テストエンジニアの仕事は在宅でもできる?
在宅でテストエンジニアの仕事をするとしたら、どうやって仕事を探せばいいのだろう?
在宅ワークが浸透してきていることから、テストエンジニアの仕事も在宅でできるようになってきています。
そこでこの記事では、テストエンジニアの仕事内容や在宅で仕事する上で必要なスキルを解説し、実際に在宅で仕事するときの案件探しについてまで深堀りします。
テストエンジニアは目立たなくても、ソフトウェアなどデジタル製品の品質を守るために必須の職種です。在宅での仕事も含めて、テストエンジニアについて理解、検討してみてはいかがでしょうか。
在宅でもテストエンジニアの仕事は可能か
テストエンジニアはアプリなどのソフトウェアやサーバーのシステムなどが、仕様書に則して作られているかをテストするエンジニアです。システムの設計ミスやプログラムのバグをチェックするだけでなく、品質向上も目的として行ないます。
専門性の高いテストエンジニアですが、在宅でテストエンジニアを採用する企業が増えてきています。求人サイトにも多く掲載されるようになっているので、テストエンジニアの仕事を在宅で行うのは十分可能と言えます。
テストエンジニアの仕事内容は?
テストエンジニアはどんな仕事なのか、具体的に見ていきましょう。テストエンジニアは、プログラマーが比較的小さなプログラム単位の単体テストを行なった後、結合テストとシステムテストを受け持ちます。
結合テストは複数のプログラムとモジュールを結合させた動作テストで、システムテストはソフトウェアやシステムを構築して行う全体的な動作テストです。
テスト計画の作成
開発されているソフトウェアやシステムを、どのようにテストするかを計画します。システムエンジニアが作成した仕様書と設計書の詳細を確認した上で、開発過程の情報を聴取します。
テスト計画ではテスト対象の機能、テスト範囲、優先順位を決め、具体的な実施方法と実施期間を記載した計画書を作成します。開発しているソフトウェアやシステムのすべての機能をテストすることは不可能なため、必要なテストを効率的に行うためのテスト計画が重要になります。
テスト設計
テスト設計ではテスト観点とテストケースを記載した、テスト仕様書を作成します。テスト観点はソフトウェアやシステムのどの部分を、どの観点でテストするかを決めることを言います。
テストする観点には次の4つがあります。
- ユーザー視点(User-view)
- 仕様視点(Spec-view)
- バグ視点(Fault-view)
- 設計・実装視点(Design-view)
テストケースはテスト観点に従って、テストする際の条件・状況、入力操作、得られる結果をすべて記載したもので、手順として使用されます。
テスト実施
テスト設計で作成したテスト仕様書に沿ってテストを実施します。テストの実施はテスターに依頼したり、プログラマーやシステムエンジニアなどがテスターを兼務することもあります。
テストの実施をツールで自動化する場合には、プログラミングコードの記述が必要です。また、データベースシステムが関わるテストでは、任意の時点のデータベース全体の内容を出力して参照データにします。
データベース全体の内容を出力することをDBダンプと言います。
結果確認と報告書作成
テストの結果を確認し、レビューとしてまとめた報告書を作成します。プロジェクトリーダー、チームリーダー、開発エンジニアなどにレビュー報告して、テスト内容に問題があったときの再テストや、追加テストの要望に対応します。
テスト設計において設定したテスト観点によって、ソフトウェアやシステムを評価することで、改善すべき点が見つかります。テスト結果の報告とともに、改善点の提案するのもテストエンジニアの仕事です。
在宅でテストエンジニアをするために必要なスキル
次に、必要となるスキルを見ていきましょう。
主なスキルは以下の6つです。
- ソフトウェアに関する知識
- テスト技法のスキル
- 集中力
- 問題解決に向けた提案力
- 報告書作成スキル
- コミュニケーションスキル
それぞれ詳しく解説していきます。
ソフトウェアに関する知識
テスト計画の作成やテスト設計には、ソフトウェアなどの開発に関する知識が必要です。テスト対象となっている機能がどのように実装されているかを把握することで、適切なテストケースを作成できます。
開発に関する知識があり機能の実装の仕方を把握することで、テスト対象やテスト範囲についての提案もできます。さらにプログラミングスキルがあるとバグなどの修正ができ、テストエンジニアとしてのキャリアアップに繋ります。
テスト技法のスキル
テスト設計を行う際にはテスト技法のスキルが必要になります。
テスト技法は以下のように分類されます。
- ブラックボックステスト技法:外部から見える振る舞いを観点としたテスト設計
- ホワイトボックステスト技法:内部構造に注目したテスト設計
- 経験ベースのテスト技法:担当するテストエンジニアのスキルと経験を基にしたテスト設計
まずテストするソフトウェアやシステム、テストの目的から選択したテスト技法に則ってテスト設計を行ない、テスト仕様書を作成していきます。
集中力
テストの実施におけるテストケースが、膨大な量になることがあります。そのため、細かい作業を長時間にわたってやり続ける集中力が必要です。
