海外のICT教育の現状は?6つの事例とメリット・デメリットを紹介

ICT教育の導入が進む日本ですが、海外ではICT教育の現状はどのようになっているのでしょうか。

日本も参考にしたいICT教育に力を注いでいる6カ国の事例を紹介しています。海外の例を参考にして、ICT教育について今一度考えてみましょう。

この記事の要約
  • ICT教育とはタブレットやインターネットを活用した新しい教育方法
  • 米国やシンガポールなど、海外のICT教育は日本よりも進んでいる
  • 地域教育格差の是正や学習効率化など、ICT教育のメリットは多い
目次

ICT教育とは?

ICT教育は、情報通信技術を利用した教育法です。

タブレットやインターネットを利用した新しい授業は、日本のみならず海外でも広がりをみせています。ICT教育の導入が進めば、映像を使った授業や日本にいながら海外にいる学生と討論できます。

メリットも多いICT教育を実施するために、環境を整えることが求められています。日本のICT教育は始まったばかりで、海外のICT教育を参考に出来る部分も多いです。

eラーニング・エドテックとの違い

ICT教育は、eラーニングやエドテックとは異なる教育方法です。ICT教育は、タブレットなどを活用し授業をおこなうことです。

eラーニングは、インターネットを使った学習形態のことです。自宅でも利用できるため、スクールなどに通えない場合に便利に活用されています。エドテックとは、教材にパソコンやスマホを用いる技術を開発する取り組みのことです。ビジネス領域の分野のため、ICT教育とは異なります。

教育現場でICTの導入が必要な理由

教育現場でICTの導入が必要な理由は、生徒と教員両方にメリットがあるからです。

生徒は黒板を板書するだけの退屈な授業が減り、授業に主体的に関わることができます。さらに今後インターネット社会を生きる生徒にとっては、デバイスの正しい利用方法を学べる機会が与えられることは魅力的です。

また教員にとってICTの導入は情報の共有が簡単にできるため、授業の質の向上や準備の軽減が期待できます。

海外のICT教育の取り組み事例6つ

海外では、日本よりもICT教育が進んでいる地域も少なくありません。今後日本のICT教育をさらに発展させるためにも、海外のICT教育の現状を知っておく必要があります。

日本のICT教育は、始まったばかりです。導入が海外よりも遅れている声もあるため、参考になる海外のICT教育の取り組み事例を6つ紹介していきます。

海外の事例でまねできるところがあれば、積極的に導入を検討することもいいでしょう。

海外のICT教育の事例1:アメリカ

アメリカでは、ICT教育は州によって対応が異なります。

ノートパソコンを生徒に配布している州も多く、海外の中でも進んでいると言えるでしょう。さらに最新のデジタル技術を教育に活用しているテキサス州は、生徒に合わせた学習コンテンツをおすすめしてくれるラーニングも導入されつつあります。

デジタル教科書を使用する生徒も増えていて、今後学習効果の向上が期待されます。日本の教育にも参考になることでしょう。

海外のICT教育の事例2:シンガポール

シンガポールでは、ICT教育の先進国と言われています。シンガポールはICT教育の海外視察先として、日本からも多くの専門家が視察に訪れました。

具体的シンガポールでは、学校がICTを活用した教育方法を政府に提案し、提案が採用された学校に経費が優遇されるシステムが採用されています。採用された学校では1人1台のタブレット型パソコンが配布され、生徒の教育に対する意欲も向上していると言われています。

海外のICT教育の事例3:フィンランド

フィンランドでは、海外でも有数のICT教育先進国と言えます。

全ての小学校で電子黒板が使われています。さらにフィンランドは、博物館の中を歩いているような体験ができるVRグラスを授業に取り入れる仕組みも導入されつつあります。生徒は1人1台パソコンを利用することができて便利です。

また地方にある学校では、Zoomを使って手軽に専門家の授業が受けられる仕組みが取り入れられています。

海外のICT教育の事例4:イギリス

イギリスでは、電子黒板を活用した教育が実施されています。さらに幾何学用のアプリケーションを利用するなど、数学を理解するためにICTを上手に活用していることは有名です。

海外からの移民が多いイギリスでは、ICTを活用して教育格差をなくすことが課題とされています。教員の授業技術にもICTが使われています。

イギリスは日本が教育制度をまねした国のため、他の海外の国よりも参考になるでしょう。

海外のICT教育の事例5:オランダ

オランダは、学習進捗管理をアプリで共有しています。生徒と学校だけでなく、保護者も学習状況を気軽に確認できるため、日本でも便利に利用できる海外の事例と言えるでしょう。

オランダでは、最新のICT技術を取り入れた教育法を実施している小学校があります。iPadを活用したワークショップや自主学習が中心で、生徒の学びたい気持ちを後押ししています。自分の学習のレベルに合わせて、授業を受けられます。

海外のICT教育の事例6:エストニア

IT技術が優れている海外の国として有名なエストニアは、学習教材を電子教材にして利用しています。

全ての学校でフリーWi-Fiが利用できる設備が整っているため、教育の地域格差が見受けられません。デバイスは子どもが持ち込むスタイルが取られていますので、タブレットを購入する費用などは日本よりもかからない仕組みが取られています。

