リスキリングでプログラミングを学ぶのはあり?
どうやって学ぶのがいいんだろう…
職場で求められる能力の研鑽や新しいスキルの習得を促すため、政府は社会人のリカレント教育(社会人の学び)やリスキリングに注力しています。補助金や助成金など、政府がリスキリングを後押しする給付制度を開始したことで、費用をおさえつつ民間のサービスでスキルアップへ取り組めるようになりました。
リスキリングの対象となるスキルは数多くありますが、なかでもプログラミングはあらゆる目的のリスキリングにおすすめです。
昨今では国内におけるIT人材不足の深刻化を背景に、ITエンジニアといったプログラミングスキルがある人材の需要は増し、他の職種に比べ高い報酬を設けるケースが増えてきました。
また、政府も昨今のテクノロジーの進化に対応したデジタル社会の実現に向け、助成金や給付金制度を設ける形でプログラミングといったITスキルが学びやすい環境整備に努めています。
ただ、実際にどうプログラミングのリスキリングに取り組めばいいのか、イメージできない人は多いですよね。
そこで、本記事ではリスキリングでプログラミング習得する手順を解説します。リスキリングにプログラミングがおすすめな理由や学習方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- キャリアの選択肢が広がる点で、プログラミングはリスクリングにおすすめ
- 論理的思考力や問題解決力などが身につくのもプログラミング学習の利点
- 学習と就業活動を並行できるか不安な人はスクールでの学習も手段の1つ
リスキリングにプログラミングがおすすめな理由
仕事に活かしやすい点で、プログラミングはリスキリングにおすすめといえます。
はじめに、リスキリングにプログラミングがおすすめな理由を、3つにまとめて解説します。
IT人材の不足で需要が高いため
プログラミングスキルを活かせるIT業界では人材不足が深刻化しており、IT人材の需要が高まっています。プログラミングスキルを習得してIT人材の一員になれば、IT業界で仕事を獲得しやすいでしょう。
事実、経済産業省の「IT分野について」によると、2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足すると懸念されています。
このIT人材には、プログラミングを仕事にする「プログラマー」などの職業も相当数含まれているでしょう。ITの実現にはプログラムが欠かせず、それを生み出すプログラミングスキルも欠かせません。
つまり、プログラミングスキルを身につけることで、IT業界で求められる人材になれる可能性が高いのです。転職を視野に入れている場合、プログラミングによるリスキリングで成功の可能性を高められます。
業種を問わずスキルを活かしやすいため
プログラミングスキルは業種を問わず活かしやすく、あらゆるビジネスパーソンのキャリアアップに効果的です。具体的には、次の理由からリスキリングでプログラミングスキルを習得することで、昇進や昇給の可能性がアップします。
- プログラミングで業務効率化を図れるため
- プログラミングで培った能力を活かせるため
プログラミングスキルがあれば、IT業界に限らず欠かせないパソコン作業の自動化・効率化が可能です。それによって業務の成果を高められれば、社内での評価アップにつながるでしょう。
また詳細は後述しますが、プログラミングの学習を通じてさまざまな能力を養えます。プログラミング自体を業務に取り入れない場合でも、プログラミングで培った能力が評価アップにつながる可能性は十分あります。
このように、プログラミングによるリスキリングはビジネスパーソンの活躍を後押ししてくれます。
副業や独立にも活かしやすいため
プログラミングスキルは転職・キャリアアップだけでなく、副業や独立にも活かしやすいです。リスキリングを通してプログラミングスキルを習得すれば、キャリアの選択肢を広げられるでしょう。
プログラミングの仕事は、パソコンとインターネット環境さえあれば可能です。そのため、自宅やコワーキングスペースといった勤務場所の選択肢もあり、会社に縛られない働き方を実現できます。
案件の受注から検収までがWeb上で完結する「クラウドソーシングサイト」を使えば、自宅にいながら稼げます。副業でスキマ時間に無理なく稼ぐことも、独立して在宅ワークに専念し高収入を目指すことも可能です。
このように、プログラミングによるリスキリングを行えば、幅広いキャリア・働き方を目指せます。
なお、次の記事ではリスキリングに取り組むことで転職や副業は実現しやすくなるのか、その実態を詳しく解説しているのでよければ参考にしてください。
