Web制作がオワコンと言われる理由!現在の需要からわかる将来性

この記事では、現在の需要や将来性も交え、Web制作がオワコンと言われる理由を解説します。

HTMLやCSSを1から学んで、Web制作に取り組む人も多いです。しかし、これからWeb制作を学ぶべきか、将来性はあるのかなど悩むこともあるのではないでしょうか。

本記事では、Web制作が「オワコン」と言われている理由を、現在の需要や将来性も交えて解説します。Web制作のスキルを身につけるべきなのか、その可否も解説するので、ぜひ参考にしてください。

この記事の要約
  • 需要・将来性が高い点からWeb制作は「オワコン」ではない
  • 生成AIの登場で稼げない人が出る可能性は高い
  • Web制作会社はなくなるという噂もある
  • Web制作分野で生き残るには単純なデザインスキル以外の+αが必要
目次

Web制作がオワコンといわれている5つの理由

Web制作がオワコンといわれている5つの理由

ここからは、Web制作がオワコンといわれている理由を、5つにまとめて紹介します。

理由1:制作自体のハードルが下がっている

1つ目の理由は、Web制作のハードルが下がっている点です。完全未経験から独学でWeb制作の仕事を始める方も増えてきており、学習サービスや学習サイトも豊富にあります。

スキルについては「Progate」や「ドットインストール」などの無料学習サイトで基礎を身につけられるうえ、「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったクラウドソーシングサイトで手軽に仕事も探せます。

また、近年ではAIツールが台頭していることから、Web制作のハードルが下がっている点もあげられるでしょう。クライアント側が個人で生成AIを勉強して、サイト作成するケースも増加傾向にあります。

理由2:競争が激しく仕事が獲得できない

Web制作がオワコンと言われる2つ目の理由は、競争が激しく仕事が獲得できないことがあげられます。Web制作のハードルが下がり個人でもスキル習得を目指せることから、多くの人材が副業やフリーランスに挑戦しています。

そのため1つの案件を多くのプログラマーやWebデザイナーで取り合うことになり、実績のない初心者などはとくに仕事の獲得が難しいです。

実際にクラウドソーシングサイト「クラウドワークス」でWeb制作を調べて見たところ、募集人数4人に対して41人もの人が応募しています。

非常に多くのライバルの中から仕事を勝ち取らなければならないため、オワコンといわれることもあります。

理由3:稼げる金額・報酬が減っている

3つ目の理由は、稼げる金額や報酬が減っている点があげられます。Web制作市場は簡単なスキルで挑戦できるものであればあるほど、人材の供給過多が起こります。

人材が市場に多いと買い手市場となり、単価を下げても人が来るという状態になってしまうのです。とくに初心者や未経験者が低価格で安く請け負うことが一般的になると、業界全体の基準単価も下げてしまいます。

制作ハードルが下がり、市場に初心者や未経験者が増えたため全体の単価が下がり、オワコンといわれています。ただし、経験やスキルが求められる案件では、高単価案件も見られます。安定して稼ぎ続けるためには、何よりも高い技術力が重要だといえるでしょう。

理由4:仕事が激務

4つ目の理由は仕事が激務である点です。現在のWeb制作市場は高いスキルを必要としていない案件は単価が低いため、これらの仕事を何個もこなさなければ生活できないケースも多いです。

いわゆる薄利多売の状態になっている場合もあるため、高単価の仕事が取れないと激務となるでしょう。とくに初心者の場合は仕事を行う中で不明点なども多く出てくるため、それらの問題を自分自身で一つひとつ解決していかなければなりません。

1つのWeb制作にかける時間も長くなるため、当然勤務時間全体も伸びてしまうでしょう。スキルが乏しい場合はワークライフバランスも取りにくくなるため、オワコンと言われています。

理由5:制作会社はなくなる可能性が高い

Web制作会社はなくなる可能性が高いという噂も囁かれています。生成AIの成長は著しく、簡単な画像や映像を誰でも気軽に作れるようになっています。

当然、Web制作にもその流れは来ており、ある程度知識があれば「ChatGPT」や「Relume」などを使用してわずか1日で簡易的なWebサイトの作成も可能です。そのため、そもそもWeb制作会社自体の需要がなくなるのではないかと危惧されているのです。

先述したとおり現在の日本では、Web制作需要が右肩上がりなので需要そのものの減少は起こらないでしょう。しかし、生成AIの台頭で技術力の低いデザイナーやエンジニアは仕事が激減する可能性は否定できません。

