この記事では、ITエンジニアにおけるリスキリングの必要性を解説します。
ITエンジニアにリスキリングは必要なのかな?
どんな分野をリスキリングすればいいんだろう?
昨今、リスキリングという言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。
国内におけるIT人材の不足が深刻化を背景に、高い技術力や豊富な知識を備えたITエンジニアに高い報酬を設けるケースも増えてきました。
ただ本当にリスキリングが必要なのか、どのような分野を学習すべきなのか、イメージが湧かない人もいるはず。
そこで本記事では、取り組むメリットも交え、ITエンジニアにおけるリスキリングの必要性を解説します。リスキリングにおすすめのスキルや取り組む際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
- 新しい言語や技術への対応が必要な点から、ITエンジニアにリスキリングは不可欠
- ITエンジニアのリスキリングは年収UP・キャリアアップにつながる
- リスキリングにはデータサイエンスや新しい言語の習得がおすすめ
ITエンジニアにリスキリングは必要なのか?
結論として、ITエンジニアにリスキリングは必要です。
事実、クラウドエース株式会社がITエンジニアに実施した「リスキリングに関する意識調査」では69.6%が、リスキリングに必要性を感じていると回答しています。
次々に登場する新しい言語やフレームワークに柔軟に対応できるようになるために、リスキリングによる自身のスキルアップデートは必要不可欠です。
また、2018年に経済産業省がDXレポートで指摘した「2025年の崖」のように、多くの業界・業務においてデジタルによる変革が求められています。
ITエンジニアの多くは、現環境で使用しているプログラミング知識をもとにシステム開発やソフトウェア開発を行っています。しかし、現状で満足してしまい、新しい知識やスキルを習得して継続して自身をアップデートしている人は少ないです。
最先端の知識を獲得したITエンジニアであれば、優秀な人材として多くの企業から重宝されるでしょう。
ITエンジニアがリスキリングに取り組む5つのメリット
ここからは、ITエンジニアがリスキリングに取り組むメリットを、5つにまとめて紹介します。
メリット1:自身の市場価値を高められる
ITエンジニアがリスキリングする大きなメリットのひとつが、自身の市場価値を高められる点です。
IT業界は日進月歩で技術が進化しており、新しいスキルや知識が求められる場面が多々あります。リスキリングを行うことで、常に市場のニーズに応えられる人材として自身をアップデート可能です。特に、新しいプログラミング言語やクラウド技術、AIの知識などは需要が高く、こうしたスキルを習得することが他者との差別化に繋がります。
現状維持のままアップデートを行わずにいると、次第に自身が所持してるスキルや知識だけでは時代の変化に対応できなくなってしまい、市場価値を下げてしまう可能性もあるので、注意が必要です。
メリット2:年収アップに繋がる
リスキリングは、収入アップに繋げられます。
冒頭で述べたとおり、現在多くの企業は即戦力となるスキルを持った人材に対して高い報酬を支払う傾向があります。
しかし、スキルをただ習得するだけでは十分ではありません。自身のキャリアプランに沿ったスキルセットを構築し、適切なタイミングでその価値をアピールすることが重要です。例えば、専門性の高い分野に特化したスキルを取得することで、自分だけの強みを明確にすることができます。
リスキリングによる自身のアップデートを行わなかった場合、IT技術の進歩に追いつけなくなり、年収が下がってしまう危険性もあります。
メリット3:業務効率の向上を目指せる
リスキリングで得た知識は、日々の業務効率を大幅に向上させる手助けにもなります。
例えば、プログラミングスキルを活用したルーチンワークの自動化や業務プロセスの効率化が可能です。これにより、自分自身の作業時間を削減できるだけでなく、チーム全体の生産性向上にも貢献できます。
業務効率化を達成できれば、企業からの評価アップにも繋がり、次のキャリアステップへの道を広げられるでしょう。
リスキリングで新たな知識を得なければ、業務改善の足掛かりを作るのは難しいかもしれません。業務効率が落ちる心配は少ないかもしれませんが、効率化へ進むことはなく停滞したままということになります。
