この記事では、例や作り方も交え、エンジニア向けポートフォリオの特徴を解説します。
エンジニアのポートフォリオってどんなもの?
エンジニアへ転職するのにポートフォリオは必要?
エンジニアのポートフォリオってどうやって作ればいいの?
国内におけるIT人材不足の深刻化を背景に、ITエンジニアといったプログラミングスキルがある人材の需要は増し、他の職種に比べ高い報酬を設けるケースが増えてきました。
そんな現状から、ITエンジニアになりたいと興味や関心を抱き始めた人は多いでしょう。
ただ、エンジニア転職を目指す人が増えるにつれ、転職志望者間で競争が激しくなっているのも事実です。そこで他の転職志望者と差をつけるのに重要なのがポートフォリオです。
とはいえ、ポートフォリオをつくろうにも、どんなものを作ればいいのかイメージが湧かない人もいるはず。そもそもエンジニアへ転身するうえでポートフォリオが必要なのか半信半疑な人もいるでしょう。
そこで、この記事ではエンジニアにとってポートフォリオとは何なのか、その役割や必要性を作品例も交えわかりやすく解説します。ポートフォリオを作成するポイントや注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
エンジニアのポートフォリオについては次の動画でも詳しく解説しているので、良ければ参考にしてください。
- ポートフォリオとは自分の実績や能力を示す作品集のこと
- ポートフォリオはスキルや他エンジニアとの違いを証明するのに役立つ
- ポートフォリオが無いと面接を受けられないケースもある
エンジニアにとってのポートフォリオとは
エンジニアにとってポートフォリオとは、自身の実績や能力を証明する作品集です。具体的なコードのサンプルや開発したWebサイト・アプリといった成果物を掲載することで、自身の技術力をアピールできます。
どのようなポートフォリオを作るかは、人によってさまざまです。その人の経歴やスキルによって記載できる内容は異なります。
職種ごとで強調すべき内容は異なる
エンジニアと一言で言ってもその中にはさまざまな職種があり、職種ごとで強調すべき内容は異なります。なぜなら、その職種に求められているスキルを重点的にアピールする必要があるからです。
例えばフロントエンドのエンジニアであれば、デザインのセンスやユーザーインターフェースの実装技術を強調することが重要です。一方バックエンドのエンジニアの場合、コーディングスキルそのものや、データベースの設計能力などをアピールするポイントとして挙げられます。またネットワークエンジニアの場合、ネットワークの設計やセキュリティに関する知識を強調することが考えられます。
このように自分が希望する職種に必要なスキルをアピールすることで、就職/転職活動で効果的なポートフォリオを作れます。
なお、ITの仕事に興味はあるものの、どの職種が自分にあうのかわからない人もいますよね。そんな人は「ITキャリア診断」をお試しください。
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実務経験の有無で書ける内容は異なる
実務経験があるかどうかでも、ポートフォリオの内容は大きく変わります。
実務経験者のポートフォリオに必要な内容は、以下のような点です。
- どのようなプロジェクトに参加したか
- どのようなアプリやサービスを開発したか
特にどのようなアプリ、サービスを経験したかは重要です。得意としている分野やプログラミング言語など、自分の強みを効果的にアピールしましょう。
一方未経験者の場合、以下のような内容が必要になります。
- 0からどの位の作品を作れるか
- コーディング技術があるか
まだ高度な専門性や得意分野は持っていないため、ポートフォリオでは基礎的な能力を持っていることを証明することが主軸となります。そのため、凝ったデザインにするよりも、誰が見ても分かりやすいコードで書かれているほうが評価されやすいです。
エンジニアのポートフォリオ作成例
イメージが湧きやすくなるよう、ここからは例としてエンジニアのポートフォリオを3つ紹介します。
なお、今回紹介するポートフォリオはプログラミングスクール「侍エンジニア」の卒業生が制作した作品です。ポートフォリオを作成するまでの経緯が詳しく知りたい人は、各紹介欄に記載しているインタビュー記事をご参考ください。
食品を扱うECサイト
侍エンジニア卒業生のなつみさんが未経験から半年間で制作したポートフォリオです。商品検索やユーザー登録・ログインなどECサイトの基本的な機能があり、コーディングスキルを効果的にアピールできる内容になっています。
