フリーランスエンジニアになりたいけれど、準備はどうしよう
本当にやっていけるか不安……
そんな風に感じている人も多いのではないでしょうか。そこで、フリーランスエンジニアとして活躍するための準備や必要な手続き、仕事の獲得方法などをまとめて解説します。
フリーランスエンジニアになる上での注意点や不安の解消法といった心の準備についても説明しているので、第一歩に役立ててください。
- フリーランスへの独立はスキルや資格の棚卸しから始めよう
- 貯金や案件獲得の目星をつけるなど独立前の事前準備は不可欠
- フリーランスの仕事はクラウドソーシングやエージェントサービスで獲得できる
また、次の記事ではフリーランスエンジニアになるメリット・デメリットから働き方、年収や必要なスキルまでを包括的に解説しているので良ければ参考にしてください。
→ フリーランスエンジニアへの独立ガイド!必要なスキルやなり方も紹介
フリーランスエンジニアとは
「フリーランスエンジニア」とは、会社に属さず個人で収入を得るエンジニアのことです。
フリーランスエンジニアの働き方の種類は下記のとおりです。
- 開業届を出して個人事業主として収入を得る
- 開業届は出さずに企業と業務委託契約を交わして収入を得る
- 開業届を出さず業務委託契約も交わさず案件をこなして収入を得る
フリーランスエンジニアは、開業届を出して「個人事業主」として働くのが一般的です。しかし、開業届を出さずに副業で少量の案件をこなしている方や、扶養内で働く兼業主婦の方も「フリーランスエンジニア」と呼ばれることがあります。
共通しているのは、会社に属していないということで、原則として基本給などは発生せず、成果に対して報酬が支払われます。
フリーランスエンジニアは、会社員のように会社に守られることはありませんが、会社から制限を受けることもありません。「何者にも縛られず、自分が希望する仕事を自分の力で勝ち取り、自分のペースで進め、契約に従って納品を行う」というのが、フリーランスエンジニアなのです。
(※ただし、一部、時給制であったり、出社が原則であったりする仕事もあります。仕事の条件は、案件獲得時に確認しましょう。)
フリーランスエンジニアとは?会社員とどう違うのか、下記の記事で詳しく解説しています。
【準備~開業】会社員がフリーランスエンジニアになるための準備・3ステップ
会社員として働いている人がフリーランスエンジニアになる方法を、準備から開業までの3つのステップにわけて解説します。
- 1.フリーランスエンジニアになるための下準備
- 2.会社を辞める
- 3.開業する
一つひとつ段階を踏んでクリアしていくことで、誰でも無理なくフリーランスエンジニアを目指せます。
1.フリーランスエンジニアになるための下準備
会社員の間に、フリーランスエンジニアとして働くための準備を行いましょう。退職前にしっかり下準備をしておくことが、将来の成功につながります。
キャリアや資格の棚卸し
フリーランスエンジニアになる下準備として、キャリアや資格の棚卸しが重要です。フリーランスエンジニアとして自分に何ができるのか、スキルシートなどにまとめます。
会社組織においては、個人の信用ではなく会社の信用で仕事を取れます。しかし、フリーランスエンジニアは、自分のスキル1本で勝負しなければいけません。
クライアントが「この人になら任せたい」と思ってくれるように、改めてアピールポイントを整理しておきましょう。
なお、フリーランスエンジニアになるために必須の資格というものはありません。資格を持っていなくても、フリーランスとして活躍しているエンジニアは少なくありませんは。
ただし、資格は客観的に自分のスキルを証明するのに役立ちます。過去の実績が少ないと感じている方や、自己アピールが得意でない方は、取得しておくと強みにできます。
また、これまでエンジニアとして働いていたわけではない未経験の人は、独学やスクールでスキルを磨くところからスタートしてください。
会社を辞めてから勉強を始めるのではなく、在職中に副業でスキルを身につけた上でフリーランスエンジニアに転向するのがおすすめです。いきなり辞めてしまうと、思ったように勉強が進まなかったり、挫折してしまったりしたときに後戻りができないからです。
「退路を断って本気で目指したい」と思うかもしれませんが、これまでエンジニアとして働いたことがない人の場合、本当に自分に向いているかどうかから検討する必要があります。
仕事をしながらでも学べるオンラインスクールも多数あるため、まずはスキルの習得から始めましょう。
ポートフォリオやWebサイトの準備