メリット4:キャリアアップに繋がる
リスキリングを行うことで、キャリアアップのチャンスが大きく広がります。
特に現在の日本では、リスキリングに積極的に取り組むITエンジニアがまだ少ないという背景があります。そのため、率先してリスキリングを行うことで、他のエンジニアよりも現職での昇進や新たな職場への転職を実現する可能性を高めることも可能です。積極的にリスキリングを行えば、将来のキャリア形成において強力な武器を得られるでしょう。
リスキリングを行わなくても、年功序列や固定昇給などの考え方が根強く残る日本では、キャリアアップへの道は少なからずあります。しかし、年齢に関係なく実力に見合う待遇を受けられる企業も増えているため、リスキリングによる自身のアップデートを率先して行うことが、より早いキャリアアップへつながるでしょう。
メリット5:モチベーションの向上や維持に繋がる
リスキリングは、モチベーションの向上や維持にも効果的です。
新しいスキルを学び、それを実際の業務で活用できるようになることは、大きな達成感を得られる瞬間です。この達成感は、日々のモチベーションを維持するための原動力となります。また、変化の多いIT業界で自己成長を感じられることは、仕事そのものへの熱意を高める効果もあります。
リスキリングをせず、変化のない生活を続けていると、モチベーションの減少や仕事に対する熱意の消失へとつながってしまう可能性もあるでしょう。
ITエンジニアのリスキリングにおすすめなスキル7選
ここからは、ITエンジニアのリスキリングにおすすめなスキルを、厳選して7つ紹介します。
データサイエンス
データサイエンスは、現代のビジネスシーンにおいて必須の能力です。
製造業からサービス業まで、あらゆる業界で数字を読み解き、洞察を導き出せる人材が重宝されており、その需要は今後も増加の一途をたどると予想可能です。これは、多くの企業が「勘と経験」から「データと事実」に基づく経営判断へとシフトしている流れを反映しています。そのため、データ分析に対応できるITエンジニアは市場価値が高く、活躍の場には困らないでしょう。
リスキリングでデータサイエンスの知識を獲得できれば、データ分析の結果をもとにしたロジカルな思考法を活用できるようになります。
データサイエンスを習得する手順を詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
クラウドスキル
現在のIT業界において、クラウド技術に柔軟に対応できるスキルは非常に重要です。
なぜなら、多くの企業がDXを目指す一環として、自社資料やデータをクラウド移行して運用することを検討しているからです。ITエンジニアであれば、AWSやAzureなどの主要なプロバイダについてのサービスや知識、インフラ上で動いている各種アプリケーションの知識などが求められています。
また、コンテナ技術のような、サーバー内を整理してアプリケーションやWebの開発・管理を効率的に行えるようにする、OSレベルの仮想化技術の習得もおすすめです。
クラウドスキルに精通すれば、社内インフラの整備やDX化など、多くの企業が今抱えている問題を解決へと導ける人材になるでしょう。
新しいプログラミング言語
新しいプログラミング言語を習得すれば、ITエンジニアとして対応可能な業務範囲が広がります。
また、新しく習得したプログラミング言語でルーティンワークの業務自動化をしたり、普段のタスクを効率化したりできれば、部署や会社全体の業務改善にも貢献できます。リスキリングで新しいプログラミング言語を習得する際は、どのようなスキルセットを構築するか事前に考えておくのがおすすめです。
例えば、すでにフロントエンドの知識が豊富なら、バックエンドに対応できるプログラミング言語を新たに習得することで、フルスタックエンジニアとしてのキャリアを目指せます。
IoT
現在、さまざまな産業やビジネスにおいて活用され、私たちの生活に欠かせなくなってきているのが、IoT(Internet of Thing)の技術です。
そのため、リスキリングでIoT技術と関係が深いネットワークやデータ通信の知識、セキュリティ対策の知識などの習得がおすすめです。IoTデバイスの開発や運用に携われるようになれば、自分で開発したデバイスを実際の生活で使用するといった達成感を味わうこともできるかもしれません。