他のECサイトと差別化されているポイントとして、製品の原材料から除外したいものを選択して検索する機能が挙げられます。なつみさん自身が元々アレルギー体質で、食品探しに苦労した経験からアイデアを得たそうです。
またWebページのデザインも見やすく整理されていて、ページトップのメニューから好きなページにアクセスできるようになっています。
なつみさんが本ポートフォリオを制作するまでの経緯を詳しく知りたい人は、こちらのインタビュー記事をご覧ください。
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デザイン会社のホームページ
医療従事者として働きつつ、副業エンジニアとして活躍されている涌井さんの作品です。涌井さん自身が経営しているデザイン会社「涌久デザイン」のホームページを、ポートフォリオもかねて作成されました。
涌井さんのプロフィールやサービス内容がわかりやすく整理されています。このページを読めば涌井さんがどんな人なのか、何ができるのかといったことが一目でわかる内容です。
デザイン会社のホームページということでページデザインにもこだわっており、サービス紹介へのアクセスしやすさ、見やすいレイアウト、色使いなど各所に工夫が見られます。
涌井さんが本ポートフォリオを制作するまでの経緯を詳しく知りたい人は、こちらのインタビュー記事をご覧ください。
AI予測プラットフォームの紹介ページ
未経験からフリーランスエンジニアに独立した川添さんが制作した、AI予測プラットフォームの紹介ページです。公式の商品紹介ページなどと比較しても遜色ないクオリティとなっています。
ページ内の各所にアクセスしやすいようヘッダを作るなど、Webページの基本的な実装ができています。その上で各所に動画ファイルを埋め込んであり、ページに動きをつけている点が特徴です。
川添さんが本ポートフォリオを制作するまでの経緯を詳しく知りたい人は、こちらのインタビュー記事をご覧ください。
なお、ITエンジニアへの就職・転職を見据え、独学でスキル習得できるか不安な人は「侍エンジニア」をお試しください。
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エンジニアがポートフォリオを作成するメリット
ここからは、なぜエンジニアにポートフォリオが必要なのか、作成するメリットを3つにまとめて紹介します。
「自分に何ができるのか」を証明しやすい
企業がエンジニア未経験者の面接で重視することは、本当に採用に見合うスキルをもっているかどうかです。未経験者の場合、実務経験がないので職務履歴書だけではスキルを判断できません。
自身のスキルを正確に伝えるためには、ポートフォリオがもっとも適切な資料になります。なぜなら「ポートフォリオでできていることは、実業務でもできるはず」と企業に判断してもらえるからです。
質の高いポートフォリオを提示できれば、採用される可能性はぐっと高まるでしょう。
他エンジニアとの違いを示せる
企業の採用担当者は常にたくさんの応募書類を目にしています。数多くの応募書類から「この人は他とは違うぞ」という印象を与えるには、アピールポイントとなるものが必要です。
実務経験がない未経験者の場合、職務履歴書だけでは他の人と差別化することは難しいでしょう。そこで魅力的なポートフォリオがあれば、ライバルに大きな差をつけることができます。
技術力の担保になる
実務経験のない未経験者がいかに技術力をアピールしても、担保するものがなければ評価を得ることは出来ません。そこで技術力の担保となるのがポートフォリオです。
エンジニアのポートフォリオは、作品の構成だけでなく表示速度やコードの質も判断材料となります。作品の内面を評価してもらうことで、自身の技術力をアピールすることが出来るのです。
ポートフォリオがない場合のデメリット
メリットに続き、ここからはエンジニアがポートフォリオを作成しない場合のデメリットを、2つにまとめて紹介します。
判断材料が職務経歴書しかなくなってしまう
エンジニアは技術職ということもあり、企業側もスキルの高い人材を求めています。
実務経験がなく、職務経歴書だけしかアピール材料がない場合、評価を得ることは非常に難しいでしょう。仮に採用されたとしても、待遇はかなり厳しい条件となることが予想されます。
ポートフォリオが無いと面接を受けられないケースも…
エンジニアは人材不足のため、ポートフォリオがなくても、技術力があればエンジニアになれるでしょ?という方がいらっしゃいますが、現実はそこまで甘くありません。