フリーランスエンジニアを始めるときは、自分のスキルや実績が一目でわかるポートフォリオやWebサイトを準備します。フリーランスエンジニアに重要なのは、実績を示せるポートフォリオやWebサイト、自作アプリなどです。
特にポートフォリオは、案件に応募したときの選考材料になります。ベースとなるものを事前に作成しておいて、案件やクライアントに応じてアレンジしましょう。
求人情報から、求められるスキルを把握してアピールの仕方を変えることが、案件獲得につながります。
なお名刺については、独立前に用意しておく必要はないです。求人に応募して面接に行く場合など、将来的に必要になることもありますが、事前に用意すると内容が実態にそぐわなくなる可能性もあります。
必要に応じて、独立後に作成するのがおすすめです。
仕事環境の準備
次に仕事環境を準備します。「仕事環境」には、物理的な環境と、人的な環境の2つがあります。
まずは物理的な環境として、パソコンや机など、仕事に必要な環境を整えましょう。長時間自宅で仕事をする場合、机や椅子の快適性が健康に直結することもあります。
長く働くためにも、集中して仕事に取り組める快適な環境を作っておくことが大切です。
また人的な環境については、一人暮らしであれば特に問題はないでしょう。一方、親族や友人等と同居している人は、同居人の理解を得ておく必要があります。
フリーランスとして働くことや、フリーランスの働き方について伝えておきましょう。
また配偶者や子供がいる場合は、将来性や収入の安定性などについて、しっかり話し合いの時間を作ってください。家族が納得しないまま独立に踏み切ることがないようにしましょう。
貯金の準備
フリーランスエンジニアを始めるときは、貯金を生活費の3カ月~半年分程度、準備しておきましょう。
フリーランスエンジニアとして独立した後、すぐに十分な収入が得られるとは限りません。また、支払いが「月末締め翌月末払い」といった案件の場合、納品から入金までにも時間がかかります。
余裕を持って自分のスキルや希望に合った案件を探すためにも、ある程度の資金を用意しておきましょう。
引き継ぎの準備
会社を辞めてフリーランスエンジニアとして独立する場合、業務の引継ぎが必要になります。スムーズに退職するためにも、抱えている案件の整理や引き継ぐべき業務の整理を始めておきましょう。
引き継ぎが十分でないと、退職後に質問の電話がかかってきて煩わされる可能性もあります。早い段階で準備を進めておきましょう。
案件獲得の準備
フリーランスエンジニアは、求人広告やエージェントなどを通して案件を獲得します。実際にどのような募集があるのか、独立前に見てみましょう。
案件の内容や数、報酬、自分のスキルでもできそうか、といった点がチェックポイントです。
また在宅での勤務を希望している人は、在宅で働ける案件の内容を確認することも大切です。フリーランスエンジニアは常駐案件も多いため、在宅に絞るとスキルに合った仕事が見つかりにくい可能性があるからです。
求人サイトやフリーランスエンジニア向けのエージェントサイトは、数多くあります。自分に合ったサービスがどこか、目星をつけておきましょう。
2.会社を辞める
準備が終わったら、いよいよ会社を退職します。退職のための手続きを見ていきましょう。
上司への退職届け出
上司や会社への退職届け出は、法律上、退職の2週間前までに行えば問題ないとされています。
しかし就業規則も確認の上、できる限り早めに少なくとも1ヵ月前には意思表示をして手続きをしましょう。
引き継ぎ
トラブルなく辞めるためにも、しっかり引き継ぎを行います。「どうせ付き合いがなくなるから」と、自分勝手に辞めてしまわないようにしてください。
社会保険の手続きをする
会社を退職したら、健康保険と年金の切り替え手続きを行います。
市区町村役場の担当窓口(保険年金課など)に、年金手帳と退職日のわかる書類(離職票や社会保険資格喪失証明書など)、本人確認書類を持参して手続きをしましょう。
なお健康保険については、自治体の健康保険ではなく勤務先で加入していた健康保険を継続することもできます。「任意継続」と呼ばれる制度で、2年間まで継続が可能です。
保険料は市区町村役場の窓口と、会社の健康保険組合で確認できます。比較して安い方を選択するのがおすすめです。
フリーランスになった場合の雇用保険と住民税
会社でもらう毎月の給料からは、雇用保険や住民税が差し引かれています。
雇用保険は雇用されている人が入る保険なので、フリーランスエンジニアになった時点で資格を喪失します。そのため、保険料を支払う必要はありません。
住民税は「前年の所得に対してかかる税金」です。会社を辞める場合でも、納める義務があります。
住民税の納付方法は、下記の2つです。
