ICT教育は現在日本の教育機関で推進されている教育手法です。
侍エンジニアの詳細はこちらこの記事ではICT教育を導入している大学での取り組み内容やその目的、ICT教育のメリットやデメリットなどを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
ICT教育とは
ICT教育とは、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育方法です。ICTは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、パソコンやタブレット端末、プロジェクターや、学習用のソフトウェアを活用した授業まで、幅広い内容を指しています。
AIの技術進歩や情報化社会が広がりを見せるにつれ、学校でもICT教育を取り入れるところが増えてきました。
導入されているICT教育について
学校で導入されているICT教育の内容は、多岐に渡ります。情報通信技術を利用した授業全般を指すため、たとえばパソコン教室でのインターネットを利用した授業もICT教育に含まれます。
また、生徒に学習用タブレット端末を配布して資料を共有したり、電子教科書やノート機能のあるデジタルメモなどを使って授業を受けたりといった内容など、ICT教育を導入している学校が増えてきています。
ICT教育の大学での取り組み5つ
ICT教育は多くの大学でも取り入れられています。近年では、喋る冷蔵庫などをはじめとしたIoT家電やAIアシスタントや、新しい技術が身近に増えてきています。
教育の面でも、今後も変化していく情報化社会の中で、ICTは重要視されているため、さまざまな大学がICT教育を取り入れ始めています。ここでは、ICT教育における大学での取り組みを5つ紹介します。
ICT教育の大学での取り組み1:慶應義塾大学
慶應義塾大学は、「大学連携によるICTリーダーシップ教育」といったプログラムを採択しました。
同大学でのプログラムは、東京大学大学院情報理工学系研究科と慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科が戦略的に連携することにより、世界最高水準のICTリーダーシップ教育の実現を目指しているものです。
ICT教育の大学での取り組み2:北海道大学講座gacco
北海道大学は、オンライン講座「gacco」にて、eラーニング講座である「放射線・放射能の科学」を開講します。同大学の講座では、放射能や放射線の基礎知識や人体への影響、放射線検出や測定方法、放射線や放射能の工学・農業分野への応用などを学ぶことが可能です。
講義には高校卒業レベルの数学や物理の知識を要し、隔週の課題に最終レポートを合わせて得点率6割以上で修了認定を行います。
ICT教育の大学での取り組み3:早稲田大学エクステンションセンター
早稲田大学エクステンションセンターは、新設講座としてICT人材の指導者養成講座を設ける予定です。早稲田大学の生涯教育機関である同センターが開催しているオープンカレッジの1つとして、「次代を支える子供たちを“グローバル・ICT人財”に育てる指導者養成講座」を開設します。
この講座はICT教育者を育てることにより、子ども達がICTに親しみ、社会の発展に貢献することを目的としています。
ICT教育の大学での取り組み4:筑波大学附属学校群
筑波大学は、ICT活用事例の発表会である附属学校研究発表会を開催しました。
筑波大学は2015年の「黒姫高原共同生活」発足以来、教職員と生徒で障害や多様性への理解や意識の向上を目指して活動してきました。
筑波大学附属学校群の発表会では、この共同生活により、児童はどう変わったのかなどを発信し、今後の発展について議論を行いました。
ICT教育の大学での取り組み5:大阪成蹊大学
大阪成蹊大学は、公開講座「未来展望セミナー2020」を開講することを発表しました。
同大学の「未来展望セミナー2020」は、各分野の専門家を講師として迎えた全8回の連続講座となっています。
ICTの加速や少子高齢化、国際競争の激化など、将来待ち構えているさまざまな変化を踏まえて、これからの日本を担う人材に必要なグローバル競争に勝ち抜く知識を身につけてもらうことを目的としています。
ICT教育は国の方針
学校でのICT教育は、国の方針として推進されています。国が纏めている小学校、中学校、高等学校での教育では、教育情報化の推進が項目として上げられています。
また、その中でICT環境の整備として、2018年から2022年度までの5年間で環境整備を行う計画を策定しています。
文部科学省が推進
ICT教育は文部科学省が「平成30年度以降の学校におけるICT環境の整備方針について」取りまとめ、推進しています。文部科学省がまとめた新学習指導要領では、言語能力や問題発見・解決能力などとともに、情報活用能力も学習の基礎となる能力として位置づけています。
小学校でのプログラミングの授業の必修化など、今後も学習活動でのICTの活用は積極的に行われていくと言えるでしょう。
ICT教育の目的2つ
ICT教育には「わかりやすい授業の実現で」と「21世紀型スキルへの対応」の2つの目的があります。近年になってICT教育が注目され、積極的に推進されるようになってきた流れには、現在の情報化の流れが従来の教育の方向性とずれていることが理由の1つに挙げられます。
ICT教育の目的1:わかりやすい授業の実現
ICT教育は従来よりもよりわかりやすい授業が実現することを目的としています。これまでの授業では、紙媒体の教科書やノートを利用し、黒板の内容を板書するといったことが主となっていました。