なかにはポートフォリオがないことで面接すら受けられない場合も見受けられます。技術力を測る指標となるポートフォリオを、用意しておかなければ未経験者がエンジニアになることは非常に厳しいのが現状です。
エンジニア向けポートフォリオを作成する4つのポイント
ここまで解説してきたとおり、未経験者がエンジニアになるうえでポートフォリオは必須のアイテムといえます。
しかしいざ作成するとなると、どんなことに注力すればいいのかわからない人もいますよね。
そこで、ここからはポートフォリオを作成する際のポイントを、4つにまとめて紹介します。
需要へ応えられる作品にしよう
どんなに質の高いポートフォリオでも、需要がなければ評価を得ることは出来ません。世の中の需要を見極め、幅広い層に受けるようなコンテンツを意識して作品を作りましょう。
例えば、全然知名度のないマイナーなバンドの魅力をバンドを知らない人に熱弁しても、あまり共感を得ることはできないですよね。ポートフォリオも同じです。あまりにも尖りすぎた作品だと、一部の方にしか評価されない作品となってしまいます。
コードを綺麗に整えよう
ポートフォリオの判断基準として、しっかりと動作することはもちろんのこと、スムーズに動作するかも判断材料の1つです。そのためポートフォリオの見た目だけでなく、内面もこだわって作成する必要があります。
意外とありがちなのが、ぱっと見は綺麗なポートフォリオでも、コードがサンプルを少し加工したもの。企業の採用担当者は日々、多くのポートフォリオを目にしています。採用担当者の目を惹く作品にするには、内面のコードにもこだわって作成しましょう。
ユーザー目線で使いやすい内容か
ポートフォリオを作成していると、ついつい凝ったデザインにしたくなります。しかし見た目だけ意識してユーザーの使い難い仕様になってしまうと、せっかく時間をかけても評価を得ることは出来ません。
例えば、デザインがいいサイトでも、動作が重かったらユーザー的には非常に見難いですよね?ポートフォリオを作成する際は、本当にその機能がユーザーのためになるのかを第一に考えましょう。
作品に込められた意図があるか
ポートフォリオは作者がどのような意図をもって作品を作り上げたかも評価の基準になります。
面接時によく聞かれるのが、なぜこの作品を作ったのか?という質問です。この「なぜ?」という質問に応えるためには、作品に対する明確な意図が必要となります。
例えば、先程ご紹介した小山様の作品を例にしてみましょう。このポートフォリオは、自身がお子様の育児をされていたときに、情報がまとめられたサイトがあると欲しかったという動機から作成されています。
このように自身の過去の経験から、同じ悩みをもった方を救ってあげるような作品を作ると明確な意図を持った作品に仕上がりますよ。
ポートフォリオ作成時の注意点
ここからは、ポートフォリオを作成する際の注意点を、3つにまとめて紹介します。
コードを丸写ししない
当然のことですが、他のサイトや他の人のポートフォリオのコードを丸写ししてはいけません。
プロのエンジニアから見れば、丸写しをしたコードはすぐにわかります。企業側にばれてしまえば不正行為として一気に評価を落とされてしまうでしょう。
また仮にばれなかったとしても、自分の実力以上のポートフォリオを提出してしまうと後々トラブルのもとになります。採用した企業は「ポートフォリオでできていることは実業務でもできる」と判断するからです。
コードの丸写しはばれてもばれなくてもデメリットしかないので、絶対にやめましょう。ただし、他者が書いたコードでもしっかり内容を理解した上で一部引用する場合は問題ありません。
他人のポートフォリオと差をつける
ポートフォリオ作成の目的の1つは、他の人と違う自分のアピールポイントを提示することです。そのため、他人と似たようなポートフォリオを作ってもあまり効果はありません。
他人のポートフォリオと差をつけるため、ポートフォリオ作成前に、こだわるポイントや工夫点を固めておきましょう。そうすれば、もしテーマや内容が一部被ってしまっても、自分のスキルや人柄をアピールすることができます。
第三者に出来を確認してもらう
自分1人で作品を作っていると、ミスを見落としてしまいがちです。そこで、ポートフォリオを作成した後は第三者に内容を確認してもらいましょう。
コーディングについてはエンジニアにレビューしてもらうしかありませんが、文章の表現やデザインなどについては友人や家族からも有益なアドバイスをもらえるかもしません。
ポートフォリオの作成に行き詰まった時の対処法
はじめてポートフォリオを作成する場合、途中で行き詰まることもあるでしょう。