- 退職金や最後の給料から一括で納付する
- 普通徴収に切り替えて、自分で納付する
1月1日から4月30日までに退職した人は、自動的に一括徴収になります。それ以外の人は希望の方法を選べるので、会社の担当者と話しておきましょう。
なお、フリーランスエンジニアになった翌年の住民税は、前年(会社員時代)の所得によって決まります。
「思ったより売上が伸びなかった」という場合でも、その前の所得を元に税額が決まるため、少ない収入から多額の税金を納付しなければならない可能性があります。
現在の住民税額を参考に、翌年の税金を事前に用意しておくと安心です。
3.開業する
退職の手続きが無事終わったら、いよいよ開業します。
なお会社が副業を禁止していなければ、退職前に開業することも可能です。副業禁止の場合は、退職手続きが終わってから開業しましょう。
開業届を出す
原則として、事業を行う上では下記の2種類の書類提出が必要です。
- 開業届(税務署に提出)
- 個人事業開始申告書(都道府県税事務所に提出)
ただし、届を出さずにフリーランスとして働いていたとしても、罰則はありません。青色申告を行う場合は、開業届の提出が必須です。
帳簿をつける
事業を開始したタイミングで、帳簿を用意しましょう。青色申告をする方は、「青色申告承認申請書」を税務署に提出するのも忘れないでください。
フリーランスは、会社員のように年末調整をしてもらえできません。自分で1年間の収入と経費を帳簿につけて確定申告をします。
税理士に依頼できますが、数万円~数十万円の費用がかかります。実際の費用は、売上の額や依頼する範囲によってさまざまです。
簿記の知識がない人でも、会計ソフトやクラウドサービスを活用すれば自分で対応できるので、チャレンジしてみましょう。
なお、帳簿をつけるにあたっては、事業用の銀行口座を作っておくと便利です。月々の収入の推移なども一目でわかるようになり、モチベーションの維持にも役立ちます。
案件を獲得する
フリーランスエンジニアとして活躍するには、まず案件を獲得する必要があります。積極的に営業活動や求人への応募を行って、仕事を始めましょう。
詳しい案件獲得方法については、次の段落で解説します。
フリーランスエンジニアが案件を獲得する方法
フリーランスエンジニアが案件を獲得する主な方法を、4つご紹介します。
- エージェントを利用する
- エンジニアの求人に応募する
- クラウドソーシングサイトを利用する
- 人脈を利用する
上記の方法は、複数を組み合わせると効果的です。
ひとつずつ見ていきましょう。
エージェントを利用する
フリーランスエンジニアを専門とするエージェントを利用すれば、案件獲得がスムーズです。
エージェントの種類はさまざまです。自分に合った案件を多く取り扱っているところや、サポート体制が整っているところを選びましょう。
エンジニアの求人に応募する
フリーランスエンジニアは、indeedや求人ボックスなどの求人サイトで案件を獲得するのもおすすめです。
「フリーランスエンジニア募集 Java」というように、使える言語やスキルをキーワードにして検索してみましょう。
クラウドソーシングサービスを利用する
クラウドソーシングサービスは、フリーランスエンジニア初心者にも挑戦しやすい案件獲得の方法です。
反面、ライバルが多い・低単価の案件が多い、といったデメリットもあります。
「まずは実績を積みたい」という方や、本業の隙間で手軽にできる案件を探している人におすすめです。
人脈を利用する
フリーランスエンジニアが案件獲得するには、人脈を利用するのもおすすめです。
会社員エンジニアの経験がある方は、元の会社や以前付き合いがあった会社などから仕事を回してもらえることもあります。未経験でフリーランスエンジニアになり人脈がない方は、勉強会に参加したり、SNSを活用したりするのもおすすめです。
会社という後ろ盾のないフリーランスにとって、人脈は大きな財産です。たとえ今すぐ仕事につながらなかったとしても、仲間の存在はモチベーションの維持や情報収集につながります。周囲の人と良好な人間関係を築いていきましょう。
フリーランスエンジニアにおすすめの案件マッチングサイトについて、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
準備段階で知っておきたいフリーランスエンジニアの注意点
会社を辞めてから後悔することがないように、準備段階で理解しておきたいフリーランスエンジニアの注意点をまとめました。
憧れだけで飛び込まずに、実情を理解した上で検討しましょう。
働かないと無収入
