この記事では、どちらを学ぶべきかも交え、R言語とPythonの違いを解説します。
実際にR言語やPythonがどのように使われるのか知りたい
R言語とPythonともにビッグデータ解析、AIなどの需要の高まりから注目されているため、気になっている方は多いのではないでしょうか?そこで今回は、R言語とPythonの違いを分かりやすく解説していきます。
R言語とPythonについてわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
- PythonとR言語は言語仕様がシンプルでデータ解析が得意
- R言語はデータ解析に特化しておりWebアプリ開発には不向き
- PythonはWebアプリやAI開発など幅広い汎用性をもつ
R言語とPythonとは
近年、機械学習やディープラーニングの需要が高まってきていることから、R言語やPythonなどのプログラミング言語が注目されるようになってきました。ここでは、R言語とPythonの特徴やどんなことができるのかなどを分かりやすく解説していきます。
R言語とは
まずは、R言語について解説していきます。R言語は、1995年にオークランド大学のロバート・ジェントルマン氏により開発された、統計解析に特化したプログラミング言語です。
データの解析に必要なライブラリが一通り揃っており、少ない労力で時間をかけずに統計解析を行えるのが特徴。そのため、顧客の購入履歴や株価の変動など、大量のデータを扱う場面で使用されています。またコードの書き方がシンプルなため、習得の壁が低いのも特徴の1つ。他のプログラミング言語を学んできた方は、多くの時間を要さずに習得が可能です。
プログラミング言語によってはOSや環境によって使えないことがありますが、R言語はWindowsやmacOSなど様々なマシンで使用可能。これもR言語が支持されている理由の1つです。
R言語に関してもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてくださいね。
Pythonとは
次に、Pythonの特徴について解説していきます。Pythonとは1991年にオランダ人のグイド・ヴァンロッサム氏によって開発されたプログラミング言語です。Pythonが近年注目されているのは、R言語と同様に機械学習やデータの分析ができることが理由です。
またRubyやPHPなどと同じくオブジェクト指向の言語で、少ない記述量で分かりやすいコードを書けることも人気の理由の1つ。オブジェクト指向とはプログラムを「オブジェクト=物」で書く考え方を指し、分かりやすさやカスタマイズ性が高い特徴があります。Pythonには機械学習などに特化したライブラリが用意されており、近年のAIや統計解析などの需要の高まりから非常に注目度が増している言語です。
Pythonについて詳しく知りたい方は、下記記事を参考にしてみてくださいね。
R言語とPythonの違いとは
ここからは、R言語とPythonの違いについて解説していきます。まずは、R言語とPythonでできることを簡単に把握しておきましょう。
できることの違い
R言語
R言語を使えば、機械学習や統計解析が可能になります。例えばコンビニエンスストアの売り上げに影響を与えている要因について、開店からの年数や敷地面積、近隣の競合他社の出店数など大量のデータから分析することが可能。統計やデータを分かりやすく可視化できます。
また、Excelと比較されることが多いですが、特に下記点でR言語の方が上回っていると言えます。
- コマンド操作で簡単にグラフや散布図を作成可能
- Excelよりも大量のデータを高速で処理することが可能
- 何度も行う処理を自動化することが可能
- データの抽出のカスタマイズ性が高い
データの平均値を求めるなど簡単なものからクラスター分析や時系列分析など、Excelではできない様々な分析が可能になります。また、作成したグラフはJPGやPNG形式で保存できるのもメリットの1つです。
Python
R言語と同様に、Pythonでも機械学習や統計分析を行うことが可能。R言語との1番の違いは「汎用性」です。
R言語はデータの分析に特化したプログラミング言語なので、単体ではWebアプリケーションを作ることはできません。しかしPythonを使えば、RubyなどのようにWebアプリケーションの開発が可能となります。Webフレームワークを使用すれば、効率的にWebアプリケーションを開発できます。Webフレームワークとはアプリケーションを開発する上で必要な機能が予め揃った枠組みのこと。
PythonのWebフレームワークで有名なのが、Djangoです。管理画面やユーザー認証システムなどが予め用意されているため、一から開発するのに比べて非常に早くアプリを開発できます。Pythonはコードの記述量が少なくC言語との相性が非常に良いため、InstagramやYoutubeなど多くのサービスで採用されています。
Pythonを使えば、Webアプリケーションだけでなく機械学習を用いたソフトウェアの開発も可能になります。特にTensorFlowというオープンソースのライブラリを使用れば、下記のような様々なものを開発可能。
- 写真から人が身につけているスニーカーやシャツなどを判別する機能
- 手書き風の数字や文字を自動生成する機能
