この記事では、未経験からプロンプトエンジニアになる手順を、ステップ形式で解説します。
プロンプトエンジニアになるには、何から始めればいいの?
未経験からでもプロンプトエンジニアになれるかな…
コンピューターの処理性能が飛躍的に向上し、第3次AIブームに位置付けられている昨今。ChatGPTやMicrosoft CopilotなどのAIツールから最適な返答をもらえるよう、プロンプト(指示文)を開発・改良する新たな職業「プロンプトエンジニア」に注目が集められています。
そのような現状から、プロンプトエンジニアを目指そうと考えている人も多いでしょう。
新たに生まれた職種のため、どう目指せばいいのかイメージが湧かない人もいるはず。
そこで、今回は未経験からプロンプトエンジニアになる方法を、4つのステップでわかりやすく解説します。プロンプトエンジニアに必要なスキルも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- プロンプトエンジニアには自然言語処理の知識やプログラミングスキルが不可欠
- 学習サイトやスクールなど、自分に適した学習方法を選べるかが重要
- プロンプトエンジニアの求人には、年収1,000万円に届くようなものも多い
プロンプトエンジニアに必要な7つのスキル
求められるスキルがわからない状態でプロンプトエンジニアを目指しては、いざ仕事を獲得する際に求人の募集条件にあわず「こんなスキルも必要だったんだ…」と後悔しかねません。
そこではじめに、プロンプトエンジニアに必要なスキルを、7つにまとめて紹介します。
プロンプトエンジニアリング
プロンプトエンジニアリングは、プロンプトエンジニアに必要なスキルの1つです。
プロンプトエンジニアリングとは、AIが最適な答えを返すようにプロンプト(指示文)を作成する手法です。またこの手法を実行するのがプロンプトエンジニアです。そのため、プロンプトエンジニアリングのスキルは必須といえます。
AIで最適な回答を出力するには、具体的かつ明確な指示が必要です。たとえば、メールの文章を出力したい場合、宛先や送り相手の情報、記載すべき内容など具体的な指示が求められます。
プロンプトエンジニアには、AIが的確に回答を出力できるプロンプトの作成方法や、うまく出力できないときの修正力などプロンプトエンジニアリングスキルが問われます。
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AIシステムの知識
プロンプトエンジニアには、AIシステムの知識も必要です。
前述したとおり、プロンプトエンジニアはAIを扱う機会が多いです。そのため、AIの仕組みを理解しなければいけません。たとえば、AIがプロンプトに基づいて回答を出力する仕組みや癖、代表的な生成AI(ChatGPT、Copilot)の特徴を学ぶ必要があります。
AIの仕組みや特徴を理解できれば、最適な回答がもらえるプロンプトを作成しやすいです。また必要な情報や質問を的確に組み込めば、プロンプト作成の効率も高まります。プロンプトエンジニアとして活躍するには、AIシステムの理解が欠かせないのです。
自然言語処理(NLP)への基礎知識
プロンプトエンジニアには、自然言語処理(NLP)の知識も必要です。
自然言語処理(NLP)とは、人間が理解できる言語(自然言語)で書かれたテキストデータの内容をAIが分析する技術のことです。自然言語処理を利用した実例としては、「Amazon Alexa」や「Google Home」などのスマートスピーカーが挙げられます。
生成AIがプロンプトの回答を出力するときは、人間が理解できる自然言語をコンピュータで処理・分析しています。しかし、自然言語はあいまいさや異なる意味を持つ場合もあります。そのため、事前に分析方法や出力ルールなどのシステムが必要です。
実際にシステムを開発するのはAIエンジニアやデータサイエンティストですが、プロンプトエンジニアも仕組みを理解することで的確なプロンプトを作成しやすくなります。
効率的に作業を行うためにも、自然言語処理の技術や仕組みを理解しておきましょう。
プログラミングスキル
プロンプトエンジニアには、プログラミングスキルも必要です。
プロンプトエンジニアは、人間が理解できる言語でプロンプトを作成するのがメイン業務です。しかし、AIの分析システムをカスタマイズするときにプログラミングスキルが求められます。
