国内におけるIT人材不足の深刻化を背景に、ITエンジニアといったプログラミングスキルがある人材の需要は増し、他の職種に比べ高い報酬を設けるケースが増えてきました。
そんななか、セキュリティエンジニアに関心を持ち、目指そうとしている人も多いですよね。
ただ、実際にどう目指せばいいのか、イメージが湧かない人もいるはず。やみくもに目指しては、結果的に遠回りとなり「事前に調べておけばよかった…」と後悔しかねません。
そこで、本記事ではセキュリティエンジニアになるにはどうすればいいのか、具体的な目指し方をわかりやすく解説します。未経験からセキュリティエンジニアを目指せるのか、といった疑問にもお答えするので、ぜひ参考にしてください。
- セキュリティエンジニアは他の職種からステップアップして目指す
- セキュリティエンジニアには7つの重要スキルが求められる
- セキュリティエンジニアは将来性が有望な職種
本記事を読む前に、セキュリティエンジニアがどんな職業かをおさらいしておきたい人は、次の記事を参考にしてください。
本記事の解説内容に関する補足事項
本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。
また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に、提供コースは「教育訓練給付制度の指定講座」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。
記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。
未経験からいきなりセキュリティエンジニアを目指すのは困難
結論として、未経験からいきなりセキュリティエンジニアを目指すのは困難です。
セキュリティエンジニアになるためにはソフトウェアやネットワーク、インフラなど、IT業界の幅広い知識と経験が必要となるからです。学習によって知識を得ることは可能ですが、経験を得ることはできません。
他の職種を経て転身するのが賢明
上記より、セキュリティエンジニアは他の職種を経験してから転身するのが賢明です。
ネットワークやシステム・プログラミング・暗号化など、セキュリティエンジニアには幅広く専門的な知識が求められます。そのため、未経験から一気にセキュリティエンジニアを目指すのは難易度が高いといえます。
そこでおすすめなのが、他のIT職やエンジニア職を経てから転身する方法です。まずは、インフラエンジニアとして企業のITインフラを構築する経験を積んだり、システムエンジニアとしてサーバーやOS、ネットワークに関する業務に積極的に取り組みましょう。そうすることで、セキュリティエンジニアに必要なスキルを自然に身につけることができます。
特にインフラ系の知識は、セキュリティエンジニアに必須となるスキルのため、インフラに携われる業務には積極的に関わるようにしましょう。
スクールや専門学校経由で目指すのも効果的
1人でセキュリティエンジニアになれるか不安な人や効率を重視する人は、スクールや専門学校経由で目指すのも効果的です。
独学も可能ですが、特に未経験の方が専門書を読んでも、理解が困難で挫折してしまう場合があります。解決策のひとつとして、専門的な知識を効率よく学べる専門学校に通う方法があります。また、より可能な限り費用をおさえたい人には、プログラミングスクールが適しています。
なお、数あるスクールのなかでも挫折なくセキュリティエンジニアを目指すなら「侍エンジニア」がおすすめです。
月分割4,098円から学べる侍エンジニアでは、現役エンジニアと学習コーチが2名体制で学習をサポートしてくれるため、途中で挫折する心配はありません。「受講生の学習完了率98%」という実績からも、侍エンジニアなら挫折しづらい環境でプログラミング学習を進められるといえます。
また、侍エンジニアでは最大80%OFFで受講可能な「給付金コース」を提供中。金銭面での支援を受けつつ、理想のキャリア実現に向けたスキルの習得から、転職活動・就業後のフォローアップ(※1)までを一貫してサポートしてもらえます。
※1:転職後の1年間、転職先での継続的な就業や転職に伴う賃金上昇などのフォローアップ
学習と金銭面をどちらもサポートしてくれる侍エンジニアなら、未経験からでも安心してセキュリティエンジニアへの就業が実現できますよ。
セキュリティエンジニアになるロードマップ
ここからは、セキュリティエンジニアになるロードマップを、5つのステップにまとめて解説します。
- STEP1:必要なスキルを身につける
- STEP2:ネットワークセキュリティ関連の資格を取得する
- STEP3:セキュリティオペレーターとして経験を積む
- STEP4:セキュリティアナリストにキャリアアップする
- STEP5:セキュリティエンジニアに転身する
STEP1:必要なスキルを身につける
セキュリティエンジニアになるための最初のステップは、基本的なスキルを身につけることです。
基本的なスキルには、次のようなものがあります。
