な開発分野
- 今後のキャリアプラン
とはいえ、こうしたポイントを客観的に見て、履歴書や経歴書に書いたり、面接の場で伝えたりするのは簡単なことではありません。
最近の転職エージェントでは、書類添削や面接対策、ビジネスマナーの教育といったサポートをしているところも多いので、利用してみるのもおすすめです。
案件の紹介、企業とのやりとり代行なども対応してくれるので一石二鳥です。
なお、履歴書や面接時の質問において重要な「志望動機」については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
副業で実務を経験しておく
副業で実務を経験しておくこともおすすめです。
今回ご紹介した職種の中には、副業で実務を経験できるものもあります。そういった仕事をあらかじめ副業として経験しておくことで、仕事の進め方や必要なスキルとレベル感など、自分が考えていたギャップを埋めることができま、実際にキャリアパスを実現する際の貴重な経験値となります。
人から聞いた話やインターネットで調べた情報だけでは、その職種についてすべてを知ることはできません。目指す職種が、自分が考えていたような仕事であるかを確認するためにも、副業で実務を経験しておくようにしましょう。
Webエンジニアキャリアパスに関するよくある質問
Webエンジニアキャリアパスに関するよくある質問を4つ紹介します。
キャリアパスに役立つ資格を取得する
Webエンジニアとしてのスキルを証明する上で資格の取得は有効です。
資格は、転職市場で人物を評価する際に利用されます。特に難易度の高い資格を有している場合、年収も比例して高くなる傾向があります。
Webエンジニアのキャリアパスに役立つ資格は次の3つです。
- 応用情報処理技術者試験
- Oracle認定Javaプログラマー
- Oracleマスター
応用情報処理技術者試験は、情報処理技術者試験の一つで、基礎から応用まで幅広いIT知識を有している証明となる国家資格です。
次に、Oracle認定JavaプログラマーはJavaの専門知識とスキルを有する証明です。最後に、OracleマスターはOracleデータベースの管理と運用に関する専門知識を証明します。
Webエンジニアのキャリアアップを叶えられれば年収1000万もいけますか?
Webエンジニアとしてのキャリアアップを叶えれば、年収1000万円は可能です。
ITエンジニア職は保有する知識やスキル、経験、需要と共有により年収が高くなります。そのため、近年注目されているクラウドコンピューティングやAI、ビッグデータ解析などの高度な技術を習得することが近道です。
また、IT技術だけでなく、プロジェクト管理などのマネジメントスキルを磨くとプロジェクトマネージャーといった高報酬のITエンジニア職を目指すことができます。最後に、フリーランスとして独立し、高単価案件を受注することで年収を高くすることも可能です。
いずれの方法もスキルを有していることが前提につき、日ごろから学習する姿勢を持ち続けましょう。
Webエンジニアの業務適性を把握するにはどうしたらいいですか?
Webエンジニアの業務適性を把握することは、キャリアの方向性を定める上で重要です。
業務適性は、自己分析ツールやアセスメントテストを利用しましょう。自分の性格の強みや弱みを客観的に把握できます。
また、インターンシップや副業で実際のプロジェクトに参加し一連の開発業務に取り組むことで、自分の適性をより深く理解できます。
Webエンジニアの35歳限界説は本当?
Webエンジニアには「35歳限界説」という言葉がありますが、これはIT業界の特徴によって生まれた言葉です。
IT業界は常に進化しているため、最新の技術やトレンドに対応できるよう、継続的に学習する姿勢が求められます。一時的に得たスキルでは、業界に置いて行かれる可能性があり、年齢の限界を超えるためには、継続的な学習とスキルの更新が重要です。
そのため、一つの分野にこだわらず、フロントエンドやバックエンド、データベース、クラウドなど多岐にわたるスキルを習得することで、柔軟なキャリアプランを描くことができます。
年齢を理由に限界を感じることなく、積極的に新しい挑戦を続けることが大切です。結果的には、高いスキルを得たことで高い年収を得られる可能性があります。
まとめ
今回はWebエンジニアのキャリアパスについて紹介しました。
Webエンジニアのキャリアパスは多種多様であることが分かりました。自分の強みや希望を踏まえて、プログラミングをはじめ技術系のスキルを磨くか、マネジメント系スキルを磨くのか、キャリアパスを選択しましょう。
ただし、どのキャリアパスにもスキルが必要となるため、日常的に学習する必要があります。それこそがWebエンジニアのキャリアパスを実現するための近道です。
この記事の監修者
フルスタックエンジニア
音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。