たとえば、AIの分析条件やルールを規定する場合や、自然言語処理の実装にはPythonが活用されやすいです。そのほか、JavaやC++など言語が使用されるケースもあります。
そのため、最適な回答が得られる仕組みを構築するには、プログラミングスキルも必要といえるでしょう。
ライブラリ/フレームワークを扱うスキル
プロンプトエンジニアには、自然言語処理に用いるライブラリやフレームワークを扱うスキルも求められます。
ライブラリは、システム開発でよく利用するプログラムがまとめられたものです。一方、フレームワークは開発でよく使用される機能がまとめられたものをいいます。どちらもシステム開発で使用頻度が高く、開発を効率化できる機能です。
ライブラリ・フレームワークを扱うスキルがあれば、AIでの自然言語処理システムを効率的に開発できます。また頻繁に使用するプログラムや機能を使いまわすことで、ミスの削減にもつながります。開発コストの削減や生産性の向上だけでなく、高度な最新技術を手軽に利用できる点がメリットです。
たとえば、自然言語処理にはPythonで開発された「Natural Language Toolkit(NLTK)」や「spaCy」が多く利用されています。NLTKでは、英語の構文解析やタグづけまで可能です。spaCyでは、24言語で80個の学習済み統計モデルが使用可能です。
プロンプト作成スキルだけでなく、ライブラリやフレームワークに精通しているプロンプトエンジニアは、実務現場で求められます。自然言語処理を効率化しプロンプトの作成を効率化するためにも、ライブラリ・フレームワークを扱うスキルは身につけましょう。
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言語化力
プロンプトエンジニアには、言語化力も求められます。
言語化力とは、頭の中に思い浮かんだことを言葉に変換するスキルです。またプロンプト作成においては、AIが分析・回答しやすい文章を作成する力ともいえます。
AIから最適な回答を得るには、思考やアイデアをわかりやすい形で表現しなければいけません。適切な言葉で条件や回答ルールなどを記載できれば、短時間で正確な回答を得られます。反対に、わかりにくい文章でプロンプトを作成すれば、希望の回答を得るまで時間がかかるでしょう。
たとえば、ChatGPTでメールの文章作成を依頼した場合、下のような条件があいまいな指示より、具体的なもののほうが質の高い回答を得られます。
どのようなプロンプトを作成すれば目当ての回答が得られるか、仕組みを理解しつつ想像しながら言語化する必要があるのです。
なお、プロンプト作成の機会を増やすことで言語化力が高められます。経験を積むことで、プロンプトに必要な情報と不要な情報が理解できるため、まずは回数をこなしましょう。
さらに実践学習と合わせて、語彙力の向上やAIの回答癖を理解するのがおすすめです。言語化力を鍛えて、効率よく作業ができるようにしてください。
問題解決力
プロンプトエンジニアには、問題解決力も必要です。
プロンプトを1回で作成できることは少なく、希望の回答がもらえるプロンプトを試行錯誤するケースがほとんどです。そのため、プロンプトエンジニアには現状の課題を分析し、行うべき対策を考える問題解決力が求められます。
具体的には、問題を解決するためにプロンプトに含める情報や条件の精査、AIの分析プログラムの見直しなどを行う必要があります。問題解決力は業界・業種問わず身につけられるため、プロンプトエンジニアになる前に身につけておくのがおすすめです。
未経験からプロンプトエンジニアになる4STEP
ここからは、未経験からプロンプトエンジニアになる方法を、4STEPにまとめて紹介します。
- STEP1:自然言語処理/プログラミングの学習方法を決める
- STEP2:自然言語処理/プログラミングスキルを身につける
- STEP3:プロンプトエンジニアへの就業に役立つポートフォリオを作成する
- STEP4:プロンプトエンジニアの求人を探す
STEP1:自然言語処理/プログラミングの学習方法を決める
まず、自然言語処理やプログラミングの学習方法を決めましょう。主な学習方法は「学習本」「学習サイト」「プログラミングスクール」の3つに分けられます。
下記に、それぞれのメリット・デメリット、どんな人におすすめかをまとめました。