プログラミングをリスキリングする方法
ここからは、プログラミングをリスキリングする方法を、3つにまとめて紹介します。
独学で勉強する
独学で勉強する場合は、好きな教材を選んで自らの意思・判断でプログラミングを学び進めます。
プログラミングの独学に使える書籍やサイト、アプリは数多く存在するため、自分に合った教材でマイペースに学習が可能です。費用は教材にもよりますが、スムーズに習得できれば数千円〜数万円程度に抑えられるでしょう。
しかし、教材選びから学習計画、進捗管理、不明点・問題点の解決まで、すべてを自分でカバーすることになります。プログラミング初心者がスムーズに学び進めることは難しく、挫折しやすいのが最大のデメリットです。
また弊社の調査では、独学でのプログラミングスキル習得までには平均18.3ヶ月ほど要するという結果が出ています。簡単な道のりではないため、自分で自分をしっかり管理でき、根気よく勉強を続けられる人におすすめです。
リスキリングの専門講座に申し込む
独学に不安がある場合は、リスキリングの専門講座に申し込むのがおすすめです。リスキリングを前提としたカリキュラムが組まれており、短期間で効率的にプログラミングを学び進められます。
具体的な学び方は講座の内容によりますが、自宅でオンライン学習できるものも多いです。ただしカリキュラムの都合でスケジュールや学習期間に制約があるケースも多く、自分のペースで学びづらいデメリットも。
さまざまな企業や個人がリスキリング講座を提供しており、幅広い選択肢があります。興味がある人は、リスキリング講座を探せるサービスを活用すると良いでしょう。代表的なものを下表にまとめました。
なお、次の記事ではおすすめのリスキリング講座を紹介しているので、あわせて参考にしてください。
給付金/補助金対象スクールに申し込む
スクールを利用する場合は、講師からのサポートを受けながらプログラミングを学び進めます。不明点があればすぐに質問できますし、学習計画や進捗管理といったサポートも受けられることが多いです。
ただし、費用は独学と比べて高くなりやすいデメリットがあります。リスキリングにともなう費用を抑えるために、給付金/補助金対象のスクールを選ぶのがおすすめです。
おすすめの給付金/補助金対象スクールを3つピックアップしました。
なかでも、侍エンジニアは学習や就業活動へのサポートが手厚いオンラインスクールです。
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リスキリングのおすすめプログラミング言語5選
プログラミングのリスキリングには、言語選びが欠かせません。しかし、プログラミング言語は200種類以上もあり、どれを学べばいいのか判断できない人もいますよね。
そこで、ここからはリスキリングにおすすめのプログラミング言語を、厳選して5つ紹介します。
Python
「Python」は、AI(人工知能)の開発で注目されているプログラミング言語です。文法がシンプルなためコードを記述しやすく、初心者でも理解しやすいといえます。
ライブラリ(再利用可能なプログラム)やフレームワーク(アプリ開発の枠組み)が豊富にあるのも強みです。これらを使えば、Webアプリ開発やデータ分析も行えます。
Pythonは今後も需要拡大が期待できるため、スキルを仕事に活かしやすいでしょう。また、習得ハードルが低いため、プログラミングの経験がなくても覚えやすいです。
Java
「Java」は、システム開発やAndroidアプリ開発など、さまざまな用途に使えるプログラミング言語です。幅広い動作環境でプログラムを動かせる強みがあります。
習得難易度はやや高めですが、さまざまな開発分野で高い需要を持つのが強みです。1つの開発分野にこだわらない人は、Javaをリスキリング対象に選ぶと良いでしょう。
JavaScript
「JavaScript」はブラウザ上で動作し、Webページに動きを付けるためのプログラミング言語です。Webアプリ開発における基本言語の1つとされています。
JavaScriptは、Webアプリのフロントエンド(ユーザーの目に見える部分)の開発に欠かせません。そのため、Webアプリを開発したい人は基本的に学ぶべき言語です。
ブラウザさえあればプログラムを動かせるため、特別な環境構築が必要ありません。文法もシンプルなため、初心者でも学習で挫折しにくいでしょう。
PHP
「PHP」は、Webアプリのバックエンド(裏方部分)処理に特化したプログラミング言語です。メール送信やデータベース操作など、Webアプリ開発に役立つ機能が豊富に備わっています。
