システムエンジニア目線で見る大手企業と中小企業の違い


SEとして大手に就職したい!
大手に就職するにはどうしたらいいの?

システムエンジニアSE)になりたいと思った時にこんな事考えたことはないでしょうか? SEに限らず大手企業に入りたいと思っている人は多いでしょう。SEを目指している皆さんにとっても大企業に就職することは一つの目標になっているかもしれません。

しかしSEとして大手企業で働くメリットとデメリットについて、考えた事はありますか?実は大手企業で働く事によって不利になる点もあるのです。

そこで今回はSEが大手企業に就職することへの、理解を深めるために以下の4点について解説します。

  • 大企業の定義
  • 大企業の特徴
  • 中小企業の特徴
  • 大企業と中小企業の違い

今回の記事を読めば、自分が大手企業に就職するべきかわかるようになります。将来、自分の理想のキャリアを描くためにきちんと予備知識を勉強しましょう。

この記事の要約
  • SE目線の大企業は下請けのディレクションが多い
  • SE目線の中小企業はプログラミングを行う機会が多い
  • 大企業と中小企業は業務内容/働き方/開発規模などが違う
目次

そもそも大企業の基準は?

画像:Shutterstock

大手企業におけるSEのメリットとデメリットについて考える前に、大手企業というものがどのような企業の事を指すのか見てみましょう。

実は大企業に明確な定義はなく、定義が国によって定められているのは中小企業の方です。中小企業は中小企業基本法という法律によって定義が決められていて、業界によってその基準が変わってきます。

そして今回例に挙げる、IT業界では以下二つの領域によって規模が定められています。

  • 資本金または投資金額が3億円以下
  • 従業員の数が300人以下

これらのいずれかの条件を満たしている企業が「中小企業」と定義されています。そのため大企業をあえて定義するのであれば、投資金額や従業員の両方が中小企業の基準より多い企業ということになります。

蛇足にはなりますが、中小企業基本法では小規模企業者という零細企業についての定義もなされています。そしてこの小規模企業者は常時取引をする従業員数が20人以下の場合を指します。

より詳しく知りたい方は中小企業基本法の条項(中小企業庁)を確認してみてください。

SE目線でみた大企業の特徴

大企業の定義が定まったところで、実際に大企業で働くメリットとデメリットをSE目線で考察していきます。

下請けのディレクションが中心

大手企業のSEが行う業務は主にディレクターの役割です。つまり実際に手を動かす部門は外注し、大企業のSEは必要最低限のマネジメント業務だけを行うということです。

この点は人によってはメリットになり、人によってはデメリットになりえます。

なぜならプログラミング作業という実際に手を動かす物作りの工程が圧倒的に少なくなるからです。もしあなたがプログラミング自体を好きでSEになりたいなら、大手企業は向いていないことがわかります。

一方でプログラミングよりも意思決定に関わる仕事をこなしたい人には、手作業に関わる時間が減るので、大手企業に努めた方が有意義な時間が過ごせるでしょう。

大きなプロジェクトの上流工程に関われる

また大手企業に務めることのもう一つの特徴として、プロジェクトの上流工程に関われるという点があります。この点は先程の意思決定をしたい人にとって、一番のメリットではないでしょうか?

大きなプロジェクトで上流工程として関われれば人材としての市場価値も上がります。そのためいざ転職したいとなった時にも、自分の実績として世の中にインパクトがあるプロジェクトを挙げられるのは大きなメリットです。

優秀な人材が多く評価されにくい

一方で大企業ならではのデメリットももちろんあります。それは優秀な人材に埋もれる可能性があるということです。

高収入や関われる事業規模などの点で大企業にはプラスなイメージが多いため、中小企業よりも優秀な人材が集まります。するとその優秀な人材と比べてさらに優秀な実績を残さなければなりません。

中小企業が甘い世界というわけではありませんが、高い評価を得るためのハードルは確実に高いと言えるでしょう。

SE目線でみた中小企業の特徴

画像:いらすとや

ここまでは大企業中心でメリット・デメリットを紹介しましたが、中小企業にももちろん良い点と悪い点があります。

そこでSEにとって中小企業で働くことのメリット・デメリットを検討していきましょう。

技術力がつきやすい

中小企業では実際に手を動かす機会が多いため、技術力がつきやすいというメリットがあります。

どういう事かというと、先程の大企業で外注されていた手作業が中小企業のエンジニアに任されるのです。そのため大企業のSEよりも圧倒的にプログラミングをする機会が多くなります。