学習本や学習サイトは、低予算でも気軽に始められるのがメリットです。学習本は数千円で購入可能で、無料学習サイトを活用すれば費用がかかりません。初心者向けの教材を利用すれば、無理なく学習できます。一方で、学習サポートが充実していないため、難易度によっては挫折してしまう場合もあります。
プログラミングスクールは、手厚いサポートを受けられるため挫折しにくい点がメリットです。チャットでの質問対応や対面レッスンなど、講師へ相談できるのは魅力といえます。しかし、スクールは受講料が数万円から数十万円と高額な場合も多く、低予算では受講しにくいのがデメリットです。
上記を踏まえると、学習本と学習サイトは手軽に学習したい人や1人で学習を進められる人。プログラミングスクールは、短期間でスキルを身につけたい人や学習サポートがないと不安な人におすすめです。
各学習方法にはメリット・デメリットがあるため、特徴を理解したうえで自分にあう学習方法を選びましょう。
なお、下記の記事でプロンプトエンジニアが目指せるおすすめスクールを紹介していますので、あわせて参考にしてください。
→ プロンプトエンジニアを目指せるおすすめスクール5選!選び方も紹介
STEP2:自然言語処理/プログラミングスキルを身につける
学習方法が選べたら、自然言語処理やプログラミングの学習を始めましょう。
前述したとおり、自然言語処理やPythonなどプログラミングスキルはプロンプトエンジニアに必須のスキルです。基礎的な内容の理解だけではなく、後述するポートフォリオの作成に向け、実践的な内容も学ぶ必要があります。
実践スキルを身につけるには、手を動かしながら実践学習に取り組むことが大切です。繰り返し学習することで、応用力や問題解決力の向上につながります。
また挫折しないためには、疑問点を相談できる環境が必要です。メンターへ相談できるサービスやスクールを活用すれば、学習中のわからない点が質問できるため挫折リスクを減らせます。
スキルを身につけなければ、プロンプトエンジニアにはなれません。独学で挫折しそうになったら、プログラミングスクールの受講も視野にいれましょう。
STEP3:プロンプトエンジニアへの就業に役立つポートフォリオを作成する
自然言語処理やプログラミングのスキルが身についたら、ポートフォリオを作成しましょう。
未経験エンジニアが転職・就職時に自分のスキルをアピールするためには、ポートフォリオが欠かせません。履歴書や職務経歴書だけではスキルの証明は難しいですが、ポートフォリオがあればスキルや実績を評価してもらえます。
スキルは言葉で証明するのは難しいため、成果物を客観的事実として提示しましょう。スキル学習が完了したら、プロンプトの設計から文章作成まで行いポートフォリオを準備しましょう。
具体的には、メールの文章作成プロンプト、プレゼン資料の基礎構成作成プロンプトなど実務で活かせそうな題材に挑戦すると良いです。ポートフォリオの作成は実戦経験にもなるので、必ず挑戦してください。
STEP4:プロンプトエンジニアの求人を探す
ポートフォリオができたら、プロンプトエンジニアの求人を探しましょう。求人を探すには、以下のようなサービスがあります。
サービス別に表にしましたので、参考にしてください。
「求人サイト」「転職エージェント」「知人や友人の紹介」が一般的ですが、近年では「クラウドソーシングサイト」や「SNS」の利用も増加しています。それぞれの長所を参考にして、よい求人を見つけましょう。
プロンプトエンジニアを目指す人によくある質問
最後に、プロンプトエンジニアを目指す人がよく抱く疑問に回答します。
プロンプトエンジニアとプログラマーの違いは?
業務内容が異なる点で、プロンプトエンジニアとプログラマーには違いがあります。
先述したように、プロンプトエンジニアはAIが最適な答えを返すプロンプトの作成に特化したエンジニアです。プロンプトの文章を作成する業務が多く、プログラミングを行う時間は多くありません。
一方プログラマーは、システムエンジニアが作成した設計書に基づいてプログラムを作成します。プログラミング言語でコードを作成するのがメイン業務で、完成したプログラムのテストを行うケースもあります。
上記を踏まえると、プロンプトエンジニアはAI活用が専門のITエンジニアになりたい人。プログラマーは、プログラミングやシステム開発の仕事をしたい人におすすめです。
プロンプトエンジニアはどんな人に向いてる?
