こんにちは!
河出光咲希です。
みなさん、タイトルを見てちょっとびっくりした方も多いのではないでしょうか?
シニア世代というと、パソコンなどの電子機器は苦手なイメージがありますよね。
もはやそれも時代遅れ。
今やシニア世代もアプリ開発をしまくっている世の中だってご存知でしたか?
今回はそんなシニアに向けたもくもく会、「シニアプログラミングもくもく会」にお邪魔してきました。
参加したみなさまのいきいきとした姿や熱意をぜひ感じてください!
「シニアプログラミングもくもく会」が、シニアの世界を広げる
熱心にパソコンに向かう参加者のみなさん
まずは「シニアプログラミングもくもく会」のご紹介をしていきましょう。
「シニアプログラミングもくもく会」とは2017年から開催されている、主にシニアが中心となって集う勉強会です。
プログラミングを勉強している、もしくはこれから勉強したいシニアが集まって、各々の学習に取り組んでいます。
一般的な独習を続けるもくもく会とは異なり、シニアの方のプログラミング学習をサポートすることを重視し「優しく教える」をコンセプトにしています。
代表の小泉さんからのアドバイスや参会者同士で助け合って学習を進めていく形式で、初心者の方でも楽しくプログラミングを学ぶことができるのです。
そしてシニアの参加者だけでなく、シニアをサポートするサポーターとしての参加もすることができます。
モットーは下記の3つ。
・「ググってください!」とか言わない!
・「FAQ読んでください!」とか言わない!
・わかるところは丁寧に教えてあげましょう!
シニアも誰でも学びを広げられる、楽しい雰囲気で自然とやる気が出るような会となっています。
ただの学びの場だけでなく、シニアの新しいコミュニティの形なのです。
プログラミングがシニアのアイデアを世界中に広める
和やかな雰囲気で始まった「シニアプログラミングもくもく会」
その中のお一人、鈴木富司さんにお話を伺いました。
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河出:プログラミングに興味を持ったきっかけは何ですか?
鈴木:新しいもの好きだったので、プログラミングに興味を持ちました。
3年前から本格的にアプリ開発を始めました。自分が作ったものを瞬時に世界中にリリースできるなんて若い頃には考えられなかった。魅力的ですよね。使わない手はないと思っています。
アプリのアイディアは考え出すと止まらないんです。笑
コーディングが始まると夢の中でもコーディングしているくらい夢中になっていますね。
河出:すごいですね!学習はどのように進めているのですか?
鈴木:今の時代、ネット情報や勉強会での情報にあふれています。検索したら調べたいものがすぐに出てきて大変便利なので、自分でどんどん進めて行くことができます。
若い方よりも習得に時間がかかってしまいますが、シニアは時間があるのでカバーできています。
スマホでアプリを確認する鈴木さん
河出:色々調べながらやってらっしゃるんですね。
学習の上で、困ってしまうことってありますか?
鈴木:プログラミングをやっていると必ず挫折するんですよ。
僕もこれまで1万回以上のエラーが出て、エラーのたびに挫折しそうになります。
そんな時に、こうしたもくもく会とかで、行き詰まったのをアドバイスしてもらうだけで大幅に前進できるんですね。
河出:なるほど、やはりこのような会があると学習も捗りますか?
鈴木:自分で悩んで時間を使うよりも、プログラミングがわかる人から気づきを得るだけでかなり早く学習が進みます。
挫折することは当たり前ですから、行き詰まった時にアドバイスもらえる環境があることは重要ですね。
シニアをやる気にさせた仕掛け人とは?
皆さんが真剣に取り組む中、1人各席を回りながら丁寧に解説を行なっている方がいました。
各席を回る主催の小泉さん
この方こそ、シニアのプログラミング意欲を高めた張本人、「シニアプログラミングもくもく会」の主催する団体「シニアプログラミングネットワーク」の代表である小泉勝志郎さんでした。
現在は博士号取得を目指し、研究テーマとして「高齢者向けのプログラミング学習」を掲げている。
東北IT界の先導役的存在で、コミュニティ活動では多くのイベントを主催。
震災における地域復興活動にも貢献している。
WWDC2017で大きく話題となった史上最高齢アプリ開発者である若宮さんの仕掛け人でもある。
大学や企業での講師等のIT教育を始め、アプリ制作、ITを介した多業種連携など幅広く活躍されている。
今回は小泉さんにお時間をいただき、
・なぜシニア向けのもくもく会を始めたのか
・これからのプログラミング学習はどうすべきと考えているのか
などを伺いました。
「高齢者を負債ではなく資産に」きっかけは1人のシニア
インタビューに応える小泉さん
河出:どうして高齢者向けにプログラミング学習を始めようと思ったのですか?
