Rubyの評判をデータで大調査!求人市場や今後のニーズを分析


Rubyの評判ってどうなんだろう?
なんだか、終わったとか、あんまり良くない評判を見かけるけど……

プログラミング言語を学ぼうとすると、気になってくるものの一つがその言語の評判です。

今後どんどん流行る!とか、〇〇の企業も採用した信頼性!とか、ポジティブな情報ばかりならばいいのですが、現実にはそうも行きません。

調べてみると、初心者は使うべきではない、世界的に流行は終わった、もうすぐ別の言語に取って代わられるetc…

ネガティブな情報ほど目につくものですし、どうにもネット上ではネガティブな情報のほうが多い気もします。今回取り上げるRubyもその1つと言っていいでしょう。

曰く、Rubyは死んだだの、Railsは終わっただの、少し検索してみればそんな情報が無数に飛び交っています。

はたしてRubyは死んだのか?Railsはもう終わってしまったのか?今回は様々なデータからRubyの評判を検証していきます。

さっそくいってみましょう。

目次

Rubyの評判を言語の仕様から探る

そもそもRubyはどんな言語?

そもそも論になりますが、Rubyは1995年にまつもとゆきひろ氏(通称Matz)が開発した日本製のプログラミング言語です。

Rubyのモットーは「楽しさ」を提供すること。言語を作る人、使う人、学ぶ人すべてが楽しめることを目的としてます。

この「楽しさ」がユーザーに広く受け容れられたため、Rubyはオブジェクト指向スクリプト言語として一定の地位を確立しました。WikipediaにあるRubyのロゴには”A Programmer’s Best Friend”の一文が添えられていることからも、プログラムする人を大事にしている言語ということが伝わるのではないでしょうか?

Rubyの楽しさを伝える例として、整数が格納されている配列の中身の合計を求める処理を考えてみましょう。JavaとRubyで処理の書き方を比較してみます。

Javaだと以下のような書き方が初心者向けとして説明されます。

public class Main {
    public static void main(String[] args) {
        int numbers[] = {1, 2, 3, 4, 5};
        int sum = 0;
        for (int i = 0; i < numbers.length; i++){
            sum += numbers[i];
        }
        System.out.println(sum);
    }
}

もっとスマートに書けるぞ!とお怒りのJavaユーザーの皆さまのお気持ちは重々承知しておりますが、初心者向けでわかりやすさを重視した結果ということでご容赦いただければと思います。

まあ、いかにもプログラミングしている感のある書き方ですよね。ただ、初心者には意味のわからない部分も多く含まれているのが事実でしょう。public class Mainとか、public static void main(String[] args) あたりは入門書の後半までおまじない扱いでとりあえず書くもの、という進め方をする入門書も多いです。

一方のRubyだと同じ処理を以下のように記述することが多いです。

numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
sum = 0
numbers.each do |n|
    sum += n
end
puts sum

スクリプト言語とJavaを比較すること自体ナンセンスというご指摘はごもっともですが、見た目に短くわかりやすくなったのではないでしょうか?特に、すべての文字がだいたい何をやっているのかわかりやすい、というのが初心者にとってありがたいポイントになるはずです。

このように、Rubyは独特の価値観と存在感を備え、一定の地位を確立していました。それが激変したのが、次に紹介するRuby on Railsが登場したことでした。

Ruby on Railsの登場

Ruby on Rails(ルビー オン レイルズ 以下Rails)は、2004年にデンマークのプログラマであるデイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン(通称DHH)によって作られたWebフレームワークです。

Webフレームワークは、Webサービスを作る際に必要になる部品をあらかじめ用意してある部品セットのようなものとお考えください。ログイン機能やデータベースとの連携、セッション管理などが簡単に実現できるように、あらかじめ雛形になるものを用意してあるもの、というのが一般的なWebフレームワークといえます。

そしてRailsは名前に有るようにRubyで動くWebフレームワークです。それまでWeb系の言語というと、商業・大規模向けにJava、スタートアップや小規模なシステム向けにPHPが主流でした。Rubyの存在感はそこまでなかったのです。

ですが、Railsの登場で状況は激変しました。Railsを使うことでPHPで3ヶ月かかっていた機能が15分で実装できたとか、チーム内のコードがバラバラだったのがRailsによって規律ができたとか。

Railsが備えていたDRY原則、CoC原則などにより、Web開発は非常に効率的に行えるようになったのです。

そこからRailsは時代の寵児に一気に上り詰めました。

初期のTwitterやAirbnbなどの名だたるスタートアップ(そして現在大成功を収めた企業)に採用されたことでその流れはさらに加速していき、全世界的にRailsブームが起こったのです。

Railsについて、より深く知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

と、ここまでがRails絶頂期のお話です。だいたい2010から2013年頃でしょうか。

雲行きが怪しくなってきたのが2017年頃。

海外のテックメディアTechRepublicが発表した「The death of Ruby? Developers should learn these languages instead 」という記事が大きな話題を呼びました。

では、Ruby及びRailsは本当に死んでしまったのでしょうか?次の章で検証していきます。

データからRubyの評判を考える

この章ではいくつかのデータからRubyの需要や今後について考えていきます。

求人数から見る

まずはわかりやすい求人市場から見ていきましょう。

求人情報大手のIndeedによると、Ruby単体の求人情報は記事執筆時点で18,530件ありました。他の言語と比べると、Javaが44,262件、PHPが34,424件、Pythonが21,291件でした。

ビジネスSNSのWantedlyだと、Rubyの募集が4,307件。他の言語ではJavaが4,046件、PHPが4,962件、Pythonが3,365件となりました。