次の項目に当てはまる人は、プロンプトエンジニアに向いているといえます。
- 好奇心が強い
- 新しい技術に抵抗がない
- 自分から積極的に学ぶ意欲がある
プロンプトエンジニアはAIツールなど、日々最新技術に触れるため、はじめて学ぶ内容に抵抗がない人のほうが活躍しやすいです。
またAI関連の技術は移り変わりが速く、常に知識をアップデートしなければいけません。そのため、自分から積極的に学習や情報収集できる積極性がある人のほうが成長スピードも速いです。このように、プロンプトエンジニアは好奇心が強く、新しいことを学ぶのが好きな人に向いています。
プロンプトエンジニアの年収はどのくらい?
日本の主要な求人サイトの年収を調査して、表にまとめました。
年収1,000万円に届くような募集が多く、プロンプトエンジニアの市場価値は高まっているようです。
プロンプトエンジニアになるうえで取得すべき資格は?
プロンプトエンジニアを目指すにあたり、下記の資格を取得すると有利にはたらく場合があります。
Python3エンジニア認定の各種資格では、Pythonの基礎知識やデータ分析手法などAIを活用するにあたって必要なスキルが問われます。
また、G検定では機械学習やディープラーニングの基礎知識が身につきます。資格があれば客観的にスキルを証明できるため、プロンプトエンジニアを目指す人は取得しましょう。
プロンプトエンジニアのキャリアパスは?
プロンプトエンジニアのキャリアパスは、下記のとおりです。
目指せるキャリアパス | おもな仕事内容 |
AIエンジニア | AIシステムの開発・運用 |
データサイエンティスト | AIや機械学習を活用したデータ分析 |
AIに関する専門知識を増やすことで、AIエンジニアへ転身する選択肢もあります。AIエンジニアは、AIシステムの開発や運用を行う職種です。Pythonでのプログラミングスキルのほか、機械学習や統計学など知識が問われます。
またデータ分析を専門に仕事がしたい人の場合、データサイエンティストもおすすめです。データサイエンティストは、機械学習や統計学を駆使してデータの分析・活用を行う職種です。AIの仕組みを理解したうえで、データ分析を行うスキルが求められます。
どちらの職種も今後需要が高まるといわれており、将来性が期待できます。興味がある人はプロンプトエンジニアとして経験を積みつつ、キャリアチェンジを検討しましょう。
AIエンジニアやデータサイエンティストに興味が湧いた人は、次の記事も参考にしてください。
→ データサイエンティストになるには?未経験からのロードマップ
→ AIエンジニアになるには?必要なスキルと未経験からのロードマップ
まとめ
今回は、未経験からプロンプトエンジニアになる方法を、必要なスキルも交えて紹介しました。
プロンプトエンジニアになるためには自然言語処理やプログラミング、自然言語処理に使うライブラリやフレームワークを扱うスキルに加えて、言語化力や創造力も必要です。
上記のスキルを身につけるには、本や学習サイトを利用した独学も可能ですが、高度な内容になると挫折してしまう可能性があります。そのような場合には、プログラミングスクールの利用がおすすめです。
なお、数あるスクールのなかでも月分割4,098円から学べる侍エンジニアは、現役エンジニア講師によるマンツーマンレッスンとオリジナルカリキュラムが特徴のオンラインプログラミングスクールです。
就職・転職成功率は驚異の99%。受講生満足度も98%以上を誇り、これまでに3万5,000名以上の方を未経験からITエンジニアとして輩出してきました。
現役エンジニアによる学習サポートに加え、専属のコンサルタントが内定獲得まで伴走してくれる就職支援も強みの1つ。学習と就業面をどちらもサポートしてくれるため「途中で挫折しないか心配…」と不安な未経験の人でも、安心してITエンジニアに必要なプログラミングスキルを習得できますよ。
本記事の解説内容に関する補足事項
本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。
また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に、提供コースは「教育訓練給付制度の指定講座」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。
記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。
この記事の監修者
フルスタックエンジニア
音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。