このような業務内容が多いため、技術力が上がりやすい環境なのです。

残業時間が多い

一方で残業時間が多いというデメリットがあります。

中小企業のSEの仕事は成果物を納期までに納品することにあります。そのため納期前ギリギリに作業の進度が遅いと必然的に残業をする必要が出てくるのです。

また中小企業が外注先に選んでもらうためには技術力以外の付加価値も必要となります。それが例えば、人件費を減らして値下げをしたり納期を早めに設定してスピードアップを図ったりする場合もあります。

するとそのシワ寄せはSEが背負うことになり、過酷な労働状況になってしまうのです。

技術力で評価されることが多い

最後に中小企業のメリットとして、技術力という分かりやすい基準で評価してもらえる点にあります。

中小企業のSEはディレクションなどの仕事が少ない分、コミュニケーション力などの上司による基準になりにくいという特徴があります。そのため良い成果物を早く作れる人材がいい人材と分かりやすい基準になります。

この点は技術を高めたいと思っている方にとっては、大きいメリットではないでしょうか?

SE目線でみた大企業と中小企業の違い

画像:Shutterstock

最後に大企業と中小企業の特徴を踏まえた上で、いちがいに「良い悪い」と判断しにくい部分の比較をしていきます。

プロジェクト規模の違い

まず大企業と中小企業の大きい違いとして、プロジェクトの規模の違いがあります。

これに関して、プロジェクトは大きい方が良いと思う方もいるかもしれません。しかしプロジェクトが大きいと関わる人数も増えるため、自分の裁量権が小さくなってしまうというデメリットがあります。

特に実績があまりない段階だと大きなプロジェクトでの自分の役割は小さくなってしまいがちです。そのため社会へのインパクトで選ぶか、決定権の強さで選ぶか自分の中の判断基準をはっきり持っておきましょう。

業務内容の違い

さきほども述べたように業務内容にも大きな差があります。大企業はディレクション中心で、中小企業はプログラミング中心の業務になるのです。

ここでの選び方の基準はジェネラリストになりたいか、スペシャリストになりたいかです。ジェネラリストとは領域横断的な知識を持つ大きな意思決定をする役割を持つ人です。一方でスペシャリストとは自分の特化した領域で高い技術力を持つ人の事を指します。

ジェネラリスト志望の方は大企業でマネージャーとしての能力を磨き、スペシャリスト志望の方は中小企業で技術力を高めるのがオススメです。

年収・福利厚生面での違い

大企業と中小企業では上流工程と下流工程というポジションの違いがあるため、その点が年収にも影響を及ぼします。

以下の表をご覧ください。

こちらの表からわかるように、企業規模が大きいほど年収も高くなることがわかります。

しかしフリーランスになりたい方はこの低い給料をそれほど気にする必要はありません。なぜなら中小企業のほうが技術力を磨きやすいからです。高い技術力を持っていた方がフリーランス市場では有利に働きます。

そのため目先の収入にとらわれずに、自分のキャリアイメージに合わせた勤務先を選ぶのがあなたにとってベストな選択といえるでしょう。

一方で福利厚生の面は大企業のほうが充実しているようです。従業員が少ないと有休や産休を与えられる余裕を作りにくいといえます。そのため給料だけでなく、福利厚生の充実度で選ぶ場合は大企業を目指したほうが良いことがわかります。

まとめ

この記事ではSE目線での大企業と中小企業を比較しました。

大企業と中小企業の違いは完全にどちらの方が良い悪いで片付けられないことがお分かりいただけたと思います。今回の記事で解説したように、自分のキャリアを考えた上で会社を選ぶことが一番重要です。

もしあなたが「みんなが良いとい言ってるから」という理由で大手企業にSEとして転勤しようとしていた場合はご注意ください。転職活動を本格的に始める前に、もう一度この記事の内容を復習しましょう。

大企業と中小企業の違いをきちんと把握すれば、自分にあう企業の条件を洗い出す助けになるはずですよ!

この記事を書いた人

【プロフィール】
DX認定取得事業者に選定されている株式会社SAMURAIのマーケティング・コミュニケーション部が運営。「質の高いIT教育を、すべての人に」をミッションに、IT・プログラミングを学び始めた初学者の方に向け記事を執筆。
累計指導者数4万5,000名以上のプログラミングスクール「侍エンジニア」、累計登録者数1万8,000人以上のオンライン学習サービス「侍テラコヤ」で扱う教材開発のノウハウ、2013年の創業から運営で得た知見に基づき、記事の執筆だけでなく編集・監修も担当しています。
【専門分野】
IT/Web開発/AI・ロボット開発/インフラ開発/ゲーム開発/AI/Webデザイン

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