これからの時代は高いスキルを身につけたデザイナーやエンジニアが在籍し、生成AIを上手に活用していける会社に依頼が集中すると予想できます。Web制作スキルが乏しく、AIに対する理解も遅れている会社は技術革新についていけず、なくなる可能性が高いです。

Web制作市場の実態

Web制作市場の実態

ここからは、次のトピック別でWeb制作市場の実態を解説します。

Web制作とは
Web制作とは、WebサイトやWebアプリ・WebシステムなどのWebサービスを作成することです。Webサイト作成のみを指してWeb制作と呼ぶこともありますが、本記事ではバックエンドを含めたWebサービスの制作全般を指します。

仕事内容

一口にWebサイト制作といえども、その実態は多岐にわたります。具体的には次のようなものを制作することを意味します。

仕事内容詳細
Webサイトの制作企業のコーポレートサイトやイベントサイトなどを作成する。
採用ページや予約システムなどを組み込むケースでは、PHPなどのバックサイド言語の知識も必要。
LP(ランディングページ)などペライチのページを作る場合は、htmlやCSSのみで対応できることもあり、初心者向けの求人もある。
Webアプリの開発Web上で利用できるサービスの開発を行う。
賃貸物件検索サービスや、資産運用シミュレーションなどユーザーがWeb上で利用できるサービス全般を指す。
Webシステムの開発Webアプリとの明確な線引きはないが、Web上で利用するシステム全体を指す。
企業の勤怠管理システムや人事システムなど、基幹システムとして利用されるアプリケーションを呼ぶケースが目立つ。

上記のように一口にWebサイト制作と言っても様々なものがあるため、一概にWebサイト制作の全てがオワコンであるとは断定できません。

詳しい仕事内容などは下の記事でも解説しているので、参考にしてください。

Web制作の副業ってどんなもの?仕事内容から平均収入まで一挙公開

単価相場

Webサイト制作の単価相場は求人ボックスを参考にすると、正社員で月23~30万円、業務委託の場合では50~90万円くらいです。

ただし、具体的な制作物や求められるスキルによって単価相場は大きく変動するでしょう。単純なLP制作のみなどの場合は5~10万円の単価で取引されるケースも多いです。

一概に相場を断定するのは難しいですが、確実に言えることはhtmlやCSSなどのフロントサイド言語のみを扱うより、PHPなどのサーバーサイド言語やUI・UXデザインなどの高度なスキルを要求される案件の方が単価は高額になります。

必要なスキル

Web制作に必要なスキルについても、仕事内容や開発サービスによって違いがあります。一概にはいえませんが、制作物ごとに必要なスキルは次表を参考にしてください。

仕事内容求められるスキル
Webサイトの制作・htmlやCSSなどのフロントサイド言語
・Webデザインスキル
・WordPressなどのCMSに関する知識
・SEOなどの検索システムに関する知識
Webアプリの開発・htmlやCSSなどのフロントサイド言語
・Webデザインスキル
・PHPなどのサーバーサイド言語
・UI/UXデザインスキル
・市場調査などマーケティングスキル
Webシステムの開発・htmlやCSSなどのフロントサイド言語
・Webデザインスキル
・Javaなどの大規模開発向けのサーバーサイド言語
・システム設計に関する知識
・チームマネジメントや顧客折衝の経験

あくまで一例ですが、上記のように何を作るかによって求められるスキルが変わります。

Web制作でオワコン化を防ぐために意識すべき5つのポイント

Web制作でオワコン化を防ぐために意識すべき5つのポイント

Web制作でオワコン化を防ぐために意識すべきポイントは、次の5つです。

ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

ポイント1:特定の分野で強みを持つ

1つ目のポイントは、特定の分野で強みを持つことです。Web制作者が多いとはいえ、何らかの専門分野や専門技術を掛け合わせたスキルを保有している人は少ないです。

特にWeb制作の場合は「想定ユーザーに刺さるデザインやコピーライティング」なども求められることがあり、この点も踏まえてホームページやLP(ランディングページ)などを制作できれば仕事に困ることは少ないでしょう。

どんな分野で強みを持てばいいかイメージしづらい方は「ランサーズ」や「クラウドワークス」などのクラウドソーシングサービスで、実際にどんな案件があるのか見てみると良いでしょう。

「誰でもできること」ではなく「自分だからできること」と呼べるスキルを磨くことが、オワコン化を防ぐカギとなります。

ポイント2:ツールを駆使した制作スキルを磨く

2つ目のポイントは、ツールを駆使した制作スキルを磨くことです。Web制作と一口に言っても、求められる技術やスキルが異なります。

Webデザイナーがデザインしたデータをもとに「コーディングだけ」できるのか、要件を元に「Webデザインを作ってコーディングまでできるのか」では、仕事の幅が大きく変わるのです。