そこで、ここからはポートフォリオの作成に行き詰まった時の対処法を、3つにまとめて紹介します。
自分1人だけでなんでも解決しようとすると、時間がかかりすぎてしまったり、挫折してしまうことがあります。他の人やAIの力を借りて早期に解決するようにしましょう。
質問サイトで相談してみる
エンジニアの技術的な質問を解決するための質問サイトを利用するのは有効な手段です。自分が行き詰ったところは他の人も同様に困っている可能性が高く、すでに質問されているかもしれません。他の人が質問していない場合は、自分で質問を投稿してみましょう。
慣れないうちは質問の意図が伝わらなかったり、情報不足を指摘されたりするかもしれません。しかし、エンジニアにとって「質問する」ということも重要なスキルの1つなので、練習と割り切って積極的に質問しましょう。
具体的な質問サイトとしては、以下が挙げられます。
サイト名 | 特徴 |
侍テラコヤ | 侍テラコヤは単なる質問サイトではなく、現役エンジニアとのオンラインレッスンや50種類以上の教材を利用できるサービスです。平均回答時間30分以内のQ&A掲示板に質問し放題です。 |
teratail(テラテイル) | teratailはプログラミングに関する質問限定のQ&Aサイトです。回答率は85%(2023年10月現在)と高い水準で、メジャーなプログラミング言語に関する質問であればほとんど解決できるでしょう。 |
qiita(キータ) | qiitaもエンジニアの間では有名な質問サイトです。また技術系ブログ記事のプラットフォームとしても発展しており、日々さまざまな技術情報が投稿されています。 |
ChatGPTに聞いてみる
他の人に質問するのはハードルが高いと感じる人は、まずChatGPTに質問してみるのもよいでしょう。
ChatGPTは、テキストベースの対話を通じて情報を提供するAIツールです。AIがインターネット上の情報を学習し、さまざまな質問に対して回答してくれます。
技術的な質問だけでなく、文章チェックなどにも利用できます。ただし、ChatGPTの回答は必ずしも正確とは限らない点に注意してください。回答を鵜呑みにせず、自分で事実確認しながら利用することが重要です。
スクールで作成をサポートしてもらう
プログラミング未経験者の人は、プログラミングスクールでポートフォリオ作成をサポートしてもらうのも非常に有効です。
そもそも未経験者の人にとって、プログラミングの学習をしたうえでポートフォリオを完成させるというのはかなりハードルの高い作業です。多くの場合どこかでつまづいて、そのまま挫折してしまいます。
スクールを利用すると、プログラミング学習からポートフォリオ作成、さらには転職活動まで一貫してサポートしてもらえます。「転職を成功させたい」「学習途中で挫折したくない」という人にはおすすめの選択肢です。
とはいえ、スクール利用にはお金がかかります。金銭面が心配という人は、転職活動がうまくいかなかった場合の返金保証や、政府からの補助金に対応しているスクールを選ぶのがおすすめです。
例えば侍エンジニアの「Webエンジニア転職保証コース」であれば、給付金の活用で受講料が最大80%OFFになります。転職活動で内定を獲得できない場合には受講料が全額返金されるため、スクールにかけた費用を無駄にする心配はありません。
プログラミング学習やポートフォリオ作成に不安がある人は、ぜひスクールの利用も検討してみてください。
公式サイトで侍エンジニアの詳細を見るまとめ
当記事では、ポートフォリオ作成の重要性や作成する際のポイントについて、具体的なサンプルも紹介しつつ解説しました。
特に未経験者がエンジニアを目指す上で、ポートフォリオがあるとないとでは大きな差となります。今回紹介したポイントをもとに、評価されるポートフォリオを作成して、採用を勝ち取りましょう。
本記事の解説内容に関する補足事項
本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。
また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に、提供コースは「教育訓練給付制度の指定講座」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。
記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。
この記事の監修者
フルスタックエンジニア
音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。