この記事では、Webデザイン制作におけるAdobeの必要性や使うべき人の特徴を解説します。
Adobeってよく聞くけど、Webデザインに必要なのかな?
どんな利点があるのかな?
名前はよく聞くものの、AdobeがWebデザイン制作に必要なのか、あいまいな人は多いですよね。
結論「AdobeがないとWebデザインは制作できない」といったことはありません。しかし、Adobeを活用することで、効率的かつ効果的にWebデザインを制作できます。
この記事では使うべき人の特徴も交え、Webデザイン制作にAdobeを活用するメリット・デメリットを解説します。主要ソフトの特徴やAdobeでWebデザイン制作する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- WebデザインにAdobeを活用するメリット
- Adobeを使うべき人の特徴
- AdobeでWebデザインをするコツ
AdobeはWebデザイン制作に効果的
AdobeのソフトはWebデザイン制作に非常に効果的です。その理由はいくつかあげられます。
まず、Adobeソフトを使うことで機能不足や互換性の問題に悩むことなく、デザインに集中できる環境が整うことです。特に、作業の効率化とファイル互換機能が優れているため、多くのデザイナーにとって欠かせないツールとなっています。
さらに、Adobe社は動画・写真・イラスト・プログラミングなど、Web制作関連ソフトの分野で長年技術革新をリードしてきました。リリース直後から、AdobeのWebデザインソフトは他社が追随する基準となり、世界中のデザイン現場で高い支持を受け続けています。
日本国内でも、信頼性の高いソフトとして多くの現場で使用されていることも、AdobeがWebデザインに効果的であることの証です。
Webデザイン制作にAdobeを活用する3つのメリット

ここからはWebデザインにAdobeソフトを活用するメリットを、3つにまとめて解説します。
メリット1:デザインデータを共有しやすい
AdobeのWebデザインソフトは、データ共有が容易であることが大きなメリットです。
通常は、ファイルの拡張子が異なればデータを開けないか、開けたとしてもエラーが発生するなどの問題が起こります。しかし、Adobeのデザインソフト同士は互換性に優れ、異なるソフトで作ったデータも開くことができます。
また、Adobeソフトは世界中の制作現場で最も高く支持されており、クライアントにも活用している人はたくさんいます。そのため、デザイナー個人やチームメンバー間に加え、クライアントともスムーズにデータを共有することが可能なのです。
代表的なAdobeの競合相手であるFigma(フィグマ)の拡張子は「.fig」。Adobeとの互換性はほぼないため、AdobeかFigmaのどちらかで作成したファイルをもう一方のソフトで編集することはできません。
制作現場では、ファイル共有が問題なくできるか否かは、作業を円滑に進めるうえで非常に重要なポイントです。
メリット2:初心者でも使いやすい
Adobeソフトは直感的に操作できるよう設計されており、初心者でも扱いやすいこともメリットです。
シンプルでわかりやすいインターフェースで、必要なツールをすぐに呼び出せれば、作業の負担軽減になります。このように、誰もがスムーズに使い始められることは、初心者からプロまでのすべての人の助けになります。
また、学習ガイドとチュートリアルが豊富に提供されており、初心者も基本的な操作方法やデザインのコツを学ぶことができる点も魅力です。
もちろん、これらの学習リソースはすべて無料。使用方法についてわからないことは、公式のオンラインコミュニティで他のユーザーに質問することもできます。こうした環境が整えられていれば、初心者が自分で学習方法を探す手間が省けます。
メリット3:高度な編集機能でスピーディな制作ができる
Adobeには、高度な編集機能によってスピーディな制作を可能にするメリットがあります。
まず、Adobeは細かなデザイン調整や多彩な画像編集機能を備え、プロが求める全ての作業を一つのソフト内で完結させることができます。これにより、他のソフトを併用する必要がなく、制作効率が飛躍的に向上します。
さらに、ショートカットキーや特定の作業パターンの自動化といった効率化機能が豊富に揃っていることも、制作スピードの底上げになります。
これらの理由から、Adobeソフトはデザインクオリティを保ちながら、迅速な制作を実現するために有効な選択肢といえます。
Webデザイン制作にAdobeを使うべき人の特徴4つ

