システムエンジニアはやめとけって言われるけど本当?
そんなに大変な仕事なの?
周囲の人に「システムエンジニアになりたい」という話をして、「キツイからやめておけ」と言われた経験がある方もいるでしょう。
そこで、今回はシステムエンジニア(SE)という職業はそんなに厳しいものなのか?システムエンジニアはやめとけと言われる理由や、それでも目指す価値のある職業なのかを解説します。
システムエンジニア(SE)とは
システムエンジニアは、「システムの設計から納品までの全ての工程で活躍する」エンジニアです。
システムエンジニアの業務には、次のようなものがあります。
- クライアントの要望をヒアリングする
- 予算やスケジュールに合わせたシステムを設計する
- プログラマーに仕様を共有する
- プロジェクトの規模によって開発業務も兼務
- 全体の進行を把握しスケジュールや人員配置を見直す
- 仕様を満たすシステムかテストする
これだけでも業務範囲の広さがうかがえるでしょう。実際の作業は、これら業務の中にさらに細かいタスクがいくつも連なっています。
全ての工程に関わるだけあって気を配ることが多く、同時にいくつものタスクをこなす必要があります。納期・予算の管理はもちろん、クライアントやプロジェクトメンバーとの密な情報共有が求められることもあり、責任の重い仕事であることは確かです。
システムエンジニアの仕事内容や1日の仕事の流れを知りたい方は、こちらの記事をご参考にしてください。
システムエンジニア(SE)はやめとけと言われる3つの理由
システムエンジニアはやめとけと言われる理由は、次の3つの理由です。
- 業務量が多く残業が多い
- プロジェクトでのトラブルが発生しやすい
- 関わる人が多く調整・管理が大変
それぞれの理由を詳しく解説します。
業務量が多く残業が多い
システム開発ではさまざまな業務が発生し、システムエンジニアは多くの業務を担当します。そのため、システムエンジニア1人当たりの業務量や残業は多いです。
また、システム開発は計画通りに進まないことも少なくありません。計画通りに進まない例は、次のとおりです。
- システム開発には初物も多くなにが正解かわかっていないこともある
- 仕様が決まるまでに時間がかかり開発着手が遅れた
- 簡単に実装できると思っていた機能が実は技術的に難しく時間がかかった
- プロジェクトメンバーが突然退職することになり人員が減った
現場では、問題にあげたようなことが度々起こります。顧客との調整を行いますが、システムの運用開始時期はすでに決まっており期日を動かせないことも多く、要員の追加などの対応ができない場合は残業でこれらの問題をカバーすることになります。
最近は、時間外労働の規制が厳しくなっています。それでも、残業を少なくする施策は取っていない会社もまだあるのです。
プロジェクトでのトラブルが発生しやすい
システムエンジニアの仕事にはトラブルがつきものです。メイン業務がトラブル対応、といえるほど多発するプロジェクトもあります。
トラブルには次の例があります。
- クライアントが予算はそのままで機能の追加要望
- 開発フェーズでクライアントから仕様変更の依頼がくる
- 現在主担当の案件が忙しいときにシステムの障害が起こる
- プロジェクト終盤で仕様に矛盾が発覚し見直す
特に大規模なシステムほど要求が多くなるため、仕様が実装されているかテストするのを忘れ、クライアントがバグに気が付くこともあるのです。また、停電や災害などの状況でシステムに問題が起きた場合も、復旧させるために奔走しなくてはなりません。
自分は休みでも、システムは365日24時間稼働しています。システムの利用者がいる以上は、休日に何らかのトラブルが起きた場合はすぐ対応する必要があります。
そのため、休日返上で働かなければならない場面もあるのです。
関わる人が多く調整・管理が大変
システムエンジニアはいろいろな人との橋渡し役でもあります。クライアントと自社、自社とプロジェクトメンバー、プロジェクトメンバー同士……そういった人たちの意見をまとめるのもシステムエンジニアの役割です。
たくさんの人とプロジェクトを進めるため、相手と自分のスケジュールを合わせるのも大変です。またメンバー一人ひとりに気を配り、開発業務が円滑に動いているかも見なくてはいけません。
メンバーがアサイン(割り当てる)された活動ができているか、プロジェクト全体や工程に問題がないか確認します。
自分も1人のプロジェクトメンバーでありながら、その全体を見通して調整や管理をするのは簡単ではありません。メンバーの負荷を低減させる調整を行った結果、自分の負担が増える場合もあります。
本当にやめとけ?システムエンジニア(SE)に転職する3つのメリット
システムエンジニアをやめとけと言われる理由を紹介してきました。システムエンジニアは大変そうで、「転職するメリットがない?」と思った方もいるでしょう。
システムエンジニアの仕事は大変ですが、転職するメリットが3つあります。
