こんにちは!フリーランスエンジニア・ライターの平山です。最近友人からこんな相談を受けました。
たしかに、Oculusの商品はどれもOculusホニャララとなっていて、はじめての人には区別がつきにくいですよね。そこで今回はOculusの商品をスペック、使えるサービス、おすすめできる人の3点から紹介していきます。
これを読めばOculusの商品はバッチリですよ!
スタンドアロンの最新機・Oculus Go
まずは、2018年10月時点の最新機種、Oculus GOをみていきましょう。
基本スペック
トラッキング | 3DOF |
プロセッサ | Snapdragon 821 |
ディスプレイ | 2560×1440,WQHD液晶パネル |
リフレッシュレート | 60Hz 、72Hz (コンテンツによる) |
ヘッドホン | ヘッドセットに内蔵 (3.5mmのオーディオジャックも使用可能) |
サイズ | 190mm×105mm×115mm |
重量 | 468g |
バッテリー | ゲーム利用:約2時間 動画視聴:約2時間30分 |
付属品 | ・専用コントローラー ・眼鏡スペーサー |
価格 | 32GB:23,800円 64GB:29,800円 |
注目すべき点は、やはりOculus GOがスタンドアロン型のデバイスである、ということでしょう。これまでVRを楽しむためには高性能なPCやPS4、スマホと視聴用のゴーグルというふうに複数のデバイスが必要でした。
ですが、Oculus GOはこれひとつでVRを楽しむことができます。さらに、ハイエンド向けのヘッドマウントディスプレイ(HMD)であるOculus RiftはPCと接続のため、コードが必要でした。これがOculus GOでは不要になったのです。
VR動画を楽しんでいると、いきなりコードが抜けて画像がみられなくなった・・・ということが無くなるのです。これは鑑賞をかなり快適にしてくれる要素でしょう。
利用できるサービス、利用できないサービス
続いて各サービスの利用可否をみていきましょう。
YouTube
YouTubeに限らず、OculusGOにはウェブブラウザが搭載されているため、ウェブ上のサービスは基本的に使うことができます。ただ、システムで日本語キーボードを選択できないため、デフォルトでは日本語入力は現状難しい状態です。
有志の方がOculus GO用の日本語変換ブックマークレットを作成してくれているため、こちらを導入すれば日本語入力が可能となります。
URL:https://9ballsyndrome.github.io/tool/180603_Oculusgo_bookmarklet/build/
製作者の方に感謝ですね!VRモードと大画面モードを切り替えながら視聴ができるので、VR以外でも楽しむことが可能です。
VRChatとSteamVR
最近流行りのVRChatですが、Oculus GOで動かすにはひと手間かかります。
まず、VRChatを動かすためのPCが必要です。最近VR ReadyというVRを楽しむための最低条件に準拠したPCであることを示すマークができました。
新規にPCを買う場合はこちらを参考にすると良いでしょう。だいたいこれ以上のスペックであることが推奨されています。
CPU | Intel Core i5-4590 以上 |
GPU | GeForce GTX 970 以上 GeForce GTX 1060 以上 Radeon R9 290 以上 Radeon RX 480 以上 |
メモリ | 8GB以上 |
出力端子 | HDMI 1.4 ×1 |
USB | VRハードウェアによる |
OS | Windows 7 SP1(64bit) 以上 |
VRChatが動く仕組みは
ALVRというソフトを使って、Oculus GO やGear VRをPC用のHMDと認識させる→
PCで処理した画像をヘッドセットに転送する
というものです。正直言ってかなりの力技ですので、用途は限られるでしょう。現時点でVR ReadyのPCとOculus GOを持っていて、どうしてもOculusGOでSteam VRのコンテンツを楽しみたい人向けでしょうか。
ですが、導入までこぎつけられれば、ALVRそのものはVRChat、fallout4 VR、スカイリムVRなどに対応しているので、挑戦してみる価値はあります。
どんなひとにおすすめ?
