この記事では、現在の需要やトレンドも交え、PHPの将来性を解説します。
PHPの需要は高いイメージがあるけど、実際どうなの?
この先、PHPの需要が下がるってことはないのかな?
PHPを学んでみたい気持ちはあるものの、将来性が高いプログラミング言語なのか気になる人も多いですよね。今後の需要を確認しないまま学びはじめては、勉強にかけた時間や手間を無駄にして後悔しかねません。
そこで、今回は他の言語と比較しつつ、PHPの将来性を現在の需要も交えて紹介します。「PHPを学ぶべきか」といった疑問にもお答えするので、ぜひ参考にしてください。
本記事を読む前に、そもそもPHPとはどんなプログラミング言語なのかをおさらいしておきたい人は、次の記事を参考にしてください。
- Webサービスの需要が高い点から、今後もPHPは高い将来性が期待できる
- PHPはサーバーサイド開発での使用率が高い
- PHPはWeb開発がしたい人やプログラミング初心者におすすめ
PHPの需要・将来性は高い
結論からすると、PHPの需要・将来性は高いといえます。
なぜなら、PHPはWeb開発に特化したプログラミング言語であり、実際に多くのWebサイトの構築で採用されている実績があるからです。
ただ、AI開発の分野ではPythonなどの言語の需要が増加傾向にあります。分野によっては、PHPの需要が右肩上がりで伸び続けているわけではない点はおさえておきましょう。
PHPの需要・将来性が高いといえる3つの理由
ここからは、PHPの需要・将来性が高いといえる理由を、3つにまとめて紹介します。
サーバーサイドでの使用率が高い
サーバーサイドでの使用率が高い点は、PHPの需要・将来性が高いといえる理由の1つです。
「W3Techs」が調査した「サーバーサイド言語の使用率」によると、PHPの使用率は他言語を大きく引き離し、77.5%で1位となっています。
この使用率の高さは、PHPの使いやすさに起因していると考えられます。PythonやRubyなどのプログラミング言語では、開発時にそれぞれ専用のアプリケーションサーバーを用意しなければなりません。しかしPHPは、複数のWebサーバーソフトウェアと互換性があるため、Apacheなどをほぼ無設定で使用できるのです。
このようなことから、サーバーサイド言語として圧倒的な支持を得ているPHPは今後も長く需要があり続けると予想されます。
WordPressへの支持が根強い
WordPressへの根強い支持も、PHPが高い需要や将来性を持っている理由として挙げられます。
WordPressは、もっとも人気のあるCMSの1つでPHPで作られています。CMSを利用することで、Webサイトについて深い知識が無い人でも簡単にブログやWebサイトを作成できます。
そのWordPressがなぜPHPの将来性につながるのか。その理由を説明するために、WordPressに関するW3Techsの下記グラフを見てください。
グラフのグレー部分は世界中のWebサイトでの各CMSの使用率、グリーン部分がCMS市場シェアを占める割合です。それぞれ4割以上、6割以上という数字からわかるように、WordPressは圧倒的な割合を占めています。
これだけ現在運用中のシステムが多数あるということは、当然保守・運用に多くの人手が必要ですよね。これが、PHPエンジニアが長く活躍し続けられる理由として考えられます。
PHPを扱える人材は企業からの需要が高い
企業でPHPを扱える人材の需要が高いことも、PHPが高い将来性を持つ理由の1つです。
ITエンジニア向け国内最大の転職・就職・学習プラットフォーム「paiza」の言語別求人数ランキングによると、近年AI開発などで話題のPythonをおさえ、PHPは3位にランクインしています。
母数となる求人票の総数は3万1,699件ですから、PHPの求人数は4,000件以上もあります。PHPの求人数が多いということは、当然それだけPHPを扱える人材の需要が高いことを指します。
また、PHPはセキュリティの向上や新バージョンの誕生などによって今もアップデートされ続けています。ということは、そのシステムの維持をする人材が必要とされ続けるわけです。
これらの理由から、PHPはまさに高い需要と将来性を兼ね揃えた言語だといえます。
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将来性が危惧されるPHPの難点3つ
前述のとおり、サーバーサイドでの高い使用率やWordPressへの根強い支持、そして企業からの高い需要によって、PHPの需要や将来性は高いといえます。しかし、ネット上では「PHPはもう時代遅れ」「オワコン」「やめとけ」などの声も見受けられます。
そこで、ここからはPHPの将来性が危惧される理由を、3つにまとめて紹介します。
年々人気が落ちている
PHPは、人気が下落傾向にあります。
プログラミング言語の人気度指標でよく用いられるTIOBE Indexを見てみると、PHPは2023年5月版ランキングを表した次の表のでは8位となっていました。2008年には年間で5位以内にランクインするほど人気が高かったことから、PHPの人気度は徐々に後退しています。
PHP人気の下落要因としては、汎用性の高さで常に人気上位にいるJavaなどに加え、AI領域の開発を得意とするPythonなど他言語の人気上昇が考えられます。
とはいえ、ランキング10位以内は維持し続けている点で、PHPはまだまだ人気上位です。PHPはWeb開発に特化していることで他言語にはない強みを持っているため、今後も安定的な需要が見込めるでしょう。
大規模開発に向かない
PHPは、大規模な開発には向いていません。その一因に、インタプリタ型言語であるPHPの特性が挙げられます。