- プログラミング
- ネットワークの基本
- システムの仕組み
- セキュリティ
- 暗号化技術
これらのスキルは、オンラインコースや大学の講義などで学ぶことができますが、理論だけでなく実践的なスキルを磨くことも重要です。
セキュリティエンジニアに必要とされるスキルに関しては後の章で詳しく解説しますが、多岐の分野にわたるため道筋をたてて学習する必要があります。
STEP2:ネットワークセキュリティ関連の資格を取得する
セキュリティ分野での専門性を証明するために、ネットワークセキュリティ関連の資格の取得を目指しましょう。
ネットワークセキュリティ関連の資格には、以下のようなものがあります。
資格名 | 特徴 |
CompTIA Security+ | CompTIAが実施する資格試験 |
CEH(Certified Ethical Hacker) | 「認定ホワイトハッカー」の名称で知られる |
CISSP(Certified Information Systems Security Professional) | セキュリティ全般に渡る高度な知識が問われる |
CompTIA Security+は、国際的に認知されており、技術者としてのスキルの高さを証明するのには十分な資格です。
CEHは、日本国内では「認定ホワイトハッカー」の名称で知られています。 サイバー攻撃の技術を学びサイバー攻撃に対する実践的な知識を身につけて、強固なサイバーセキュリティの構築を目指す資格です。
CISSPは、特定の機器に対するセキュリティを問うものではなく、セキュリティ全般に渡る高度な知識が問われます。経営者視点の問題もあり、高難易度の資格の一つです。
これらの資格は、セキュリティの知識だけでなく実践的なスキルも求められるため、準備にはしっかりとした学習と実践が必要です。
STEP3:セキュリティオペレーターとして経験を積む
資格を取得した後は、セキュリティオペレーターとして実務経験を積みましょう。
セキュリティオペレーターは、日々のネットワーク監視・インシデント対応・脆弱性評価などを行います。新しいセキュリティ関連の技術や製品に関する最新の情報を把握し、組織の内外で発生するインシデント情報を収集・分析して、適切な対処法を常に更新する能力が必要です。
実際のセキュリティインシデントに対応することで、理論的な知識を実践に活かし、さらに深い理解とスキルを身につけることができます。
STEP4:セキュリティアナリストにキャリアアップする
セキュリティオペレーターとしての経験を積んだ後は、次のステップとして、セキュリティアナリストへのキャリアアップを目指しましょう。セキュリティアナリストは、セキュリティインシデントの原因を分析し、将来のリスクを予測する役割を担います。
セキュリティアナリストには、Web環境の脆弱性を判断する力が求められます。さまざまなサイバー攻撃に対して対策が実施されているか、リスクはないのかなどを判断することが重要です。そのためには、最新のサイバー攻撃やセキュリティに関する知識に対して習熟し、分析から結果が解釈できる力を要求されます。
STEP5:セキュリティエンジニアに転身する
セキュリティアナリストとしての経験と知識を積んだ後、最終的にセキュリティエンジニアに転身を目指しましょう。
セキュリティエンジニアは、セキュリティシステムの設計・実装・管理を行う専門職です。新たなセキュリティ技術の開発にも関わり、組織のセキュリティポリシー作成にも貢献します。この段階に至るには、豊富な実務経験と高度な技術知識、そして問題解決能力が必要とされます。
セキュリティエンジニアへの道は、基本的なスキルの習得や資格の取得から始まり、実務経験を通じて徐々に専門性を高め、最終的には高度な技術と知識を要する職へと進むものです。このロードマップを参考に、一歩一歩着実に進んでいくことが大切です。
セキュリティエンジニアに求められる7つのスキル
前述したとおり、セキュリティエンジニアに必要なスキルは多岐に渡ります。
ここでは、セキュリティエンジニアに求められるスキルを、7つにまとめて解説します。
サイバーセキュリティに関する知識
サイバーセキュリティに関する知識は、セキュリティエンジニアに不可欠なスキルの1つです。
サイバーセキュリティとは、デジタル化された情報の改ざん・漏えいを防ぐ手段のことをいいます。現代社会ではデジタル化が進んだ結果、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクが増加しています。そのため、最新の脅威トレンドを理解し、適切な防御策を立てるための知識が求められるのです。
最新のセキュリティやサイバー攻撃に関する情報を入手して、社内業務で導入しているセキュリティソフトのバージョン情報も把握しておきましょう。社内で導入しているソフトウェアの脆弱性が発覚した場合には、迅速に修正プログラムを適用する必要があります。
なお、サイバーセキュリティについてより詳しく知りたい人は、最新のセキュリティ情報等を発信する「Securify」の記事を参考にしてください。