まず挙げられるのが、手軽にスマホVR以上のものを体験したい人。ケーブルレスで気軽に扱いたい人。Oculus GOは他のデバイスでは真似できない、気軽に使えるスタンドアロンVR、という立ち位置にいます。
VRを楽しむのにいちいちPCを起動したくない、ガッツリゲームを遊ぶわけでもない。スマホを確認するぐらいの手軽さで高品質なVRを楽しみたい方には最高のアイテムと言えるでしょう。
一方、ゲームを遊ぶには工夫が必要です。現状工夫すれば動かないことはないですが、そこまでするくらいなら下のOculus Riftを買ってしまったほうが手軽さと満足感が高くなるはずです。
PC利用のハイエンドモデル・Oculus Rift
基本スペック
ディスプレイ | 有機EL |
解像度 | 2160 × 1200 |
リフレッシュレート | 90Hz |
プラットフォーム | Oculus Home |
視野角 | 110° |
トラッキング | 6FoD |
トラッキングエリア | 1.5m × 1.5m(2センサー使用)〜 2.4m × 2.4m(3センサー使用) |
ヘッドホン | 組み込み |
マイク | 組み込み |
コントローラー | Oculus Touch Xbox Oneコントローラー |
センサー | 加速度 ジャイロ 磁気 トラッキングセンサー |
コネクター | USB2.0 USB3.0 HDMI |
価格 | 50,000円(税・送料込み) |
PCの要求スペック
グラフィックカード | NVIDIA GTX 1060 / AMD Radeon RX 480以上 |
代替可能なグラフィックカード | NVIDIA GTX 970 / AMD Radeon R9 290以上 |
CPU | Intel i5-4590 / AMD Ryzen 5 1500X以上 |
メモリ | 8GB以上のRAM |
ビデオ出力 | HDMI 1.3互換ビデオ出力 |
USBポート | USB 3.0ポートx3、USB 2.0ポートx1 |
OS | Windows 10 |
こちらはOculusのハイエンドモデル、Oculus Riftになります。Oculus GOと比べて、リフレッシュレートが高く、ディスプレイが有機ELだったりと、スペックはほとんど上回っています。
ただ、解像度だけはOculusGOのほうが高いんですよね。発売が2016年なので、時間が経過した分、スペック的に一部不満が出てしまうのはしょうがないところでしょうか。
Oculus RiftはPCと接続することを前提として作られたHMD(ヘッドマウントディスプレイ)なので、推奨PCスペックも併記してあります。
最近PCショップでもVR対応のスペックのあるものにはVR Readyという表示を付け始めたので、新しく買う場合はこの表示の有無で判断するのがかんたんでしょう。目安としては、10万円以上のゲーミングPCであれば問題なく動くはずです。
問題点として、地味にキツイのがUSBポートの要求数。公式の推奨では以下のUSBポートを要求しています。
- HMD用に3.0を1つ
- センサー用に3.0を2つ
- Oculus Touch(専用コントローラー)用に3.0を1つ
- XBOXコントローラー用に2.0を1つ
特にHMDとセンサーは扱うデータ量が大きいことが有り、USBハブは推奨されていません。公式の対処法でFresco Logic FL1100EX のチップセットを使ったUSB増設ボードか、新規にPCを買い直すことが推奨されています。
参考:https://support.Oculus.com/1798990480336565/
新規にPCを買い直すのは全然対処法じゃない気はするのですが・・・。どうやらOculus RiftのUSB周りはかなり相性問題が強いようなので、なるべく公式の言うとおりにしておいたほうが無難なようです。
ただ、ここまで準備できれば現状最高の環境でVRを楽しむことが可能です。
利用できるサービス、利用できないサービス
YouTube
Oculus RiftでYouTubeを見る方法は現在複数あります。1つ目がYouTubeの公式アプリ、YouTube VRを使う方法。本来はこれ一択で良さそうなところですが、現在このアプリは早期アクセス期間中です。
早期アクセス期間はPCゲームに馴染みのない方には聞き慣れないワードかもしれませんね。これは、開発途中のアプリを一般に公開して、多くのユーザーからフィードバックを得るための段階です。要するにバグがあってあたりまえ。
バグを見つけて修正しながら一緒にいいアプリを作っていきましょうよ、というスタンスです。実際レビューを見た感じだと、1年前に公開されている割には
- 日本語入力周り
- 検索関係
- サイドバイサイド動画の再生ができない
などなど、まだまだ改善の余地がたくさんある状態のようです。そのため、現状では他の方法をとるユーザーも多く、よく使われる方法のひとつが「動画をPCに保存して専用プレイヤーでみる」というものです。
プレイヤーの中にはYouTubeをストリーミング再生できるものもあるんですが、よほど通信環境が良くない限り、最高画質の4Kで再生することはできません。
なので、手軽さは落ちますが、一度PCに動画を保存して、そこから再生する、という方法が取られています。逆に、高画質のVR動画を視聴するのでなければ、ウェブブラウザ使って普通に再生する、というのが手軽でしょう。
Steam VR
SteamVRはOculus Riftに公式に対応しています。
参考:https://support.steampowered.com/kb_article.php?ref=3180-UPHK-0900&l=japanese
なので、SteamVRで配信されているサービスは問題なく使える、と言いたいところなのですが・・・。SteamVR、ひいてはSteamを運営している会社がValve Corporationといって、Oculus Riftの競合商品、HTC Viveの開発元だったりします。
そのため、Oculus Riftで使えるかどうかは現状ソフトごとにかなりまちまちな状態です。
起動可能
- VRChat
- スカイリムVR
起動はするが、細かい調整が必要。公式には非対応
- Fallout4
Steamの運営元が商売敵とはいえ、ユーザーとしてはなんとももどかしいですね。ただ、最近はSteam側がOculus を受け入れたようで、対応ソフトは増える傾向にあります。うまく共存してほしいところです。
どんなひとにおすすめ?
