プログラミング言語のライブラリとは?メリット・デメリットを紹介


プログラミングのライブラリってなんだろう?
ライブラリとフレームワークって何が違うのだろう?

プログラミングの勉強をしていくとこのような疑問が出てくると思います。今回は、そんなプログラム開発をする上で大切な「ライブラリ」について、メリットやデメリット・フレームワークとの違いやライブラリの探し方も含めて詳しく解説していきます。

ライブラリを使いこなすことができれば、快適にコーディングできる上に作業効率も上がり、ライブラリを使わないコーディングよりも数倍早い時間でプログラムを構築することが可能になります。

この記事の要約
  • ライブラリとは簡単に機能・処理をプログラムへ導入できる部品
  • ライブラリには静的・動的・共有の3種類があり、読み込みタイミングなどが異なる
  • ライブラリを活用すれば動作速度や開発効率の向上が期待できる
目次

プログラミングにおけるライブラリとは?

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プログラミングにおけるライブラリとは?

まずは、プログラム開発における「ライブラリ」とはそもそも何なのかについてお話ししていきます。「ライブラリ」は英語で「図書館」という意味です。そこからもわかる通り、ライブラリを簡単に説明すると「多くのプログラムを保存している場所」ということです。

プログラムを組んでいくと、このコード以前にも別の場所で使ったな、と思ったりすることが多々出てくることと思います。そのようなコードの所々を修正して汎用性の高いコードに書き換えて様々な場面で使えるようにメソッドを管理することがありますよね。

そのような考えと同じで、汎用性の高い関数やクラスソースコードといったものをまとめているのが「ライブラリ」です。ライブラリは基本的に実行するためのものではなく、あくまで便利なソースコードの集まりのため、ライブラリ単体でプログラムを動かすことはできません。

つまり、ライブラリとは「便利なソースコードの集まりをプログラムに盛り込み機能を追加するための部品」ということになります。

ライブラリの種類

ライブラリには主に3つの種類がありますので、順番に解説していきます。

  • 静的ライブラリ
  • 動的ライブラリ
  • 共有ライブラリ

静的ライブラリ

静的ライブラリとは、基本的にプログラムを構築するときに組み込まれるものです。静的ライブラリの特徴は、ライブラリとして提供するプログラムにソースコードを参照されることがないことです。

動的ライブラリ

動的ライブラリは、プログラムを実行中にある所定のときに読み込まれるライブラリのことをいいます。動的ライブラリの特徴は、静的ライブラリのように最初から読み込まれないので、必要な時が来るまでは勝手に読み込まれることはありません。

そのため、プラグインやモジュールを実装するときなどに活躍してくれます。

共有ライブラリ

共有ライブラリは、プログラムが実行された時点でメモリ上に展開されます。共有ライブラリをインストールした後に実行されるプログラムは全て共有ライブラリを使用することになります。

この共有ライブラリは、もし先に実行しているプログラムがあれば、そのプログラムを再起動するまで古いライブラリを使用し続けることができるという特徴を持っています。

ライブラリを利用するメリット

ここまででライブラリについて解説してきましたが、ここではライブラリのメリットについてご説明します。

  • プログラムの動作が軽くなる
  • プログラムの開発スピードが上がる
  • 開発者の勉強になる

順番にみていきましょう。

プログラムの動作が軽くなる

プログラムを組んでいくと、プロジェクトによっては処理がどんどんと複雑になってきます。処理が複雑になるということは、その分処理にかかる時間も増えてきます。せっかく様々な機能を搭載した優秀なプログラムでも、動作が遅く起動するのにも数分かかる。。なんてことになっては本末転倒です。

そんなときに役に立つのが、ライブラリです。先ほども説明した通りライブラリは様々なソースコード、つまり機能の部品が集まったものです。そんなライブラリを使うことにより、処理がすっきりし複雑だった処理もある程度きれいにまとめてくれるため、大幅な速度のアップに繋がります。

プログラムの開発スピードが上がる

ライブラリを積極的に取り入れている開発者の中で、なぜライブラリを使っているのかを聞くと、この意見が非常に多くなると思います。

ライブラリを使うことで、似たようなコードをわざわざ毎回書く必要もなく、ライブラリのソースコードに至ってはテストする必要もないため大幅に開発時間の短縮が見込めます。もちろん導入時には少しだけ手間がありますが、その後のプロジェクト全体や今後の運用のことを考えると積極的に採用するのがいいですね。

開発者の勉強になる

ライブラリには、「オープンソース」とよばれるものがあり、ライブラリないの各ソースコードが公開されており、中にはそのソースコードを自由に改修して使い回してもいいものがあります。そのため、実装する際にまだやり方がわからない方や入門者の方にとっては、とても勉強になります。

例えば、独学でプログラミングを勉強している人や初心者の人にとっては、他人のしっかりと動く実用的なソースコードを見る機会が極めて少ないため、ぜひさまざまなライブラリを見て実際に動かしてみてプログラミングスキルを向上させることができますね。

ライブラリを利用する上での注意点

疑問

ライブラリを利用する上での注意点

ここまでライブラリを導入するメリットをご紹介しましたが、良いことが多い反面注意しなくてはならないことももちろんあります。

プログラミング言語による使い分け

プログラミング言語毎に適切なライブラリは変わってきます。使う言語を明確にしてからその言語にあったライブラリを探す必要があります。どのプログラミング言語にも適した万能なライブラリは存在しませんので、注意してください。