ここからはWebデザイン制作にAdobeを使うべき人の特徴を、4つにまとめて紹介します。
プロのWebデザイナーを目指す人
プロのWebデザイナーを目指す人は、Adobeソフトの使用を強くおすすめします。その理由は主に2つあります。
1つめの理由として、Adobeソフトは多くの制作会社で使用されており、プロとして活躍するためには必須となっていることがあります。
この背景には、クライアントにもAdobeソフトを使用している人が多く、ファイル共有がスムーズに行えるという利点があるためです。このおかげで、制作データが開けないといったトラブルが発生せず、効率よく作業を進められます。
2つめの理由は、高度なデザインを実現する際に必要な、多くの編集機能を備えているからです。
Adobe以外のソフトでデザインをはじめても、高度なデザインを目指した結果、機能不足で思うような仕上がりにならないことは珍しくありません。Adobeなら、こうした事態に陥ることなくデザインに集中できます。
細部にこだわったデザインがしたい人
視覚にこだわったデザインがしたいなら、Adobeソフトはいずれ必要になると考えてよいでしょう。
Figma(フィグマ)やCanva(キャンバ)など、Adobeの競合相手となるソフトは存在します。しかし、これらと比較してもAdobeの編集機能は圧倒的に高く、競合ソフトには実現できないデザインを形にする機能を備えています。
FigmaやCanvaは使いやすさや、他の人とリアルタイムで作業できるところが強みです。簡単なデザインをするには充分ですが、高度な編集が求められる場面には対応しきれないことがあります。
作業を効率化したい人
Adobeソフトは、無駄な時間を減らし、効率的に作業を進めたい人にも最適です。
Adobeのデザインソフトにはそれぞれに強みがあり、なおかつ高い互換性を備えています。作りたいものによって適したソフトは異なりますが、その都度最適なソフトを使い、それぞれを連携して作業すれば素早くデザインを仕上げることができます。
各ソフトに備わった自動化機能を使えばさらに作業は効率化され、時間の節約になります。
また、Adobeには多くのテンプレートが用意されており、これをたたき台に新しいデザインを起こせば、ゼロから制作を始める手間が省けます。
学習意欲が高い人
デザインを学び続けたい人や、そのために必要なソフトを使いこなしたい人にもAdobeは最適です。
まず、Webデザインには流行がありますが、多彩な機能が備わったAdobeソフトならどんなニーズにも応えることができます。
高度な編集を行うには一定レベルのスキルは必要ですが、高い人気をほこるAdobeソフトはインターネット上でも多くの人が学習チュートリアルを配布しています。これにより、わからないことを検索し、解決する学習意欲のある人にとっても使いやすい環境が整っています。
さらに、Adobeは定期的に新機能やプラグインを追加しており、これらを学び続けることで、効率的かつ高度な作業をするスキルが身につきます。
Webデザイン制作に使うAdobeの主要ソフト

ここからは、Webデザイン制作に使うAdobeの主要ソフトを2つ紹介します。
簡単にそれぞれの特徴を知りたい人は、下の表を参考にしてください。
各項目は公式サイトの情報をもとに記載しています。
「月々のプラン料金」には2025年3月時点の税込み価格を掲載しています。
Adobe Photoshop(フォトショップ)
小さな点を集めた「ビットマップ画像」と呼ばれる形式で、精細な色の表現が可能。ただし、拡大すると画像が劣化する。
Photoshopは、通称「フォトショ」と呼ばれるWebデザインで使用する代表的なソフトです。
画像加工に特化しており、背景を切り抜いたりエフェクトをかけたり写真を合成したりと使用用途は無限大。クリエイターの想像力次第で、複数の機能を組み合わせ、独自の作品を作れるところが魅力です。
バナーやLP(ランディングページ)など、ネット上で頻繁に目にするグラフィカルな画像は、Photoshopを使用して作られていることがほとんどといっても過言ではありません。
画像の編集・加工には万能なPhotoshopですが、一つだけデメリットがあるとすればハイスペックな環境が必要なこと。
Photoshopが問題なく使用できるパソコンについて知りたい人は、こちらの記事でパソコン選びの基準を解説しています。

