いまAI分野は常に人材が不足しています。
現在は第三次AIブームと言われています。世界的な規模でAI開発や研究がおこなわれており、AI技術を活用したさまざまなサービスやビジネスも登場してきています。
しかし、それらの開発のための需要に比べて、AI分野は人材が不足しているのが現状です。
この記事ではAI人材が求められる背景や、AI人材となるためにはどうしたらよいか、詳しく紹介していきます。
AI人材とは?
平成の終わり頃にあちらこちらで、「AI人材」という言葉聞くようになったと思います。それと同時に人工知能、機械学習など未来を感じさせる技術が、一般に浸透してきました。
AI人材とは、人工知能や機械学習によるデータ解析の技術搭載したソフトウェアやアプリ、製造装置、ロボットなどを開発するITエンジニアの1つです。
この記事を読んでいる方の中にも将来AIを活用するエンジニアになりたいと考える人がいらっしゃると思います。
この記事はAI人材になるための解説記事ですが、その前にAIエンジニアとは具体的に何なのか、ここで解説させて頂きます。
AI人材の定義
AI人材は従来のITエンジニアと違う側面があります。
AI人材の1つの職業であるAIエンジニアは、機械学習やディープラーニングと呼ばれる技術を基に、多量のデータをAIに学習させます。
AIはそのデータを活用し、自発的に問題の解き方や判断基準を構築していきます。人間はあくまでAIがどう学習させていくか手伝いをするだけの、まるで学校の教師のような存在です。
一方で従来のITエンジニアは、人間がデータを与えて、そのデータをどのように解き、どう判断するかをプログラムします。マニュアル作成に似ているかもしれません。
上記はエンジニアに限った話ですが、一般的にAI人材は、
- AIの問題を解決する人材:研究者
- AIを具現化する人材:エンジニア
- AIを活用する人材:アナリスト、コンサルタント
と定義されています。
AI人材の仕事はAIに奪われないのか
AIの話が世の中でニュースになるたび、「単純作業のような仕事はAIに取って代わられる」と耳にします。これは正しく、近い将来そうなるだろうと考えます。
ではAI人材と呼ばれる人の職業はAIに取って代わられることはないのでしょうか。AIを活用する側なのだから大丈夫に決まっていると思われかもしれません。しかし、いつかは取って代わられる日が来ます。
むろんすぐにというわけではありません。ただ前項でも述べた通り、AIは与えられたデータを独自で問題解決し判断を下します。
ということは遠い将来、AI自身がデータを取得し、問題解決を行い、解決策をどう活用すればよいか判断する日が必ず訪れます。
現在AI人材と呼ばれる人も、AIに仕事を奪われないよう、どうすればよいか考えていく必要があります。
AI人材の年収は
ここまで有名になったAI人材の年収はいくらなのでしょうか。調査してみると以下のようになります。
AIエンジニア:652~861万円(給料BANK調べ)
他のITエンジニアと比較すると、かなり高いです。しかもこの年収はどんどん上がってきています。近年では新卒でも年収1000万円で雇用(DIAMOND)すると言っている企業も出てきています。
また海外は日本とは比べ物にならないほど高給取りとなります。平均でも2000万円、最高で5000万円(東洋経済ONLINE)もあります。
日本、海外ともAI人材の年収はどんどん上がってと思いますので、夢はとても膨れます。
AI人材不足の解消が求められる背景
AI人材の需要はどんどん高まっているのに、不足していてどうしようもない。そんな状況が今の日本です。
そのため政府は2025年までに、大学の全学生50万人にAIや数理・データサイエンティストの基礎を習得させると述べています(AI戦略)。
なぜこのような状況となっているのか、ここではAI人材不足の解消が求めれている理由を解説します。
政府の目標達成のため
政府がAIの本格導入などに向けた「統合イノベーション戦略」を閣議決定したという背景があります。
政府は最先端のIT人材の育成を柱とし、2025年までにAIの基礎知識を持つ人材を年間25万人育てるという目標を掲げています。「統合イノベーション戦略」では目標の達成に向け、文系や理系を問わず全大学生がAIの初級教育を受けるよう大学に求め、社会人向けの専門課程も設置する方針となっています。
AI需要の高まりに対応するため
さまざまな企業がAIに注目し、需要が急速に高まっているという背景があります。
アメリカの調査会社のデロイトは、AIの機械学習を2018年に自社の事業やサービスに取り入れる大企業の数が、2017年の2倍になるという予測を発表しています。近年AIに注目する企業は増加し続けており、さまざまな業界でAI人材の需要が急増しているという背景があります。
