システム開発とは？具体例や進め方の工程を初心者向けにわかりやすく解説

この記事では、具体例も交え、システム開発の進め方を解説します。

システム開発とは

システム開発とは、IT技術を駆使して、企業や事業者が抱える課題を解決するための「仕組み」や「枠組み」をつくることです。たとえば、社員の勤怠管理や経費精算、顧客情報の管理、事業の売上管理などのシステムをIT技術を活用して構築します。

システムで利用するソフトウェアの開発だけではなく、そのソフトウェアを動かすために必要なデータベースやハードウェア（サーバーや関連機器など）との接続・連携なども開発の要件に含まれるのが特徴です。

システム開発の目的

システム開発の主な目的は、企業の業務プロセスの最適化や生産性の向上、コスト削減です。

とくに現代では、業務プロセスの最適化の中でも、業務効率の改善が主な目的になっています。システム開発で業務効率を向上させられれば、企業の競争力強化や顧客満足度の改善にもつながります。

たとえば、従業員の勤怠管理システムを開発すれば、これまで手動で行っていた勤怠管理の効率化が可能です。

システム開発は、企業において情報の管理・共有・活用を効果的に行うための手段のひとつです。

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ソフトウェア開発との違い

開発範囲が異なる点で、システム開発とソフトウェア開発には違いがあります。

ソフトウェア開発は、主にアプリケーションの開発を指すのに対し、システム開発は仕組みや枠組みをつくることです。そのためシステム開発には、プログラミングを行う開発業務だけではなく、プロジェクト管理や開発したシステムとハードウェアの組み合わせ、業務要件に適した総合的なインフラ構築なども含まれます。

ソフトウェア開発と比べて、システム開発のほうがより広範で、大規模なプロジェクトとなる傾向がある点は押さえておきましょう。

システム開発の具体的な進め方

ここからは、システム開発の具体的な進め方を、7つのステップにまとめて紹介します。

なお、システム開発では徹底した進行管理が非常に大切です。システム開発の際は、プロジェクトの管理と進捗状況の把握をしつつ、スケジュール通りに各ステップを進めていきましょう。

ステップ1：要件定義（要求定義）

システム開発において、ユーザーやクライアントが求めるものを、どうシステムに落とし込むのかを決めるのが要件定義です。ユーザーの要求に応えるため、細かな動作や考えられるエラー動作などを、プログラムをもとに想定する必要があります。

また、クライアントからシステム開発を請け負う際はクライアントが求めるシステムがどのようなものか、細かく確認しておくのがおすすめです。クライアントと齟齬が起きないように、事前に入念な認識合わせをしておきましょう。

このように、要件定義はあらゆるプログラミング言語の知識や経験が求められる業務になります。

ステップ2：外部設計（概要設計）

外部設計は、概要設計とも呼ばれ、要件定義で決定した機能や性能などをもとに、システムの基本的な部分の設計を行います。基本的には外部設計までが、上流工程に含まれます。

操作画面や操作方法など、ユーザーに見える部分の仕様を決定したり、システム開発のスケジュールやセキュリティなどを設計したりと、ユーザーに向けた仕様を設計するのが外部設計です。

ステップ3：内部設計（詳細設計）

内部設計は、外部設計をもとにして、システム内部のユーザーから見えない詳細部分の設計を行います。

外部設計の結果を実際にプログラミングしやすくするために、内部設計はプログラム機能を分割し、そこで使用するデータなどを設計する業務になっています。

ステップ4：プログラミング（実装）

プログラミングの段階では、実際にプログラマーやエンジニアがコードを書いていきます。

外部設計や内部設計をもとに、クライアントやユーザーが求める機能を実装していきます。

ステップ5：テスト

ここからは、実際に設計通りにできたプログラムが、予定通りに動いているのかをテストします。

次のように、テストにもさまざまな種類があり、下記テストをすべて実行していきます。

単体テスト	単体テストでは、それぞれの機能単体が誤作動していないかどうか、チェックしていきます。エラーが発生した場合は、詳細設計書の通りに、エラー発生時の指示にしたがって原因の特定および改善をしていく必要があります。
結合テスト	結合テストでは、単体テストで予定通りに作動した機能を連結させても、プログラムがエラーなく作動するかを確認します。
総合テスト	総合テストでは、システム全体を連結させても、正常に作動するかを確認します。異常が発生した場合は、結合テストや単体テストの結果までさかのぼって、どこにエラーの原因があるのか探らなければなりません。
運用テスト	運用テストでは、実際の本番環境でもエラーなく作動するかどうか確認します。導入テストとも呼ばれ、ここでミスが起きるとユーザーやクライアントに直接影響が出るため、とくに注意を払って本番環境のもとテストを行う必要があります。