Webアプリのバックエンド開発にはさまざまな言語が使われますが、そのなかでもPHPの需要は高いです。Webアプリ開発を仕事にしたい人におすすめします。
C#
「C#」は、Microsoft社が生み出したプログラミング言語です。Microsoft製のOSであるWindowsとの相性が良く、Windowsアプリの開発で広く採用されています。
また、開発ツールを組み合わせることで幅広い用途に利用可能です。たとえば「Unity」でゲームを開発したり、「.NET MAUI」でスマホアプリを開発したりできます。
Windowsアプリやゲームを開発したい場合、需要が高いC#がおすすめです。また、文法がJavaにやや似ているため、Javaを学んだ後のスキルアップにも適しています。
プログラミングをリスキリングする3つのポイント
ここからは、プログラミングをリスキリングする際のポイントを、3つにまとめて解説します。
学習目的を明確にする
プログラミングを学ぶにあたって、まずは学習目的を明確にしましょう。つまり、リスキリングで身につけたプログラミングスキルをどう活かしたいのか、明確にします。
たとえば、次のような学習目的が考えられます。
- AI開発企業に転職し、収入アップを実現したい
- Webサイト制作の副業でスキマ時間に稼ぎたい
- スマホアプリ開発者として独立し、自由な働き方を実現したい
このように学習目的が明確になると、リスキリングのゴールをイメージしやすくなります。結果として、モチベーション向上につながるでしょう。
プログラミング学習における目的の決め方を詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
学習計画に沿って学ぶ
リスキリングでは、学習計画に沿って学ぶことも大切です。本業がある社会人の場合、無計画だと学習の優先度が下がってしまい、学習が進まなくなってしまいます。
学習計画を立てるときには、まず次の3点を整理しましょう。
- どのレベル(基礎レベル/実務レベルなど)までスキルを習得したいか
- プログラミングを習得するために必要な学習項目は何か
- 平日・休日にどの程度の時間を確保できるか
これらの情報を踏まえて次の3点を掘り下げ、学習計画を立てていきます。
- 各学習項目にどれだけの時間がかかりそうか
- 各学習項目の学習をいつ実施するか
- 各週にどの程度の時間を配分するか
このように学習計画を立て、着実にプログラミング学習を進めていくことが大切です。なお、どう学習を進めればいいのか、学習計画のイメージが湧かない人は「プログラミング学習プラン診断」をお試しください。
かかる時間は1分ほど。4つの質問に答えるだけで、あなたにあう言語や学習プランを診断してもらえます。効率よくプログラミングを学習したい人は、ぜひ一度お試しください。
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継続的に学習していく
プログラミングは継続的に学習していきましょう。継続することで学習を習慣化でき、途中でモチベーションが低下してしまうことを防げます。
また、1つのスキルを習得しただけで満足するのは良くありません。IT業界は技術の移り変わりが早く、時代の流れとともに習得したスキルの需要が低下するケースも。
IT業界での市場価値を高めるために、スキル習得後も新たな言語や技術の習得を図ると良いでしょう。たとえば、生成AIの活用スキルを学び、プログラミングの効率化を図るのもおすすめです。
プログラミングのリスキリングで身につく5つの能力
プログラミングで得られるものは、プログラミングスキルだけではありません。リスキリングを通してプログラミングを学ぶことで、ほかにも5つの能力を養えます。
これらは前述のとおり、IT業界に限らず役に立つでしょう。それぞれについて、順番に解説します。
論理的思考力
「論理的思考力」は、矛盾なく論理を組み立てて考える能力のことです。プログラムは、論理的に矛盾があると正しく動作しません。筋の通ったプログラムを組み立てる経験を重ねることで、論理的思考力が身につきます。
どのようなビジネスであっても、考えることは欠かせません。論理的思考力はビジネスにおける思考の質を高め、正しい意思決定を後押しします。
また論理的思考力があれば、筋道を立ててわかりやすく自分の考えを伝えることが可能です。そのため、円滑なコミュニケーションを図るうえでも役立つでしょう。
問題解決能力