技術系求人大手のレバテックキャリアではRubyが360件。他の言語ではJavaが768件、PHPが618件、Pythonが331件でした。

やはり、昔から実績のあるJavaやPHPより案件が少ないのは致し方ないかもしれません。Pythonは最近流行ってきているとの噂ですが、まだまだ発展途上なのかRubyとどっこいどっこいな求人数といえます。

総じて、求人自体はまだまだ存在しており、2-3年でいきなりなくなるというたぐいのものではないと言えそうです。

年収から見る

つづいて、年収についてみてみましょう。大手転職サイト・ビズリーチが毎年公表している求人検索エンジン「スタンバイ」によるプログラミング言語別年収ランキングという資料があります。

参照:求人検索エンジン「スタンバイ」プログラミング言語別年収ランキング2018

2018年版の資料になりますが、こちらによると、Rubyの年収は全体の7位で年収の中央値が550万円、最大提示額が1,200万円でした。

ちなみに、1位はGo言語で、中央値が600万円、最大提示額が1,600万円です。

先程と同様に比較しようとしたのですが、トップ10にJavaとPHPが入っていないため、比較できませんでした。Pythonは3位に付けていて、中央値が575.1万円、最大提示額が1,300万円となっています。

求人件数も同時に表示されているのですが、ビズリーチではRubyが求人数ダントツトップの11,676件。ビズリーチはRubyの求人に強いのかもしれません。

検索数から見る

次にGoogleトレンドのデータを見てみましょう。Googleトレンドは名前のとおり、Googleの検索数をグラフ化して、検索のトレンドを調べるためのツールです。

1番検索された単語の一番検索された回数を100として縦軸を書き、横軸が時間経過を表します。

今回はスクリプト系でサーバサイドを主戦場にしているRuby、PHP、Pythonを比較してみました。その結果が以下になります。

過去五年間の検索動向を調べたものですが、想像以上にRubyが検索されていませんでしたね。検索の総量として、Rubyはそこまで多く検索されていないことはデータから読み取れます。

今度は、時間軸を伸ばして、Rubyそのものの変動を見てみましょう。Googleトレンドの限界である2004年から現在までの検索量の変動を追ってみます。

グラフを見ると、2007年にトレンドのピークがあり、それ以降徐々に減少し、2013年ごろから検索数に大きな変動がなくなったことがわかります。

2007年というと、食べログがRailsにサービスを全面移行してかなり話題になった時期です。それだけRubyに注目が集まっていた時期と言えるでしょう。確かにあの時期と比べればRubyの検索も落ち着いてきた、というのもうなずけます。

この結果からすぐにRubyの人気が低下している、という結論に持っていくのは無理がありますが、最盛期に比べれば検索数が落ち着いたのは事実と言えるのではないでしょうか?

結論:Rubyの評判は?

さて、前章で求人市場・年収・検索数の三軸でデータを見てきました。これらを総合した結果、Rubyの評判はどのようなものだと評価できるでしょうか?

ここからは筆者のデータに対する判断であり主観ですが、Rubyは成熟期に入っており、爆発的な流行こそないものの必要とされる言語であり続けるのではないか、と考えられます。

まず求人市場と年収のデータから、ごく短期の1-2年の間はRubyの地位が激変するとは考えにくいです。新規開発の案件がいくつもあり、年収ランキングと求人数で上位に食い込んでいる言語がいきなり需要が0になるなんてことは早々ないはずです。

また、この時期に開発されたシステムの保守管理人員として、向こう5-7年ぐらいはRubyのスキルが求められる下地が作られているとも言えます。現在よりも求人数・年収ともに下がりはするでしょうが、1つのスキルで最長7年食いつないでいけるのはなかなかなものではないでしょうか?

現在Rubyはバージョン3の開発段階にあります。また、Railsはバージョン6がリリース目前です。

これらの登場がこれまでの慣習や流れを破壊するような噂は今の所出ていません。Ruby3の最大のウリはパフォーマンスの向上で、次に型の採用が挙げられています。

パフォーマンスの向上が第一に求められるということは、それだけ言語に関する他の問題が落ち着いてきたことの裏返し、とも言えるでしょう。PHPも5から7に移った時に似たような流れがありましたし、それだけRubyが機能的に成熟したとも捉えられるのではないでしょうか。

成熟したということは、用途がはっきりしてきたということでも有ると言えます。一時のようにアレもRailsこれもRailsというように何でもかんでもRailsを使うような流れは終わり、必要なプロダクトに必要な分量だけ利用される、という方向に進みつつ有るように感じています。

ブームが去った後の落ち着きは、ブームの絶頂期しか知らない人にとっては物足りないかもしれません。ですが、高速にプロダクトをスクラップアンドビルドしながらサービスを展開していくようなスタートアップなどには、これからも一定の支持をされて行くのではないか、というのが結論です。

まとめ

いかがでしたか?

今回はRubyの評判についてデータをもとにいろいろと考えてきました。

確かに絶頂期ほどの勢いはありませんが、その分ノウハウも蓄積し、使い勝手がよくなっているのが今のRubyとRailsといえます。

興味の有る方はぜひ、この機会にお試しください。

この記事を書いた人

【プロフィール】
DX認定取得事業者に選定されている株式会社SAMURAIのマーケティング・コミュニケーション部が運営。「質の高いIT教育を、すべての人に」をミッションに、IT・プログラミングを学び始めた初学者の方に向け記事を執筆。
累計指導者数4万5,000名以上のプログラミングスクール「侍エンジニア」、累計登録者数1万8,000人以上のオンライン学習サービス「侍テラコヤ」で扱う教材開発のノウハウ、2013年の創業から運営で得た知見に基づき、記事の執筆だけでなく編集・監修も担当しています。
【専門分野】
IT/Web開発/AI・ロボット開発/インフラ開発/ゲーム開発/AI/Webデザイン

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