小泉:「高齢者を負債ではなく資産としたい」と思うようになったのが、きっかけですね。
若宮さんにプログラミングを教えているときから、高齢者向けのプログラミング学習ってないな、と思い逆張りで高齢者向けにシフトしようと思いました。
今では、高齢者の生きがい作りだったりとかコミュニティ作りに力を入れています。
河出:なるほど、高齢者の皆様が生き生きできる環境を作り上げたんですね!
実際この会を開いてみて、どのような効果が表れていると感じていますか?
小泉:同じくプログラミングを学ぶシニア世代が仲間を作って視野を広げられているのを感じています。
面白いのが男性の方はもくもく会に人を連れてくるときは「同じようにプログラミングを学びたい方」を連れてくるんですが、女性の方は「プログラミングの興味に関係なく自分と仲の良い人」を連れてくるんですよ。それが、会の広がりにも繋がって面白いですね。
また、若い人たちもこの会を楽しんでくれています。例えば、「もくもく会最高齢の鈴木富司さんが初めて使った計算機は何とモーターで動く電動だった」なんて話が出たときはむしろ若い人の方が食いついて聴いてました。
仲間を作れる広がり、そして世代を超えた交流ができる場になってると思います。
「若者に勝てるゲームが欲しい」若宮正子さんの熱意
小泉さんのお話の中で度々登場するのが、シニアエンジニアとして話題になった若宮正子さんです。
ここに、小泉さんがシニアにプログラミング学習を勧めている大きな理由がありました。
銀行勤務を定年退職後、パソコンに触れるようになる。
同居の母の介護をしながら知識を身につけ、1999年にシニア世代向けのサイト「メロウ倶楽部」の創設に参画。小泉氏の指導の元プログラミングを学び、雛人形を正しく並べるパズルゲーム「ひなだん hinadan」を2017年2月24日リリース。
同年に最高齢開発者としてApple CEOに紹介される。参考:https://www.shinchosha.co.jp/writer/6061/
河出:若宮さんとの学習の中では具体的にどんなことをされていたのですか?
小泉:アプリは日常的に使うものだからより生活に密着していて、苦手なことを形にできるので最適なんです。
人には言いにくいけど自分でなら作れる、そういうのって、実は他の人も困っていることって多いんですよね。
hinadanは若宮さんからの「年寄りが若者に勝てるゲームあればよいのに!」という発想からできあがったアプリなんです。
若宮さんに教えていた時は「ゴールから逆算して必要なことのみ教える」、さらには「必要なプログラミング項目であっても使わないで済ませられるなら回避する」ようにしました。覚える量を限界まで減らしています。
なので、実は若宮さんはプログラミングの基本項目である「配列」すらやってないんですよ。同じようなコードを何度も書くというやり方で配列を覚えなくても作れるからです。配列を使ってないので「hinadan」では人形の位置が毎回同じになってしまっています。
配列等の回避した項目は全く教えようとしなかったわけではなく、若宮さんに軽く概念を話して理解が難しそうだったら「本人が理解して実装できるのを待つとひな祭りに間に合わない」と判断して回避しました。
若宮さん作のアプリ「hinadan」を紹介してくださる小泉さん
河出:どんな思いで若宮さんにプログラミングを教えていたのですか?
小泉:高齢化社会という意味では、日本は世界の先駆けなんですね。
高齢化社会の先陣を切って「日本から世界に発信したい」という思いがありました。
若い人が高齢者に対して楽しいだろうと思っていることと、高齢者が実際に楽しいと思っていることは違ったりするんですね。
日本は世界に先駆けて高齢者がどういう風に考えているのかがわかるんです。
「今」だからこそ、プログラミング
河出:これからのプログラミング学習に関して、小泉さんが注目している点やチャレンジしようとしている方へのアドバイスをお願いします
小泉:これからプログラミングの重要性はますます高まってきます。
かつ日本は高齢化社会というのもあり、高齢者にもプログラミングに参入してもらって、日本から世界発信で高齢化社会のあり方を伝えることができます。
プログラミングを通じて、日本の社会を変えていきたいですね。
そして、初心者の高齢者でもプログラミング学習に果敢に取り組んでいるので、高齢だからできないなんてことは、ありませんね。
若い世代の方たちも、高齢者のプログラミング学習に対する積極的な姿勢からインスパイアされて、頑張ってもらえればと思います。
年齢問わず、「学びたい」と思った時が学び時。
シニア世代の若者に負けない熱意と真剣さに、我々若者も負けていられないですね!
取材にご協力いただいた鈴木さん。
そして主催の小泉さん、ありがとうございました!
インタビューを読んで、同じような経験をしたいと思った方へ
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