- 広く通用するスキルが身に付けやすい
- プログラマーより年収は高い
- 大きな達成感を味わえる
それぞれ解説していきます。
広く通用するスキルが身に付けやすい
システムエンジニアとして働くことで、他の業界でも通用する5つのスキルが身に付けやすくなります。
- ヒアリング
- 情報伝達力
- コミュニケーション力
- 危機対応能力
- 論理的思考力
5つのスキルについて詳しく解説します。
クライアントが真に求めるものを引き出す「ヒアリング力」
まだ形が見えない要望からシステムの輪郭を捉えて設計していくため、ヒアリング力が鍛えられます。
システムを構想する時点では、クライアントもシステムにどのような機能がほしいのか、具体的になっていないことがほとんどです。そのため、システムエンジニアは真に求められるシステムの姿を考えながらクライアントに業務の内容をヒアリングするので、ヒアリング力が身に付きます。
認識を正確に共有するための「情報伝達力」
システムは、完成するまでは目に見えません。そのため設計や開発時点ではクライアントやプロジェクトメンバーに言葉や図などを用いながら、システムに関する情報を伝える必要があります。
そのため、毎日の仕事が情報伝達力のトレーニングになります。
チームで円滑に仕事をするための「コミュニケーション能力」
システムエンジニアは、常にクライアントやプロジェクトメンバーと密にコミュニケーションを取っています。
いろいろな役割や立場の人と接する機会も多いため、コミュニケーション能力も鍛えられます。
納期遅れの可能性などを察知して対応する「危機対応能力」
プロジェクトでは納期や予算に納められない、などの危機がよく起こります。システムエンジニアは、危機をいち早く察知して対応することが求められる仕事です。
そのため、システム開発の経験を積むことで危機対応能力も訓練されます。
論理的思考が身に付き、他の業界でも活用できる「論理的思考力」
プログラミングに限らずシステムエンジニアの仕事は、お客様の課題を論理的に思考し、プログラムという手段で解決することです。そのため、物事を論理的に思考し、対応策を考え、実行するという一連の流れを繰り返し行います。
物事を論理的に思考し、対応策を考える力はどの業界でも活用できる力でしょう。
プログラマーより年収は高い
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、10人以上の企業で働くシステムエンジニアの平均年収は380万円でした。一方、プログラマーの平均年収は約304万円と、システムエンジニアと比較すると約76万円の差が出ました。
システムエンジニアはプログラマーと比べて、対外交渉なども行うことから業務範囲が広くなります。
基本的に、プログラマーの業務は「コードを書く」など限定的な作業です。一方、システムエンジニアはシステム開発に必要な作業すべてに関わることになるため、プログラマーより年収が高くなる傾向があります。
「私はコードが書きたいのであってクライアントと交渉するのは嫌だ」「サーバーにしか興味がない」といった理由がないのであれば、より年収の高いシステムエンジニアを目指す方が良いでしょう。
大きな達成感を味わえる
システムが無事に納品でき、クライアントに満足してもらえた!
プロジェクトが円滑に進んだ!
システムエンジニアは、こういった喜びや達成感が味わいやすい仕事です。なぜならクライアントと直接やり取りをするため、顧客から感謝の言葉を直接もらいやすいからです。
反対に、クライアントから直接苦言を呈されることもあります。しかし、開発中はがっかりしたような口調で話していたクライアントが、納品後は満足してくれたということも多くある話です。
そんなとき、直接やりとりをするシステムエンジニアなら「喜んでもらえる物を作るために奔走した甲斐があったなあ」と感じられます。クライアントと直接会う機会のない仕事では、なかなか経験できない感覚です。
そういった意味では、システムエンジニアはプロジェクトの成功をやりがいにしやすい職業といえます。
システムエンジニアは将来性ある職業
システムエンジニアはやめとけと言われる一方で、将来性のある職種です。
平成31年4月の経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、2030年までに45万人のIT人材が必要という試算が出され、IT人材の需要は今後も伸びる想定です。
2030年までにIT人材を占めるシステムエンジニアの割合が激減することは考えにくいため、システムエンジニアの需要も伸びると考えられます。
社内SEは最もおすすめのポジション
システムエンジニアは「大変そうで怖い」と思う方に、最もおすすめのポジションは社内SEです。社内SEとは、自社のシステムの開発・保守を担当するシステムエンジニアです。
社内SEのクライアントが自社の従業員になります。他社の開発を請け負うSIerのシステムエンジニアに比べて納期のプレッシャーが少ないため、おすすめです。
