深層学習の理解は進んでいますか?
あなたは今、深層学習の大まかな仕組みは理解した上で、オススメのフレームワークを探していますね。
この記事では、深層学習のフレームワークを探している方に向けて、以下の内容を説明しています。
「Chainerの特徴を知りたい」
「Chainerの活用事例を知りたい」
「Chainerを習得した場合に求人はあるのか知りたい」
それでは順番に説明していきましょう!
Chainerとは
Chainerは、Pythonで深層学習のプログラムを実装する際に使用できるフレームワークの1つです。
深層学習の研究が進み、より複雑なニューラルネットワークを柔軟に記述することの必要性が高まる中、Chainerは、それに応えるために開発されました。
Pythonを使用する場合は、Chainerを使わずにTensorFlowを使う方もいらっしゃるようです。
Chainerの開発は、深層学習(Deep Learning)技術の研究開発を行うPreferred Networks(PFN)が中心となって進められています。
PFNが日本国内の企業であるためでしょうか、公式の日本語ユーザーグループも用意されていることも安心材料の一つですね。
参考:https://groups.google.com/forum/#!forum/chainer-jp
深層学習(Deep Learning)とは
深層学習(Deep Learning)は、大量のデータに対して、大量の数値計算を行うことで、プログラムがデータの特徴を学習したかのように振る舞わせることができる計算手法の1つです。
つまり、Chainerを使用すると、深層学習のプログラム(Pythonでデータの特徴を学習したかのように振る舞うプログラム)を簡単に作成できるのです。
Chainerのメリット
深層学習に必要なニューラルネットワークの構成をPythonでシンプルに記述できることが最も大きなメリットです。
また、インストールが簡単なこともメリットとしてあげられます。
一方、Chainerの特徴としてDefine-by-Run(ニューラルネットワークの構築と計算を同時に行う)方式であることや、高速性もメリットとされることがありますが、まずChainerを使って深層学習をやってみようというときには、それほど深く考える必要はないでしょう。
Chainerの活用事例
ところで、Chainerを使ったプログラムで、どのようなことを学習させられるのでしょうか。
Chainerはあくまで深層学習のプログラムを実装する際に使用できるフレームワークです。
したがって、深層学習の活用事例は、そのままChainerで実装できる活用事例ということになります。
そこで、ここでは、深層学習の活用事例を紹介します。
Chainerで実装した例については、ここでは説明しませんので、別途探してみてください。Chainerは有名なフレームワークですので、比較的簡単にコード例を見つけられるでしょう。
画像分類
画像分類は、画像に描かれている物体を推定する作業です。
飛行機が描かれている画像を、プログラムで処理した結果、「飛行機」と出力することを目的としています。
深層学習による画像分類の精度が高いことで、深層学習の有用性が語られるようになったとも言えるでしょう。
突然ですが、ImageNetというプロジェクトをご存知でしょうか。
ImageNetのデータベースには、1500万枚の画像と、それらの画像1枚1枚に対して何が描かれているかを説明する語句が登録されています。
深層学習を使用すると、ImageNetのデータベースに登録された画像と語句の対応を学習できます。そして、学習済みのプログラムを使用すると、未知の画像に何が描かれているのかを、プログラムが推測できるのです。
Chainerを開発しているPFNによると、分散学習パッケージChainerMNを使用して、ImageNetの画像と語句の対応を学習したところ、深層学習の学習速度において世界最速を実現できたそうです。
Chainerの速さに期待が高まりますね。
参考:https://www.preferred-networks.jp/ja/news/pr20171110
物体検出・セグメンテーション
物体検出・セグメンテーションは非常に似通った作業ですので、まとめて説明します。
物体検出は、画像のどこに何が描かれているかを推定する作業です。ゾウが描かれている画像を、プログラムで処理した結果、「ゾウ」と出力するだけでなく、ゾウの輪郭を抽出することを目的としています。
また、セグメンテーションは画像のすべてのピクセルが何を表しているかを推定する作業です。わかりやすく書くと、ゾウの輪郭だけでなく、ゾウと一緒に描かれている地面や空の輪郭も推定することを目的としています。