ただし、IoTの技術開発は日進月歩であり、目まぐるしく変化している傾向にあります。そのため、常に最新のスキルに更新できるように情報のキャッチアップを欠かさないことが大切です。
マーケティングスキル
マーケティングスキルは、エンジニアとしてのシステム開発に貢献できる重要なスキルです。
一見すると、モノやサービスを売るための知識であるマーケティングスキルは、ITエンジニアのスキルセットとしては似つかわしくないと感じるかもしれません。しかし、マーケティングスキルは「いかにユーザーを満足させられるか」を考えるスキルでもあります。
マーケティングスキルを学ぶことでユーザー目線に立った思考ができ、フロントエンド開発においてUIを高める画面構成を立案できたり、バックエンド開発においてユーザーにとって利便性の高い機能実装を立案できたりします。
マーケティングスキルを獲得し、他のエンジニアより一歩先を行くことができれば、キャリアアップの大きな助けとなるでしょう。
コミュニケーションスキル
ITエンジニアのリスキリングでおすすめできるスキルのひとつが、コミュニケーションスキルです。
プロジェクト内のメンバーと円滑なコミュニケーションができれば、プロジェクトの進行がスムーズになるだけでなく、自身の存在感を高めることにも寄与します。良好な人間関係を築ければ、チームメンバーから信頼を得られやすくなり、プロジェクトのリーダーを任されるチャンスも増えるでしょう。
また、ITエンジニアは技術的な専門知識を持って業務にあたるだけでなく、顧客や経営層、他部署などさまざまな人とコミュニケーションを取る必要もあります。
リスキリングでコミュニケーションスキルを習得すれば、自分が理解している専門用語をわかりやすい言葉で表現し、技術とビジネスの橋渡し役としても活躍できるようになるでしょう。
マネジメントスキル
マネジメントスキルも、ITエンジニアのリスキリングでおすすめなスキルのひとつです。
ITエンジニアのなかには、マネジメントスキルまで備えている人材は比較的少ないです。リスキリングでプロジェクト管理やリーダーシップについて学べば、「技術もマネジメントも備えている人材」として市場価値が高まります。特に技術系プロジェクトマネージャーやCTO(Chief Technology Officer)などを目指している人には、必須ともいえるスキルです。
また、マネジメントスキルはチームを効率よく運用していくための能力でもあります。マネジメントスキルがあれば、チームの生産性を高めてプロジェクトを成功へ導けたり、チーム内での高い信頼を得られたりできるでしょう。
ITエンジニアがリスキリングに取り組む方法
ここからは、ITエンジニアがリスキリングに取り組む方法を、3つにまとめて紹介します。
なお、前述したクラウドエース株式会社実施の調査で「リスキリングの方法」を聞いたところ、次のような回答が多くを占めました。
オンラインサービスを活用した独学
多くの企業がeラーニングによる対応を行う傾向にあるように、オンラインサービスを活用する方法があります。
オンラインサービスを活用すれば、時間や場所にとらわれることなく、自分のペースで自由に学習できるメリットがあります。オンラインサービスを活用する際は、専門的なスキルや知識を体系的に学習できる環境が整えられているサービスを選び、効率よくリスキリングができるでしょう。
なお、プログラミングの独学におすすめの学習サイトを知りたい人は、下の記事を参考にしてください。
給付金対象講座の活用
リスキリングにかかる費用を抑えつつ、効率よく学びたい場合には、給付金対象の講座を活用する方法がおすすめです。例えば、厚生労働省が提供する「専門実践教育訓練給付金」制度を利用すれば、一定の条件を満たした講座の費用が最大で70%まで補助されるため、金銭的な負担を大幅に軽減できます。
習得を目指すスキルの種類により、利用可能な給付金制度も異なるため、リスキリングを始める前に習得を目指すスキルがどの制度の対象となっているのか確認しておくのも大切です。
リスキリングにおすすめの補助金対象講座を詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
セミナーの活用
リスキリングしたいけど、明確なキャリアプランを立てられていない人もいるはず。その際は、セミナーの活用もおすすめです。
