PHPを開発するエディタを選ぶなら! 各エディタの個性を徹底比較


PHP開発したいんだけど、どのエディタがいいんだろ?
いまいちIDE事情がわからない……
最近どのエディタも高性能だし、ますますわからん

プログラマ・エンジニアにとってテキストエディタは仕事の基本になるツールです。腕のいい職人さんが使う道具を吟味するように、我々もエディタには一定のこだわりを持ちたいもの。

ただ、PHPはJavaのEclipseのようにど定番があるわけではないので、みなさん意外と開発用のエディタ選びに苦労されているようです。そこでこの記事では、最近勢いのあるエディタを紹介し、そのエディタの個性的な部分を比較していきます。

エディタの個性が感性にフィットすれば、きっといい相棒足り得るので、ぜひ試してみてください。

なお、この記事ではIDEは扱いません。IDEに関する記事はこちらをご覧ください。

目次

令和時代のスタンダードなPHP開発向けエディタ

まずは2008年以降に登場した、モダンと呼ばれるエディタを見ていきます。微妙に中途半端な区切りですが、2008年というと「Sublime Text」が登場した時期になります。

Sublime Textがエディタ界隈に与えた影響は大きく、ここから最近のモダンエディタの流れが始まったと言っても過言ではありません。この章ではSublime Textとそれに続くAtom、VS Codeについて紹介します。

Sublime Text

Sublime Text(サブライムテキスト)は2008年1月18日に最初のバージョンがリリースされました。その際のキャッチフレーズ、

“ The text editor you’ll fall in love with(恋に落ちるテキストエディタ)”

そのロマンティックなフレーズ通りに多くのエンジニアを魅了しました(なお、最近はこのキャッチフレーズを使うのを止めてしまったのか、公式では見かけません。オシャレでいいと思うんですが)。

Sublimeはプログラミングに特化したエディタとして、様々な機能が搭載されています。2019年現在の基準で見てみると、それらの機能は最近のエディタにとって当たり前の機能です。

しかし、それはSublimeがこの路線を切り開いてくれたからです。Sublimeがテキストエディタの新時代を作ったといっても過言ではありません。これだけたくさんの機能が載ってて、ほぼIDEか?っていえるレベルの性能を持ったものが、普通のテキストエディタ程度の軽さで動作したんですから。

そういう意味で、最近のテキストエディタはすべてSublimeの影響下にあると言えます。登場から11年経って、機能もかなり成熟しており、今なおオススメできるモダンエディタの一角です

無料で利用することはできますが、継続使用する場合、ライセンスの購入が求められます。ユーザーに紐付く形で1ライセンス$80。Sublimeに恋に落ちたユーザーはぜひライセンスを購入して開発を支援しましょう。

⇨ Sublime Text

Atom

2008年がモダンエディタの最初の1歩だとすれば、2歩目は2015年といえます。フリーテキストエディタの概念を大きく塗り替えたこのAtomと次で紹介するVS Codeがリリースされました。

これらのエディタは共通点があり、Electronというオープンソースのソフトウェアフレームワークを使っています。ElectronはChromium(Google ChromeのベースになっているオープンソースのWebブラウザ)とNode.jsを使っていて、HTML、CSS、JavaScriptのようなWeb技術で、macOS、Windows、Linuxに対応したデスクトップアプリケーションを作成できるのが大きな利点です。

このElectronとAtomを開発したのが、ソースコードのホスティングサービスでお馴染みなGitHubです。GitHubがAtomを開発した時に掲げたテーマは、

“ A hackable text editor for the 21st Century(21世紀に向けたハック可能なテキストエディタ)”

このテーマの通りに、Atomは尋常じゃないレベルでエディタをカスタマイズすることができます。そのためのシステムが、パッケージマネージャの「apm」です。

apmから様々なパッケージをダウンロードすることで、Atomはどんな方向にもカスタマイズが可能です。全く新しいプログラミング言語がいきなり流行ったとしても、数日もすればプログラミング可能なパッケージが登場するでしょう。それくらいAtomのパッケージコミュニティは活発です。

エディタの特徴は、先に上げたようにパッケージによる拡張性とコミュニティの活発さ。さらにSublimeのところで紹介した特徴はほぼ同じものがAtomでも実現されています。

そして有り難いことに、どういった使い方をしても無料で安心して使えます。これもAtomの魅力の一つといえますね。

Atom

VS Code

Atomと同じ2015年に生まれたもう一つのモダンエディタがVisual Studio Code、略してVS Codeです。

これは名前からピンと来る人も多いかと思いますが、マイクロソフト謹製のIDE、Visual Studioの系列で作られたプログラミング専用のテキストエディタです。

ただ、よくある勘違いですが、本家のVisual Studioと違い、クロスプラットフォームで動作します。これは設計元のフレームワークがAtomで紹介したElectronを利用しているからです。

こう書くと「VS CodeはAtomの派生エディタなの?」と疑問を持たれるかもしれません。しかしマイクロソフト自身がこれを否定しています。

VS CodeはVisual Studio Online という、オンライン上のIDEのエディタとして開発が進められていたものです。なお、2019年現在、Visual Studio OnlineはVS Codeのクラウド版として公開される予定になっています。主従関係が完全に逆転してるような……。当初の予定と成果物が真逆を向いているのはマイクロソフトあるあると言えるかもしれません。