ステップ6：システム移行（リリース）

システム移行は、旧システムから切り替える工程で、リリースは、新しく構築したシステムを本番環境に移行し公開する業務です。システム移行にも、一斉移行や、徐々に切り替える順次移行など、さまざまな移行方法があります。

ステップ7：運用・保守

システムを移行・リリースした後は、システムが停止しないよう、メモリの利用状況などをチェックする業務である、運用・保守の段階に入ります。

そのほかにも、システムの細かな部分を改善したり、システムに不具合が起きたときの対応なども保守・運用業務に含まれます。

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システム開発の需要

システム開発は、企業のDX化やビジネス効率化、自動化の推進に不可欠です。政府のDX化推進や労働人口の減少の気運を考慮すると、今後もシステム開発の需要は高まっていくことが予想されます。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、2030年時点では最大で79万人のIT人材が不足する予測です。

実際に、複数の求人サイトでは2024年10月時点で、数万単位でシステム開発の募集案件が掲載されています。

求人サイト名	案件数
Freelance hub	12万1,480件
Lancers	1万3,460件

求人の数から見ても需要が高いことが確認できます。

システム開発の事例

なかには、システム開発のイメージがわかない人もいますよね。

そこで、ここからは次の業種別で、システム開発の事例を紹介します。

事例1：製造業

プリント・印刷加工を行っている製造業の会社では、生産性の向上を目標としていましたが、データの取得に工数を取られる上に、正確性も低い受注1件あたりの原価と粗利を出せていないという課題がありました。
そこで、

その結果、コストを細かに管理でき改善点が見つけやすくなりました。また、伝票発行や請求書の入金・会計までの処理がはやく正確になる、という成果も得ることができました。

事例2：販売業

アパレルの販売代理店では、

などはすべて紙で管理していたため、1件の受注の管理に多くの時間と手間がかかっていました。

そこで新たに販売管理システムを導入したところ、

などの成果が得られ、業務効率のアップとコストダウンの両方を実現することができました。

事例3：流通業

畜農産物の流通を行っている会社は、業務効率やサービス向上のために業務システムを積極的に導入していました。

しかしシステムが古くなってきていたため、

という課題を抱えていました。そこで、クラウド型の新しい運行管理システムを導入したことで、

することが可能となり、さらなる作業効率とサービスの向上を実現しました。

システム開発にかかる費用の目安

システム開発では、人件費や機材費などさまざまな費用が必要となりますが、人件費が大半を占めることが多いです。また、プロジェクトの規模や複雑さ、要求される機能なども関係し、さまざまな要因により大きく変動します。

ここでは例として、最も費用がかかる人件費に焦点を当てて、「給料ナビ」より各職業一人ひとりに必要な費用を紹介します。

また、人件費を計算する際、「1人が20日間、1日8時間稼働して処理できる仕事量」を「1人月」と表して計算することが多いです。

職業	費用
プロジェクトマネージャー	50万円~
システムエンジニア	41万円~
プログラマー	34万円~
デザイナー（UI/UXデザイナー）	51万円~

参照：求人ボックス

ほかにも、テスター（QAエンジニア）やインフラエンジニア、セキュリティエンジニアなどを雇い、計算に入れる場合があります。しかし、規模が小さいプロジェクトの場合、さまざまな業務を上記職業が兼任することも多いです。

システム開発における主な手法4種

ここからは、システム開発の主な手法を、4つにまとめて紹介します。

手法	詳細
ウォーターフォール	事前に決めた手順に沿って開発を進める手法
アジャイル	基本機能を先に開発し、ユーザーの反応を見て改善を加えていく手法
スパイラルモデル	基本機能を先に開発し、その他機能を優先順位をつけて開発・追加していく手法
プロトタイピング	本開発前に、試作品（プロトタイプ）を一度作成して、検証と修正を繰り返す手法

上記の手法は、プロジェクトの規模や要件、開発チームの特性などによって使い分けます。

ウォーターフォール

ウォーターフォールモデルは、伝統的なシステム開発手法の一つです。

この手法では、開発プロセスにおける複数の段階（要件定義・設計・実装・テスト・運用・保守）に対し、行程順にしたがって進めていきます。

決められた手順に沿って開発を進めていくため、進捗管理がしやすいのが特徴です。

しかしながら、開発途中に要件変更が起きた際、柔軟に対応するのが難しいというデメリットもあります。

アジャイル

アジャイル開発は、柔軟性と迅速な対応を重視した手法です。

アジャイル手法では、開発計画をたてる際に機能別に「計画」「実装」「テスト」を行うように計画します。1つの機能を開発するごとにユーザーからフィードバックを受け、適宜修正を加えながら進めていく手法です。