セミナーでは業界の最新情報やトレンドなどをキャッチアップでき、多くの参加者をとおして横の繋がりも作れます。例えば、新しいプログラミングスキル習得を目指しているが、どの言語を選べばよいかわからないのであれば、侍エンジニアが主催する無料セミナーに参加してみるのはいかがでしょうか。
オンライン形式(Zoom)の無料セミナーに先着100名様限定で参加可能です。自身のキャリアプランを明確にするためにも、一度セミナーに参加してみるのがおすすめです。
ITエンジニアがリスキリングする際の注意点
ここからは、ITエンジニアがリスキリングする上で注意すべきことを、3つにまとめて紹介します。
注意点1:キャリアプランを考えておく
リスキリングを始める前に、キャリアプランはしっかりと考えておくのが大事です。
今勤めている会社に合ったスキルセットを目指すのか、もしくは転身を考慮したスキルセットにするのか、まずはどのような道を進むか明確にしておくのがおすすめです。
自身の理想とする将来像をイメージして、イメージに近づけられるようなスキルセット構築を目指しましょう。キャリアプランの描き方を詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
注意点2:スケジュール管理をおろそかにしない
リスキリングとは、本業と平行して学習を行うことを指しています。
本業がおろそかになってはいけないのはもちろんのこと、無理のない学習スケジュールを立てるのが大切です。
そして、仕事だけでなく、家族との時間も大切です。リスキリングに時間を必要とするのであれば、事前に家族と相談して、リスキリングの時間を確保しておく必要もあります。
注意点3:リスキリングをやり切る
リスキリングで大切なのは、リスキリングをやり切ることです。
リスキリングは本業として平行して学習を行うため、その分労力がかかります。また、新しいスキルを習得する過程で、何度も問題や障害にぶつかるはずです。中には、解決できずに途中で挫折してしまう人も。
また、リスキリングで使用できる給付金もリスキリングを達成したあとに受け取れる制度のため、挫折してしまったら時間と労力とお金、これまで使ってきたすべてを無駄にしてしまいかねません。
そのため、リスキリングする際は、やり切るためのモチベーション維持方法や問題にぶつかった際の対処方法などを考えておくのが大切です。
例えば「侍エンジニア」のリスキリング講座なら、入学から卒業まで現役のエンジニアがインストラクターとしてマンツーマンでレッスンを行います。侍エンジニアは、専属のマンツーマン指導を受けられ、伴走してくれるから安心して学習を続けられます。
まとめ
この記事では、ITエンジニアがリスキリングに必要な理由や取り組むメリット、おすすめのリスキリング方法などを紹介しました。
変化が早いIT業界に対応すべく、多くのITエンジニアがリスキリングに目を向けています。
リスキリングする際は、自身が目指すキャリアプランに沿ったスキルセットを構築するためにも、給付金を活用して体系的に学習を進めていくのがよいでしょう。
本記事の解説内容に関する補足事項
本記事はプログラミングやWebデザインなど、100種類以上の教材を制作・提供する「侍テラコヤ」、4万5,000名以上の累計指導実績を持つプログラミングスクール「侍エンジニア」を運営する株式会社SAMURAIが制作しています。
また、当メディア「侍エンジニアブログ」を運営する株式会社SAMURAIは「DX認定取得事業者」に、提供コースは「教育訓練給付制度の指定講座」に選定されており、プログラミングを中心としたITに関する正確な情報提供に努めております。
記事制作の詳しい流れは「SAMURAI ENGINEER Blogのコンテンツ制作フロー」をご確認ください。
この記事の監修者
フルスタックエンジニア
音楽大学卒業後、15年間中高一貫進学校の音楽教師として勤務。40才のときからIT、WEB系の企業に勤務。livedoor(スーパーバイザー)、楽天株式会社(ディレクター)、アスキーソリューションズ(PM)などを経験。50歳の時より、専門学校でWEB・デザイン系の学科長として勤務の傍ら、副業としてフリーランス活動を開始。 2016年、株式会社SAMURAIのインストラクターを始め、その後フリーランスコースを創設。現在までに100名以上の指導を行い、未経験から活躍できるエンジニアを輩出している。また、フリーランスのノウハウを伝えるセミナーにも多数、登壇している。