こんにちは、侍エンジニア編集部です。 電子工作って何ができるの?独学でも大丈夫?
電子部品はどこで購入したらいいんだろ?
電子工作で気をつけることってある?
こちらの記事では、このような疑問について深堀りしてお答えします。
「電子工作」は基盤の回路を組み立てたり、プログラミングも必要になるのでハードルを高く感じてしまいがちですが、最近の電子工作は以前と違ってかなり身近なものとなってきました。
入門用の本も多数出版されていますし、ネットでもいろいろな情報を見ることできます。それにYouTubeでも、電子工作に関する解説動画はけっこう増えてきていますね。
記事の前半では「電子工作の概要・入門書の紹介」、後半では「おすすめの通販サイト・作業時の注意点」などについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
- 電子工作とは回路組み立てやプログラミングで機器製作を行うこと
- 電子工作にはArduinoやRaspberry Piなどがおすすめ
- 初心者は書籍やYoutubeを参考にするのがおすすめ
電子工作とは? 何ができるの?
電子工作とは、電子部品や半導体素子と呼ばれる素子を使った工作のことです。というと少し難しく聞こえてしまいますが、ラジオを作るキットなどを想像してもらえると分かりやすいでしょうか。
以前の電子工作は、それぞれの部品や数学に対する深い知識が必要とされる敷居が高いものでした。しかし、最近ではArduino(アルドゥイーノ)やRaspberry Pi(ラズベリーパイ)などの、「マイコン」と呼ばれるツールが普及しています。
これらのツールは数千円程度と安価で、簡単にパソコンへ接続してプログラミングもできるので、自分の形にしたいものをより手軽に工作することができるようになりました。電子工作を覚えると、家にある電気製品を自分で改造できるようになったり、日常生活でも役立つことが増えてきます。
たとえば改造だけではなく、ボタンが反応しなくなったゲーム機のコントローラー、断線して動かなくなったドライヤー、液晶モニターの不具合まで修理できるようになります。実用的なことや遊び要素を含んでいることまで電子工作の楽しみ方はとても幅広く、あなたの作った工作品を売れることだってあるかもしれません。
また電子工作で色々と作っていると、家電量販店などに置かれている製品に対する観点が変わってくるので、電子工作はあなたの世界観を奥深く豊かにしてくれるものとなるでしょう。
電子工作は独学で覚えられるのか
独学で覚えるのはさすがに難しいのでは?
と、ハードルを高く感じている方もいるのではないでしょうか。
ですが、いまはネットで調べれば電子工作の作り方などに関する情報もたくさん見ることができます。またネットの情報と合わせて、初心者向けの入門書なども購入して学んでいけば、独学でも十分に電子工作を楽しむことはできますし、Twitterなどで電子工作に関する情報発信をしている人もいるのでフォローしておくといいかもしれません。
そもそも、プログラミング自体についてもネット上にサンプルが公開されているので、流用すれば一から打ち込む手間も省けます。電子工作を進めるのに必要な部品や工具も、焦って購入を急ぐことはありません。
費用を無駄にしないように、よく調べつつ、必要と思われるものから揃えていきましょう。
電子工作で役に立つ入門書
こちらでは電子工作を始めたいと考えている人におすすめできる入門書を紹介しますね。
こういったロジック的なものは、基礎的な知識を理解していないとどこかでつまづいてしまうので、焦ることはありませんし、コツコツと覚えていくようにしましょう。
実践Arduino!電子工作でアイデアを形にしよう
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目次の見出しを一通りみても「何ができるのか?」ということが理解しやすく、制作手順もきちんと解説されているので初心者にはおすすめできる本です。
こちらの本に掲載されている作例をいくつか紹介しますね。
【 鼓動を感じるタマゴ 】
手のひらサイズくらいのタマゴ形をしたカプセルに静電容量センサーなどを内蔵させて、触れると命が宿っているかのように静かな鼓動を感じるタマゴを作れます。
【 トイレみまもり鳥 】
こちらはかなりユニークな電子工作ですね。トイレから誰かが出入りするたびにTwitterで教えてくれます。人感センサーとWi-Fiモジュールなどを利用して作れるようですね。
【ボール転がし】
天板部分が迷路になっている箱型のコントローラーを左右に傾けて操り、PC画面に映ったボールを3D迷路のゴールまで導くゲームを制作できます。