- 外国語の翻訳機能
Pythonでは、Web上の情報を抽出することも可能になります。手動で大量の画像やデータを取得するのは非常に時間がかかりますが、Requestsなどのライブラリを使えばWebスクレイピング機能を簡単に実装できます。
Webスクレイピングの技術は、多くの場面で利用されています。例えば、自社の製品に似た競合製品の価格情報を入手して、マーケティングに役立てることも可能。Webスクレイピング機能を開発する際は、「著作権法」などの法律に遵守しているか確認しながら進めていく必要があります。
年収の違い
ここでは、R言語とPythonエンジニアの年収の違いについて見てみましょう。
Bizreachの調査によれば、R言語を扱うエンジニアの平均年収は574.8万円(最大1,000万円)となっています。ランキングとしては6位で、他のプログラミング言語よりも高い水準であると言えます。
一方でPythonエンジニアの平均年収は575.1万円(最高1,499万円)となっており、GoやScalaに引き続き3位にランクインしています。案件数は9,344件で国内でメジャーなRubyの求人数(11,676件)に比べてまだ少ないですが、機械学習や統計解析などの需要の高まりから今後も需要が高まると言えます。
求人数の違い
ここでは、R言語とPythonの求人数の違いを見ていきましょう。
R言語
求人サービスを展開しているレバテックキャリアによれば、R言語の求人数は141件となっています。(2020年9月時点) 求人の内容としてはデータサイエンティストのポジションで、大量のデータを解析できる能力が求められる傾向にあります。
またR言語だけでなく、JavascriptやPHPなどフロントエンドやサーバーサイドの言語のスキルも同時に求められる場合が多いです。
Python
Pythonについても、レバテックキャリアの求人数を見ていきましょう。2020年9月時点でPythonの求人数は1343件となっています。求人数もR言語と比較しても多く、データサイエンティストやWebアプリケーション開発など幅広い業務があります。
スキルは、R言語と同様にPHPやJavascriptなど他の言語の知識がある程度求められます。Pythonエンジニアとして就職や転職を考えている方は、求人サイトでどのようなスキルや知識が求められているか把握しておくのも良いかもしれません。
人気ランキング
つづいて、R言語とPythonの注目度について見ていきましょう。
プログラミング言語の人気度を調査しているTIOBEによれば、R言語は9位にランクインしています(2020年9月段階)。2019年の同月では19位であったことを考えると非常に需要が高まっている言語と言えます。
一方でPythonはC言語やJavaなど歴史が古い言語に次いで、3位にランクインしています。(2020年9月段階)この結果を見てもR言語同様、人気が高く今後も需要が高まる言語です。特に機械学習や統計分析などの領域が伸びるにつれて、ますますR言語やPythonのエンジニアの数が不足するため、今のうちに学んでおくのも良いかもしれません。
結局R言語とPythonどちらを学ぶべき
ここまで、R言語とPythonの違いを解説してきました。結局R言語とPythonどちらを学ぶべきか迷う方もいるかもしれません。R言語とPythonでは似ている部分もあれば異なる部分もあります。以下で簡単に特徴をまとめておきます。
<R言語>
- コードの書き方がシンプル
- データ解析がメインで、Webアプリケーション開発には不向き
- Excelよりも本格的なグラフを作成可能
- 日本語の情報が少ない
<Python>
- コードの書き方がシンプルで初心者に適している
- 機械学習やWebアプリケーション開発など幅広いことができる
- 日本語の情報がR言語に比べて比較的多い
これまで説明してきた通り、R言語は本格的なグラフ作成などが可能で、大量のデータ分析に向いている言語です。統計解析などを扱うデータサイエンティストを目指したい方は、R言語を学ぶことをおすすめします。また、コードの書き方が簡単なので、プログラミング初心者にも適しています。
一方で機械学習やWebアプリケーションなど幅広い仕事に携わりたい方は、Pythonを学習することをおすすめします。Rubyなどと同じくオブジェクト指向で、シンプルなコードで書くことができるため、初心者にも比較的優しい言語と言えます。R言語はまだまだ日本語で書かれた情報が少ないため、英語の能力も少なからず求められるのに対し、Pythonは日本語での情報も増えてきており、分からないことがあっても調べると情報を見つけやすいのもおすすめする理由です。
R言語とPythonは需要が高まっているため、まだまだ扱えるエンジニアの数も不足しています。今のうちに学んでおくのも良いかもしれません。
まとめ
ここまで、R言語とPythonの特徴について解説してきました。機械学習や統計学習の需要は今後ますます高まっていくので、この機会に理解しておくことで今後役立つかもしれません。
最後に本記事のまとめをしておきましょう。
- 1.R言語はデータの分析が専門なのでWebアプリケーションを開発できない
- 2.Pythonは機械学習やWebアプリケーションの開発が可能
- 3.Pythonエンジニアの求人数や給与は今後も増加傾向