要件変更に柔軟に対応できるだけでなく、顧客と密接なコミュニケーションを取りながら開発を進められるのが特徴です。

ただし、プロジェクト全体の見通しをたてるのが困難になるため、大規模なプロジェクトでは管理が複雑になる可能性があります。

スパイラルモデル

スパイラルモデルは、リスク分析を重視した反復型の開発手法です。

各機能の開発工程を分割した後、優先順位をつけて重要な機能から開発を進めていく手法です。

分割した機能ごとに要件定義からテスト、改善まで行うため、段階的に綿密なシステム構築が可能となります。

段階的な開発を行うことで、複雑なシステムでも一歩ずつ開発できるだけでなく、リスクの早期発見にもつながるのが特徴です。

しかしながら、テストや評価、リスク分析に多くの時間を要する手法のため、小規模プロジェクトにはあまり向いていません。

プロトタイピング

プロトタイピングは、実際のシステムの簡易版（プロトタイプ）を作成し、ユーザーから使用感をフィードバックしてもらいながら開発を進める手法です。

ユーザーの要求を明確にでき、早期対策が可能です。そのため、ユーザーとの連携が取りやすく、要件の漏れも減らせます。

高い品質のシステムを開発しやすい反面、プロトタイプの開発に時間がかかる場合があったり、プロトタイプと完成品に差が見られなかったりするリスクもあります。

システム開発に関わる主な職種

ここからは、システム開発に関わる主な職種を、3つにまとめて紹介します。

に分けられます。

それでは、それぞれの職種について見ていきましょう。

システムエンジニア（SE）

システムエンジニアは、System Engineerの頭文字を取ってSEとも呼ばれている、システム開発における設計書（仕様書）の作成を主に担当する職種です。

具体的には、以下の4つがシステムエンジニアの仕事内容です。

しかし場合によっては、システムエンジニアがプログラミングを行う場合もあります。

なお、求人ボックスから2024年10月時点で、システムエンジニアの平均年収は494万円(月収約41万円)です。

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本調査」で発表されている日本人の平均年収約381万円と比べると、システムエンジニアの年収が比較的高いとわかります。

プログラマー

プログラマー（Programmer）はPGとも呼ばれ、設計書（仕様書）をもとに実際にプログラミングを行う職種です。

システム開発においては、設計書の通りにプログラミングをしたとしても、システムがうまく動かないことがあります。このような場合には、設計書の間違いを指摘し、修正していくのもプログラマーの重要な役割であるとされています。

なお、求人ボックスから2024年10月時点で、プログラマーの平均年収は417万円(月収約34万円)です。前述した日本人の平均年収約381万円と比べると、高い給与水準です。

プロジェクトマネージャー

プロジェクトマネージャーは、Project Managerの頭文字を取ってPMとも呼ばれており、

を決定し、チームを結成してシステム開発を行っていく職種のことです。またシステム開発が進行しているときには、計画通りに進まなかったり、計画そのものを変更する必要がある場合があります。

そのような際にも、開発がスムーズに進むようにクライアントやメンバーのあいだに立ちながら、さまざまな業務の調整を行うことも、プロジェクトマネージャーの役割になります。

なお、求人ボックスから2024年10月時点で、プロジェクトマネージャーの平均年収は652万円(月収約54万円)です。前述した日本人の平均年収約381万円と比べると、システムエンジニアやプログラマー以上に高い水準にあります。

システム開発のスキルを身につける方法

ここからは、システム開発のスキルが身につく方法を、3つにまとめて紹介します。

企業に勤めて実務経験を積む

現在エンジニアやプログラマーが不足しているため、未経験者でも企業の技術研修を受けた上で、いきなり実務経験を積むことも可能です。

もちろん事前の知識やスキルがほとんどないまま、実際の業務を行うことになるので、

といったデメリットも同時にあります。

下記の記事では、未経験から転職するコツについて解説しています。

システムエンジニア（SE）になるには？未経験から転職するコツも紹介

更新日：2024年11月13日

独学で学ぶ

現在プログラミングの学習教材は、

などがあり、価格も非常に安価であるため、だれでもシステム開発が独学できるようになっています。ただし、独学でシステム開発ができるようになるためには、かなりの努力が必要です。

といったことができなければ、途中で挫折してしまう可能性が非常に高いでしょう。

プログラミングスクールで学ぶ

最後のシステム開発ができるようになる方法は、プログラミングを学べるスクールで学習することです。

プログラミングスクールでは、

という環境がそろっているため、初心者の方でも学習に取り組みやすくなっています。また就職支援も同時に行っているスクールも多く、卒業後にすぐに実務経験を積むことも可能になるでしょう。