フリーランスエンジニアは、仕事をしないと収入が得られません。会社員のような有給休暇制度や、傷病手当金(病気やケガで会社を長期間休んだときに支払われるお金)などがないことを理解しておきましょう。
貯金をしておく、万一に備えて保険に入る、体調管理に気を付けるといった対策を取ることが大切です。
営業や経理も自分で行う
フリーランスエンジニアは、基本的に仕事を自分で選べます。しかし、エンジニアの仕事だけをやっていればよいというわけではありません。
仕事を獲得するための営業活動や、確定申告のための帳簿つけ、請求書の発行といった仕事も、必要に応じて行う必要があります。
「好きなことだけやれる」という期待をしている人は、理想とは違う働き方になる可能性があります。注意してください。
クライアントとのトラブルに気をつける
フリーランスエンジニアにとって、クライアントの見極めは非常に大切です。
せっかく案件を獲得しても、「リテイクばかりでOKがでない」「システムに求めるものが定まっておらず、打ち合わせばかりで仕事がスタートできない」「期日になっても報酬が支払われない」といったトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
先方の担当者の説明や、会社情報、業務範囲、契約内容等をしっかり確認して、トラブルに発展しそうなクライアントは避けましょう。また、エージェントやクラウドソーシングサービスなど、第三者を通して契約を結ぶのも効果的です。
フリーランスエンジニアへの第一歩を踏み出すため【心の準備】
フリーランスエンジニアへの憧れはあるものの一歩を踏み出せずにいる人は、心の準備として次の3つの方法を試してみてください。
- 不安に思っていることを書き出してみる
- まずは副業から始めてみる
- 相談相手や仲間を見つける
「いつかは……」と思っているだけでは、いつまでたってもフリーランスになれません。
まずは心の準備を整えて、できることから挑戦してみましょう。
不安に思っていることを書き出してみる
やってみたい気持ちがあるのに行動に移せない人は、まずハードルになっていることを書き出してみましょう。
その上でハードルを解決するための方法を考えて、一つひとつクリアしていきます。
例えば、「自分のスキルが通用するか不安」という人は、実際の案件で求められているスキルを確認したりスキルアップを目指したりすることで解決できる可能性があります。胸の中にある不安をアウトプットして、少しずつ解消していきましょう。
まずは副業から始めてみる
いきなり独立をするとなると、収入面や継続性などに不安を感じる人もいるでしょう。
このような場合は、いきなり完全なフリーランスエンジニアになるのではなく、会社勤めをしながら副業として仕事をしてみるのがおすすめです。実際にフリーランスとして働いてみることで、独立後の生活や働き方をイメージしやすくなるでしょう。
ただし、勤務先が副業を認めているかどうかは事前に必ず確認してください。就業規則に違反することがないようにしましょう。
相談相手や仲間を見つける
実際にフリーで活躍している先輩や、フリーランスエンジニアを目指している仲間など、気軽に話ができる相手を見つけましょう。
フリーランスエンジニアの実情がわからないと、その分不安は大きくなります。フリーランスエンジニアの集まりに参加してみる、SNSで仲間を探す、スクールに入るといった方法がおすすめです。
まとめ
フリーランスエンジニアになるためには、独立前にしっかり下準備をしておくことが大切です。入念な準備が、その後の案件獲得や継続的な活躍につながります。
自分が保有しているスキルが通用するか不安な方や、フリーランスエンジニアの実情、仕事の獲得方法といった実践的なアドバイスが欲しいと感じている方は、「SAMURAI ENGINEER(侍エンジニア)フリーランスコース」をご検討ください。
フリーランスコースでは、未経験からでも最短3カ月で3万円~5万円の案件獲得を目指せる実践的なカリキュラムが組まれています。受講中の案件獲得も可能なので、スキルを磨きながらフリーランスとして働き始めるのも夢ではありません。
経験豊富な講師のマンツーマンサポートで、フリーランスとしての案件獲得を目指しましょう。
この記事のおさらい
まずは、フリーランスエンジニアとして仕事を獲得するためのスキルの棚卸や、ポートフォリオの作成といった準備から始めましょう。会社を辞める前に準備を進めておくことで、スムーズな独立と案件獲得を目指しやすくなります。
エージェントや求人サイト、人脈など、さまざまな方法を活用して、フリーランスエンジニアとしての仕事を獲得しましょう。自ら動くことが、継続的な仕事の獲得につながります。