文系でもSEになることは可能
システムエンジニアというと理系の人をイメージしやすいですが、文系の人でもシステムエンジニアになることは可能です。実際に、多くの文系出身者がシステムエンジニアとして働いています。
文系の人は理系の人に比べて、コミュニケーション能力が高い傾向があります。理系の人よりもシステムエンジニアの適性がある場合も多いのです。
未経験からシステムエンジニアになる具体的な手順とは
未経験からシステムエンジニアになる具体的な手順を、3つ紹介します。
- 未経験でも就職可能な企業に就職する
- 独学で勉強してから就職する
- プログラミングスクールに通ってから就職する
それぞれの手順を詳しく解説します。
未経験でも就職可能な企業に就職する
システムエンジニアは、新卒(学校卒業3年以内)であれば年齢・学歴不問という企業も多いです。
なぜなら、近年需要に対してIT人材は圧倒的に不足しているからです。経産省から発表されている「IT人材需給の調査」からも、今後もIT人材の需要は増え続けると予想されています。
未経験からであれば、新卒者向けの研修している企業に就職することをおすすめします。
研修期間が短い企業では1~3ヵ月、長い企業だと半年程度行っているので、プログラミングのような専門的な知識がなくても就職が可能です。ただし、研修後に実務に触れて「想像と違う」とギャップを感じやめていく方もいます。
想像と違う企業を避ける為には、
- 転職口コミサイトで実際に働いている人や退職した人の口コミ
- 平均残業時間やみなし残業が多すぎないか
- 面接のときにオフィス見学可能か
- 実際に社員の方と会ったときにいきいきと働いているか
などを確認することが大切です。
転職サイトや求人情報はもちろん、実際の企業や社員の雰囲気を感じるのも理想とのミスマッチを減らす手段になります。インターンを実施している企業であれば社員の方と交流しながら勉強もできるので、気になる企業があれば積極的に参加しましょう。
独学で勉強してから就職する
20代後半にもなると、未経験で就職することは難しくなってきます。ITに関する実務経験がない場合は、独学でプログラミング学習したり自分でサービスを作ったりすることで、就職に有利に働くでしょう。
最近では、Progateやドットインストールをはじめプログラミングを学習できるサイトが増えており、独学でもネット環境があれば学習は可能です。
特に、自分でサービスを作った実績はアピールポイントになります。「学習意欲があり、自発的にチャレンジできる人」というイメージを持たれます。たとえ小さなサービスでも、自分で作ることにチャレンジしてみることが大事です。
また、基本情報技術者試験などの資格取得も有効です。
中途採用となると、ある程度のプログラミング知識や専門用語は知っている前提で仕事が進められることも多いです。そのため、就職する前にITに関する基礎知識は身に付けておくと良いでしょう。
プログラミングスクールに通ってから就職する
独学が難しい方は、プログラミングスクールに通うことをおすすめします。
独学では、「わからないことがあっても聞く人がいない」「調べてもわからない」ということがたくさんあり、挫折しやすいです。
プログラミングスクールでは、
- マンツーマン講師が付いて、いつでも質問ができる
- 無料で受講可能(就職に成功したら返金などもあります)
- オンラインまたは通学を選択可能
など、学習するための環境が整っていて、継続しやすいです。
また、就職までサポートしてくれるスクールも存在します。プログラミングスクールが紹介する企業は、働きにくい企業の可能性は低いでしょう。
なぜならプログラミングスクールが紹介する企業が働きにくい企業だと、スクールの評価も下がってしまうからです。就職に失敗したくない方は、スクールが紹介する企業に就職するのがおすすめです。
なお、侍エンジニアの転職保証コースではプログラミングを学びつつ、就業活動をサポートしてもらえます。また、転職活動で内定を獲得できなかった場合には受講料を全額返金してもらえる「保証制度」を設けているため、はじめての方でも安心して受講できます。
気になる方は気軽にご相談ください。
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システムエンジニアはやめとけ、と言われる理由を紹介しました。システムエンジニアは大変な職業ではありますが、転職に有利なスキルが身に付くといったメリットもあります。
ITエンジニアを目指している方は、ぜひ本記事を参考にシステムエンジニアも視野に入れてみてください。
この記事のおさらい
「業務量が多く残業が多い」「プロジェクトでのトラブルが発生しやすい」「関わる人が多く調整・管理が大変」の3つの理由です。
「将来に通用するスキルが身に付けやすい」「プログラマーより年収は高い」「大きな達成感を味わえる」の3つのメリットです。