なお、フォトショップの基本的な機能について知りたいかたはこちらの記事が参考になります。

Adobe Illustrator(イラストレーター)
ベクトル画像と呼ばれる方法で画像を生成する。Illustratorで作った素材は拡大縮小しても劣化しない。ただし、画像加工はできない。
Illustratorは通称「イラレ」と呼ばれる、紙媒体のデザインに特化したソフトです。
小さな点の集まりであるビットマップ画像を扱うPhotoshopとは異なり、ベクトル画像と呼ばれる数学的な式を使って画像を生成するため、その名の通りロゴやイラストなど境界のはっきりした素材造りに最適。Illustratorで作った素材は、どんなに拡大しても劣化しないことも特徴です。
チラシやパンフレット・名刺・看板・イラスト・パッケージなどの印刷物全般を作る際に使われますが、画像加工はできないため、WebデザインにおいてはPhotoshopと連携する必要があります。
なお、次の記事では初心者向けにイラストレーターの使い方を解説しています。

Adobeを用いたWebデザイン制作の始め方【2ステップ】

Adobeを用いたウェブ制作の始め方は、2ステップです。
- ステップ1:Adobe CCを契約する
- ステップ2:ソフトをダウンロードする
ステップ1:Adobe CCを契約する
まず初めに、Adobe Creative Cloud(以下、AdobeCC)でサブスクリプション契約をします。プランと支払方法別の料金一覧は、次の通りです。
各項目は公式サイトの情報をもとに記載しています。
「月々のプラン料金」には2025年3月時点の税込み価格を掲載しています。
- 単体プラン:ソフトを1本だけ契約できる
- フォトプラン:PhotoshopとLightroomが使用可能
- コンプリートプラン:Adobe CC全ソフトが使用可能
1年以上ソフトを使うなら、どのプランでも年間プランの一括払いが最も安くなります。PhotoshopとIllustratorの両方を使う場合は、単体プランを2つ契約するより、コンプリートプランを契約したほうがお得です。
下表にそれぞれのプランのメリットとデメリットをまとめましたので、どのコースが自分に合うかの参考にしてください。
月々プランは1ヶ月ごとに契約が更新されるので、短期間の利用には向きますが、1年以上使う際は年間プランより割高になります。
学割で安くなる
学割を使えば、すべてのソフトが使えるコンプリートプランを月々払いの年間プランで、初年度には月2,180円(税込み)で利用できます。2年目以降は3,610円に引き上げられますが、それでも相当お得です。
学生や教員の場合は、学校が発行するメールアドレスで在籍を証明すれば学割購入ができます。
学生や教職員ではない人も、デジタルハリウッド、アドバンスクール、たのまな等のAdobe公認オンラインスクール経由で購入すれば学割価格で利用できます。
ステップ2:ソフトをダウンロードする
加入プランを決めて入金を済ませたら、次はソフトをダウンロードします。
creativecloud.adobe.com/apps にログインし、インストールするソフトを選んでください。
画面の指示に従っていけばダウンロードは完了するので、何も難しいことはありません。これだけでデザインを始められる状態になるので、さっそくソフトを立ち上げてみましょう。
AdobeでWebデザインする4つのコツ