ネットワークに関する知識
サイバー攻撃がネットワークを介して行われる点から、ネットワークに関する知識もセキュリティエンジニアに重要なスキルの1つです。
セキュリティ対策をする際には、ネットワーク機器の設定・操作を行う必要があるため、やはりここでもネットワークに関する知識が求められます。
セキュリティエンジニアは、ネットワークトラフィックを監視して異常な動作を特定するために、ネットワーク構成やプロトコルについての深い理解が必要です。
暗号化技術
暗号化技術も、セキュリティエンジニアに求められるスキルの1つです。
暗号化技術とは、データの安全性を保つための基本的な手段です。
暗号化とは、データの中身を他人に解読できないように加工することをいいます。たとえば、Webサイトを利用する際に利用するパスワードがそのままの文字列で保存されている場合、情報が漏えいした場合に簡単にパスワードを悪用されてしまいます。
そのため、セキュリティエンジニアは情報を保護するための暗号化アルゴリズムやプロトコルについての知識を持つ必要があり、暗号化されたデータを解読するための能力も求められるのです。
情報セキュリティポリシーの策定・実行スキル
情報セキュリティポリシーの策定・実行スキルは、組織全体のセキュリティを向上させるために必要です。セキュリティエンジニアは、不適切なアクセスやデータ漏洩を防ぐためのポリシーを作成し、適切に実行する能力を持つ必要があります。
情報セキュリティポリシーを策定することで、以下のようなメリットがあります。
- 情報セキュリティに対する社員の意識向上
- 取引先からの信頼性向上
- 情報セキュリティインシデントの発生防止
社内研修を開催することで、従業員はセキュリティに関する知識が身につき、日常業務において安全な行動が行えるようになります。
また情報セキュリティポリシーを明確化することで取引先や顧客からは、企業として情報セキュリティを真剣に考えていると認識され、信頼へ繋がります。その信頼は、ビジネスでも有利に働くでしょう。
情報セキュリティポリシーを策定することで、セキュリティインシデントの発生を未然に防ぐ効果もあります。策定したポリシーに基づいた対策を実施して高度なセキュリティ環境を構築すると、情報の漏えい・不正アクセスなどのトラブルのリスクを抑えることができます。
問題解決能力
セキュリティエンジニアは、セキュリティの脆弱性を特定してリスクを評価したうえで、適切な対策を実施する能力が必要です。技術の進歩によって日々新しい脅威・攻撃パターンが生みだされるので、常に気を巡らせる必要があります。
そのためには、新しい技術やセキュリティの脅威に興味を持って、自己学習によるスキルアップを継続しましょう。そして、新たな脅威や攻撃に対しても柔軟な思考とアプローチによって、迅速かつ効果的に対応することが求められます。
セキュリティツールを扱うスキル
セキュリティエンジニアには、セキュリティツールを扱うスキルも求められます。セキュリティツールは、サイバー攻撃・ウイルス・マルウェアの感染など、外部からの攻撃を検知して悪影響を最小限にするために必要です。パソコンにツールをインストールしたりクラウドサービスで利用することによって、外部からの攻撃によるリスクを低減することができます。
具体的には、以下のようなツールを使いこなす必要があります。
- WAF(Web アプリケーションファイアウォール)
- IDS/IPS
WAFとは、Webアプリケーションの脆弱性をついた攻撃からWebサイトを保護するセキュリティツールです。Webアプリケーションの前段やネットワーク内に配置して使用します。
IDS/IPSは、企業や組織のネットワークやサーバへの不正な侵入に対するセキュリティを確保する仕組みです。IDSは、異常を検出した場合に、管理者へ通知を行います。IPSでは、異常を検知した場合の対処として、管理者への通知に加えて通信のブロックまでを行う機能を付加した仕組みです。
さらに、新しいセキュリティツールが次々と登場するため、最新のツールについての知識を更新し続けることが重要となります。これらのスキルを身につけることで、セキュリティエンジニアは組織の情報資産を保護し、サイバー攻撃から守ることが可能になります。
コミュニケーションスキル
最後に、コミュニケーションスキルもまた、セキュリティエンジニアにとって重要な要素です。セキュリティエンジニアは、技術的な問題を非技術者に対して説明したり、組織全体のセキュリティ意識を高めるための教育を行うなど、他のメンバーと効果的にコミュニケーションを取る必要があります。
顧客によっては、ITに対する知識が乏しい場合もあるため、誰にでもわかりやすく説明できる能力が必要です。顧客とのやり取りが上手くいかずにトラブルに発展することがないよう、セキュリティエンジニアにもコミュニケーション能力は重要です。
セキュリティエンジニアにまつわるFAQ
最後に、セキュリティエンジニアによくある質問へまとめて回答します。
平均年収はどのくらい?