ICT教育の先進国でもあるエストニアは、お手本にできる部分が多いです。

ICT教育のメリット

日本でも海外でも導入が進むICT教育は、メリットが多いと言われています。

ICT教育のメリットを知ることで、ICT教育に対する理解が深まるでしょう。ICT教育を導入する際に知っておきたい大きなメリットを3点紹介していきます。ICT教育に懐疑的な見方をしている人も、メリットを知れば海外でも導入されている理由がよく分かるでしょう。

地域による教育格差がなくなる

地域による教育格差がなくなることが、ICT教育のメリットです。

海外では人口減に悩む地域の学校でICT教育を導入し、スクリーン越しに専門的な授業を行っているケースもあります。日本でも地域により教育格差は、ますます広がりをみせています。ICT教育を導入することで、都心でも人が少なくて困っている地方でも同じレベルの教育を受けられる可能性が期待されています。

格差がなくなれば、将来に希望が持てるでしょう。

学習の効率化

学習の効率化が期待できることは、大きなメリットです。

海外では電子黒板の導入が進み、黒板の内容を生徒と共有しているところもあります。学習の効率化が進めば、今までよりも高い学習効果が期待されます。黒板の清書に費やしていた時間を調べものの時間に当てれば、充実した授業を受けられるでしょう。

教員側とっても授業の準備の時間が短縮できるため、よりユニークな授業をする計画を立てることもできます。

能動的に学習ができる

受け身ではなく能動的に学習ができることが、ICT教育の大きなメリットです。1人1台タブレットがあれば、わからないことをすぐに調べられます。さらにVRを利用すれば、教科書で確認するだけでなく実際にその場で過ごしているような体験ができます。

海外では実際に授業にVRの導入を検討している国もあります。自分から学びたいという気持ちが高まれば、学習意欲も大幅に向上することでしょう。

ICT教育のデメリット

ICT教育には、デメリットもあります。海外でもICT教育を危惧する声は、少なくありません。日本でも、ICT教育に導入に慎重な考え方を持つ専門家もいます。

ICT教育のデメリットを知ることは、実際に現場でスムーズにタブレットなどを活用することができるようになるでしょう。デメリットに対する対策をしっかりおこなって、ICT教育のメリットを現場が感じられるようにする必要があります。

身体への影響

画面からのブルーライトにより睡眠不足になりやすいとの意見もあります。教育現場では休憩を設けるなどの必要があります。

不正アクセスや情報漏洩のリスク

ICT教育を導入した場合のデメリットは、不正アクセスや情報漏洩のリスクにさらされる危険性があることです。学校の機密情報が外部に流出すれば、大きな問題になるでしょう。

ICT教育を導入する際には、セキュリティ対策を万全におこなう必要があります。ICTに詳しい専門家に依頼すると安心ですが、費用がかかるデメリットもあります。生徒に供給するデバイスの管理もしっかりおこなう必要があると言えるでしょう。

日本におけるICT教育の課題

日本におけるICT教育は、課題も多いと言われています。今後ICT教育を実際に現場で導入する際には、課題をクリアしていく必要があるでしょう。世界的にみても、ICT教育は今後一般的になることは間違いありません。

日本でも世界で通用する人材を生み出すためにも、ICT教育に力を入れることでしょう。ICT教育をスムーズに導入するためには、課題があることを認識し、対策をスムーズに講じていくといいでしょう。

wi-fi環境整備

wi-fiの環境整備は、日本の教育現場で早急な対応を求められている課題です。wi-fiの環境が整っていなければ、デバイスがあっても使いこなすことができません。

wi-fiの接続が悪い場合は、授業が成り立たない可能性もあります。またwi-fiの接続がうまくいかない度に授業が中断し、効率が悪くなる場合もあるでしょう。wi-fiの環境を整えるためには費用も必要です。そのため、自治体や国のサポートが必要不可欠です。

教育ノウハウの体系化

教育ノウハウの体系化は、大きな課題です。現状では教員のICTに関する知識がバラバラで、デバイスがあっても授業で使いこなせない可能性もあります。

教育ノウハウを体系化し、全国の生徒が高い水準でICT教育を受けられるように対策を講じる必要があります。各学校にICT教育に詳しい専門の先生を配置するなど、早急な対策が求められています。

教員には研修などを通じて、教育ノウハウを伝えていくことが大切です。

海外では日本よりICT教育が進んでいる

海外のICT教育は、日本よりも進んでいます。日本でも早急にICT教育を導入し、現場で活用することが求められます。海外の例を参考にして、日本におけるICT教育の課題をクリアする必要があるでしょう。

メリットとデメリットを理解し、環境を整備することが求められています。生徒も教員もICT教育をフル活用して、よりよい授業づくりに役立てていくことが大切と言えるでしょう。

この記事を書いた人

【プロフィール】
DX認定取得事業者に選定されている株式会社SAMURAIのマーケティング・コミュニケーション部が運営。「質の高いIT教育を、すべての人に」をミッションに、IT・プログラミングを学び始めた初学者の方に向け記事を執筆。
累計指導者数4万5,000名以上のプログラミングスクール「侍エンジニア」、累計登録者数1万8,000人以上のオンライン学習サービス「侍テラコヤ」で扱う教材開発のノウハウ、2013年の創業から運営で得た知見に基づき、記事の執筆だけでなく編集・監修も担当しています。
【専門分野】
IT/Web開発/AI・ロボット開発/インフラ開発/ゲーム開発/AI/Webデザイン

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