画像分類では、画像に対して説明が一つになりますので、実用性には疑問符が付きますが、物体検出・セグメンテーションは話題の自動運転を実現するための技術としても利用され、実用性が高いと言えるでしょう。
参考:https://www.slideshare.net/takmin/semantic-segmentation
PaintsChainer
PaintsChainerというサービスが、その名の通りChainerを使って実装されています。
PaintsChainerは、Chainerを開発しているPFNが開発・提供している線画自動着色サービスです。
白黒等で描かれた線画ファイルをアップロードすると、自動的に着色された画像をダウンロードできます。
試すまでもなく、Chainerのすごさがわかるサービスですね。
参考:https://paintschainer.preferred.tech/index_ja.html
Chainerの仕事内容
Chainerに限らず、深層学習を活用した仕事はすでに存在します。
行動データを活用したデータ分析を行うシステムの開発や、用意された作業(タスク)と人が持つスキルをマッチングするシステムの開発など、深層学習を活用すれば解決できそうと思われるような仕事内容はもちろんです。
一見、深層学習とは縁がないように思える、法律業務を変革するためのシステム開発といった仕事もあります。
ここで、Chainerに関する求人数や案件数を見てみましょう。
Chainerの求人数
上記のように様々なビジネスで、深層学習の活用が始まることが期待されています。
したがって、求人数も増えていくことが期待されるのは当然の成り行きです。
では、現時点でChainerを必要とする求人数はどのくらいあるのでしょうか。
試しにWantedlyで「Chainer」に関連する求人を検索してみると、約70件の求人が見つかりました。
いくつか見てみると、必須スキルの1つや歓迎スキルの1つとして、Chainerがあげられていることが多いですね。
深層学習の活用が進むことで、このような求人が増えていくことが期待されています。
参考:https://www.wantedly.com/search?q=Chainer
Chainerの案件例
就職ではなく、作業案件として、Chainerを活用する案件数も気になりますね。
お仕事マッチングサイトA-STARで「Chainer」の案件・求人を検索してみると、こちらは6件でした。
案件単位での募集については、まだまだ多いとは言えませんが、深層学習の効果が実証されるにつれて、案件数も増えることが期待されますね。
参考:https://agency-star.com/projects/?freeword=Chainer
Chainerのインストール
Chainerを試すだけでしたら、インストールは簡単です。
まず前提条件として、Python 2.7.6以降、3.4.3以降、3.5.1以降、3.6.0以降のいずれかをインストールしておく必要があります。
そして、Windowsの場合はコマンドプロンプトを起動してから、以下のコマンドを入力しましょう。
pip install chainer
最低限のChainerだけでなく、GPUを利用して計算を速くしたいとか、Caffeモデルの読み込みに対応させたいといった希望がある場合は、別途いくつかのパッケージをインストールする必要があります。
参考:https://docs.chainer.org/en/stable/install.html
また、Chainerのチュートリアルも用意されています。
英語の文章ですが、Chainerを使うためには必読と言えます。
日本語のコミュニティが存在するとはいえ、深層学習のように最先端の技術を取り扱う場合、英語を避けて通ることはできません。がんばりましょう。
参考:https://docs.chainer.org/en/stable/tutorial/basic.html
まとめ
この記事を読んで、実際にChainerをインストールして、チュートリアルに挑戦していただけたでしょうか。
Chainerのチュートリアルが終わったら、いよいよ手元のデータを学習させる段階です。
これ以降は、機械学習や深層学習の考え方、ニューロン、活性化関数(出力関数)、ランプ関数(ReLU)、勾配降下法など、よく出てくる単語の理解は必須です。
Chainerの使いかたと平行して、様々な単語の意味もしっかりと理解していきましょう。
理論だけでもダメ、実践だけでもダメ、Chainerで実践しながら理論を理解すれば、深層学習の力が付くに違いありません。がんばりましょう!