具体的な例で言うと、FigmaAdobe XDなどのデザインツールを駆使し、Webサイトのプロトタイプを作る技術なども求められる時代になっています。転職時の募集要項に記載されることも増えてきているため、コーディングスキルとセットで学んでいくと良いでしょう。

なお、Webデザインで使えるツールの例については、下記で詳しくまとめています。あわせてご一読ください。

無料で使えるWebデザインツールおすすめ8選【アプリから主流ソフト】
更新日:2024年10月31日

ポイント3:クライアントへの提案力や営業力を高める

3つ目のポイントは、クライアントへの提案力や営業力を高めることです。仮にWeb制作者が多かったとしても、営業方法によってはまだまだ仕事がたくさんあります。

「他の人があまりやらない営業方法を実践してみること」が特に重要です。たとえばSNSで新サービスを開発している企業にDMでWeb制作の提案をしてみたり、WantedlyでWeb制作者を探している企業にDMを送ってみたりなどです。

他にも、SNSアカウントでWeb制作の例などを発信し、「自然とWeb制作の相談が来るような仕組みづくり」をする方法もあります。

上記とクラウドソーシングのような案件数が豊富なサービスも活用しつつ、複数クライアントと仕事ができるようになれば、安定しやすいのではないでしょうか。

ポイント4:上流工程の業務を巻き取る

4つ目のポイントは、上流工程の業務を巻き取ることです。

Web制作では、基本的に要件からデザインを作ったり、デザインからコーディングしたりと「手を動かして作ること」が多いです。デザインやコーディングの経験は上流工程を務めるうえでも役立ちます。

たとえばWebディレクターとして仕事ができるようになれば、Web制作者よりもぐっと仕事の幅が広がります。進捗管理やマネジメントなどの経験、スキルが必要なこともあり、その分単価も高いです。

ある程度Web制作の経験やスキルが身についたら、上流工程の仕事を巻き取れないか考えてみると良いでしょう。

ポイント5:ITエンジニアとしてのキャリアチェンジに備える

5つ目のポイントは、ITエンジニアとしてのキャリアチェンジに備えることです。

Webサイト制作で培ったスキルは、Webアプリ開発などでも活かせます。

特にWebアプリケーション開発では、スピード感を求められることも多いです。FigmaAdobe XDなどを使って画面のプロトタイプを作ることができれば、スピード感のある開発が可能となります。

また、Ruby、PHP、Pythonなどのサーバーサイドのプログラミング言語のスキルを磨いて、Webエンジニアを目指すことも可能です。Webデザインも可能であれば、Webエンジニアの中でも需要が高く、案件数も豊富にあります。

サーバーサイドエンジニアへのキャリアに興味がある方は、下記の記事もあわせてご一読ください。

サーバーサイドWebエンジニアのなり方・必要スキル・仕事内容まとめ
更新日:2024年10月31日

まとめ:Web制作の今後を見据えた備えが重要

今回は、Web制作がオワコンかについて解説しました。Web制作の需要は近年右肩上がりに上昇しているため、今後も需要が伸び続けることが予想できます。

しかし、生成AIの台頭や新規参入者が増えていることもあり、単純な制作スキルだけでは稼げなくなる可能性も高いです。

現場で役立つ高度なスキルを身につけるとともに、生成AIを上手に活用したり営業スキルなど+αのスキルを磨いたりして、活躍し続けられるエンジニアを目指しましょう。

なお、次の記事ではWeb制作のフリーランスになる方法を詳しく解説しています。平均年収や案件例も解説しているので、参考にしてください。

Web制作のフリーランスになる5STEP!平均年収や案件例も紹介

本記事の解説内容に関する補足事項

本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。

また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に、提供コースは「教育訓練給付制度の指定講座」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。

参考:SAMURAIが「DX認定取得事業者」に選定されました

記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。

この記事の監修者

フルスタックエンジニア

金田 茂樹


音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。

この記事を書いた人

【プロフィール】
Webライター5年目。中学校の教員としてICT教育を担当した後、SES企業にてSQLを用いた運用・保守に従事。業界経験を積んだ後、システム開発に関わりたいと大手SIerに転職。基本設計からテストまでと一連の開発を担当する傍ら、Webライターとしての活動を開始。2024年から侍エンジニアブログの記事作成を担当。初心者の方でもわかりやすい解説を心がけています。
【専門分野】
IT/Web開発、データベース運用・保守

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