いかがですか? 上記は作例の一部ですが、なにかワクワクしてきませんか? 電子工作の難しそうなイメージを払拭してくれる、入門書としては最適な一冊ですね。
わかる!電子工作の基本100
こちらの本も、電子工作に関する基本的な知識が幅広く解説されているので、初心者向けですね。電子工作に必要な工具や電子パーツ、電気回路の基本、後半ではマイコンボードについても丁寧に説明されています。
専門的な用語がポツポツと出てくるので最初は戸惑うかもしれませんが、用語の意味も解説してくれますし、ネットで調べればたいがいは解決できます。スムーズに読み進められて、電子工作の基礎をしっかりと覚えられる一冊になりますね。
Aruduinoをはじめよう
タイトルの通り、Arduinoで電子工作を始めてみようかという方にはおすすめの入門書になりますね。Arduinoの初期設定、ハードウェア・ソフトウェアの基礎、初心者向けのチュートリアル、トラブルが発生したときの対処法まで丁寧に解説されています。
日本語版には付録としてArduino公式リファレンスも加えられているので、活用できるのではないでしょうか。ちなみに、第3版が最新版となっています。
電子工作を作るためのおすすめツール
もともと電子工作は、細かな電子パーツ類や数学的にも詳しい知識がないと作れるものではありませんでした。
記事の前半でも少しふれましたが、現在では「Arduino(アルドゥイーノ)」や「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」といったプロトタイピングツールの普及によって、電子工作はだいぶ身近なものとなり、趣味の一環として楽しむ人も増えています。
今回は電子工作のツールとして有名な、こちらのArduinoとRaspberry Piの特徴や種類について解説しますね。
初心者向けツール「Arduino(アルドゥイーノ)」
Arduinoは、手軽に電子工作を始められるマイコンとして世界的にも非常に人気が高く、これから電子工作を始めようという人にはおすすめできます。構造自体がシンプルな作りになっているので、大人だけでなく、子供でも電子工作を楽しめますし、簡単なプログラミングを学ぶきっかけを作ることもできますね。
Arduinoには複数の入出力ポートが備わっており、ジャンパワイヤと呼ばれる導線を利用して電子工作をします。IT技術が当たり前のように日常生活へ浸透しつつあり、Arduinoは「モノのインターネット」ともいわれるIoT(Internet of Things)分野にも触れられるよい機会を与えてくれるでしょう。
趣味はもちろん、プログラマや学生、芸術家、舞台演出など、Arduinoは様々な分野で利用され、次々と魅力的な工作品が生みだされています。
Arduinoの種類・特徴
- 入門用モデル「Arduino Uno」
「Arduino Uno」は、ポピュラーなモデルなので入門用としてもおすすめできますね。デジタル入出力とアナログ入力端子を備えており、多彩な電子パーツをコントロールできます。
ただ初心者でも扱えるくらいハードルが低いぶんスペックも高くはないので、画像など重いデータ処理などが必要なときは、別のモデルがいいと思います。
- 多数の入出力端子を搭載「Arduino Due」「Arduino Mega」
「Arduino Due」と「Arduino Mega」は、Arduino Unoよりも入出力端子を多く搭載しているモデルです。また、メモリー容量もArduino Unoと比較しても、Megaは256Kバイト、Dueの方は512Kバイトと容量が大きいので、情報量の多いデータを扱うときにはこちらのモデルが向いていますね。
- 超小型マイコン「Arduino Micro」「Arduino Nano」
「Arduino Micro」と「Arduino Nano」の特徴は、とにかく小型であることですね。サイズはMicroで約48mm×17mm、そしてNanoは約43mm×17mmとなっています。
人指し指に乗ってしまうくらい小型なので、小さな電子工作を作るときには大活躍のモデルとなるでしょう。
- 無線LAN接続可能「Arduino Yun」
Arduinoで唯一インターネット機能を利用できるモデルとなっており、「Arduino Yun」はArduino Unoをベースに無線LAN機能を搭載したマイコンです。これで何が可能になるかというと、外部から遠隔で電子部品のコントロールができるようになることですね。
たとえば、外出先から帰宅するときに遠隔操作でエアコンをONして室温調整、ペットを飼っていれば仕事中にチラッとスマホから様子を確認できたりと、活用できる幅は広そうです。
