本を使ってLispを学びたい!
初心者向けの本はないのかな?
Lispは型の定義が要らず、コンパイルなしで実行できるプログラミング言語です。
1958年に設計された歴史の古い言語ですが、人工知能ブームによって近年再び注目を集めています。開発者のジョン・マッカシーは「人工知能」という言葉を使い始めた第一人者なのです。
ただLispはメジャーな言語ではないため、初学者が自分に合った本を選ぶのは大変です。中には上級者が読むことを前提とした本も多いので、自分のレベルに合った本で学習することは非常に重要です。
そこでこの記事では、初心者・中級者・上級者それぞれに最適なLispの技術書をまとめました。「Lispに興味がある」「歴史のある言語に触れてみたい」という方はぜひ参考にしてください。
初心者向け
まずはLispの言語仕様や基礎概念を学べる本を紹介します。
Land of Lisp
編集部コメント
Lispを習得する上で「定番」と言われる一冊です。IT関連の書籍を専門とするオライリージャパンから出版されています。
リストの操作や再帰などLispの基本的な文法を学ぶことができる他、高階関数などレベルの高い技術まで包括的に解説されています。
本書の最大の特徴は、楽しみながら学べる点にあります。コミカルなイラストがふんだんに使われており、軽妙な語り口で書かれた文章は非常に読みやすいものに仕上がっています。
さらに本書では、実際に手を動かしてゲーム開発を行います。コードを記述しながら学べる内容となっており、途中で飽きてしまう心配もありません。
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Lispの入門書の定番
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Lispの基礎構文を学びながらゲームのプログラミングをするため飽きない
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Lispの文化や歴史的背景も解説している
初めての人のためのLISP[増補改訂版]
編集部コメント
1986年に出版され、今もなお読み継がれている名著です。本書は技術書ではあまり類をみない「会話形式」で構成されています。Lispの文法や関数がどのようなコードで表現されるのか、登場人物たちのやりとりを通して解説されます。
文体も非常にユーモラスなので、すらすらと読み進めることができるでしょう。難解な技術書では途中で飽きてしまうという方は、本書から取り組んでみることをおすすめします。一見理解しづらい概念や思想設計まで、踏み込んだ内容まで習得が可能です。
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出版から四半世紀が経っても読み継がれる入門書
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Lispでプログラミングする上で欠かせない考え方をユーモラスに解説している
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Lispの入門書としてだけではなく、脳トレ的な面白さがある
中級者向け
Lispの文法は理解できているが、もう一歩踏み込んだ内容を習得したいという方におすすめの書籍を紹介します。
はじめてのLisp関数型プログラミング――ラムダ計算からリファクタリングまで一気にわかる
編集部コメント
発行は2016年と、Lispの技術書の中では比較的新しい本書。関数型プログラミングの基本的な内容から、Lispの実践的なプログラムまで幅広く学べる一冊となっています。
最大の魅力は、「関数型プログラミングとは何か」といった部分から丁寧に解説されている点です。オブジェクト指向や手続き型プログラミング言語の特徴と比較しながら、それぞれのメリット・デメリットが体系的にまとめられています。
エイトクイーンやハノイの塔などのパズル問題をベースに、Lispの具体的な書き方についても詳しく解説されています。
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Lispの基礎を学んだ人にぜひ読んでほしい関数型プログラミングの良書
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関数型プログラミングの基礎からLispでの書き方まで幅広く解説している
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ラムダ計算など計算機科学についても触れている
Lisp入門(第3版)
編集部コメント
大学講座のテキストとしても使用される学術的な内容の一冊です。Lispの基本的な概念から、具体的にどのように記述すればよいかといった実践的な内容まで、詳細に説明されています。
特に本書は。MACLISP系と呼ばれるLispの書き方について詳しく解説している数少ない本です。やや専門的な内容となっているため、Lispの理解をより一層深めたいという方におすすめです。
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Lispのシステムの仕組みを理解したい方におすすめの一冊
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Lispを学術的に扱うなら避けては通れない学術書
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MACLISP系と呼ばれるLispの書き方についても解説している
上級者向け
最後に、Lispを実践で活用したいと考える上級者向けの書籍を紹介します。
実践Common Lisp
編集部コメント
Lispを実務で扱うことを想定した、非常に実践的な内容が収録されています。音楽配信ツールの構築を例題に、Lispの具体的な記述方法を身につけられます。
実装をイメージしながら学んでいけるので、途中で飽きてしまうこともありません。
500ページ以上とかなり厚みがありますが、その分高度な技術にまで踏み込んで解説されています。内容としても上級者向けの一冊と言えるでしょう。
Lispの実践的な開発フローが網羅されていることもあり、リファレンスとして持っていても役に立ちますよ。
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Lispの基礎から実践的な使い方まで解説している上級者向けの一冊
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Lispの言語機能も網羅している
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ボリュームがあり、体系的に解説しているので、Lispの辞書としても利用できる
これがLISPだ!
編集部コメント
科学系の書籍には定評のあるサイエンス社から1989年に出版された一冊。豊富な例題と丁寧な解説が魅力です。
Lispの基礎概念だけでなく、エキスパートシステムなど人工知能にまつわる内容も充実しています。
非常に高度な内容を解説しているため、初学者には理解が難しいかもしれません。しかし人工知能プログラムをLispで書いてみたい方や、Lispの理解をさらに深めたいという方には最適な本と言えるでしょう。
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発売から四半世紀経ってもなお、色あせない豊富な例題
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Lispのプログラミング手法が網羅されている
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教科書のように説明・演習問題の順番で記載されているので、記憶に残りやすい
まとめ
今回は初心者・中級者・上級者それぞれに最適なLispの技術書をまとめました。
Lispは高度な演算処理に長けているプログラミング言語です。歴史のある技術でありながら、人工知能などの最先端の分野でも使われます。
今回ご紹介した書籍を読み、手を動かしながらコードを書いていけば、初学者でもLispを深く理解できますよ。