AIがもつポテンシャル
AIはまだ多くの企業が引きだせていないポテンシャルを秘めています。
企業の多くは、まだAIの真のポテンシャルを完全には引き出せていません。しかしAIは、企業の役割を完全に再定義するほどの影響力を持っています。このような勢いのあるテクノロジーによって、いまだかつてない組織的効率性が実現し、さらに新世代のすぐれたサービスや商品が増加するでしょう。
人工知能を取り入れることで実現可能なことは下記の記事でも解説しています。
労働力の課題解決にAIが果たす役割
AIは少子化にともなう労働力不足の問題や業務の効率化に寄与すると考えられます。
現在の日本は少子高齢化にともなう労働人口の減少という局面に立たされており、どの業界でも人材不足という課題を抱えています。しかし単純作業やルーティンワークなどの業務をAIに代行させることができれば、高度な作業のみに人員を効率よく配置することができ、人不足を補える可能性があります。
AI人材育成状況 企業/大学
AI人材は今不足している。だからAI人材を育成しようという流れは分かります。
では具体的にどのような育成をしているのか気なることと思います。ここでは企業・大学でAI人材育成に向けてどのような取り組みが行われているのか解説します。
企業ではオンラインでの育成が主流
AI人材は一朝一夕でなれるものではないため、学習も必要ですが、実務による経験からスキルアップしていくのも重要です。
しかし、企業ではこれまでAIを活用した仕事がほとんどなく、仮にAI活用を考えた場合、一世一代のプロジェクトとなるため、それを社員のスキルアップのためと割り切るは難しいです。
そのため社外のAI人材育成サービスを用いて、目標とするAI人材を育成しようとするのが企業の主流となっています。主なものでは、
- TRAINOCATE(エンジニアからプランナーまでAI人材全般の育成)
- SKYDISC(製造業向けAI人材教育サービス)
- TIS(AI人材育成サービス)
などです。これ以外にも数多くのAI人材育成サービスがあり、一大市場を築きつつあります。
大学ではAI関連の学部・学科が設立
大学に関しては、「AI人材不足の解消が求められる背景」でも解説したように2025年まで大学ではAI・数理・データサイエンティストの習得を全学生に行うようにすると政府が述べています。
それ以外にも、ここ2,3年でAIやデータサイエンティストを学べる学部・学科が新設されました。
一例としては、
などです。これ以外にもたくさんありましたので、ぜひご自身で調べてみてください。
AI人材に求められるスキル
ここまでの解説で、AI人材が望まれていることが分かったと思います。ではAI人材になるためのスキルはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、これからAI人材になりたいと考えている方にぜひ知っていて欲しい、AI人材に求められるスキルを解説します。
Pythonなどのプログラミングスキル
AIや機械学習となると必ず出てくるプログラミング言語がPythonです。AI人材になるなら必ず習得しておきたいプログラミング言語です。
しかし、数多くあるプログラミング言語中でなぜPythonなのでしょうか。理由としては数的処理や統計解析を行うライブラリが、Pythonに豊富にあることです。
ライブラリは汎用性の高い機能が実装されたプログラムの塊のことで、処理が難しいコードもライブラリをインポートすることで、簡単にコードを書くことができます。
数的処理や統計解析のコードを1から書くのは非常に難しいですし、時間も掛かるのでライブラリが豊富にあるPythonはAIや機械学習の開発に対して、非常に心強い道具になります。
AIとPythonの関連性については以下の記事で解説しています。合わせてどうぞ。
数学的な考え方
AIや機械学習では非常に多くに数値データを取り扱うことになり、その数値をどう扱うかには数学的な考え方や知識が必要となってきます。
特にAIの研究職やエンジニアを目指す方は、数学について深いところまで知る必要があるのは言うまでもありませんが、プランナーやアナリストを目指す方も基礎的な知識は必要となってきます。
データは表形式で使用することがあるため、数学の中でも特に「線形代数」は重要となってきます。
多くの人は数学は苦手とおっしゃると思いますが、避けては通れないことを覚悟してください。
統計解析・分析手法
数学的な考え方と同じく、統計解析や分析の手法も必要となってきます。理由はもちろん、多量のデータを取り扱うからです。