多彩な機能を実装できる「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」
Raspberry Piの特徴はLinuxやWindows10などのOSを動かせる点になりますね。見た目はArduinoのように基盤がむき出しになっていますが、Raspberry Piには高性能なCPUが備え付けられているため、「とても小さなコンピュータ」ともいえます。
なので、初心者がいきなりRaspberry Piで電子工作を始めようとすると、少し難しく感じる場合があるかと思います。まずはArduinoで慣れてきたら、Raspberry Piでさらに高度な電子工作に挑戦してみるという流れがいいのかもしれませんね。
また最近のRaspberry Piは最初から無線LAN接続できるものが多いので、時代に乗り遅れないようにIoT分野を学んでいきたいという人は、Raspberry Piを選択してもいいでしょう。
ちなみに知っている人もいるかもしれませんが、「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」は略して「ラズパイ」と呼ばれることもあるので、一応覚えておいてくださいね。
Raspberry Piの種類・特徴
- 最新ハイスペックモデル「Raspberry Pi 4 Model B」
「Raspberry Pi 4 Model B」は、2019年に発売された新しいモデルです。CPUはクアッドコアの1.5GHz、搭載メモリは最大4GBまで選べるようになり、スペックの向上によって処理速度はさらに早くなりました。
ただ、ACアダプタやHDMIなどの機器がほかのモデルと併用できなくなった点が、ちょっと不便と感じるかもしれません。
- 価格次第ではおすすめのモデル「Raspberry Pi 3 Model B」
もともとはハイスペックモデルとなっていましたが、ラズパイ Model 4Bモデル出てきたので若干影が薄くなりつつあるようです。ただ、価格が抑えめになっているのと国内生産で安定供給されている点については、魅力と感じるられるかもしれません。
ちなみにサイズは、だいたいクレジットカードくらいの大きさになっています。
- ラズパイ入門モデル「Raspberry Pi 3 Model A+」
スペック的にはラズパイ4Bや3Bより劣りますが、価格の安さや、ちょうどいいサイズ感を考慮すると、初心者にはかなりおすすめできるモデルだといえます。
ですが、有線LANが無いことと、メモリが512MBであるので、上級者にとっては物足りないモデルとなりますね。
- 超小型の格安モデル「Raspberry Pi Zero」
「Raspberry Pi Zero」が発売されたのは2018年です。「Zero」「Zero W」「Zero WH」の3つに分かれています。
ラズパイ4B、3Bより価格は安く、無線LANも搭載、コンパクトサイズで屋外などでの耐久性もあるので汎用性の高いモデルとして活用されていますね。コストをかけずに、Raspberry Piで電子工作を楽しみたい人にはおすすめできると思います。
ArduinoとRaspberry Piの違いとは?
ArduinoとRaspberry Piの種類・特徴については解説しましたが、ここではArduinoとRaspberry Pi違いについて簡単にまとめましたので確認しておきましょう。
- ArduinoにはOSがなく、Raspberry PiではLinuxやWindows10などが動かせる
- ArduinoではArduino言語を使ってプログラムを書くが、Raspberry Piでは主にPythonやbashでプログラムを書く
- Arduinoは、組み込みや電子回路など、低レベルな部分について学びながら自由度の高さが欲しい人向け
- Raspberry Piは、やりたいことをすぐに実現したい人など、すでにあるソフトウェアを組み合わせて使いたい人向け
ということを考慮して選ぶとよいでしょう。
【動画で学べる】電子工作YouTuberの紹介
電子工作の情報発信をしているYouTuberはまだ少ないですが、最近のYouTubeはさまざまなジャンルのチャンネルが日々増え続けていますので、今後は電子工作YouTuberも増えてくる可能性はあります。
個人チャンネルとはいえ、動画の方が本やネットのテキスト情報より情報量は多く、なにより分かりやすいですよね。このセクションでは、電子工作系の情報発信をしているYouTuberさんを紹介するので参考にしてください。
トボリの電子工作チャンネル
チャンネルURL:https://www.youtube.com/channel/UC9aT5s4VFKwIEpW3slig_5w