求人ボックス・dodaなどから、セキュリティエンジニアの平均年収はおよそ700〜800万円です。
その専門性の高さから、他のITエンジニアよりも高めとなっており、ITエンジニア全体の平均年収である約600~650万円を上回っています。
また日本全体の一般労働者の平均年収と比べても、セキュリティエンジニアの年収は高いといえます。厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和5年5月分」によると、一般労働者の平均年収は約442万円(月給約36万円)です。これを基に考えると、セキュリティエンジニアの年収は一般労働者の平均年収を大きく上回っています。
この年収の高さは、求められる専門性の高さや絶えず進化し続けるITセキュリティの領域において、最新の知識を常に追い求めそれを適切に対策に反映させる能力が評価されているからです。セキュリティエンジニアは、企業の重要な情報資産を守るための要となる職種であり、その責任の重さが年収に反映されています。
今後の将来性は?
今後もセキュリティエンジニアの将来性は高いといえます。
情報化社会の進展に伴い、セキュリティエンジニアの役割がますます重要になってきており、その需要は高まっている状況です。
現代社会はIT技術の進展と共にその利便性を享受しつつも、一方ではセキュリティの問題に直面しています。
総務省の報告によると、ビジネスの中心に立つ経営者やリーダーたちはサイバーセキュリティの重要性を認識し、企業全体での対策強化が求められています。このような背景から、セキュリティエンジニアの役割は必要不可欠であり、その需要は今後も増え続けるでしょう。
またIPA「情報セキュリティ白書2023」によれば、日本のサイバーセキュリティ関連従事者は2022年時点で約38.8万人で、前年比40.4%増となっています。しかしながら、不足人数は前年よりも37.9%増の5.6万人となっており、IT人材の不足が深刻化していることが伺えます。
これらの事実から、セキュリティエンジニアの将来性は非常に高いといえます。IT技術の進化と共に、セキュリティエンジニアの専門知識と技術はますます求められ、その価値は今後も増していくでしょう。
どんなキャリアパスがあるの?
セキュリティエンジニアとしてのキャリアパスは多岐にわたります。最初の一歩としては、システムやネットワークのセキュリティを守るための基本的な知識と技術を身につけることが重要です。その後、専門性を磨き続けることで、ホワイトハッカーやセキュリティコンサルタントなどの専門職へ進むことが可能となります。
ホワイトハッカーは、企業のセキュリティシステムを攻撃して脆弱性を見つけ出し、その改善策を提案する役割を果たします。一方でセキュリティコンサルタントの任務は、セキュリティに関する最新の知識を活用して、企業のセキュリティ対策を設計・導入することです。
これらの専門職へ進むことで、上流工程の仕事を担うことが増え、結果的に年収も上昇する傾向にあります。専門性を深めることで、自身のスキルと市場価値を高めることができ、それが給与に反映されるからです。
まとめ
今回は、セキュリティエンジニアになるにはどうすればいいのか、具体的な目指し方をまじえてわかりやすく解説しました。
セキュリティエンジニアになるためには、未経験からではなく他の職種を経験しながら目指すのが賢明です。スクールや専門学校で基本的な知識を身につけ、セキュリティオペレーターやセキュリティアナリストへキャリアアップしましょう。そこで多くの経験を積んだ後で、セキュリティエンジニアに転身するのがおすすめです。
セキュリティエンジニアに必要とされるスキルは多岐に渡りますが、本記事で紹介した7つのスキルは特に重要です。意識的に身につけるようにしましょう。
専門性の高さから平均年収も高く、将来性も非常に有望なセキュリティエンジニアです。大変人気の職種ですので、本記事の内容をよく読んで、理解を深めましょう。きっとあなたにも、セキュリティエンジニアへの道が開けるはずです。
この記事の監修者
フルスタックエンジニア
音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。