最低15万円からの初期投資を受け入れられる人。最高のVR環境を用意したい人。Steamで配信されているVRゲームを楽しみたい人も該当します。
一方でケーブル周りの煩わしさや初期設定やトラブルシューティングの不便さなど、新興分野特有のメンドウさがあります。なので、気楽にVRを楽しみたい層には不向きですね。
Galaxy専用ゴーグル・Gear VR
最後はSamsungと共同開発で生まれたスマホ用VRゴーグル、Gear VRの紹介です。Oculus GO、Oculus Riftときて、最後に少し異色な商品になりますね。
基本スペック
外形寸法 | 約207.8(W)×122.5(D)×98.6(H)mm |
質量 | 約345g(VR本体のみ) |
視野角 | 101° |
PUI/ボタン | タッチパッド/戻るボタン/ホームボタン |
スマートフォンとの接続方式 | micro USB/Type-C |
搭載センサー | 加速度センサー、ジャイロセンサー、近接センサー |
Gear VRはSamsungのスマホ、GalaxyシリーズでVRを楽しむためのデバイスです。そのため、Galaxyを持っている人のための商品と言えるでしょう。
Oculus GO が発売されたいま、新規にGalaxyとGear VRを両方調達するのはコスト的にみてあまり良い選択とは言えません。Gear VR相場は16,000円前後なので、1万円追加でVR専用機のOculus GOが買えてしまいますからね・・・。
一方、Galaxyを持っている人にとっては格安帯のゴーグルよりも高品質なVRを1.6万円で楽しめるため、お金を出せる人にとっては良い選択と言えます。
利用できるサービス、利用できないサービス
YouTube
YouTubeは問題なく利用することができます。専用のコントローラーと、ゴーグル側面のタッチパッドにより、格安ゴーグル使用時の
動画を見る→スマホを取り出して動画を選ぶ→ゴーグルにセットアップする→動画を見る・・・
といった面倒な作業から開放されるのはとてもありがたいです。
Steam VR
OculusGOのところでも書きましたが、SteamVRに関しては、スマホそのもので動かすのではなく、PCの実行結果をスマホに写す、という方法で動かすことができます。
ただ、首周りの動きを追跡するヘッドトラッキングがどうしても遅延するようで、まともに遊べるかというと、かなり微妙なところです。VR酔が起こる人には耐え難い環境でしょう。
VRChatのような激しく動かないものであればギリギリ行けるかもしれない、といったところです。一応、転送部分に使うALVRはVRChat、Fallout4,スカイリムVRには対応しているので、転送そのものは不可能ではありません。
ただ、VRReadyのPCを用意できるならば素直にOculus Riftをつないだほうが幸せになれる気がします。
どんなひとにおすすめ?
OculusGOの登場によって一番割を食ったのがGear VRかもしれません。手軽にVRを楽しみたい、3万円まで出せる、という層はOculus GOを選ぶべきですし、1万円も出せない、という人は格安ゴーグルで十分でしょう。
そのため、積極的にGear VRをおすすめできる人は
- 現在Gear VR対応のGalaxyを持っている
- VRのために出せる予算は16,000円まで
- 格安品は使いたくない
というすべての条件を満たす人です。また、ここまで絞り込んだとしてもVRChatなど、流行のアプリを動かすのは手間がかかるため、Gear VR愛の強い方以外はおすすめしにくいですね。
まとめ
いかがでしたか?今回はOculus社が現在販売している商品について見てきました。OculusGO、Oculus Rift、Gear VRとそれぞれ用途に合わせて個性のあるアイテムを作っているのがOculusの特徴かもしれません。
さらに、2019年にはOculus GOのさらなる上位機種、Oculus Questも発売される予定です。ますます身近になるVRから目が離せませんね。Oculusの商品を見返したくなったときは、またこの記事のことを思い出してください。