とても明るい女性YouTuberさんで電子工作について楽しく、分かりやすく、深堀りして語ってくれます。動画のネタも毎回興味深いものばかりなので、電子工作の初心者は一度見てみる価値ありですね。
特にコンピューター・テクノロジ専門誌「Interface」を、動画でこんなに熱く紹介している女性YouTuberさんはこの方くらいではないでしょうか。
コジコジのオタク文化 情報局
チャンネルURL:https://www.youtube.com/user/kojikojibroadcast/featured
電子工作はもちろんジャンク品の修理やガジェット紹介など色々なことにチャレンジしており、知識も深く、チャンネル登録者数20万人以上の大人気YouTuberさんです。
レトロゲーム機器の修理・改造、ラズパイで監視カメラのシステム構築、インターネットラジオ自作など、内容は上級者向けですが、電子工作について学べることは多いのではないでしょうか。
語り口調も優しくハキハキしているので、とても好感のもてる男性YouTuberさんですね。
なかしーの電子工作部
チャンネルURL:https://www.youtube.com/channel/UCBfVxqnPKKJO4l5E1iH3UQg/featured
自動車に搭載されている、マイクロコンピューター(マイコン)のプログラミングを仕事にされている男性YouTuberさんです。Arduinoの使い方についての解説動画が多く、現役エンジニアなので情報の信頼性は抜群ですね。
初心者向けの解説動画も投稿されているので、一度ご覧ください。
電子工作の部品はどこで購入するのがおすすめ?
電子工作に必要なマイコンや部品は、大手ECサイトのAmazonでもセット品などが売られていますが、細かな部品を吟味して選びたい場合は電子パーツ専門の通販サイトを見ることもおすすめします。
日本でもメジャーな電子パーツを専門的に扱っている有名な通販サイトを3つご紹介しますので、参考にしてくださいね。
秋月電子通商
ここで見つけられない電子パーツはないのではないかと思うほど、膨大な数の電子部品やマイコンなどを取り扱っています。秋葉原にも実店舗を構えているようですので、近くに住んでいる人は行かれてみてもいいでしょう。
せんごくネット通販(千石電商)
こちらも「千石電商」という店名で、秋葉原や大阪の日本橋などに実店舗があります。通販サイトは比較的見やすい印象ですね。品揃えも十分に見応えがあります。
marutsu(マルツ)
marutsuはサイトデザインがスッキリとまとまっていて、長時間見ていても目が疲れないですね。キャッシュレス払いだと5%還元があり、3,000円以上の購入で送料無料とサービスもいいので、一度アクセスしてみてください。
電子工作に取り組むときの注意点
電子工作に対する知識レベルが低いうちは、作業中に予期せぬトラブルを招くこともあります。慣れてきたからといっても油断はせずに、いま一度電子工作で注意すべき点について確認しておきましょう。
- いつでも電源を完全に遮断できる状態にしておく
- 高電圧のパーツが組み込まれているものは興味本位で分解しない
- ACアダプタなどの電源周りは出火しやすいので安い製品は使わない
- 100V電源(コンセント)を直接扱って工作すると火事の危険もある
- リチウムイオン電池は燃えやすい(既製品のモバイルバッテリーが安全)
- 基盤などからしばらく離れる場合は全ての電源が落ちているか確認する
まず注意する点としては、こんなところでしょうか。
あまり神経質になっても作業ができなくなってしまうので、初心者のうちは入門書を購入し、解説の通りに電子工作に取り組むのが一番安全だと思います。
危ないのは「自己流でよく分からないまま作業する」ことにあるので、疑問に感じたことはネットなどですぐに調べるようにしましょう。
まとめ:電子工作は学ぶほどに奥深く趣味にも最適
電子工作について色々と解説してきましたが、いかがだったでしょうか? IoT分野とも深く関わるジャンルなので、趣味で続けて覚えておいても日常生活で役立つ機会が増えると思います。
まずは、自分が作ってみたいと思える電子工作からチャンレジして、少しずつ知識を身につけていくのがいいでしょう。また、子供でも喜ぶような電子キットもAmazonなどで売られているので、お子さんとも一緒に楽しめますし、少しでもITにふれる機会を作ってあげることもできますね。
世界中でも様々なアイデアを形にしたDIYが公開されているので、そのような作品を参考にしつつ、自身が作りたいモノのイメージを広げながら電子工作の奥深さにどっぷりと浸かってみてください。