統計解析などは、高校までの数学で習ってきていない人がほとんどだと思います。そのため最初はとっつきにくいですが、頑張って習得してください。
AI人材の仕事と種類
AI人材には4つの種類があります。
文部科学省では、AI人材とは
- 「AIの問題を解決する人材」
- 「AIを具現化する人材」
- 「AIを活用する人材」
と定義されています。
AI人材と聞くと、IT人材のようにAIの開発にかかわるエンジニアのみを想像しがちですが、IT人材の一部にAI人材が含まれているだけで、AI人材はエンジニア以外にもさまざまな種類の職業があります。ここではAI人材の4つの種類を紹介します。
AIエンジニア
AIエンジニアはAIの性質を踏まえた上でシステムの企画や設計から構築を行うエンジニアです。
AIエンジニアはAIを具現化する人材だと言えます。構築したAIを活用し、周辺技術を合わせて実装する役割を持ちます。AIプログラマーという言い方もありますが、分けるとすればエンジニアは企画や設計などの業務区分の上流工程、プログラマーは開発作業という下流工程を担当するという違いがあります。
データサイエンティスト
データサイエンティストはAIの性質を踏まえた上でデータ解析を行う職業です。
データサイエンティストはAIの問題を解決します。AIに関する応用研究を通じて、標準化を推進する役割を持ちます。最近新しく注目されている分野ですが、データ解析ができる「データサイエンティスト」はスキルを持っている人材が少なく、大企業でもデータサイエンティストを養成する動きも出ています。
ビジネス
ビジネスはAIの性質を理解し、ビジネスに活用する人材です。次に紹介するプランナーと重なりますが、AIの技術をビジネスに利用できるようにするのが役割です。
AIを活用する人材だと言えます。近年では研究者やエンジニアなどの専門職以外にも、ビジネスに応用するために経営者やビジネスマンなども積極的にAI技術の知識を習得しています。
プランナー
プランナーはAIの性質を理解し、ビジネスへの転用を行います。
プランナーはAIを活用する人材です。AI活用に関する企画や業務設計を担当し、周囲と調整する役割を持ちますが、開発や研究を直接を行うわけではないため、技術スキルはそれほど求められません。AIを活用することで、ビジネスの課題を解決したり、新規ビジネスの立ち上げなどを行うことがプランナーの役割となります。
AI人材になるには?学習方法紹介
今後需要の増していくAI人材になるにはどのような手段があるのでしょうか。
今のうちにAIに関する技術や知識を習得しておくことで、将来的にもAIビジネスや研究など、さまざまな場所で活躍することが可能になります。
しかしそのためには、必要な知識や技術を習得する必要があるでしょう。ここではAI人材になるための具体的な方法について紹介します。
人工知能の技術を学べるスクールについては下記の記事で詳しく紹介していますので、併せてお読みください。
資格に挑戦して知識とスキルを積む
AI人材になるには、資格に挑戦してスキルを積む方法があります。
AIに関連した資格にはさまざまな種類があります。エンジニア系以外なら、有名なところでは「G(ジェネラリスト)検定」と呼ばれる検定があり、AIを事業に活用するために必要な知識が試されます。
また、「E資格」はエンジニア向けの資格で、応用数学から深層モデルの構築まで幅広く出題範囲になっており、AIエンジニアとして活躍したい人に適しています。
プログラミングスクールで学ぶ
近年はプログラミングスクールでも、AIや機械学習の学習サービスを行ってきているところがたくさんあります。
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大学で学ぶ
AI人材になるには、大学でAIに特化した勉強をする方法があります。
本格的にAIについて学びたい場合には、大学で専門的な勉強をするのも良いでしょう。政府が目標として上げていることもあり、AIについて詳しく学べる情報系の大学も増えてきています。また、学生だけでなく、一度社会人になった人でも改めて大学で学びなおすのも1つの方法です。
まとめ
いかがでしょうか。
本記事ではAI人材不足と育成の状況から、AI人材になるための指標を解説させて頂きました。
IT業界だけでなく、今後はさまざまな業界でAIを開発・活用できる人材が求められます。そのためAIスキルを習得している人は重宝され、高給取りになれる可能性が高いです。
この記事をきっかけとし、世界から求められる人材を目指し、読者の皆様がぜひ豊かな生活をおくれる人生となることを私は望んでいます。