とまあ、前置きが長くなりましたが、このVS Code、テキストエディタとしてはかなり優秀です。

Visual Studioというと、重い、Windowsでしか使えない、やたらと複雑、といったマイナスイメージが強い方も多いと思いますが、VS Codeに関してはまったくの別物です。Atomをさらに軽快にしたような操作性と、幅広い対応言語、Visual Studio由来の優秀な言語補完が相まって、単体のテキストエディタいうよりも、非常に軽いIDEといった体をなしています

さらに、こちらも無料で利用できます。Atomを使っていて、動作に重さを感じた方、優秀な言語補完に興味の有る方はぜひお試しください。

VS Code

個性が光る専門特化型エディタ(PHPも可)

この章では、モダンエディタと比べると汎用性やパッケージの対応に劣る部分はありますが、キラリと光る一芸に秀でたエディタを紹介していきます。

Brackets

Bracketsは2014年に登場したAdobe Systems製のテキストエディタです。Adobeでは、フロントエンドのためのツールとしてAdobe Dreamweaverがありますが、ここからテキストエディタ部分のみを抽出したのがBracketsといえます。

正確には、最近のDreamweaverがBracketsをベースに作られているのですが、使う分にはそこまで気にしなくていい部分でしょう。Dreamweaverベースということで、BracketsはWeb、とくにフロントまわりの扱いに非常に秀でたエディタに仕上がっています。

時期的に他のモダンエディタとも重なることから、モダンエディタとしての標準的な機能はしっかりサポートしつつ、

  • ライブプレビューでHTMLやCSSの変更を逐次確認
  • インラインエディターでファイルタブを切り替えること無くCSSを編集可能
  • プリプロセッサーに対応しており、LESS と SCSS がスムーズに編集可能


といった特徴を備えています。

PHPについては、コードヒントプラグインという、状況に応じて必要そうなコードを提案してくれるプラグインで対応しています。デバッグツールもありますので、デバッグでも困ることは少ないはず。

PHPも書くけど、フロントも含めた部分を書くことが多い人にはクリーンヒットするエディタと言えるでしょう。

Brackets

秀丸エディタ

モダンエディタを延々と紹介してきて、いきなり方向性が変わりますが、まだまだエディタとして現役ということで、秀丸エディタの紹介です。ちなみに初版は1995年です。もう24年も前になるんですね……。

Windowsのシェアウェアに詳しい人なら、知らない人は居ない超有名エディタです。なお、最新評価版が2019年5月22日にリリースされており、まだまだ開発は活発です。

モダンエディタと比べると操作性や言語補完など、多くの点で異なりますが、とにかく動作が軽量です。

そして、20年以上に渡って蓄積されたマクロが秀丸エディタ最大の魅力でしょう。Cライクな文法のマクロ機能が標準で搭載されており、本当に様々なマクロがネット上で共有されています。

マクロを組み合わせることで、作業効率が劇的にアップする可能性もありますので、テキストエディタを使っている方は、一度のぞいてみることをオススメします。

なお、対応OSはWindows限定で、シェアウェアのため継続使用には料金が発生します。税抜き価格で4,000円ですが、使い勝手に価値を見いだせる方であれば、十分に回収できる金額ではないでしょうか。

⇨ 秀丸エディタ

メモ帳の代わりに使える高速エディタ

最後に、モダンエディタほどの機能はないけれど、軽快に動作し、使い勝手が非常にいいテキストエディタを紹介します。

テキストの検索/置換や正規表現の利用、タブ表示、文字エンコーディングの調整、バージョン管理、比較など、デフォルトのメモ帳やテキストエディットではできないことを実現してくれますので、1つ手元にあるとなかなか便利です。

ちょっと使いたい時に、ほぼ待たずに起動できる軽さも魅力です。ぜひお気に入りのエディタを探してみましょう。

Windows専用

サクラエディタ

Notepad++

Mac専用

mi 

⇨ Jedit Ω

まとめ

いかがでしたか?

今回はPHPの開発に使えるテキストエディタについて、モダンなものから軽量なものまで、一通りのものを見てきました。テキストエディタはプログラマ・エンジニアにとって仕事の基本となる相棒のようなツールです。

この記事がきっかけで、生涯の相棒と言えるようなツールと出会えたのであれば、筆者としてこれ以上嬉しいことはありません。

ぜひ、お気に入りのエディタでプログラミングを進めていきましょう。

この記事を書いた人

【プロフィール】
DX認定取得事業者に選定されている株式会社SAMURAIのマーケティング・コミュニケーション部が運営。「質の高いIT教育を、すべての人に」をミッションに、IT・プログラミングを学び始めた初学者の方に向け記事を執筆。
累計指導者数4万5,000名以上のプログラミングスクール「侍エンジニア」、累計登録者数1万8,000人以上のオンライン学習サービス「侍テラコヤ」で扱う教材開発のノウハウ、2013年の創業から運営で得た知見に基づき、記事の執筆だけでなく編集・監修も担当しています。
【専門分野】
IT/Web開発/AI・ロボット開発/インフラ開発/ゲーム開発/AI/Webデザイン

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