次に、AdobeでWebデザインをする際のコツを4つにまとめてご紹介します。
コツ1:ショートカットキーを覚える
AdobeでWebデザインを始めるなら、ショートカットキーを覚えておきましょう。これにより作業が快適になるのはもちろん、制作時間の短縮が図れます。
Webデザインに取り組む中では、ショートカットキーによる操作感の良さは重要です。操作感が悪ければ負担が増し、デザインに集中することができません。
また、ツールバーから編集機能を選ぶよりも、コマンド入力で素早く必要な機能を呼び出すことは集中力の維持を助けます。小さなことではありますが、ショートカットキーを使えば手の動きが抑えられ、長時間の作業の際は指や手首の負担が軽減されます。
コツ2:Adobe Creative Cloudを活用する
Adobe Creative Cloudの活用も、デザイン制作を円滑にするコツです。
Webデザインの世界では、クラウドストレージ(インターネット上でデータを保存・共有できるサービス)を使う機会が多いです。
AdobeはCreative Cloudというクラウドストレージを提供しており、ここに保存したデータにはどこからでもアクセスできます。これによりデータの移動が容易になるだけではなく、他の人と手軽に情報共有をしたり、外出先や異なる端末でファイルを開きたい際にも簡単にデータにアクセスできます。
また、モバイルアプリをダウンロードすれば、外出先からスマホで閲覧することも可能です。
さらに、Creative Cloudには大規模なユーザーコミュニティがあり、疑問や問題に対するサポートを受けやすい環境が整えられているため、これを活用すれば問題解決が容易になります。
コツ3:プリセットを活用する
プリセットと呼ばれる、特定のパターンやフォーマットを保存できる機能の活用も、デザイン制作を円滑にします。Webデザインにはサイト制作・ランディングページ制作・バナー展開そのほかのさまざまな分野があります。
どの分野にも共通して大切なことは、一つの制作物に対して一貫したデザインを保つことです。そのため、あらかじめプリセットに繰り返し使用する要素を保存し、簡単に同じ効果を呼び出せるようにしておくと便利です。
他のメンバーとプリセットを共有すれば、チーム全体で統一されたデザインを作る効率が上がります。
コツ4:プラグインを活用する
ソフトの利便性を高めるプラグインと呼ばれる拡張機能を使うことも、デザイン制作の幅を広げるコツです。プラグインでできることは次の通り。
- ソフトの機能追加
- タスクの自動化
- パフォーマンスの最適化
- バグの修正
- Adobe製以外のアプリを連携させる
これらはデザインを効率的に進めるだけではなく、チーム全体で一貫したデザインを維持する際にも便利です。
プラグインは、Adobe CCアプリのヘッダーのタブから「Stockとマーケットプレイス」のページに入り、メニュータブからプラグインを選択するか、Photoshopなどのソフト内ツールバーの「プラグイン」から入手できます。
まとめ
AdobeのWebデザインソフトはデザイナーに必要なすべての機能を備え、シェア率の高さから、他の人とのファイル共有が容易であることが利点であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
機能の多さから、初めのうちは操作方法に戸惑うこともあるかもしれません。しかし、疑問の多くはオンラインで解決できるため、それほど苦心せず操作に慣れることは難しくありません。
今も昔も、Adobeソフトは業界基準。デザインを学び、創造力を形にしたい人は、Adobeを活用することで満足のゆく体験ができます。
また、Adobeソフトの習得は、Web制作業界への転職の際にも役立ちます。
本記事の解説内容に関する補足事項
本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。
また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に、提供コースは「教育訓練給付制度の指定講座」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。
参考:SAMURAIが「DX認定取得事業者」に選定されました
記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。
この記事の監修者
株式会社SAMURAI
情報系の大学を卒業後、HR関連のサービスを複数展開する事業会社に勤務。コミュニケーションデザイン領域のデザイナーを4年ほど務め、LPやバナーデザインの制作、コーディング等を経験。現在は株式会社SAMURAIでWebデザイナーとして、バナーデザイン制作やLP改善、Instagram運用等に従事。