「問題解決能力」は、発生した問題と正しく向き合い、解決に導く能力のことです。プログラミング学習では、プログラムが正しく動作しない問題に立ち向かわなければなりません。その経験が、問題解決能力を高めるのです。
あらゆる問題を解決するためには、原因調査や分析、解決策の検討などを適切に進める必要があります。プログラミング学習で得た問題解決プロセスの進め方やコツを活かすことで、ビジネスのさまざまな問題を解決に導けます。
トラブルへの耐性力
プログラミング学習を通じて、トラブルへの耐性力も高められます。プログラミングスキルの習得までには、さまざまな問題を乗り越えなければなりません。そのため、問題解決能力だけでなく精神的な強さも身につくのです。
トラブルは、ビジネスパーソンにとって大きなストレスとなります。プログラミング学習で得た耐性力があれば、トラブルでも挫折することなく生き残れるビジネスパーソンになれるでしょう。
リサーチ力
「リサーチ力」とは、効果的・効率的な調査を行い、答えや価値ある情報を得る能力のことです。
プログラミング学習では、不明点を解消するための情報収集や、問題の原因を特定するための調査が欠かせません。こうした調査を日常的に行う過程で、リサーチ力も養えるのです。
情報化社会の現代では、リサーチ力が重要となります。インターネットにあふれる情報から正しいものだけを取り込み、正しい判断を行うことが求められます。高いリサーチ力があれば、それを実現できるでしょう。
発想力
「発想力」とは、新しいアイデアを生み出す能力のことです。プログラミングの実践学習では、自らのアイデアを形にする経験を繰り返すことになります。そのため、質の高い実践学習ができれば、発想力を磨くことが可能です。
クリエイティブな仕事に限らず、柔軟な発想ができる人材は求められます。例えば、急なトラブルに対処するときにも、生み出したアイデアが役に立つでしょう。発想力はビジネスで汎用的に活かせる能力です。
プログラミングのリスキリングで目指せるキャリアパス
プログラミングの仕事といえば「プログラマー」をイメージする人が多いでしょう。しかし、プログラミングスキルを活かせる職業は数多くあり、さまざまなキャリアパスを描けます。
プログラマーからのキャリアアップで目指せる主な職業を表にまとめました。
※平均年収は2024年11月時点の「求人ボックス」および「indeed 給与調査」をもとに記載しています。
このように、リスキリングでプログラミングスキルを習得すれば、さまざまな職業へのキャリアアップを図れます。
まとめ
今回は、リスキリングのためのプログラミングに関する次の6点を解説しました。
リスキリングにはプログラミングがおすすめです。プログラミングスキルだけでなく、ビジネスに役立つさまざまなスキルを養えるため、転職・キャリアアップの可能性を広げられます。
ただし、プログラミング学習には挫折のリスクもあるため、独学が不安なら講座・スクールの利用も考えましょう。今回の内容を参考にして、ぜひプログラミングによるリスキリングを実現してみてください。現してみてください。
参考文献
- 文部科学省「プログラミング教育」
- 厚生労働省 職業情報提供サイト 「jobtag」
- IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「DX白書2023」
- 経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」「IT人材育成の状況等について」「IT人材需給に関する調査」
- 松尾研究室「生成AI時代の人材育成」
- 厚生労働省「開発した教育訓練プログラム」
- プログラミング教育の問題と対策
- プログラミングの本質的難しさと 日本語/英語プログラミング言語の比較検討
- TIOBE Index
本記事の解説内容に関する補足事項
本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。
また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に、提供コースは「教育訓練給付制度の指定講座」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。
記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。
この記事の監修者
フルスタックエンジニア
音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。