挫折なくシステム開発のスキルを学ぶなら

先ほども解説したように、システムエンジニアを目指すうえでプログラミングスキルは不可欠です。ただ、なかには

と不安な人もいますよね。

実のところ、プログラミング学習で挫折する独学者は多くいます。事実、弊社の調査では

などの理由から、87.5%が「プログラミング学習で挫折や行き詰まりを感じた」と回答しています。

調査概要：プログラミング学習の挫折に関するアンケート
調査対象：10代〜80代の男女298名
調査期間：2019年8月13日~8月20日
調査方法：インターネット調査
掲載元：PR TIMES

また、こうした背景もあってか、弊社がプログラミングに興味がある人100名へ実施した別の調査では

などの理由から、61%が「プログラミングの勉強を始めるならスクールを選ぶ」と回答しています。

調査概要：プログラミングに興味がある方の意識調査
調査期間：2021/11/19~2021/12/3
対象者：プログラミング学習を検討している10代~50代の男女100名
調査媒体：クラウドワークス
掲載元：PR TIMES

加えて、プログラミングスクールの卒業生に「独学ではなくスクールを活用した理由」を聞いたところ「できるだけ短い期間でITエンジニアへの転職や副業に必要なスキルを身につけたかった」という回答も多く寄せられました。

上記から、1人でプログラミングスキルを習得できるか不安な人や短期間でスキルを習得したい人ほど確実性を求め、現役エンジニアといったプロの講師に質問できるプログラミングスクールを利用する傾向にあるのがわかります。

いざ独学でプログラミングを学び始めても、勉強の最中に挫折しまっては学習にかけた時間を悔やむだけでなく「プログラミングスキルを身につけるのって思っていたよりも難しいんだな…」とスキルの習得自体を諦めかねません。

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先ほど述べたとおり、独学者の多くは自力で不明点やエラーを解決できないためにプログラミング学習を挫折しています。そのため、未経験者が現役エンジニアのようなプロに質問や相談できない状況で、プログラミングスキルを習得するのは非常に難易度が高いといえます。

しかし、侍エンジニアでは

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システム開発にまつわるFAQ

最後に、システム開発によくある疑問へまとめて回答します。

システム開発の仕事に資格は必要？

システム開発の仕事に必須の資格はありません。実際に資格を持たずに、システム開発の最前線で活躍しているシステムエンジニアはたくさんいます。

しかし「資格・検定を取ることに意味がないか」と言うと、そうではありません。

資格・検定を取得していれば、一定水準の知識・スキルを保有していることを客観的に証明することができるため、就職・転職活動では有利に働きます。

おすすめの資格は下記のとおりです。

また、システム開発を行うにあたって取得していたほうがよい資格については、下記の記事でも詳しく紹介しています。

システムエンジニアに資格は必要？取得するメリットやおすすめも紹介

更新日：2024年10月31日

システム開発を仕事にするのはきつい？

「システム開発の仕事はきつい？つらい？」という質問は、よく聞かれる質問です。しかし結論から言うと、システム開発の仕事が本当につらいのかは、職場によって大きく異なります。

システム開発を行う企業の多くが、従業員にとって働きやすい環境を整えています。そのため、仕事がキツイかどうかは、会社選びに大きく左右されるのです。転職前に各企業についてきちんと調べ、転職して問題ないと確信できてから選考を受けるようにしましょう。

システム開発の仕事がきついかについて、詳しく知りたい人は、下の記事を参考にしてください。。

システムエンジニアはきつい？調査からわかる現役SEの本音

更新日：2024年11月15日

システム開発の外注先はどう探せばいいの？

システム開発の外注先を探す際は、次の方法がおすすめです。

インターネット上には数多くのマッチングサイトがあり、自分で探すのは時間もかかります。そこで、エージェントサイトを利用して自分のニーズにあう外注先を探してもらうのがおすすめです。

また、自治体やIT企業が主催する交流会やイベントに参加したり、知り合いから紹介を受けるのは、相手と直接会って話が聞けるため安心感が増します。

まとめ

この記事ではシステム開発について、以下の点を紹介してきました。

IT技術が発達していくなかで、システム開発はますます需要が高まることが見込まれます。システム開発の知識があれば、あなたの今後のキャリアがより良いものになっていく可能性が高まります。

今後のキャリアの選択肢として、システム開発に携わることも検討してみてはいかがでしょうか。

なお、システム開発については下記メディア「Sqripts」でも発信しているので、良ければ参考にしてください。