人間が書いたプログラムは、コンピューター側で実行前に機械語へ変換されます。この変換を実行前の全コードに一括で行うのがJavaなどのコンパイラ型言語で、1行ずつ行うのがPHPなどのインタプリタ型言語です。
大規模開発では実行速度の速さが重要ですが、PHPは1行ずつコードの変換・実行をする点でコンパイラ型言語に比べて実行速度が遅いのです。そのため、大規模開発に向いていないとされます。
また、PHPは同じ処理でも複数の書き方ができます。これも、多人数で作業を行う大規模開発でコードの一貫性を守るためには最適とはいえない理由の1つです。
ただし、PHPは大規模開発ができないわけではありません。実行速度も改善傾向にあり、PHPは小・中規模を中心に今後も開発で活躍し続けるでしょう。
アプリやAIの開発に適していない
PHPは、アプリやAIの開発にも適しているとはいえません。なぜならPHPは、動的なWebページの生成やデータベースの操作に特化した言語だからです。
例えば大規模アプリの開発で重要なのは高負荷な処理であり、AI開発では計算効率などです。しかし、PHPはそれら分野でのライブラリやフレームワークがあまり発展していません。
その点で、AIやデータサイエンスの分野ではPythonが、大規模なアプリ開発ではJavaなどが豊富なライブラリやフレームワークを持っているため重宝されています。
とはいえ、プログラミング言語はあくまでもそれぞれの得意領域に応じて使い分けられるものです。PHPはサーバーサイドの領域で圧倒的なシェアを誇っていることから、今後もWeb開発での需要は続くと考えられます。
なお、次の記事ではPHPが「やめとけ」と言われる理由を、評判も交え詳しく解説しているので、良ければ参考にしてください。
→ PHPは「やめとけ」は本当? 悪い噂や評判の理由を解説します
PHPを学ぶべきかで悩んだら
ここまで解説してきたPHPの需要・将来性と難点を踏まえ、PHPの特徴とどんな人に向いている言語なのかをまとめました。
まずPHPの特徴としては、下記のようなメリットとデメリットが挙げられます。
メリット | 学習難易度が低いWeb開発に特化しているサーバーサイドでの使用率が高い |
デメリット | 文法の自由さが大規模開発に向かない高速 ・高負荷な処理が苦手最新技術にはあまり対応していない |
このような特徴を踏まえると、次のような人がPHPの学習に適しているでしょう。
- プログラミング初心者
- Web開発に興味のある人
- サーバーサイド言語を学んでみたい人
一方で、大規模アプリ・AIなどの高速・高負荷な処理が求められる開発に関わりたい人には向いていません。
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自分にあうプログラミング言語を診断してみるPHPの需要・将来性にまつわるFAQ
最後に、PHPの需要や将来性にまつわる下記のよくある質問へ回答します。
PHPのフレームワークは今後も需要ある?
PHPの有名なフレームワークとして、LaravelやCakePHPが挙げられます。これらのフレームワークの需要は、今後もあり続けるでしょう。
なぜなら、フレームワークはPHPをより快適に利用するために使用されるものであり、相互関係にあるからです。
実際に、2023年2月にはPHP8.1-8.2に対応したLaravel10がリリースされました。そして2024年にはPHP8.2への対応がより拡充されるLaravel11のリリースも予定されています。まさにPHPとそのフレームワークLaravelは、共に進化を続けているのです。
この流れから、PHPの発展が続く間はフレームワークの発展も続いていくと予想されます。
PHPエンジニアの年収はどれくらい?
下記「paiza」調べの言語別平均年収ランキングによると、PHPエンジニアの平均的な年収は580.4万円とされています(2023年5月時点)。これはランキングの中間あたりといえるでしょう。
基礎知識の保有者が少ない言語として人材の希少性が目立つScalaや、AI開発に適したPythonなどに比べると、PHPは控えめな年収です。しかし前年から20.7万円の平均年収増加も見られるように、PHPエンジニアの需要は依然として高く、安定的な年収を得られるのではないでしょうか。
未経験からPHPを身につけるのは難しい?
結論、PHPは比較的未経験から身につけやすいといえます。その理由は、次の3点です。
- ブラウザ出力がしやすい
- 文法がわかりやすい
- すでにPHPを使えるエンジニアが多い
まずHTMLと組み合わせて書けるため、コードがどのようにブラウザで出力されるかを確認しやすく、挫折しにくいといえます。また他の言語に比べて文法が容易なため、学習ハードルの低さも魅力的です。
そしてすでにPHPを使えるエンジニアが多いため相談もしやすく、学習につまずいても立ち直りやすいといえます。これらが、未経験からPHPを身につけやすい理由です。
なお、下の記事ではPHPの学習難易度を詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
まとめ
今回は、他の言語と比較しつつPHPの将来性を現在の需要も交えて紹介しました。
PHPは実際に世界中で多くの実績があるように、非常に人気の高い言語です。だからこそ安定的な需要や、それに伴う将来性にも期待ができる言語だといえます。
需要や将来性の高い言語を選択することは、末永くエンジニアとして活躍し続けるうえで重要なポイントのひとつです。ぜひ初めの一歩として、PHPの学習に挑戦してみませんか。
この記事の監修者
フルスタックエンジニア
音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。