ライブラリの選定は慎重に

ライブラリを選ぶ際に、今実現したいことができるからこれ!というような選び方はよくありません。ライブラリにもとても多くの種類があります。各ライブラリの中身もしっかり確認し、今は使わない他の機能も今後使う可能性があるか?なども検討して、できる限り無駄を排除する必要があります。

先ほど、ライブラリを使うことで作業効率がアップして便利。と紹介しましたが、ここで誤った選択をしてしまうと、逆に効率もプログラムの速度も低下してしまうことにもなりかねませんので、ライブラリの中身の確認はしっかりと行い比較・検討しましょう。

実行環境との相性

プログラムの実行環境やプログラミング言語は常に日々アップデートして進化しています。その流れの中で、今まで使っていたライブラリが新環境では、使うことができないという最悪の自体が稀に起こります。

ライブラリが使えなくなることでプログラム全体が動かないことはもちろん、また別のライブラリに移行するなどの手間が発生してしまいます。これについては、事前に知ることはもちろん不可能ですし、防ぎようがないので注意できないのですが、そのような可能性もある。ということを理解しておきましょう。

ライブラリ内のバグ

先ほども少し話しましたが、「オープンソースライブラリ」の中にはバグが潜在していることもあります。そのライブラリの配布者にバグ報告をしても修正されるかどうかはわかりませんので、そのようなバグについても事前にライブラリを選択する時点でチェックすることを怠ってはいけません。

ライセンスの存在

ライブラリによっては、ライセンスにより使用が制限されていることもあります。商用利用を許可していないライセンスのライブラリを勝手に商用利用してしまうと、訴訟問題などにもなってくる重要な項目ですので、しっかりと確認してください。

ライブラリとフレームワークの違い

初心者の方などの質問でよく聞くのが、「ライブラリとフレームワークの違い」についてです。一見似ているように感じますが、全く違うのでしっかりと理解しておきましょう。

  • フレームワークは、必要なものをまとめた枠組のこと
  • ライブラリは、便利なソースや関数の部品の集まり

フレームワークは枠組みを準備するもので、開発作業を楽にするために利用されます。そもそもの基礎となる枠組みなのか、部品の集まりなのか、の違いで似て非なるものですので、しっかり区別できるようにしましょう。

公開されているライブラリの探し方

では実際に公開されているライブラリの探し方をご紹介します。ライブラリを探す方法はいくつか方法がありあますが、私が個人的にお勧めしていて、且つメジャーな方法が「Github」を活用する方法です。とてもメジャーな方法なので、「Github ライブラリ」などと検索すればすぐに見つけられることができますよ。

Githubでは、使用する言語で検索することができることや、人気なものや勢いの出てきているOSSをチェックすることができるので、とてもおすすめです。私も実際にGithubを利用してよく最新の技術やライブラリをチェックして実際に使ってみたりしています。

ライブラリの使い方

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ライブラリの使い方

使いたいライブラリを見つけたら、まずはマニュアルを確認してみましょう。大抵の場合ライブラリのフォルダ内に「Readme」というテキストファイルがありますので、その手順通りに実装すれば簡単につかうことができますよ。

最適なライブラリが見つからない場合は自作も検討する

実際に使って実装してみて自分や現在の開発には合わないと思った場合は、また別のライブラリを検討するようにしましょう。もし、様々なライブラリを試しても適切なものが見つからない場合は、自分でライブラリを作ってみることも検討すると良いでしょう。

オープンソースのライブラリをみている内に、ライブラリがどういうロジックで動いているのかがわかるので、その仕組みと同じものを自分で作ることができます。ライブラリを自作することができれば、その開発に適した最善のライブラリをりようすることができますね。

まとめ

今回は、プログラミングにおけるライブラリについて解説しました。開発する上で必須ではないライブラリですが、利用することでとても多くの恩恵を受けることができるので、是非導入してみてください。

最後に今回のライブラリについてをまとめておきます。

  • ライブラリには大きく分けて「静的、動的、共有」の3つがある
  • ライブラリ導入のメリットは「開発スピードと動作スピードのアップ」
  • ライブラリは関数などの部品の集まりで、フレームワークは枠組み
  • ライブラリ選びは慎重に。選択を間違えると、逆に効率が落ちる
  • 最適なライブラリが見つからない時は自作も検討する

皆さんもぜひライブラリを上手く使って開発をスムーズにより良いものにしてください。

この記事を書いた人

【プロフィール】
DX認定取得事業者に選定されている株式会社SAMURAIのマーケティング・コミュニケーション部が運営。「質の高いIT教育を、すべての人に」をミッションに、IT・プログラミングを学び始めた初学者の方に向け記事を執筆。
累計指導者数4万5,000名以上のプログラミングスクール「侍エンジニア」、累計登録者数1万8,000人以上のオンライン学習サービス「侍テラコヤ」で扱う教材開発のノウハウ、2013年の創業から運営で得た知見に基づき、記事の執筆だけでなく編集・監修も担当しています。
【専門分野】
IT/Web開発/AI・ロボット開発/インフラ開発/ゲーム開発/AI/Webデザイン

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