集中力を欠いてしまうと、バグを見落としてしまう可能性も高くなります。集中力を維持したまま同じ作業を、ひたすら行う忍耐力が求められます。
集中力を高めるのは精神状態のコントロールや、コンディションの維持といった自己管理能力です。体調管理と規則的な日常生活が、集中力のベースになります。
問題解決に向けた提案力
ソフトウェアやシステムの開発におけるテストは、問題解決を目的とした作業です。テスト対象の仕様や機能を的確に把握して、見落とされている問題を見つけてチームリーダーや開発エンジニアに提案する能力が必要です。
また、製品やサービスを利用するユーザーは、開発者が想定していない操作をすることがあります。テストエンジニアの立場からソフトウェアやシステムを俯瞰することで、製品やサービスを良いものにできます。
報告書作成スキル
テストの実施後には適切な報告書を作成しなければなりません。テストの実施結果、不具合の改修状況、改善案を、それぞれ適切な書式の資料として作成するスキルが必要です。
文書作成にはWord、表計算にはExcel、スライドにはPowerPointといったソフトが利用されており、それぞれを使用して資料を作成します。表計算ソフトのExcelには表からグラフを作成することなどができ、効率的な資料作成に役立ちます。
チームリーダーや開発エンジニアが見て、わかりやすいように工夫された資料作りが求められます。
コミュニケーションスキル
開発エンジニアから機能実装の詳細を聴取したり、テスト結果や提案を説明することもあるので、コミュニケーションスキルが必要です。
在宅で仕事するとコミュニケーションをとる機会は減りますが、その代わり一つひとつのコミュニケーションが重要になると言えます。通常、業務上のやり取りには確実性の高いチャットツールやメールが使用されます。
チャットツールやメールでは相手の表情などが、見えないことによるコミュニケーションの難しさがあります。また、チャットツールによっては特有の文化や作法といったものもあります。
チャットツールやメールでのコミュニケーションに慣れておくと、コミュニケーションが円滑になり仕事がしやすくなります。
在宅テストエンジニアの案件を探す方法
在宅で仕事する際の案件の探し方を解説します。
クラウドソーシングで探す
テストエンジニアも、クラウドソーシングサービスで案件を受注できます。Webアプリなどのテストの実施だけをするテスターから、テストエンジニア全般の業務をするものまで、さまざまな案件があります。
クラウドソーシングにおいても、テストエンジニアの案件は増えていますが、単価の低いものも多くあります。報酬が高い案件には実務経験を必要とするもがほとんどで、経験の浅いうちは単価の低い案件をコツコツとこなすのが良いでしょう。
フリーランス専門エージェントを利用する
他のITエンジニアと同様にフリーランス専門エージェントに登録して、案件を紹介してもらうこともできます。受注した案件を確実にこなすことで、エージェントからの信頼が得られると案件を継続して紹介してもらえるという利点があります。
エージェントに登録するのは無料ですが、実務経験がないと紹介してもらえる案件は少なくなります。テストエンジニアとして実務経験が少ない場合には、エージェントにも登録しておいて、他の方法と合わせて実務経験を積んでいきましょう。
一般の転職サイトを利用する
転職サイトにも在宅テストエンジニアの求人が増えています。実務経験とスキルをもっている良い人材を求めているため、報酬を含め好条件のものが多くあります。
しかし、実務経験とスキルが十分にない場合には、在宅勤務で就職したり契約したりするのは難しいと言えます。テストエンジニアも他のITエンジニアと変わらず、実務経験とスキルが重視される職種です。
転職サイトの求人はテストエンジニアとして、勤務経験がある人を対象にしているものがほとんどです。
知人に紹介してもらう
IT関連の人脈があるのなら自分の人となりを知ってくれている、知人に紹介してもらうといいでしょう。IT業界はまだまだ人手不足なので、何件かでも声をかけてもらえれば十分に見つかる可能性があります。
経営者だけでなくシステムエンジニアやプログラマーでも、案件を紹介してくれることがあります。また、フリーランスのテストエンジニアの下請けとして、テストの実施だけするテスターの案件を受注するという方法もあります。
SNS探す
在宅で仕事しているテストエンジニアとして、SNSで発信しておくと仕事が得られることがあります。定期的には受注できないので、SNSだけに頼るのは無理がありますが、人脈のきっかけになることもあります。
ポートフォリオを紹介したりITエンジニアとしての姿勢をアピールできるので、SNSは活用しておく価値のあるツールです。さまざまな業種における人脈づくりの方法として、SNSやネット上のコミュニティが利用されていて、ITエンジニアも例外ではありません。
まとめ
テストエンジニアの仕事内容と、在宅で仕事する場合に必要なスキルを解説し、在宅で仕事するときの仕事の探し方についても見てきました。
専門的な知識やスキルだけでなく開発に関する知識も必要で、プログラミングができるとステップも可能です。
テストエンジニアはコツコツした仕事が得意な人に向いていて、これからは在宅でも仕事ができるようになっています。自分に合った仕事探しの参考になれば幸いです。