しかしICTを活用すれば、アニメーションや映像、音などを組み合わせることにより理解しやすい授業が実現できます。
ICT教育の目的2:21世紀型スキルへの対応
ICT教育は、インターネットなどで得られた情報を活用する21世紀型スキルを培うことを目的としています。従来の教育では、どれだけ多くの知識を覚えられるかが重要でしたが、近年は知らないことでもインターネットを利用すればすぐに調べられるようになりました。
そのため、膨大な情報の中から必要なものだけを見つけて活用できるかが重要になってきています。
ICT教育のメリット5つ
ICT教育にはさまざまなメリットがあります。近年の大学を含めた、ICT教育に対する取り組みの加速や広まりは、教育を受ける子どもや学生だけでなく、教職者にとっても多くのメリットがあるからだと言えます。
ここでは、ICT教育のメリット5つを紹介しましょう。
ICT教育のメリット1:理解しやすい授業
ICT教育はさまざまな情報通信技術を用いるため、従来の教育よりも理解しやすいというメリットがあります。ICT教育ではプロジェクターやパソコンなどのモバイル端末などを活用することにより、音や映像、アニメーションなどを利用した授業を行うため、視覚的にわかりやすいという特徴があります。
たとえば、紙媒体では立体を理解することは難しいですが、デジタル映像なら図形を回転させることで理解を深めることが可能です。
ICT教育のメリット2:学習が効率化できる
ICT教育なら板書など余計な作業に時間を割くことがないため、効率的な学習ができるというメリットがあります。従来の授業では、教師が黒板に書く文字をノートなどに書き写す必要がありました。
しかしICT教育なら、黒板を書き写さなくても生徒の端末に内容を転送できるため、できた時間をさらに有益な学習にあてることが可能となります。
ICT教育のメリット3:校務が効率化できる
ICT教育なら多くの校務を削減することができるため、教員の負担を減らせるというメリットがあります。たとえばICT教育であれば、これまで授業準備のために行っていたプリントのコピーや配布作業なども、生徒の端末とデータで共有できるため削減可能です。
今までの校務に費やしていた時間を削減することで、教育に向けてより有益に時間を使うことが可能になります。
ICT教育のメリット4:個別学習・協働学習
ICT教育なら、生徒に合わせた個別学習や協働学習をしやすいというメリットがあります。同じ授業を行っても、生徒の理解度にはバラつきがあるでしょう。
従来の授業ではそれぞれのレベルに合わせた教育は難しかったですが、ICTなら支援が必要な生徒へのサポートも実現できます。また、グループ単位で考える協働学習でもICTを活用すれば、出しあった意見を端末で共有してまとめられるため、円滑に進めることが可能です。
ICT教育のメリット5:情報活用能力の向上
ICT教育なら必要な情報を見つけたり、取捨選択できる情報活用能力を伸ばしやすいというメリットがあります。今後も情報化社会が進んでいく日本では、自分に必要な情報や情報手段を見つけ、活用する能力が必須になります。
学校で学ぶICT教育により、情報の利用方法やリテラシーを習得することは、将来的に多くのメリットがあると言えるでしょう。
ICT教育のデメリット3つ
多くのメリットをもたらすICT教育ですが一方でデメリットもあります。学校側にはモバイル端末やプロジェクターなどの機器を購入するための費用や管理の負担が増すといったデメリットが挙げられますが、生徒側にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
ここではICT教育のデメリット3つを紹介します。
ICT教育のデメリット1:インターネットの問題
ICT教育にはインターネットの取り扱いに注意しなければいけないというデメリットがあります。ICTと切っても切り離せないのがインターネットですが、インターネットには有害なサイトやウィルスのリスク、長時間の利用による視力低下や寝不足といった健康被害をもたらす可能性があります。
そのため、ICT教育では安全なインターネットの利用方法やモラルについて学ばせる必要があります。
ICT教育のデメリット2:考える能力の低下
ICT教育では、インターネットで調べれば答えがわかるため、自分で考える能力が低下するというデメリットがあります。インターネットは便利ですが、教育においてはデメリットにもなります。
子どものうちからインターネットで何でも調べてしまうようになれば、自分でしっかり考え、問題に取り組む力が低下することが心配されます。そのため、ただ単に調べるだけでなく情報を見極め、活用する能力を指導することが必要です。
ICT教育のデメリット3:書く能力の低下
ICT教育では手書きをする機会が減るため、書く能力が低下するというデメリットがあります。端末を利用したICT教育では板書の必要がなくなる一方で、書く機会が少なくなる点がデメリットとして上げられます。
書くという行為をしなくなれば、文書の記述力や漢字の書き能力なども低下するという懸念があります。そのため、書き込めるタイプの教材も活用するようにしましょう。
ICT教育の大学での取り組みについて知っておこう!
ICT教育は今後、さらに多くの教育機関で行われていくようになるでしょう。ICT教育は現在、文部科学省推進のもとで小、中、高等学校で推進されています。
また、大学でもグローバルに勝ち抜くことができるICT人材を育成するための教育が広まり始めています。ぜひICT教育の必要性を知り、大学でのICT教育の取り組みについて理解を深めるようにしましょう。